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『桃鉄ワールド』“さくまあきらの職人芸”を紐解いて、伝えるために―監督 / ゲームデザイン・桝田省治氏 & 岡村SPインタビュー【TGS2023】

『桃鉄ワールド』に込められた、“濃い話”を伺いました。

ゲーム Nintendo Switch
『桃鉄ワールド』“さくまあきらの職人芸”を紐解いて、伝えるために―監督 / ゲームデザイン・桝田省治氏 & 岡村SPインタビュー【TGS2023】
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2023年11月16日に発売を予定している、ニンテンドースイッチ向けボードゲーム、『桃太郎電鉄ワールド ~地球は希望でまわってる!~(以下、桃鉄ワールド)』。シリーズ最新作となる本作では、舞台が世界に!マップも球体に変化し、ワールドワイドならではの魅力が詰まった作品となっています。

新たな挑戦に満ちた『桃鉄ワールド』には、どんな想いが込められているのか。「東京ゲームショウ 2023」での配信を終えた直後の桝田省治氏(監督 / ゲームデザイン)及び、岡村憲明氏(コナミデジタルエンタテインメント シニアプロデューサー)にお話を伺いました。

左:上原康仁氏(地球の歩き方ウェブ 編集長 )、中:桝田省治氏(監督 / ゲームデザイン)、右:岡村憲明氏(コナミデジタルエンタテインメント シニアプロデューサー)

◆球体マップの採用で、大きく変化した新作『桃鉄』

―『桃鉄ワールド』ではマップが球体になったことで、どのような点が変わったのでしょう?

桝田氏:まず、僕たちがイメージしている球体マップという概念を、開発会社に正しく伝えることが難しかった。「こう作りたい」ってマップは書くけども、そのマップは平面なんだから伝えるのが大変で。そこから出来上がったものを直していくわけだけども、「地球の裏側カード※」みたいなことをするには、「北緯がどうで~」という話になってくる。(※文字通り、指定したプレイヤーを今いる位置から、地球の反対側に飛ばしてしまうカード。裏側となる場所が海だった場合は使用できない)

ロシアだって大きい国だけど、メルカトル図法で見るほど大きいわけじゃないし。基本的に球体マップは、開発会社とそういったコミュニケーションを取るのが難しいっていうのがあったね。

あと毎日のように天気予報で地図を見てるわけだから、北海道が北にあるのは誰でも知ってる。でも世界地図だと、どの国がどこにあるのかわからない(笑)。だから次の目的地を出す時には、地球をグルっと回して大まかにその場所を示す演出にしたんだ。目的地への最短ルートを出す新機能も、球体マップだとCPUに相当な負荷が掛かるんだけど、プレイヤーが迷わないようになんとか実現しました。

球体マップを取り入れつつも、いかにこれまでの『桃鉄』に近づけるか。これが上手くできればできるほど、球体マップならではの苦労はプレイヤーに伝わらないとは思うけど、そこが意外と大変で。

―『桃鉄』シリーズには、100年ソロプレイで全駅全物件制覇を一つの目標としているプレイヤーもいます。本作は世界が舞台になったことで過去作とセオリーが大きく異なると思いますが、そういったソロプレイ愛好家に向けて、コメントを頂けますか。


桝田氏:ごくごく平均的な普通のプレイヤーは、100年遊んでも全物件は買えません。全物件を買うための作戦を何回か考えると、60年ぐらいで達成できたかな。でも僕が最初に全物件買えたのは90年ぐらいとギリギリで、「これ難しいじゃん」ってなって。

今回はマップが広いのと、CPUが一件だけ物件を買うとか粘ってくるから、辛い(笑)。結構難しいとは思うけど、もちろん全物件制覇はできるよ。でも強いCPUを選んじゃうと、難度は高いと思う。

―世界各地で駅になっている都市の選定は、どういった部分にこだわったんでしょう?

桝田氏:最初は、オリンピックの行進を見た子供たちが「あ、桃鉄で行ったことがある!」って言えるぐらいを目標に掲げていたんだけど、後から考えたらとんでもない数で(笑)。オリンピックって、凄い数の国が参加してるからね。でもできる限り、聞いたことない国でも1個は入れようって。その場合、大抵は首都になっちゃうけどね。

あとアメリカとかロシアとか中国とか、面積が物理的に広い国は首都だけってわけにはいかないから、結構多くなるよね。「アメリカってこんなに広いんだ」って、いまさら思った(笑)。

岡村氏:今回、ゲームに登場する国は全部ではないですけど、国旗または地方の旗がしっかりと出ています。これは「日本旗章学協会」の苅安望さんの監修を受けてまして、正しく表記しています。世界では日本人感覚ではわからないようなことが色々起きていますけど、できるかぎり正確になるようこだわりました。

―『桃鉄』シリーズを通して地理や各地の名産品を覚えたというファンは多く、前作『桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!』では教育版もありました。そういった教育方面のこだわりはありますか?

桝田氏:とりあえず各国の「こんにちは」は覚えておくと、酷い目にはあわないだろうと。

岡村氏:その「こんにちは」を収録するために、物凄い数の声優さんがスタッフリストに載っていますよ。

桝田氏:基本は全部ネイティブの方々なので世界中のスタジオを繋いで、リモートで録音に立ち会ったんだよね。あと日本語の声優は、大原さやかさんです。電車の中の声といえば、大原さんだよね。

―2010年発売の『桃太郎電鉄WORLD』以来、世界をテーマにした切っ掛けはなんですか?

桝田氏:それはもう、さくまさんが作れといったからだよ(笑)。『桃鉄』っていう永遠に終わらないすごろくというシステムはおそらく世界でも通用するから、僕がさくまさんに「世界版作れば?」って前々から言ってたんだけど、ある日突然「君が作れば」って言われて。

「海外取材に行けない自分の代わりに、桝田氏を説得して『桃鉄ワールド』を作ってもらった」という、さくまあきら氏のコメント。

岡村氏:その辺りに関する答え合わせは、今日の配信でありましたけどね。今回、さくまさんは制作総指揮として入ってもらい、ゲームデザインと監督は桝田さんにお願いしています。でもゲームを遊んで頂くと一番分かるんですが、さくまさんには凄く見てもらっていて、大事な部分のアイディアやプレイ評価など、間違いなくしっかりと関わっています。

桝田氏:無茶な仕様ほど、さくまさんだと思ってほしい(笑)。というのも、僕はさくまさんが30年間育ててきたブランドを預かっているわけじゃん。そうするとヒットさせなきゃいけないとか、『桃鉄』という枠からなるべく出ずにお客さんを満足させようとか色々考えてるの。それなのにさくまさんは、「世界が舞台なら、新幹線じゃなくてジェット機だろ」って言うんだもん。もう、「ええええーっ?」って。

岡村氏:そこは僕もプロデューサーの立ち位置から、「“電鉄”は残させてください!」ってお願いしました(笑)。そういった理由で、基本はSL列車のグラフィックが表示されますが、進行系のカードを使った際は飛行機へ切り替わる仕様に落ち着いています。

桝田氏:だっておかしいでしょ。線路の上を飛行機が通るって。そんなこと思いついても僕は言えないわけよ。

―冷静に考えれば、確かに(笑)。

岡村氏:いやでも、『桃鉄』を壊せるのはさくまさんなんだなって思いました。それと飛行機を採用したことで、今回の“世界が舞台”というコアへの筋が通ったなというのはあって。やっぱこういうアイディアを出せるのが天才さくまさんなんだなって、日々勉強させてもらってます。

桝田氏:あと、周遊カードを廃止してタンクにしたのも、さくまさんのアイディア。これも、「(周遊系のカードは)前から使える回数が見えるほうがわかりやすいと思ってたんだけど、本編の『桃鉄』でいきなり変えちゃうとユーザーがワケわかんなくなるから、試しにやってみろ」って言われて。ここでも、ええーっ?って(笑)。でもまあ、そうなんだろうね。ゲーム性はだいぶ変わるよね。給油マスに入るのが目的地に入るのと同じぐらい、重要になってくるから。

ただ、さくまさんは「タンク」とは言ってなくて。あくまで「使える回数がわかるように」ってだけ。で、試行錯誤するなかでカード名の後ろヒトマスのシカクに線を入れてみたら、タンクに見えなくもないなって。そこから、タンクって言っちゃえばわかりやすいなってなった。

◆さくまあきら氏の“職人芸”を、未来に伝えるために

桝田氏:喋りたいことがあるんだけども。僕もさくまさんもいい年だし、僕に至っては忘れんぼうになってきてさ。でも岡村さんは、一生懸命『桃鉄』に向き合ってくれてるし。だから僕らが抜けたあと、他の人が作っても『桃鉄』っぽく遊べるような仕組みを作ってる。

言っちゃえば今までの『桃鉄』は全部、さくまさんの“職人芸”なんだ。例えるなら、100年継ぎ足してる焼き鳥のタレなんだよ。資料を見ても、何が書いてるのかわかんない。この表は何に使ってるんだと調べたら、すごく極端な状況に対応するためのデータだったりして。で、そんなものが30年分も溜まって入り組んでるから、なかなかわからなくて。でも、だいぶ整理できた。

簡単にいうと、今までさくまさんが「ゲーム20年目にこんなイベントを始めよう」と作っていた部分を、「盤面に出回っているお金の量を参照して、指定した金額の20%まできたらイベントをを始めよう」という形で管理するようになった。ボンビーなどから受ける被害額にしても、得られるお金にしても「目的地到着金の何倍/何分の1」といった形にしてて。到着金も、ゲーム全体で出回っているお金の量から決まるようになってる。

こうした仕組みを作っているから、今後別タイプの『桃鉄』を作る時も、わりと作りやすいようになってると思う。

―世界旅行ボンビー、ばらまきボンビーは、どちらも人形っぽいデザインがモチーフになっています。あれはどなたのアイディアですか?

桝田氏:あれはイラストレーターである、竹浪秀行さんのアイディア。僕らはもっと、“パチモンの天使っぽいやつ”っていう形で発注してたんだけど、上がってきたらあんな感じだった。

―だいぶホラーな雰囲気になりましたよね

桝田氏:そうだね、することも強烈。あれも球体マップを活かしたボンビーであることと、100年プレイしてもそれなりにダメージがある効果ということで、選んだ。あとは大ネタの変更、今回なら球体マップっていう違いを活かすためには、他の部分であんまり変なことやりたくないんだよ。そういう意味で、過去の『桃鉄』で効果が実証されているボンビーを少し変えて取り入れた。

―最後になにかメッセージなどあれば。

桝田氏:いや、無いよとくに(一同爆笑)。もう散々テストプレイもしてるから、面白いに決まってるもん。自分の作ったゲームを、もっともつまんなく解説するゲームデザイナーって言われるんだ。

『桃鉄』好き芸人が、対戦プレーを披露!

今回の合同インタビュー冒頭、「濃い話をしてもいいの?」と取材陣に尋ねた桝田氏は、限られた時間の中で様々なことを語ってくれました。『桃鉄』直撃世代である筆者にとって、「今までの『桃鉄』は全部、さくまさんの“職人芸”なんだ」という桝田氏の言葉は非常に印象的であり、『桃鉄』シリーズに共通する手触りや雰囲気こそが、誕生から30年以上経ってなお多くのファンを夢中にさせる原動力なのだと感じました。

最新作『桃鉄ワールド』は、世界を舞台にした球体マップという大きな変化を採用しました。本作には、ついつい買い占めたくなる出雲や盛岡は出てきませんし、名物「びわゼリー」も無いし、急行カードや特急カードといった一部カードの名称も変わっています。

それでも夜叉姫は今日も可愛いし、目的地に到着した時に流れる「テッテケテケテケテーン♪」というBGMでテンションは爆上がりするし、ボンビーたちは相変わらずサイテーです。

サイコロを1度振れば、例え見た目が大きく変化しても「ああ、これは桃鉄だ」と実感するはず。その発売を楽しみに待ちましょう。

ニンテンドースイッチ向けボードゲーム、『桃太郎電鉄ワールド ~地球は希望でまわってる!~』は、11月16日発売。早期購入特典として、スーパーファミコン版『スーパー桃太郎電鉄II』が、ニンテンドースイッチで遊べるダウンロードコードが付属します。


《ねんね太郎》

また、お会いしましたね ねんね太郎

ゲームセンターとテレホーダイが生み出す濁流に、満面の笑みで身投げした雑食系ゲーマー。油断すると余裕で半日は寝てしまうため、スヌーズ機能が欠かせない。ゲーム以外の趣味は、モノを捨てること。

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