ユービーアイソフトのPS4/PS5/Xbox One/Xbox Series S|X/PC向けオープンワールド・アクションアドベンチャー『アサシン クリード ヴァルハラ』は、ヴァイキング時代と呼ばれる9世紀のイングランドを舞台にした作品です。
主人公をはじめとしたヴァイキングは、トールやフレイヤ、オーディンといった神々が登場する北欧神話を信じており、前作『アサシン クリード オデッセイ』で描かれたギリシャ神話とは異なる世界観が描かれています。
本作は2020年11月10日に発売され、すでに1ヶ月過ぎましたが、筆者は全然クリアできてません。なぜなら寄り道要素が豊富過ぎるからです。
前作『アサシン クリード オデッセイ』もボリュームが多すぎて100時間以上寄り道要素に費やしたのですが、同じくらい時間がかかりそうです。
本作には、ヴァイキングならではの新要素が搭載されており、敵対する集落に略奪を行ったり、定住地を発展させたり、ヴァイキング流のラップバトル「口論詩」を体験したり、水場で釣りをしたりできるようになりました。
筆者は、前作同様、探索要素に夢中になっているため、なかなかストーリーが進みません。お宝を探しながら、イングランドに足跡を残した古代ローマ人の遺跡を眺めるのが楽しくて仕方ないのです。本作をプレイする前は、イングランドにローマの遺跡があるなんて知らなかったので新鮮な気持ちになりました。
さて、前述した通り、本作の主人公であるエイヴォルはヴァイキングであり、罪のない人々に対して略奪を行っています。
略奪は、仲間のヴァイキングと共に行い、敵対する兵士を倒しながら各拠点のお宝を盗んでいくことになります。現場には敵兵士のほかに一般市民がいますし、敵兵士だって悪人ではないのです。略奪が行われる前はただただ平凡な生活を送っていたのでしょう。
むしろ、そんな人々から物資を奪っていく主人公が悪人側といっても過言ではありません。ヴァイキングはイングランドの人々にとって侵略者であり、略奪者であり、犯罪者に映ったことでしょう。本作では、一般市民を殺害し続けるとペナルティが課せられるのですが、まぁそれはゲームのお話。当時の倫理観は、現代人のものとかけ離れているでしょうし、実際、この時代に何が行われたのかをリアルで再現すると、ゲームとは異なる場面が多数描写されるのではないでしょうか。仮に、ゲーム画面で描かれる以上のことが無かったとしても、略奪された後の人々は、食べ物も財産もないため、飢え死にするしかありません。
等身大の人間であり加害者としても描かれるヴァイキングは、略奪に対して罪の意識を感じていないようです。犯罪行為に罪の意識を感じていないのは娯楽作品で描かれる悪役では当然かもしれませんが、ヴァイキングは略奪行為を生活の一部として捉えています。
それこそコンビニに行って物資調達をする感覚で略奪を行っているのです。ここが本作の新鮮なところであり、面白いところでもあります。
主人公達が話す日常会話の中に略奪行為の話題が頻繁に出てきます。中には、略奪中、戦士同士がぶつかり合う音や炎上する家々、現場の叫び声に興奮する人々もいるのだとか。
ヴァイキングが大勢いる街では、略奪行為に関する話題が本当に飛び出すわ飛び出すわで、別の世界を旅している新鮮な気分になるのです。
このことから当時の略奪行為は、感覚的には漁や祭り、ライブ・コンサートに行くのとさほど変わらないんだろうなと筆者は感じました。もちろん、これらの平和的なイベントとは違い、略奪する側も略奪される側の反撃に遭い、日常茶飯事的に死者が出たと思います。ただ、それはヴァイキングにとって名誉の戦死であり、いずれ死後の世界であるヴァルハラで再会できると信じられていたのでしょう。こういった宗教観も我々現代人と全然違います。
『アサシン クリード』シリーズは、これまで様々な時代の様々な国が舞台でしたが、ここまで異文化に触れていると感じたのは初めてかもしれません。
そんな『アサシン クリード ヴァルハラ』は発売中。あなたもヴァイキングのカルチャーショックを受けてみてはいかがでしょうか。
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