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【インタビュー】インディゲーム開発者をサポートしたい!開発会社や個人クリエイターを支援するイレギュラー・コーポレーションの思いを語ってもらった

代表取締役のアンドリュー・サマンスキー氏にインタビュー。3月5日発売のスイッチ向け推理パズルアドベンチャー『パズル探偵スカウト 失われたデータの陰謀』についても伺いました!

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2020年3月5日、ニンテンドースイッチ向けに発売された推理アドベンチャーゲーム『パズル探偵スカウト 失われたデータの陰謀』。このインディゲームは、イギリスでゲームパブリッシング事業を展開するThe Irregular Corporationの日本法人である、イレギュラー・コーポレーションのアジア圏向けの初タイトルです。

キャラクターを『はーとふる彼氏』の玻都もあ氏、音楽を『逆転裁判』シリーズを手掛けた杉森雅和氏、ディレクターをイギリスのEd Fear氏が担当する日英合作プロジェクトとしても話題を集めています。


今回は、イレギュラー・コーポレーションの代表取締役であるアンドリュー・サマンスキー氏にインタビューを実施。同社が今後どのような取り組みをしていきたいかや、『パズル探偵スカウト』開発時のエピソードなどを伺いました。

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──まずは、自己紹介をお願いします。

アンドリュー・サマンスキー(以下、サマンスキー)アメリカで日本語を勉強し、19歳の時に来日して4年間上智大学に通い、日本のゲーム業界に入りました。今から17年前ぐらいですね。1社目はテクモ(現コーエーテクモゲームス)に入りまして、『NINJA GAIDEN』シリーズを制作しました。その後はマイクロソフトの外部プロデューサーとして日本向け案件のお手伝いをして、2009年にカプコンに転職、2014年にはモバイルゲームを勉強したいと思ってDeNAに入りました。その後、2019年に独立してイレギュラー・コーポレーションを立ち上げました。

──イレギュラー・コーポレーションとは、どのような会社ですか?

サマンスキー母体はイギリスにある会社で、今では200名以上いるゲームの開発受託会社です。そのグループ会社の傘下に、インディゲームのパブリッシングをするThe Irregular Corporationという会社がありまして、その日本法人です。日本のクリエイターさんが開発しているゲームを発掘して、世界に向けて発売していくための組織として立ち上げました。

──さまざまなゲーム市場があるなかで、なぜ日本を選ばれたのでしょうか?

サマンスキー2つあります。ひとつ目は、日本はスーパーファミコンなどコンシューマゲームの生まれ育った場所であり、ゲームとは切っても切れない関係です。また、イギリスの親会社はもともと日本のコンテンツやクリエイターと縁があり、共同制作をしてきた歴史があるので、イギリス以外で初めての海外進出は日本しかないと思っていました。

2つ目は私自身の思いで、日本には優れたゲームクリエイターの方がたくさんいらっしゃるため、インディゲームに興味を持っていただき、開発できる機会を作っていきたいと考えています。海外において、インディゲームは一定数の市場があり収益を得ていますが、日本国内ではまだ黎明期で、これからという感じがしています。

そのため、私には日本のインディゲーム、ひいては日本のゲーム業界そのものを盛り上げていきたいという使命感を持っています。こうしたイギリスの思いと私自身の思いで、イレギュラー・コーポレーションは実現しました。


──イギリスと日本のゲーム市場における違いは感じますか?

サマンスキー我々は西洋マーケット(北米・ヨーロッパ)とアジアマーケットに分けて考えていて、アジアのなかでも日本は特殊なマーケットだと考えています。それは好まれるジャンルが違うこと。もちろん、みなさんそれぞれ好みがありますので一概には言えませんが、一般的な市場の傾向としては海外ではFPSや豪華なアドベンチャーゲーム、スポーツが大きなウエイトを占めています。対して日本ではモバイルゲームがかなり大きな市場になっていますし、コンシューマでも恋愛シミュレーションやビジュアルノベルといったジャンルも発売されています。

──それでは、今の日本のインディゲーム市場の課題をどのように捉えていますか?

サマンスキー日本法人を立ち上げるにあたり、小さな開発会社や個人の方のお話を伺ってきたのですが、海外ほどインディゲームを作っていくための土壌がないと感じました。それは弊社のように出資や開発サポートなど、一緒にインディゲームを作っていきましょうという会社がまだ少ないためです。

独立して、ゲーム制作会社としてやっていくのが難しい現状もあります。スーパーファミコンやプレイステーションの時代には小さなゲーム会社がたくさんあったと思うのですが、今では制作費がどんどん膨れ上がり、なくなった会社も多くあります。一方、海外ではインディゲームという規模感で、小さな会社がやっていける手段が確立されてきています。

そのため、「本当はインディゲームを作ることだけで会社を回したいけれど、無理なので今は大手のゲーム会社の下請けをしつつ、いつか発売ができたらな」という小さな開発会社が多くあります。弊社ではそうした日本が追いついていない部分に対して、貢献できると考えています。

──つまり、イレギュラー・コーポレーションとしては、日本のインディゲーム開発会社やクリエイターを支援するお仕事をメインに行っていきたいと。

サマンスキー中長期的なビジョンはそうです。ただ、私たちの会社ができたのは去年で、本格的に活動するのは今年からになりますので、まずは第1弾タイトルとして『パズル探偵スカウト』を開発しました。これは、社内のスタッフが日本のクリエイターと手を組んで制作をしたものです。

今後はこうしたコラボレーションも考えられますが、第1弾を皮切りに私が現地法人として目指している、日本の優れたコンテンツやクリエイターの発掘をしていきたいですね。そして彼らに対して弊社やイギリスのリソースを使い、資金面に限らずPRのノウハウなどを専門スタッフによってサポートしていきたいと考えています。今は日本で開発したゲームを世界でリリースする時代なので、世界で仕事をするための手助けもをしたいです。


──第1弾タイトルである『パズル探偵スカウト』は、パズル+推理アドベンチャーです。どうしてこのジャンルを選ばれたのですか?

サマンスキー完全に作ったディレクターの趣味です(笑)。これはインディゲームのいいところで、ビジネスを度外視できませんが、予算をコンパクトに作れるため、やりたいことが実現しやすいんですね。本作は、イギリスのディレクターが企画を作り、絵は玻都もあさんにお願いしました。音楽は私のところに相談がきたので、カプコンで『逆転裁判』シリーズを作られていた杉森さんに依頼しました。

開発はイギリスのスタッフが4、5人という小規模で、ディレクターがゲームのディレクションをしながらシナリオも書いていました。こうした自由な座組で、みんながいろいろな職種を兼任して作る、昔のスーパーファミコン時代のような体制で作っていきましたね。インディゲームはどれもそうですが、「こういうのがあったらいいよね」からスタートしています。

──イギリス、日本のスタッフで開発を進められていくなかで、文化の違いなどコミュニケーションで苦労されたエピソードはありますか?

サマンスキーインディゲームのチームが構成されてから日本のクリエイターがアサインされたのですが、業務的な依頼ではなく、ラブコールみたいなものなんです(笑)。今回の場合ですと、ゲームディレクターがある日、音楽をどうしようかと悩んでいると相談にきました。できれば日本人の作曲家にお願いしたい、作品の舞台設定である90年代を思わせるような曲を作りたい。例えば、「『逆転裁判』のような曲を作れる人を探してくれないか」と言われたので、私がまさに『逆転裁判』を作っていた杉森さんを探してお願いしました。クリエイターの情熱によって開発が成り立っているんですよね。

そのなかで課題だったのは、作り方の違いです。私は作曲に関する橋渡しをしたのですが、イギリスからの発注は良くも悪くもアバウトなんですよ。「作曲家のあなたは専門家なので、こちらが依頼するよりもあなたがいいと思った曲を提供してほしい」という具合です。一方、日本人の方はゲーム中にどういった使われ方をするのかにとても気を使ってくださっていて、何度かやりとりをしました。こうした相手を尊敬して思いやるがあまり、お互いにお願いし合ってすれ違うことはありましたね(笑)。


──『パズル探偵スカウト』は、ポップなイラストやパズルゲームであることなどから、カジュアルなゲームという印象を受けましたが、どのような方にプレイしてほしいですか?

サマンスキー『パズル探偵スカウト』は、パズルと推理アドベンチャーが合体した新しいタイプの作品です。ゲーム内容としては、本編で4つの殺人事件が起こり、キャラクターの人間模様を楽しみながらシナリオを読むパートと、事件の手がかりを探すビットマップパズル(縦と横の数字を塗っていくパズル)パートがあります。パズルの難易度設定は高くしていませんし、調整もできますので、苦手な方も問題なくプレイしていただけると思います。

もちろんパズルゲームが好きな方、そしてビジュアルノベルのようなシナリオを読むゲームが好きな方にもプレイしてほしいですね。また、今回は女性のユーザーの方にも注目していただきたいです。日本のビジュアルノベルにおける女性キャラクターは美少女という描き方が多いと思うのですが、本作の主人公は強く独立した大人の女性です。彼女はあることがキッカケで女優から探偵に転職しており、そうした強い女性像を打ち出しているところはイギリスらしいなと。


絵のテイストは玻都もあさんが描いているのでなじみやすいのですが、各キャラクターの性格や設定はカラフルで、いろいろな人種のキャラクターが登場したり、LGBTの話題に触れたりするなど国際色豊かです。今の世界におけるダイバーシティをゲームの中で表現していると思っているので、ぜひ楽しんでいただきたいですね。

──今後のイレギュラー・コーポレーションの活動について伺えますか?

サマンスキーイギリスのThe Irregular Corporationは、インディゲームを作っている小規模な開発会社や、ゲームを作りたいというビジョンを持っている個人の方に対して、サポートしてゲーム開発を行い、世界中で発売してみんなでハッピーになっていこうという考えです。日本も同じで、優れたアイディアを持ったクリエイターを探し、資金調達や売り方をサポートしながら、一緒になって形にしていきたいと考えています。私も毎日アンテナを張って探しているのですが、日本発で世界に向けたインディゲームをたくさん発掘して届けていきたいですね。

イレギュラー・コーポレーションは、インディゲームを作りたいという方にどんどんお会いして、夢の実現に向けた支援を考えています。いろいろと模索していきたいので、「こういうゲームのアイディアがあって世界に届けていきたいんだ」と考えているゲーム業界の方は、ぜひ弊社の連絡フォームからご一報ください。


──最後に、本作を楽しみにされている方に向けてメッセージをお願いします。

サマンスキー『パズル探偵スカウト』は、日英合作という異色の座組から生まれたゲームです。なじみのあるジャンルとビジュアルテイストのなかで、イギリスらしいさまざまな人間模様の描き方や、皮肉を含めたウィットに富んだセリフも登場します。アドベンチャーゲームがお好きな方には一風変わった作品として、パズルゲームがお好きな方はビットマップパズルとお話の融合を楽しんでいただけたらうれしいです。

──ありがとうございました。

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《カミヤマ》

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