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中国武術を説得力ある3Dアニメーションに仕立てるには―型と実演を織り交ぜて解説【CEDEC 2019】

CEDEC 2019のセッション「アニメーション制作に役立つ中国武術のバトルモーション」では、いかに中国武術の動きをアニメーションに生かせるかが語られました。

ゲームビジネス 開発
中国武術を説得力ある3Dアニメーションに仕立てるには―型と実演を織り交ぜて解説【CEDEC 2019】
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これまでに3DCGのビデオゲームでは、様々なアクションがモーションキャプチャーや3Dアニメーションで製作されてきました。その中でも中国武術は数多くのタイトルが参照したアクションのひとつです。たとえば『バーチャファイター』シリーズといった対戦格闘ゲームでは、特に中国武術を生かしているといえるでしょう。

ではどんなふうに中国武術をビデオゲームにて動かすようにするのでしょうか?2019年9月4日、パシフィコ横浜にて開催された「CEDEC 2019」にて、「アニメーション制作に役立つ中国武術のバトルモーション」のセッションが行われました。中国武術を実演しながら、その特徴やリズムなど要素を解説し、いかにアニメーション製作に生かすかを解説します。

武術の実演と解説から、魅力的な動きを見出す


スクウェア・エニックス
小山 雅晃氏

今回のセッションはクリーク・アンド・リバーの山本智人氏が司会を務め、中国武術の解説をバンダイナムコスタジオからアニメーターの元梅幸司氏が担当。武術の実演をスクウェア・エニックスのVFXアーティストである小山雅晃氏が行います。

クリーク・アンド・リバー
山本 智人氏

セッションは解説と実演を織り交ぜる形で進行。元梅氏は実際に中国武術の演舞には膨大な動きの情報量があるため、それを観察する力を高め、動きのアイディアの引き出しを増やしてほしいと説明します。

バンダイナムコスタジオ
元梅 幸司氏

小山氏と元梅氏は実際に中国武術を学んでおり、数多くの流派を習得しています。そのため武術をアニメーターやVFXアーティストとして取り扱う説得力は高く、小山氏は時にアクターも務めるほどだそうです。さらに中国武術の知識や敬意も深く、単に魅力的なアクションのひとつとして中国武術に触れてはいないことが伝わりました。


『型』を知っているから、『型破り』な動きが作れます。『型』がなければその動きは『型無し』になるのです。」と元梅氏はアニメーションを作る上のモットーを語りました。

中国武術のアニメーションを作ってほしいと言われたら?


ではアニメーターに「中国武術の連続技を行うアニメーションを作ってほしい」とオファーが来たら、どのようにすればよいのでしょうか?


元梅氏は中国武術をアニメーション制作に役立てるポイントとして、武術の分類を知ることと、動きの組み合わせ方を知ることを説いていきます。まず中国武術をどのように調べればいいかを、アニメーターに分かりやすく簡潔に「柔拳」と「剛拳」、「象形拳」の3種に分類しました。


各分類には実際の動き方だけではなく、アニメーションを付ける時のヒントになる記述もありました。「柔拳」は円を描くような、球体を意識した柔らかな動きです。相手の力を見極め、その力を利用して攻撃に繋げる闘い方をします。対照的に「剛拳」では直線的な動きで、自らが動いて相手を攻撃するのです。最後の「象形拳」は動物や昆虫の手を模した動きを特徴としています。

重ねて「多彩な技を入れてほしい」と頼まれたら?



続いて多彩な技を表現について解説。「正しい足運びから、常に軸を安定させた移動を可能にする」という、歩法を動きのベースだと元梅氏は説明し、小山氏が歩法を元にした技を演じて見せます。


「発勁」ブルース・リーのワンインチ・パンチはこの技を元にしていたのではという考察も。


多彩な蹴り技や、一気に力を放つ発勁を披露したほか、剣術や棒術の鮮やかな動きを演じます。ビデオゲーム上で見てきた多彩な動きを現実で目にすると、その緩急のつけ方や、動作の重みには確かに膨大な情報量があると感じました。

アニメーション制作に役立つ武術らしい動き



このように現実の演舞では動きの情報量が多く、実際にアニメーションに落とし込むにはどの動きを重視したらいいかという点についても説明。実際の中国武術のコツが、そのままアニメーションを付けるときのポイントにもなっています。






最終的に3Dキャラの動きへと落とし込む




ここまでに披露してきた武術の動きを組み合わせ、実際にビデオゲームに落とし込みます。ビデオゲーム上で動きがスムーズに見えるように細やかな調整を加えていき、実装できるように仕上げていくということです。

中国武術を組み合わせ、アニメーションに仕立てた結果。

今回のセッションは、現実の武術をよく知ることが説得力のあるアニメーション制作に通じることをよく理解できる内容となっていました。
《葛西 祝》
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