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“日本最後のイタコ”が語る『鬼ノ哭ク邦』のリアリティ―ゲームでも迷える魂を救済!?

8月22日にスクウェア・エニックスより発売されたPS4/Switch向けアクションRPG『鬼ノ哭ク邦』。輪廻転生をテーマとした本作の魅力を掘り下げるために、青森まで“日本最後のイタコ”に会いに行きました。

ソニー PS4
“日本最後のイタコ”が語る『鬼ノ哭ク邦』のリアリティ―ゲームでも迷える魂を救済!?
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■イタコの口寄せはリーズナブル?


――松田さんはどうしてイタコを継ごうと思われたんですか?

松田:お師匠さんにあたるイタコに救われたからです。小さい時は病弱だったんですけどイタコに見てもらい、病院に通って体が少しずつ良くなっていった。その感謝の気持ちから弟子になったんです。歴代のイタコである目が見えない方々も同じような思いがあったみたいですね。体がどこか弱かったり、大病だったりしたのを助けられた経験から、神職であるイタコの道を選んだみたい。

イタコに救われたことで、神様への信仰が芽生える。神様に助けてもらったから恩返ししなきゃと考える人は少なくないです。弟子を選ぶ側もそういった心持ちの人を選ぶ。ただ儲かりたいとか有名になりたいとかで、イタコになられても困るので。

――僕らにはイタコに相談することになじみがないのですが、一昔前は、病気になった時にイタコに頼るのは一般的だったのですか?

松田:医者にかかるよりも、身近なイタコに見てもらってお祓いしてもらうと費用的に安く済むからね。お祓いしたり、丹の虫封じしたり、加持祈祷とかいくらでもやりようがある。


霊から身を守るための動物の骨やあの世への駄賃なども身につける

――安く済むとのことですが、1回の相談料、それと年間の依頼数はどれくらいなのですか?

江刺家:相談くらいだったら5000円ほど。私が3月から公式サイトを担当していまして、現在で依頼は1100件を超えていますね(8 月20日時点)。その中でもお断りしている方もおりますけれども。

■あの世や魂のさ迷いはあるの?


――ぶっちゃけてお訊きしますが……「あの世」は存在するのですか?

ゲームでは生きる人が住む「現シ世(ウツシヨ)」と対を成す死者の世界「幽リ世(カクリヨ)」がある

江刺家:あるイタコさんはこんなこと言いましたね。「あの世と言われても私行ったことありませんから分かりません」。あると思っている方にはあるし、ないと思っている方にとってはない。そのように答えるしかないですね。

――さらに言うと、魂がそこに行き着けないことってあるんですか?

松田:自殺なんかだと死んだ後も本人が納得しないことがあるみたい。事故も自殺の部類に入るみたいで、あの世に行くまで時間がかかる。

江刺家:亡くなったばかりだとまだ近くにいてね。例えばよくありせんか?死んだ後に、ガラガラガラッと戸が開いたり、カタカタっと音がしたりして、亡くなった人を感じる不思議な現象が。

死後の魂はお寺さんで四十九日、百か日、一周忌、三回忌とある程度の供養してもらうことで、あの世に導かれていきます。要するに魂と体が一緒にいて供養する必要があるんです。魂がふらふらとさ迷っている間は、屍だけ葬式をやっても、あの世に辿り着けないからプロセスがある。

ゲームでは「逝ク人守リ」が迷える魂をあの世に導く役割を担う

江刺家:死んだ人の魂を呼べるのは33回忌まで。33回忌まで供養をすると、それ以降は魂がお釈迦様の懐に抱かれてこの世に来ないんです。それでお釈迦様の導きによって、また新たに生まれ変わると伝えられています。

――松田さんに口寄せしてほしいという方々は、一番誰に会いたいんですか?

松田:やっぱり、親ですね。特に最後の時分、看病できなかった後悔が大きいみたい。親が入院している時は、医療費が余計かかかっちゃうから、生活するためにも必死に仕事しなくちゃいけないでしょう。そうなると、なかなか顔見せに行けないから。

あと死に目に会えなかった場合です。亡くなった人が悔いを残したことはなかっただろうか、何か伝えたいことはなかっただろうか、自分はこういうこと言いたいんだ、と依頼をされる方がいますね。亡くなってすぐだとお葬式などでバタバタ忙しく、そんなに寂しくないんだけども、年数が経って自分も親の年齢に近くなってくると、寂しくなってくるみたい。

また、災害で家族を亡くした方なんかは、5人から10人まとめて口寄せしてほしいと言います。


江刺家:今年も亡くなった方の声が聞けたから、「じゃあまた来年も」と毎年のように来る方もいますしね。自分の気持ちの整理、新たに1年の計画を立てるために必要な儀式にしている人もいます。

――どれくらい1人の依頼者にお時間を設けていますか?

江刺家:自宅で口寄せする場合は、それぞれの魂によっても時間が違いますね。一人の魂に付き、15~20分ですむ方もいれば、40~50分かかる人も。恐山で口寄せする場合は、朝6時から夕方5時までの間に50人ぐらい松田の前に並んでいます。そこでは全員の要望に応えるために、1人1霊の口寄せで回しても、15~20分ぐらいしか時間を設けてあげられないですね。

「逝ク人守リ」は迷える魂をあの世に導くまで休みなし。イタコ以上にハードかもしれない

――恐山で口寄せするのは特別な意味があるんでしょうか? イタコが恐山で修業するもの?

江刺家:恐山はイタコにとって不可欠な場所ではありません。あそこは年行事で参拝に来る人達が多いから、場所代をお払いして仕事をさせてもらっているだけです。民俗学的には「イタコ町」と言うんですけど、お寺とか神社に人が集まるお祭りの時に行って口寄せをするんです。現在は心霊ブームで人が多く集まる観光地になっていますので、客数が違うでしょう?

白い法被は恐山で口寄せをしているイタコが着る

■イタコという存在の必要性とは?



――今回発売されるゲームが「輪廻転生」をテーマにしており、主人公は救済をする役割なんですね。松田さんはご自身の役割をどのように捉えていらっしゃいますか?

松田:中立よ。あの世とこの世を繋ぐ交信役だね。

江刺家:死は誰にでも訪れます。身近な人達が次々と亡くなっていく中で、「あの世というのはどういうことなんだろうか?」と、自分がいざ死ぬ時に対する恐怖を和らげるために、イタコに限らず死後の世界を知る存在が求められるんです。

「逝ク人守リ」として魔物と戦う主人公

――近年では後継者問題をよく耳にすることがありますが、やはりイタコという存在はなくなってはいけないものだとお考えですか?

松田:そうとは考えられないとは思う。ただ。悩み相談する拠り所が一つなくなる。口寄せ以外の相談だと多いのが、人付き合いが苦手なために自分の思いをなかなか人に素直に話せないで苦しんだり、多感な10~20代の時期に情緒不安定から見えないものが見えると言ったことで、親に精神科の病院に入院させられたりする人です。カウンセラーも医者も信用できない時にどこへ行くかというと、イタコが近くにいるなら選択肢に上がりやすい。費用も安いですから。

江刺家:イタコがもしなくなったら、自称・神様仏様の人達が増えると思う。ちょっとした新興宗教に行くとね、お布施はだいたい3万~10万とかの金額になりますから。本来の身の回りの中にある相談の役割を飛び越えて商売する人達が今ですら多いですよね。

――抑止力の役割もあるんですね。現在は松田さんが最年少のイタコですが、後継者探しの焦りはありますか?

松田:全然。焦りなんてない。それに弟子取ると言っても、教える側も費用がタダじゃないから(笑)。

江刺家;イタコや神社の神主、お寺の和尚達にも教えてもらう過程で若干費用がかかります。そういう費用を負担してまでやれるという方でないと。ですから、ある程度長い目でもって考えています。私現在70歳ですから、90歳ぐらいまで生きるとして、その間に1人か2人ぐらい育成できたらいいなと考えています。

実際に松田さんが『鬼ノ哭ク邦』をプレイ!?
《乃木章》

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