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『ららマジ』はBGMも愛にあふれていました…ノイジークローク・いとうけいすけ&メインシナリオ・西村悠サントラ発売記念インタビュー

『ららマジ』サントラ発売を記念して、ノイジークローク・いとうけいすけ氏&メインシナリオ・西村悠氏へインタビューを行いました。

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『ららマジ』はBGMも愛にあふれていました…ノイジークローク・いとうけいすけ&メインシナリオ・西村悠サントラ発売記念インタビュー
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――西村さんは、改めて曲を聴いてみて感じたことはありますか?

西村氏:素人目なんですけど、「物語性」を感じさせる曲が多いなと思いました。先程話に出た10幕でいえば、「向井 春香のテーマ」とかですね。最初抑えめで、徐々に緊張感を高めていきながら、最後にバーンと弾ける感じだなと。こういうのは、頭の中で物語を想像しながら書かれているんですか?

いとう氏:「向井 春香のテーマ」に関して言えば、開発の方から「最初はAメロをループさせ、特定のシーンに入ったタイミングでBメロに切り替える」という新しい演出をプログラムでやりたい、という要望をいただいていました。これに対応できるように作った曲なんです。

ゲームって、プレイヤーさんの進み具合がそれぞれ違うので、曲・物語それぞれの山場部分をリンクさせるのが難しいんですよね。そういうのもあって、これまではわりかし淡々とした曲が多かったのですが、10幕からはこの新しい演出が可能になったので、じゃあ最大限活かそう!と。曲のラスト部分はかなり大げさなものになっています。結果、とても良い曲になったと思っています。

西村氏:10幕のBGMがあれだけドラマチックになったのには、そういう裏があったんですね。本当に素晴らしい曲でした。

――楽曲面でこのような演出をするスマホゲームって珍しいですよね。

いとう氏:こういう演出ができるゲームって、本当に少ないと思います。他にも、『ららマジ』では1幕の頃から「シナリオパートのBGMを引き継いだままバトルに入る」という演出があるのですが、これを体験した時に「音楽を大切にしているゲーム」だなと感じましたね。1幕をプレイして、早速ファンになってしまいました。

シナリオで使われるようなBGMは、キャラの感情曲線を大事に作っているのですが、一旦別の曲が挟まると、盛り上がりが途切れてしまいますよね。でも、『ららマジ』ではそうならないように「シナリオパートのBGMを引き継いだままバトルに入る」という演出を実現されていて、Wright Flyer Studiosさん、すごいな…と(笑)。

西村氏:僕も、最初体験したときに、画期的なことだと思っていました。

いとう氏:ピアノ曲やバラードもバトル曲として引き継いでくれるのもすごい!選曲面ではWright Flyer Studiosさんのセンスが光っていますね。

――選曲で言うと、「葉月のねがいごと」が初出の「daydream」が戦闘曲で使われたのが印象に残っています。「爽やかな朝!」みたいな曲がなぜ?と。

いとう氏:ですね。僕もビックリしました。まさか戦闘で使われるとは(笑)。オーダーとしては日常曲のバリエーションという形だったので、一日の始まりをイメージして作りました。ちょうど朝の情報番組みたいな。

西村氏:それがまさかの戦闘曲(笑)。でも、意外と合いますよね。

いとう氏:『ららマジ』の音楽をここまで評価していただけてるのは、選曲と演出の力が大きいと思っています。開発のサウンドスタッフさんもこの場にお呼びしたかったですね。

ちなみに、「葉月のねがいごと」あたりから、現実世界と夢世界の曲を明確に差別化していました。でも、まさか日常にノイズが侵食してくるとは…。

西村氏:我々としては「非日常が侵食してくる」という認識なので、現実世界での戦闘等で夢世界の曲が使われていても、違和感はないと思います。

いとう氏:現実世界にノイズが現れるのはありえないことで、そのありえないことが起こっているということは、現実世界も実はなんらかの仮想世界なんじゃないかと思っています。その次元の壁を超える時に、塁先輩やタマ先輩が活躍するのではないか、という説を僕はずっと考えています。

西村氏:何も言えませんよ(笑)。


――ちなみに、ライナーノーツを見た感じ、もしかして葉月先輩がお好きなんですか?

いとう氏:そうです!だからこそなのですが、その、先日葉月さんがお脱ぎになられましたよね。

――はい。お脱ぎになられましたね。

いとう氏:是が非でもお迎えしたかったのですが、残念ながら出会うことができなくて…。今まで葉月さん運だけは良かったはずだったので、悔しいです…。ちなみに、「葉月のねがいごと」でもそうですが、調律欲を刺激するイベントって、やはり意識して作られてるんですか?

西村氏:そうですね。ただ、だからといってすぐに調律順が回ってくるとは限りません。楽しみに待っててください、ということですね。

いとう氏:やはりそうですか…。イベントの中でも「傷に辿り着くまでの壁が一番高い」とホニャが言っていて。なら最後なのかなと。あの流れだと葉月さんの前に関係するキャラ3人を調律しないといけないですし。

※ここでノイジークロークの方から「シナリオの話に寄せない」と再度ツッコまれる)

いとう氏:すみません。我慢できなくて。これがゲームにのめり込んだ弊害です。西村さんは全てのお話を知っているわけじゃないですか。実際にゲームをプレイしたときってどのように楽しんでいるんですか?

西村氏:お話は確かに知っていますが、そこに音楽・演出が組み合わさったものをみるのはリリースされてからなんです。なので、いつも驚きと発見を楽しんでいますね。ここでこの音楽がくるか!とか。

――最初から曲を聴いているわけではないんですね。

西村氏:そうなんですよ。本当は曲を聴きながら書きたいくらいです。こちらからこういう曲がほしいとオーダーすることはあるのですが、それが実際に採用されるかはわからないので。8幕の「出囃子」とか、まさか作ってもらえるとは思ってませんでした。

11幕の「memoir」も、オリジナルで作っていただいてすごく嬉しかったです。Wright Flyer Studiosで演出を担当していただいているスタッフさんと「超絶技巧ってなんなんだ!」と議論を重ねてオーダーしたものだったので。どことなく亜里砂っぽい感じもして、いい曲だなと。

いとう氏:ものすごい超絶技巧というわけではないのですが、「何か吹いて!」と言われた亜里砂が、高校生レベルにまで目線を落とした上での模範演奏。というイメージですね。器楽部員が演奏している設定の曲は作るのがおもしろいです。

――11幕ラストの「Wonderland」も器楽部員が演奏していますよね。

西村氏:様々な曲調が組み込まれていて、「舞台劇」がうまく表現されていますね。

いとう氏:Wright Flyer Studiosさんの方ではもう少し子どもっぽいと言うか、ガチャガチャしたイメージだったと思うのですが、僕の中でイメージが出来上がって、バラードっぽいものを提出させていただきました。現状、この曲だけ唯一器楽部員の合奏という設定になっています。ちなみに、作曲ソフトに楽器のパート名を入れるのですが、キャラ名で管理してました(笑)。

それで思ったのは、かなえが調律済みで本当に助かったなあと。和音を出せる楽器は便利なので。あと、作りながら「器楽部メンバーの技術差」を真面目に考え始めましたね。「Wonderland」は幼稚園児向けの曲なので、ややこしいものではないのですが、亜里砂のトランペットはリズム・音程ともに正確、凜のクラリネットは時折音が揺れる、かなえの鍵盤ハーモニカはいざというところで音量が落ちる、萌のシンバルは入りが遅い、フルートとヴァイオリンをハモらせる…とかを盛り込んでいたりします。『ららマジ』ではそういう事もできるのでおもしろいですよね。せっかく担当楽器が決まっているので、シナリオ内で演奏するシーンが増えてくるといいなぁと思っています。そうすれば、こういう楽曲も色々作っていけるので。

西村氏:ものすごいこだわりですね。これから調律組が増えていけば演奏の機会も自ずと多くなるはずです。箏とかは入れるのが難しそうですが。

いとう氏:ひかり先輩はコントラバスを弾けるので、そっちに回しているんですよ。箏として使うとなると、どうですかね…(笑)。編成を考えればおもしろそうな事ができそうです。

――今のお話を聞いた後、改めて曲を聴くと感慨深いですね。

いとう氏:作ってるときも感慨深いなと思っていました。調律済みメンバーの演奏を形にしてみたいとずっと思っていたので、ようやくできるぞと。今はフロウライン組の調律が楽しみです。とにかく、ギター、ベース、ドラム、シンセサイザーが揃えば大抵の音楽はできるので。全員調律したらコンサートをやりたいですね。

西村氏:最終目標はそこですね。

いとう氏:余談ですが、弊社には智美と同じモデルのベースを持っている人がいて。13幕の音楽を作る時に、せっかくなら同じベースで収録しようと思ったのですが、「心の音」を作っている効果音チームに借りられてしまって、結局使えなかったんです。ちょっと後悔しています。もし今後、真中華回で作曲のオファーを頂いたら、ぞうさんギターを使おうかなと。実家に転がっているはずなので。

西村氏:楽器まで合わせる予定だったとは。そこまで考えてくださってるのは嬉しいです。

智美と同モデルのベース(色違い)

いとう氏:できるものは、になってしまいますけどね。手頃な価格なら楽器を買ってもいいんですけど、菜々美のフルートとか、紗彩のヴァイオリンとか、オーケストラ系の楽器はもしかしたらとんでもなく高いものを使ってるかもしれませんし。

西村氏:それを湖に捨てようとしていたとは…。

いとう氏:(笑)。値段で考えると、それこそ真中華はなぜぞうさんギターを使ってるんだろうとかを考えてしまいますね。もっといいギターが家にあるはずなんです。絶対、シナリオに深く関わってくるんですよ。もうあまり(シナリオについては)話さないようにしますが。

キャラと楽器の組み合わせで言うと、例えばピアニカとかリコーダーとかって、通常入ってこないと思うんです、器楽部的な部活が現実にあったとしても。これらを入れたのには理由があるんですか?

西村氏:あくまで僕の中での話ですが、「音楽に対する関わり方」というのが部員ごとに違っていて、かなえとか乃愛とかは、音楽命!というよりかは、器楽部という「」にこだわりをもっているんです。ストイックな音楽家志望もいれば、みんなで演奏するのが楽しいというユルめの部員もいる。そういう「多様な楽しみ方」を内包したのが器楽部、ひいては『ららマジ』という作品なんだと思います。

いとう氏:ということは、いわゆるガチ勢vsエンジョイ勢みたいな構図もこの先出てきそうですね。ああ、またシナリオの話に…。


――では、ユーザー的にはホーム画面・戦闘・リザルトのあたりをよく聴くと思うのですが、このあたりも何かエピソードはありますか?

いとう氏:では「MagicalBattle」から。いわゆる通常戦闘曲ですね。伊藤賢治さん作曲で、僕は編曲を担当しています。普通、通常戦闘曲というと淡々としたものを作りがちですが、伊藤賢治さんの場合はアツいですよね。

実は一番リテイクの出た曲で、十数回は作り直していると思います。初期の頃は「吹奏楽」というキーワードをもらっていたので、吹奏楽と伊藤賢治さんのロックでアツいテイストを混ぜようと努力していましたね。わざわざ吹奏楽を指定してくるということは、オーケストラにはない楽器を使ってみるのが良いんじゃないかとサックスも使ってみたのですが、ことごとくボツで…。最終的には、伊藤賢治さんの世界観を打ち出すのが正解かなと、今の形になりましたね。「立ち向かうものたち」「怒りの日」も同じですね。

――「怒りの日」は改めて聞くととてもかっこいいですね。当時は結構ディエス・イレが強かったので、じっくり聴いている余裕はありませんでした(笑)。

西村氏:特別な一曲という感じがしますよね。

いとう氏:ある種の神聖さすら感じます。ライナーノーツでも書きましたけど、お供は攻撃しちゃだめなんだろうなと思い込んだせいで、難易度が跳ね上がっちゃって。

西村氏:そうなるようにシナリオを書きました(笑)。

いとう氏:でも、シーズン1のラストにこの曲が来たおかげで、「傷から救う物語」とは別の、何か大きな世界が存在することを想像させてくれましたね。5幕以降はそれを頭に留めながら曲を作っているので、単純に幸せな曲とかはあまりないはずです。

――ホーム画面の「東奏の街」とかはいかがでしょう。おそらく一番聴く曲だと思います。

いとう氏:これも伊藤賢治さんのアレンジを担当したのですが、もうほぼ完成しているくらいの雰囲気でしたね。どう編曲するか悩みましたが、伊藤賢治さんが作曲されたピアノを活かしたままガチャガチャしない程度に色々な楽器を入れることにしました。

――「夕方Ver.」もありますね。こちらはいとうさんの作曲なんですね。

いとう氏:本当は「午後」のイメージだったんですが、うまく行かなくて。Wright Flyer Studiosさんにご相談して「夕方」ということで再度作曲しました。結果、花火背景という特別な舞台までもらってしまって。嬉しい限りです。

それで、夕方があるなら次は「夜」だろうということで作ったのが「眠りについて」ですね。あんまり夜に流れてない気がしますが(笑)。

西村氏:夜のシーンがそんなにありませんからね。

いとう氏:記憶違いだったらごめんなさい、たしかタマ先輩の誕生日イベントが、夜空背景にこの曲で締めという形だった覚えがあるんですが、夜のシーンという意味では印象に残ってますね。そうやって考えると『ららマジ』は背景も凝って描かれてますよね。


――リザルト曲には「未来への希望」というすごい曲名が付いていますね。

西村氏:僕も曲名は初めて見ましたね。

いとう氏:確かにすごい曲名ですね。僕もここまで大きいことは込めてませんが(笑)。いたってシンプルな曲ですね。これを次回予告で使うWright Flyer Studiosさんのセンスたるや。そろそろイントロ部分だけのデータを送った方が良いのかもしれません。

西村氏:曲名はWright Flyer Studiosさんが決めてらっしゃるんですか?

いとう氏:そうですね。曲名はあって困ることはないのですが、イメージが引き寄せられちゃうので、キーワードの羅列のほうが作りやすいですね。それこそ、最初から「未来への希望」みたいな曲名が付いていたら、壮大なオーケストラファンファーレとかにしちゃいますよ(笑)。

――他に印象的な曲というと、調律完遂時の「君に届け」もすごく心に残ってます。

いとう氏:伊藤賢治さんの曲を、弊社の藤岡竜輔さんがアレンジしたんですけど、これが僕もすごい好きで。

西村氏:これ、「始まりの唄」のアレンジなんですね!全然気が付かなかった。

――言われてみれば確かに…!

いとう氏:そうなんです。気づきませんよね。すごく健全で、前向きに次回に続く感じが心地よくて。各幕の締めにこの曲を聴くと、スッキリしますね。これを逆手に取って、曲が流れて一段落かと思いきや…みたいなことされるとドキッとします(笑)。

西村氏:これが流れたら大団円!みたいなイメージはありますよね。


――西村さん的には、気になっている曲はありますか?

西村氏:「解放戦・BOSS」ですかね。コーラスに歌詞がなかったとは。でも、理由を聞いて納得しました。

いとう氏:コーラスに関しては神々しさの演出ですね。神話の世界での戦いとかをイメージしています。そう遠くないうちに、これより物々しい戦闘曲を作れるといいなと思っています(笑)。解放戦の楽曲は独特ですよね。ここだけ違う世界というのが明確で。うまくいったと思います。

西村氏:解放戦は「裏の世界を見せていく」という雰囲気でやっているので、狙いにピッタリです。

――ライナーノーツで「変な曲」とだけ書かれている「不可思議な事態」「身を潜める一行」も気になります。

いとう氏:どちらも変な曲ですね。そう思いませんか?オーダーを受けてサクッと作ってしまいました。

西村氏:どちらも違和感をテーマにした曲ですよね。また、「身を潜める一行」は、鬼ごっこを連想させる「夜宴の狂騒曲」とは対象的に、かくれんぼを感じさせます。

いとう氏:『ららマジ』のシーズン2では、シナリオも曲もすごく拡がりを見せましたね。シーズン3はもっと拡がりを見せるのかと思いきや、家族や身内と言ったミクロな視点に立ち返って、また変えてきたなと思いました。

西村氏:シーズン3はきちんとテーマを持って、最後の拡がりも考えながら12幕を作りました。これからどう展開していくかは言えませんが、最終的にはブワッと拡がるようになっています。

いとう氏:なるほど…。もし、14幕以降も楽曲を作らせていただけるのであれば、考えを改めなければ行けないのかもしれません。シーズンが代わるごとにテーマも変わるので、ついていくのが大変ですね。それが楽しいのですが。頑張って西村さんの考えを読み取っていかないと。

――では、締めに入っていきたいと思います。ボーナストラックについて、なぜ「始まりの唄」のピアノアレンジになったのでしょうか。

いとう氏:ボーナストラック自体は、最初は予定してなかったのですが、だんだんなにか入れたいなと考えるようになりまして。いくつか候補があったのですが、器楽部の話なので、彼女たちが演奏した曲にしたかったんです。例えば、マーチングやひかり先輩調律後の演奏会とかですね。ただ、サントラの最後に特定メンバーだけの曲を入れるのもどうかなと思って、メインテーマである「始まりの唄」にしました。

「始まりの唄」を器楽部全員編成で作る、というアイディアも出てきたのですが、未調律メンバーもいるので、僕の中でそれはなし。ということで、シンプルにピアノにしましたね。ボーナストラックということで、豪華なものを期待した方には申し訳ないのですが。ぜひ、弾いてみてほしいですね。簡単そうに見えて結構難しいので。

西村氏:聴いていると今までのストーリーが浮かび上がってくるような気がして。ジーンと来ますよね…。

いとう氏:「始まりの唄」はとてもいいメロディなのですが、タイトル画面以外あまりフィーチャーされないので、どこかのタイミングで流してほしいですね。

――飯塚晴子さん描き下ろしのジャケ絵も見逃せません。ライナーノーツを見たところ、ジャケ絵はいとうさんが選ばれたのだとか。

いとう氏:菜々美と百花先輩の二択でした。

――なぜ百花先輩を選んだのでしょうか。

いとう氏:実は、菜々美のイラストは、特別な衣装だったんです。こっちが本命だろうなと思ったのですが、今回は器楽部みんなの物語のサントラなんですよね。百花先輩が敵か味方かはわかりませんが、「貴女の作った器楽部を信じています。前に出てください」ということで推しました。自分でもまさかそれで決まるとは思ってなかったので、驚きましたよ。しかも眼の中に何か描き入れてくださって…。あれが気になって仕方ないです。

西村氏:いとうさんのお言葉をそのまま飯塚さんにお伝えして「そういうことなら百花を描きたい」と、決まったそうです。眼の中のアイディアもスタッフさんたちと話し合って決めたみたいですね。

いとう氏:このイラスト本当に良いですよね。鬼気迫る感じでもあるし、髪の毛が涙の線にも見えて。指揮をしているんですけど、制服のままなのでコンサートではなく部室とかで演奏しているんでしょうね。真っ赤な瞳とその中に描かれたホニャと誰か…。色々な含みを想像させる顔をしていますよね。すごくないですか?百花先輩を推して良かった…

――これも聞いておきたかったのですが、CD化の可能性はありますか?

いとう氏:今回は、アプリを遊んでいる方が、シームレスに音楽を手に取れる、ということを目標にしていたので、まずは配信という形になっていますが、もちろんノイジークロークとしましても、物理的なグッズとしてサントラがほしいという声があるのは認識しておりますし、僕個人としても飯塚先生のジャケ絵を現物で持っておきたいです。模範的な回答ではありますが、チューナーさんたちのお力添えとご声援次第!でしょうか。

――では最後に、今回お二人は初めてお会いしたとのことですが、お話してみていかがでしたか?

いとう氏:BGMって、本来彼女たちの世界には存在しないものですよね。彼女たちの日常の中で音楽が鳴っているわけではない。ですが、これがあることによって、西村さんが思い描く世界と、ユーザーさんがプレイしている現実世界をつなげることができます。しかしその分、世界の雰囲気を左右しかねない「恐さ」があるんです。『ららマジ』の音楽を作る上で大切なのは、西村さんの考えがユーザさんに届くように、しっかりと寄り添って行くこと。これだと改めて思いましたね。

西村氏:ありがとうございます。僕も、「音楽に負けないシナリオを書こう」と常々思っています。普段から執筆のときには音楽を聴いているのですが、今はサントラを聴きながら書いていますよ。

今日、いとうさんとお話をして、『ららマジ』はみんなの手によって形作られているんだなと、改めて感じる事ができました。違うジャンルならではの技術的な違いもあれば、一方で共通しているようなところもあって。とても楽しかったです。お会いできてよかったです。

いとう氏:いや、本当に。今まで直接お話する機会はなかったので、お会いできてよかったです。

西村氏:僕たちは音楽にそれほど詳しいわけではないので、今度またお話をさせていただきたいです。なんなら取材もしたいくらいです。毎回色々なことを調べながら、書いているので、そのあたりプロに聞けると心強いです。

いとう氏:ぜひぜひ!お願いします。そして、いつかリアルのコンサートも見てみたいですね。

西村氏:見たいですね!音楽主体のゲームなので、音楽イベントはやってみたいですよね。サントラも出たので、少しはやりやすくなったんじゃないでしょうか。

――いちファンとしても見てみたいですね。

いとう氏:「ららラジ」を見てたんですが、どうも声優さんたちに楽器経験のある方が多いなと。ただ、ユーフォニアムばっかりで。

西村氏:ユーフォニアム大人気ですね。器楽部にはいませんが(笑)。

いとう氏:どうしようかな(笑)。とりあえず、フランスからプロのトランペット奏者を呼びたいですね。

一同:(笑)

――お二人とも、今日はありがとうございました!



というわけで、前回を超える3時間のロングインタビューとなった本稿。いとう氏の“ららマジ愛”伝わりましたでしょうか。サントラや楽曲の制作秘話などの興味深い話はもちろん、中の人も多大なる愛を持って携わっているということが伝えられると、筆者としては嬉しい限りです。

14幕以降の楽曲も楽しみですね。そしていつか、リアルのコンサートを見られる日を夢見て。これからの『ららマジ』の、さらなる発展を祈っています。
すえなが

ソウルシリーズ大好き すえなが

1990年3月、神奈川県生まれ。パズル誌の編集を経て、イードへ。「Game*Spark」「インサイド」の編集業務に携わり、同社のアニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」も経験。幼少期よりゲームに触れ、現在はCS機・スマホを中心にプレイ中。好きなジャンルはアクションやFPS・TPSなど。『デモンズソウル』を始めとしたフロム・ソフトウェアの「ソウルシリーズ」や、2020年にサービスを終了した『ららマジ』に特に思い入れがある他、毎年の『Call of Duty』に一喜一憂したり、『アクアノートの休日』『FOREVER BLUE』の新作を待ち望んでいたりする。

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