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雄々しく、そして人間らしく―『信長の野望・大志 with パワーアップキット』の小山プロデューサーが語る理想のAI 【TGS2018】

東京ゲームショウ 2018のコーエーテクモゲームスブースで『信長の野望・大志 with パワーアップキット』のAIの思考の一端が分かるデモが映像出展されました。プロデューサーの小山宏行氏に『信長の野望』シリーズにおける理想のAIについてうかがいます。

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雄々しく、そして人間らしく―『信長の野望・大志 with パワーアップキット』の小山プロデューサーが語る理想のAI 【TGS2018】
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9月20日から23日にかけて開催された東京ゲームショウ 2018。株式会社コーエーテクモゲームスのブースでは、11月29日にPlayStation 4/Nintendo Switch/PCで発売される『信長の野望・大志 with パワーアップキット』のAIがどのような思考をしているかが分かる特別なデモが映像出展されました。どのような経緯でこうした出展にいたったのか? 開発スタッフが考える『信長の野望』シリーズにおける理想のAIとは? プロデューサーの小山宏行氏に『大志 with パワーアップキット』の魅力もまじえながらのお話をうかがいました。

◆『大志 with パワーアップキット』の新システムにせまる


――『信長の野望・大志 with パワーアップキット』の新システムについてお聞かせください。

小山順位をつけるわけではないのですが、やはり一番に注目してほしいのは「大命」システムでしょうか。『大志』では大名それぞれの考え方や行動の指針を表す要素として「志」がまず根本にあり、それに連なるような形で「方策」や「志特性」があります。

これらはその大名のいわば骨子をなすものとして永続的に効果が持続しますが、「大志」は任意のタイミングで、能動的に実行するものとなります。その効果は3カ月、6カ月など期間限定のものとなりますが、とても強力です。「志」が"静"なら「大命」は"動"といえます。

武田信玄専用の大命となる風林火山

また、「調略」も新たに追加しました。さまざまな勢力に工作員を送り込み、敵情視察して離反工作をしかけるというものです。交渉に成功したらそのまま引き抜いてもいいですし、戦場で寝返らせることもできます。あえてその大名の下に留まらせて寝返りそうな武将の情報を得るといったことも可能です。『大志』は内政で国力をたくわえ、戦をしかけて勝つ……という流れでしたが、戦略の幅が広がります。

次に「決戦」ですね。『大志』ではフェイズ制を採用しており、一定時間ごとに行動を入力してはそのなりゆきを見守るという遊び方でしたが、本作ではリアルタイム制かフェイズ制かを選択することができます。また、罠をしかけたり、軍施設を建てたりとできる行動も増えています。

フェイズ制はじっくり、かつ少し先の展開を読んで楽しむゲーム性。リアルタイム制は、臨機応変に相手の動向を見て対応する必要があります。戦況を左右しうる情報を適宜うまくさばいて戦うことになります。"こちらで遊んだ方が有利です"というようには作っていませんので、ご自身の好みに合うスタイルで遊んでいただければと思います。

写真左:決戦ではリアルタイム制への切り替えが可能に 写真右:戦の前に調略で離反をもちかけることも

――『大志』の発売後、プレイヤーからは挙げられた要望・感想はどのようなものが多く見られましたか?

小山信長の野望』シリーズでは、ずっと本シリーズを楽しんでくださるみなさんにさらなる体験をご提供しようというのを第一に考えています。ですが、それと同時に「まだ本シリーズを遊んだことがない方たちにも手に取りやすいものを」という思いはずっと持ち続けています。『大志』はそのバランスの見積もりが少々甘く、簡略化しすぎてしまったところはあるのかなと反省しております。

――その両立は永遠の課題ともいえるものですよね。さて、今回のTGS2018ではAIが操作する敵大名がどのような思考をして行動に移しているかが分かるデモが映像出典されています。これはどのような経緯や狙いによる試みなのでしょうか。

小山大志』のときから「敵大名のAIを強化しています」とはお伝えしているのですが、それが実際にどのようなものなのかは、なかなかお伝えしきれずにおりました。それをよりわかりやすくお届けするための試みの一環です。

多くの勢力の思考をすべてリアルタイムで表示しつづけると画面がテキストで埋まってしまい、膨大で読み切れませんので、勢力の数は最大5つとし、さらに合戦、外交、調略などにしぼって表示しています。AIは裏でこういう風に考えているんですよというのがお伝えできればと。

東京ゲームショウ 2018コーエーテクモゲームスブースで出展されたデモ映像

――それだけでも目で追うのが大変なくらいです。でも、とても興味深くてなかなか目が離せません。今回の展示以外でも、何らかの手段で見られるようにするご予定などはないのでしょうか。

小山まだご確約はできないのですが、TGS2018終了後以降にも、お見せできる機会があればいいなと検討しているところです。

◆小山氏が考える、『信長の野望』シリーズ理想のAIとは?


――こうした新システムの実装にともない、敵大名のAIも適宜強化や変更がされているわけですよね。

小山はい。今回の展示は9月上旬時点でのAIですのでまだ完全なものではありませんが、「大命」をいつ発動するか、敵対国に調略をしかけるタイミングは適切か、などをこれから練り込んでまいります。新たなシステムが追加されるたびに、AIも研鑽を続けています。

――敵ばかりではなく自勢力の一部をAIに委任することもできますが、こちらはどのようなところに気を付けておられますか?

小山ひと口に「委任するよ」とは言っても、もちろんそれは「自由になんでもしていいよ」というわけではありませんよね。せっかく信じて任せたのに、お金を使いすぎてしまったり、兵糧が少ないのに無理して戦をしかけて負けたりしていると「ちょっとちょっと、ダメだよ」となってしまいます。

「任せて失敗したな」とみなさんに感じさせてはいけませんので、極端に変な挙動はしないようにしています。ギリギリのラインを攻めたりはしないというか……。敵としてのAIとは、少し異なる面がありますね。任せたAIが、みなさんの意図に沿った行動をとってくれるように、こちらも、より進化をしていかなければと思っています。

――敵としてのAIにお話を戻しますが、本シリーズのAIは「強ければ強いほどいい」というものでもないと感じています。小山氏は、どのようなAIが理想だと考えておられますか?

小山究極的なお話になりますが、「きっとこの大名であれば、たしかにこういう考え方をして、こういう行動に移すだろうね」と思える"その大名らしさ"を表現できるようになることが理想だと考えています。また、それと同じくらい大切なのが、みなさんのライバルとして成立できる強さを持つことです。いくらそれらしくても、強くなかったら楽しくありませんしね。"らしさ"と"強さ"の両方を追求しながら、バランスよく磨きをかけ続けていく。これが目標であり、課題であると考えています。

――自分などはプレイヤーとしていい気なもので、AIが強すぎるとつい「これ、どこかでズルをしているんじゃないの?」などと思ってしまいます(笑)。

小山そのお気持ちもわかります(笑)。ですが、本シリーズのAIはみなさんと同じ条件や方法でしか情報を得られないようにしていますので、その点はご安心ください。また、AIには「どこまで史実に近い挙動をさせるか」ということにも気を遣っています。

もちろん史実を再現することがすべてではありませんが、織田家がゲーム開始後まもなく滅亡してしまったり、武田家が北へ北へと勢力を伸ばしはじめたりしたら、それはそれで違和感が出てしまいます。実際の歴史に近い挙動をさせつつ、プレイヤー次第でifの展開も楽しめる……その匙加減はいつも大切にしています。

TGS2018のコーエーテクモゲームスブース

――『大志』や『大志 with パワーアップキット』で、この大名のAIは自信作というのを挙げると誰になりますか?

小山やはり織田信長でしょうか。歴史に残っている情報が多ければ多いほど、精度を上げやすいですから。弊社のシブサワ・コウ(コーエーテクモホールディングスの代表取締役社長・襟川陽一氏)が、7月に東京大学でAIの話題をまじえた講演を行ったのですが、そこでシブサワ・コウが取り上げたのも、やはり信長のAIでした。

初期の『信長の野望』では複数人によるプレイもできましたが、近年の作品はシングルプレイがメインとなっていますので、そういう意味ではAIの重要性がより増しています。シブサワ・コウともども「AIの研鑽はいっそう力を入れ続けなければ」と兜の緒を締め直し続けています。ゲーム業界でよく用いられるビヘイビア・ツリー(編注:2004年の『Halo2』で確立された手法。AIの思考や行動のプロセスをツリーのような構造で組む)など、さまざまな考え方を学び、取り入れ続けています。

――戦国時代を生きた大名や英雄たちは、今日でもその生きざまに関して新たな事実が発見されたりすることもあるかと思います。そんなときはAIもそれに準じたものに調整されたりするのでしょうか。

小山もちろんです。ですが、仮にある人物に関する新たな事実が判明したとしても、それを作品に反映させる時期やタイミングは慎重に検討していきます。それがもしこれまでのイメージとガラッと変わるものだったりしたら、突然の変更に違和感をぬぐえないかもしれませんので。

――他のゲームソフト、もしくはゲームと関連のないプロダクトでも構いませんが、「このAIはすごい」と感じられたものはありますか?

小山やはりコンピュータ将棋のAIでしょうか。一般の方どころか、プロの棋士でも勝てないことがあるくらいですよね。将棋のAIはルールが定められており、それが変わることがないので効率よく知識を蓄積し続けることができますが、同じシリーズ作品でもルールが異なることがあるゲームのAIは、なかなかそうもいかないという事情もあります。

ただ、これは見方を変えれば独自のポテンシャルを秘めているということでもありますから、ゲームならではのAIの魅力はまだまだこれから磨きがかかり続けると思います。本シリーズにおいてはそれぞれの作品のルール(システム)に基づきながらの"その大名らしさ"を出すことが大切で、それは容易なことではありませんが、この壁をしっかり越えていかなければ次のステップには行けないだろうとも思っています。

――ありがとうございました。それでは最後に、11月29日の発売に向けて『信長の野望・大志 with パワーアップキット』のセールスポイントをあらためてお聞かせください。

小山みなさんからいただいたご意見を参考に「大命」や「調略」などの新要素を加えてブラッシュアップいたしました。敵大名のAIもそれらのシステムに基づいた思考をしますので「なるほど、今は内政に力を入れているんだな」というような楽しみ方もしていただければ幸いです。さまざまなことを試しながら国盗りを楽しめる作品にできるよう最終調整に入っておりますので、楽しみにお待ちください。

(C) コーエーテクモゲームス All rights reserved.
《蚩尤》

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