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「e-Sportsで何かをしたい人たちへ」セッションレポート─今とこれからを語る【CEDEC 2018】

2018年8月22日に「CEDEC 2018」にて開催された「e-sportsで何かをしたい人たちへ」セッションに、日本e-Sportsで活躍するGroovesync代表取締役の松井悠氏と、プロゲーミングチームDeToNator代表/オーナーの江尻勝氏が登壇。e-Sportsの今とこれからを語りました。

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2018年8月22日に「CEDEC 2018」にて開催された「e-sportsで何かをしたい人たちへ」セッションに、日本e-Sportsで活躍するGroovesync代表取締役の松井悠氏と、プロゲーミングチームDeToNator代表/オーナーの江尻勝氏が登壇。e-Sportsの今とこれからを語りました。


e-Sportsは儲かるのか



最初に登壇したのは松井氏。冒頭、会場に詰めかけたゲーム開発者に対して感謝とお礼の言葉を述べた松井氏は、おそらくe-Sportsに関わる、あるいはこれから関わろうとしている人間が一番気にしている問題である「儲かるのか」という点に、ズバリと切り込みました。


現状では、e-Sportsでガツッと儲かっているという話は国内ではまだまだ聞こえていませんが、生計を立てることは十分できているのだそうです。

そもそもe-Sportsとはなんなのか



続いて世界中の大学生が集まって行われた『LOL』の動画を流した松井氏は、そもそもe-Sportsとは何なのか、というポイントに言及しました。ゲームの楽しみ方とは、遊ぶ楽しさ、観る楽しさ、着る楽しさ(コスプレ)、聴く楽しさ、競い合う楽しさではないかと語った松井氏は、e-Sportsはその中でも競い合うというカルチャーに端を発するものではないかと語りました。


松井氏はまだネットが無かったころからの流れで、「誰が強いのか」「隣町に強いやつがいるらしい」「誰が強いか決めよう」という「グラスルーツ(草の根)」がe-Sportsの原点であり、ここから始まった「コミュニティ」が今に繋がっていると熱弁を振るいました。


その他にもe-Sportsを現すキーワードとして、様々なプレイを見る「視聴体験」と、勝利することによって得られる「名誉」「賞金」が重要だと語った松井氏は、最後にゲームカルチャーを競技にフォーカスしたのが、e-Sportsであるとまとめました。


e-Sportsとフィジカルスポーツの異なる点



野球やサッカーといったフィジカルスポーツは観客とプレイヤー、それに運営者という3要素がありますが、e-Sportsではディベロッパー、パブリッシャー、プレイヤーがあり、プレイヤーはオーディエンスの一部でもあるのが、e-Sportsをビジネスとして考えるときに重要なポイントになっていると松井氏は語りました。

これら4者にとってのe-Sportsは、それぞれ立ち位置が異なります。それぞれの相互理解がe-Sportsを展開していく上で重要となるのではないかと松井氏は語りました。






e-Sportsをしなさい



e-Sportsが地上波でも特集されるなど注目度は高まっていますが、こうなると出てくるのが「流行ってるようだからうちも何かやろう」という層。ゲームに興味もなく知識もない偉い人が、「e-Sportsをやろう」と下の人間に無茶ぶりをして参入してくる業者もいるそうです。


この点に関し松井氏は「e-Sportsでどうする」ではなく、「e-Sportsで何をするか」と考えるのがポイントと語りました。「e-Sports」とはコンテンツをコミュニティにどのように長く遊んでもらうか、観てもらうかという形を作り上げるのが重要なため、まず自社がどのようなビジネスモデルを持つのか。どのようなポジションに立ってe-Sportsと関わっていくのかを考える必要があるのだそうです。


IPを持っている立場の会社の場合、自社で興業をするのか、それともライセンスを出して他社にやってもらうのかという選択肢があります。また、新規のユーザーを獲得する手段として使うのか、既存のユーザーの課金額増加を狙うのか。ビジネスとして考えるのか、集まってきた人たちでやっていくのか。コミュニティを育てまくるとグローバル市場も含め、かなりの規模感にまで成長させることは可能とのこと。

これ、日本でやっていいの?


また松井氏は、様々なことに取り組んでいく中で、これを日本でやっていいのかわからないという問題があったと指摘しました。


その問題点とは、以下の4つです。

・課金アイテムの販売金額の一部を選手の賞金に還元
・第三者の賞金大会をパブリッシャーがスポンサード
・競技者から参加費を取って、賞金に還元
・一部の課金アイテム所有者のみを対象にした賞金大会

これをやるのは「危ないですよ」という話はよく聞くとのこと。「誰か男気を見せてやってみてくれないか」と語り笑いを誘うも、社内の法務や役所によく確認してくださいと、クギを刺していました。

DeToNator代表・江尻勝氏は元美容師



続いて登壇した江尻勝氏は元美容師で、現在はプロゲーミングチーム「DeToNator」の代表を務めている人物。かつては13年間に渡り美容師を務める傍ら、ゲーマーとしても活躍。33歳でPCゲームを始めると、35歳で『Alliance of Valiant Arms』の大会で優勝するという凄腕の持ち主でもあります。


今は現役は退き世界各国でゲーマーを採用してチームを編成し、マネジメント業で力を発揮しているとのこと。

セッションの最後で江尻氏は参加者との質疑応答に応じておられましたが、その内容には興味深いものが多くみられたので、抜粋して紹介させてもらおうと思います。

Q:ゲーミングハウスというのは日本にどのくらいあるのでしょうか。
A:以前より増えてはいますが、きちんと運営されているところは両手の指の数あればいいかなという認識です。

Q:給与というのは固定で出るのでしょうか。
A:チームによって様々なので把握できてはいません。うち(DeToNator)では給与もあり、査定もあり、ボーナスもあり、大会賞金の分配も決まっています。その原資はパートナー様からいただいた活動費と、チームで出演した様々なイベントや番組の出演料となっています。韓国ではリーグ傘下に審査があり、きちんと運用できていないとそもそもリーグに入れません。その点では日本はまだまだ遅れているなと思います。

Q:e-Sportsは最近流行っていると報道されていますが、海外の大会では既に会場がまったく埋まらないという状況が発生しています。今の日本ではご飯が食べられていますが、数年後はどうなっているでしょうか。

A:自分としても危機感の塊です。パートナー企業様からはゲームに関係ない企業を受け入れていろいろやってもらおうという話もありますが、そういう企業は流れが去ると同時にいなくなってしまいます。それよりもゲーム関連の会社にメリットを提示して、ブームとは関係なく、今後も一緒に長くビジネスが出来るかということを考えています。
《早川清一朗》
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