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『モンハン:ワールド』になぜベヒーモス?『FFXIV』コラボの裏側を、辻本良三氏&吉田直樹氏に訊く【E3 2018】

『モンハン:ワールド』プロデューサー・辻本良三氏&『FFXIV』プロデューサー兼ディレクター・吉田直樹氏へ、コラボの経緯からモンスター選定の理由など、裏側を中心に、様々なことを訊きました。

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『モンハン:ワールド』になぜベヒーモス?『FFXIV』コラボの裏側を、辻本良三氏&吉田直樹氏に訊く【E3 2018】
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――今回ベヒーモスを『モンハン:ワールド』に登場させるにあたって、例えば生態など設定面での落とし込みはされていますか?

辻本氏:そうですね。ただ、あくまで“コラボモンスター”なので、らしさを出していく必要もあると思います。また、発売から数ヶ月たった『モンハン:ワールド』を、今遊んでくれているユーザーがどれだけワクワクしてくれるかというところも大切にしています。本当にド派手なことをしてきますし、見たときの衝撃、遊んだときの楽しさもかなりあるモンスターです。やはりアクション部分を楽しんでもらうというのが醍醐味でもありますので、そこに重点を置いてもらえればと思います。違和感は全然ないですよ。

吉田氏:僕も監修してますけど、テキストから出現理由まで誰もが納得できて、かつ『FFXIV』とつながっているところまでしっかりと落とし込まれているので、そこはぜひ確かめてもらいたいです。本当に、素晴らしいと思いました。

――ベヒーモスの別名はどうなるのでしょう。

吉田氏:トレーラーにも出ていましたが、「魔獣」ですね。

――ということは、魔獣の角や魔獣の皮が…。

吉田氏:そうだと思いますよ。

辻本氏:それで言うと、まずはじめに聞いたのは「部位破壊してもいいですか?」だったんです。そしたら「ガンガンしてください」と(笑)。

吉田氏:折れるもの、壊れるものは全部壊してください!と。僕がそもそも『モンハン』プレイヤーなので、角は折れないとダメだと思いますし、一本ずつ折れてほしい。爪も明らかに破壊できるじゃないですか、背びれもイケるし、尻尾も長さがあるから斬れるんですよ。なので、もう全部壊してくださいと伝えました。

やっぱりこれで破壊できなかったり、グラフィックが欠損してなかったときに、何か言われるのは僕らの方だと思うんですよ。「スクエニがダメだって言ったんだな」って。それって冷めてしまうので、思い切ってやってもらおうと。カプコンさんがそれをどう料理したかをぜひ確かめてほしいですね。


辻本氏:最終的にどうなったかはお楽しみということで(笑)。もちろん、こっちからすると「良いのかな?」と思ってしまうこともあります。でも、そういう面白さのために一線を越えさせてくれるというのは、やりやすくもありますね。

吉田氏:相手の会社から借りているものなので、その会社自体をボロボロにしているというように取ってしまう人もいるかも知れません。特に、法務や広報の方から「そこまでやるのはマズくないですか」と言われることもあるのですが、そこはスクエニが全部OKといってるのでやってくださいと。じゃないと、ゲーム体験がショボくなってしまうので。

――種族的にはどうなるのでしょう?

辻本氏:詳細をお待ちください(笑)。古龍種にはなりませんが、それくらいには…。あまり言うと技とかもバレてしまうのでもう言いません。

――ちなみに、ベヒーモスは“縄張り争い”するんですか?

辻本氏:詳細はまた後日で(笑)!

――『モンハン』に『FF』のモンスターが出るのは初めてだと思うのですが、開発チームにはどの様に説明されたのでしょうか。

辻本氏:実は、内部から「『FFXIV』無理なんですか?」ということを言われていたくらいなんです。ただ、やはりタイミングというものがあるので、「時が来たらお願いに行ってみる」程度の話はしていましたね。なので、「いよいよ来てくれたか」という感じだったと思います。開発チームの人間も喜んでいますよ。『FFXIV』好きな人もたくさんいますし、何より『モンハン』よりもずっと歴史のあるシリーズとのコラボなので。

――モンスターだけでなく、装備品などのコラボもありますか?

辻本氏:もちろんありますよ。期待に沿えるものを用意します。今回は、「世界同時展開」をコンセプトにしている部分もあるので、「E3での発表」をスタートダッシュに使いたかったんです。コラボの詳細については、今後丁寧にお伝えしていきます。


――コラボ開始は2018年夏ですよね?

辻本氏:はい、夏ですね。

吉田氏:よく、「スクエニの夏はいつだ」と言われるんですよね。9月は夏だと思っているんじゃないか、とか。コミュニティの反応を見ていたんですけど、「カプコンとスクエニの“夏”は噛み合うのか?」というのがあって。実は違う月のことを言っているんじゃないかと(笑)。おもしろいなと思いましたね。

辻本氏:(笑)。でも、ちゃんと両方のプレイヤーに喜んでもらえるタイミングに展開する予定ですよ。

吉田氏:どんなものがもらえるのか、どんなお話になるのか、期待してもらっていいと思います。お互いガチでやっているコラボなので。

辻本氏:E3から帰った後、テストプレイの時間があるんですよ。3時間も(笑)。

吉田氏:3時間じゃ足りないと思いますよ(笑)。僕は動画でチェックしているんですけど、相当難しいんじゃないかと。楽しみですね。

辻本氏:結構無茶苦茶やっているので、楽しみにしていてください。

――『モンハン:ワールド』側のイベント参加条件はどのようなものになるのでしょうか。『FFXIV』から来た新規ユーザーもすぐ触れられますか?

辻本氏:その辺りは今調整しているところですね。ただ、『モンハン』の場合はキツく参加条件をつけると言うよりは、「このランク行くならこのくらいの装備がないと、アクションとして厳しい」というところで設定しています。更に言うと、それ以降は自分の腕前で対応することになるので、例えば「HR500から!」とかにはなりませんよ。もちろん、ある程度の基準は設けますが。

――『FFXIV』側の参加条件はかなりキツめな気がするのですが、なぜでしょうか。

吉田氏:Lv70で戦ってもらわないとリオレウスの強さを表現できないと思ったからですね。「紅蓮のリベレーター」のメインシナリオをクリアして、Lv70になっていないと、その後の「アラガントームストーン」系装備を取れないじゃないですか。なので、そこが最低条件になります。開発側からは特に異論は出なかったのですが、広報とかからは「条件キツくないですか?」と言われましたね。でも「『モンハン』のハンターたちはみんなガチ勢だから大丈夫!」と説き伏せました。僕らからハンターたちへの挑戦状です(笑)。


――コラボは期間限定配信ですか?

辻本氏:まだ決めてはいません。もし配信クエストとなったとしても、『モンハン:ワールド』では再配信もあるので、今回を逃すと二度とできない、ということはないです。

吉田氏:『FFXIV』ではできるだけ長く遊べるようにさせてくださいと話はしています。詳細は今後お伝えしますが、「レベリングが終わってないからストーリーは全部スキップする」というようなことをしなくても大丈夫なくらいの期間は設けます。あまり心配はしなくてもいいと思います。

――コラボコンテンツのボリュームはざっくりどのくらいになるのでしょうか。

吉田氏:1回クリアしたから終わり、みたいなレベルではないですね。

辻本氏:今はモンスターにスポットがあたっていますが、細かい部分でもニヤッとできるような物が入っているので、しっかり遊べるようにはなっています。

吉田氏:その全体ボリュームも含めて、こいつらどんだけやってるんだ!と思ってもらえると嬉しいかなと。

――今回のコラボによって、それぞれのタイトルにどのような影響があると思いますか?

吉田氏:ビジネスライクになりすぎず、本当にゲームが好きな2社が、世界に打って出ているタイトルでコラボをする。というお祭り感・ワクワク感をとにかく楽しんでもらえれば、結果としてどちらのゲームも“本物”だなと言うのを再認識してもらえると思っています。僕は、まずはそれでいいのではと考えていますね。プレイヤーがどう増えるとか、売上が上がるかとかそういうことはあまり考えていません。この2タイトルなら、また面白いことをやってくれるんだろうな、と思っていただければいいなと。

辻本氏:両作ともオンラインで展開しているタイトルなので、お互いのプレイヤーをつなげることができればいいなと。例えば、『モンハン:ワールド』のプレイヤーが『FFXIV』のコミュニティに入っていくなど、人とのつながりを得られるタイミングが作れるといいですね。ただ、必ずそうしてくれと思っているわけではありません。『モンハン』のメインシリーズに、他作品のモンスターが登場するのって初めてなんですよ。なので、まずは驚いてほしいですし、ワクワクしてほしい。そこは吉田さんと僕とで共通の思いになっていますね。

昔の話とかもいろいろとしてきましたけど、このコラボの次があるかとか、そういう事は全く考えてないんですよ。まずは、夢の実現に全力投球していきます。


吉田氏:僕は、『FFXIV』がここまで来るのを「待っててくれたのかな」と勝手に思っていました。今まで他作品のモンスターが本格的に出たことって無いじゃないですか。しかも、『モンハン』って生態系とかもすごく大事にしている。だから、今回声をかけてもらったときに「モンスターで行きたい」と言ってもらったのは、とても光栄なことだと思うんです。

辻本氏:『モンハン』はアクションゲームなので、モンスターを追加するのって結構大変なんですよ。でも、全世界同時にやるならやっぱりモンスターで行きたいと。

――コラボモンスターを開発していったときに、コラボ先には無かったような技や、コラボ元では見られなかったような動きが出てきたりというのはありましたか?

辻本氏:モーションとかはこちらで作っている部分もありますし、骨格やモデルは多少調整しないといけないので、違いはもちろんあります。ただ、イメージは絶対に損なわないようにしていますし、「あ~」と思ってもらえるように作っています。

吉田氏:でも、無理矢理感みたいなのは無いですね。お互いの作品に馴染んでいるはずです。『FFXIV』プレイヤーが『モンハン:ワールド』のベヒーモスをみても、違和感は無いと思いますし、逆の場合でも「あ、レウス、レウス」とちゃんと思ってもらえるように作っています。普通、この規模の会社同士だと、独特なプラグインを使っているのでデータを渡しづらい、とか出てくると思うんですよ。でも、お互いリスペクトしあっているので、モデルもテクスチャもアニメーションもSEもBGMも、全部渡しました。なので、きれいに再現してもらったと思いますよ。期待してください。

辻本氏:リオレウスなんかまんまレベルじゃないですか?「あー、この攻撃この攻撃」みたいな。


吉田氏:そのリオレウスに関して、少し面白いやり取りがありました。『モンハン:ワールド』のリオレウスって、シェーダーが『モンハン:ワールド』に特化しているので、元テクスチャの色が薄いんですよ。実際のゲーム画面を見ながら色調整をしたのですが、僕が最初にチェックしたとき「色薄くないか?もっと赤いよね」と思ったんですね。でも、ゲーム画面で見るとその色で合ってるんですよ。

そこで、一回赤くしたバージョンを作ってもらい、見比べたのですが、僕の知ってるリオレウスは、やっぱり赤いほうなんです(笑)。でも、今回は『モンハン:ワールド』なので、色が薄い方をカプコンさんに渡したんですよ。そしたら、「もう少し赤みを」と言われてしまって。それで、赤くした方に差し替えました。シェーダーやレンダリング、ライティングのレベルまでこだわって作っているので、リオレウスらしいリオレウスにはなったかなと思いますね。

――データってある意味機密情報の塊じゃないですか、お互いのグラフィックス担当の方はなにかコメントとかされてましたか?

吉田氏:僕は聞かないようにしていましたね。挑戦を楽しんでいるんだろうなって。

辻本氏:ゲームにもよりますけど、作り方がやっぱり違うので、刺激にはなりますね。

――では最後に、各ファンへのメッセージをお願いします。

辻本氏:正直、個人的な気持ちも強く現れているコラボではありますが、すごく良いものを作れたと思います。スクエニさんとカプコンという別会社でありながら、こんなことをやるんだというところを見てもらえたら嬉しいですね。もちろん、それぞれのゲームを少しでも良いので触ってもらって、面白さを知ってもらいたいですし、お互いオンラインのタイトルなので、コミュニティの輪がつながったり広がったりもしてほしいですね。そして、「ゲームって面白いな」と改めて思ってもらえると嬉しいです。

吉田氏:今回のお話は、辻本さんや藤岡さんとコミュニケーションを取れたからこそ生まれたものです。日本では、どうしてもまだ「オンライン」というだけで毛嫌いされることがあって、『モンハン:ワールド』でもずっとソロでプレイしているという人もやっぱりいるんですね。もちろん、ソロプレイが悪いというわけではありませんが、今は誰かと一緒に遊ぶことにいちいち理由をつけなくてもいい時代になっています。一昔前では考えられないようなタイトル同士のコラボまで、人がつながることで発展するのだから、あまり気負わずにどちらのタイトルも触ってもらえれば、それぞれの良さを再認識できると思うんですよ。『モンハン:ワールド』プレイヤーが『FFXIV』をプレイして、改めて『モンハン:ワールド』の良さに気づく、というような。もちろん、逆のパターンもあるはずです。僕らはプレイヤーを交換したいわけではなくて、そういう波及効果が生まれればいいのではないかと考えています。

あとは、日本の開発者でも、まだまだこんなバカなことをする人たちがいっぱいいるんだ、ということを世界含めて見せつけられれば、僕らとしては成功かなと思っています。これから詳細発表していくので、ぜひ楽しみに待っていてください。

――ありがとうございました。




日本を代表する2大タイトルがタッグを組む!ということで今からワクワクが止まらない『モンハン:ワールド』×『FFXIV』コラボ。果たして、ベヒーモス&リオレウスは、どのような仕上がりになっているのでしょうか。詳細を楽しみに待ちましょう。
すえなが

ソウルシリーズ大好き すえなが

1990年3月、神奈川県生まれ。パズル誌の編集を経て、イードへ。「Game*Spark」「インサイド」の編集業務に携わり、同社のアニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」も経験。幼少期よりゲームに触れ、現在はCS機・スマホを中心にプレイ中。好きなジャンルはアクションやFPS・TPSなど。『デモンズソウル』を始めとしたフロム・ソフトウェアの「ソウルシリーズ」や、2020年にサービスを終了した『ららマジ』に特に思い入れがある他、毎年の『Call of Duty』に一喜一憂したり、『アクアノートの休日』『FOREVER BLUE』の新作を待ち望んでいたりする。

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