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【特集】『GUILTY GEAR』石渡太輔氏x「楽園追放」水島精二監督対談―3DCGだからできたことと、CGでは再現できない「魂の部分」とは

「まるで2Dアニメーションのような3Dグラフィックス」―日本最大のゲーム業界カンファレンスCEDECにおいてビジュアル・アーツ部門のアワードを受賞するなど、業界内外のトップクリエイターから高い評価を受けた『GUILTY GEAR Xrd』の3DCG技術。

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◆水島監督お気に入りのシーンは?



――見せ場や派手な演出などクオリティのお話もありましたが、水島監督がストーリーモードをご覧になられた時に、ここが一番好きだったというシーンはありますか?

水島氏:すごいなと思って目に止まったのは、派手に動いているところなどですね。あと後半の方で、でかいのが戦っているところも良かった。あの部分は外部に発注したんですか?

石渡氏:いえ、あれは社内の3Dアニメーターです。

水島氏:それも凄い。以前テストショットを見せてもらった時にも感じたのですが、僕らの業界でアニメーションを作っているクリエイターと肩を並べるだけのスキルは持っているなと。本当にそう思いますよ。30分のOVAであれば、社内で出来てしまうと思います。

石渡氏:ありがとうございます!あとは、僕ら基本的に絵コンテ(映像作品の撮影前に用意するイラストによる進行表)っていうものがないんです。

水島氏:絵コンテがないの?!(笑)

石渡氏:基本はないんです。最後の方に飛行機が飛ぶシーンがあるんですけど、あれも絵コンテはなくて、「こういうロケーションがある、かっこよくしてくれ」という注文で。

――そういった指示でも、きちんとあれだけの映像が上がって来るのがすごいですね。

石渡氏:はい、すごく短い時間で作ってくれて。でもこれを予算や時間で考えてしまうと、全然出来ないんですよね。お金も時間もかかってしまうから。

水島氏:凄いなぁ。無茶ぶりだから出来た、みたいなところもある?

石渡氏:そうそう、そうなんです。

――先ほどキャラクターのモデリングの話が出てきましたが、「GUILTY GEARシリーズ」はかなりたくさんの登場人物がいますよね。ストーリーモードをご覧になられた時、水島監督の方でお気に入りのキャラクターはいましたか?

水島氏:(イラストを見ながら)ファウストとポチョムキンですね。無理なく所作ができるようなモデルの作り方をしていて、なおかつ石渡さん自らやっているからっていう理由もあるとは思いますが、イラストを3D化するときにイメージを損なうようなことがなかった。良いバランスでモデルを作っているなぁと思いましたね。

石渡氏:でかい組ですね、奇しくも声優が同じ方です。近藤隆さんですね。

水島氏:やっぱり特徴あるよね。あとは女の子もみんな可愛かった。

――石渡さんはイラストやコンセプトアートも描かれていますが、2Dイラストと3Dモデリングでギャップを感じた部分や、苦労したポイントなどはありますか?

石渡氏:僕が『GUILTY GEAR Xrd』に入るまでに描いていた絵は、アニメ向きの絵柄ではないんです。なので、Xrdシリーズに入ってからはそのイメージの齟齬を少なくするために、僕自身がアニメ風の絵柄に寄せていったという形です。ただ、最近はその考えも少し改めて、イラストについてはその中間を模索しているようなところはあります。


◆ゲームとアニメ、それぞれの巨匠2人に訊く、3DCG制作におけるワークフローの違い


――ゲームとアニメ、それぞれ作るうえでの共通点と違う点はどういった部分でしょうか?ワークフローとして違うところがかなりあるというか、GUILTY GEARはお話を伺う限りかなりイレギュラーな作り方をされているような印象ですが。

石渡氏:そうですね。恐らくうちのような作り方をしているところは、世界中どこを探してもないと思います。

(一同笑)

水島氏:音楽も社内で発注して管理して、台詞と合わせるのも社内でやっているんだよね?

石渡氏:全部2人でやっています。一応下地で、このシーンでこのキャラクターを読み込んでおくみたいな部分は他の人間に作ってもらったりするんですけど、基本は2人で、音楽も効果音も合わせたりしていますね。効果音も全部ゲームで使われているもので、それを聴きながら「どれを使おうか?」と自分たちで選んでいます。

――全て自分たちで行っているのですね。実作業的には、具体的にはどういう流れで行っているのですか?

石渡氏:まずは僕の書いたExcelの台本をもとに、こういうシーンがあるからこういう背景が必要、こういうポーズが必要というのを試算しておきます。あとはもう、スクリプトを打つ2人がそれらを料理する段階で、ガーッと(笑)。当然やりながら足りない、想定していなかったことなども発生するので、その都度素材を足していきます。

ただ、この方法も利点もあって。それはリトライが容易ということです。最初の想定とは別のアプローチがすぐ試せますし、こっちから見えるはずだったけど、逆側から見せた方が良いとかっていうのを簡単に変えられるのはリアルタイムのいいところだと思います。

水島氏:思った以上に手作業だった!

(一同笑)

水島氏:でも、そうするとシーンごとに差があるっていうのもわかります。相当、家内制手工業みたいな作りというか。

石渡氏:そうですそうです!作業的には物語後半まで進んでいる段階で、また冒頭部分を直したくなったりもしますね。

◆ハード的な制約を踏まえて制作を行っていく



石渡氏:僕らの映像はゲーム機で再生するものなので、ロード時間が含まれるんですね。データも軽くしないといけないですし、シーンを区切るテンポのようなものがアニメと論法が違っていたりするんです。特に現在はPS3も対象になっているので、あまり容量をリッチに使えない部分もあります。

連続で一本の動画にしても、アニメとはかなり異質なものになってしまうところもあるので、これを解消していくやり方がいいのか、ゲーム特有の論法を僕たちが独自に進化させていく必要があるのかっていうのが今の課題です。

水島氏:完全に一緒とはいかないよね。僕も昔、ゲーム機の中に入るアニメーションを作ったことがあるんだけど、大きく画面を変化させるとその分データが重くなって読み込みに時間が掛かってしまうというのをゲームのデザイナーに言われて、「そんなの分からないよ!先に言ってよ!」って(笑)。

◆3DCGだからこそ出来たこと


――3DCGならではの制約も多々あったとは思うのですが、逆に3DCGだからこそ出来たという演出があれば教えて下さい。

水島氏:「楽園追放」は、作画アニメの方法論を使っていて、意外と3DCGじゃないと出来ない事ってやってないんですよ。むしろ、凄い作画アニメにどれだけ迫れるかを模索したんです。前半で、「アーハン(「楽園追放」に登場する球状のロボット)」が球体からロボットの形に変形するシーンなんかはその好例で、アーハンがくるくる回りながら変形していくシーンなのですが、東映のプロデューサーの要求もあり、ワンカットでぐるっと回りつつ、かっこよく変形させる演出になり。結果的にスーパー3Dアニメーターが三日徹夜して仕上げてくれました。

途中から発生したパーツもいっぱいあるんだけど、そういうところは上手くフレーム外や、写っていない部分からスタートさせて。3Dもそういう無茶って、クリエイターのセンスがあればできるんですよ。

石渡氏:僕らからすると、工数が少なくいろいろなカットを作れるところが3Dの大きな利点なんです。アドベンチャーゲームのようにただ会話するシーンでも、それを横向きにするか正面向かせるかは、アングル一つの操作で終了できます。

水島氏:モデル自体を作り込んで、どの方位から見ても違和感がないようになっていれば、汎用性がものすごく高まります。一度ちゃんとモデルを作っておけば、微妙な角度の変化は簡単につけられるし、演出的な意図に沿ったものを詰めやすいところはありますね。

――『GUILTY GEAR』のストーリーモードは、演出的には思い描いていたことの何割くらいが達成できましたか?

石渡氏:えーと、6割ですね!

水島氏:やっぱり制約があるよね。本当はアップでやりたいところも、アップだと密度が足りないし、逆にロングでやると密度があってガチャガチャして見えたりとか。ひとつのモデルで全部やりきろうと思っても「意外とできない!」っていうのはあるよね。

石渡氏:そうなんですよ。あとは女性キャラのあおりがすごく難しくて。ごつい男性キャラならあおりにも耐えられるんですけど。

水島氏:あのね、女性キャラはあおらない。あおる場合は、あごを引く!モデルの位置を少し高くしたりとか、背景とのバランスを考えて整えたりとか、カットごとにきれいに見えるように調整をする方がいい。見栄え重視、それで良いんですよ。実写でもそうなんですけど、撮りたい画のために画面外で嘘をつく。例えば複数台カメラがある中でどの絵を使うかと言えば、それは女優が美しく撮れている方に決まっているじゃないですか。

石渡氏:僕らはそこを技術でなんとかできないかっていうのが、これからの課題だと思っています。

《神山大輝》

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