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【特集】なぜ今、Xbox Oneで新作STGをリリースするのか…『雷電V』開発者が語るSTGの過去と未来と変化について

シューティングの過去も振り返りつつ、なぜ今Xbox Oneでシューティングなのか、その核心に迫る『雷電V』のインタビューをお届けしよう。

マイクロソフト Xbox One
【特集】なぜ今、Xbox Oneで新作STGをリリースするのか…『雷電V』開発者が語るSTGの過去と未来と変化について
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◆クラウド機能が『雷電V』開発の重要な要素に




──『雷電V』の新しい要素といえばまずクラウド機能を使った「CHEER」に注目が集まると思いますが、これはクラウド機能をうまくゲームに生かせないか、というところが出発点になっているんですか。

駒澤:順番的にはそうなるんですが、先ほど星野が言ったようにシューティングというジャンルの中で何か新しいことをやりたいというのが最初にありまして、その新しい要素が響けば新作を作ってもいいかな、と思っていたんです。そうしたところにXbox Oneのクラウド機能の話を聞きまして。じゃぁこのクラウド機能を使って何かできないかな?と考えた結果「CHEER」システムに至った感じです。これなら新作を作ってもいいんじゃないか、ということになりました。

──クラウド機能は『雷電V』開発にとってかなり重要な要素になったんですね。

駒澤:『雷電』って確立的な部分ではもう完成されているんです。そこに対して敢えて新作を出す必要ってあまりないと思っているんですよ。ただ、僕も『雷電』は1作目から携わっていますけど、毎回毎回新しいものを提供するっていう挑戦が結果的にはシンプルなものになっているんです。そうした遊びを提供してきた歴史もありますし、シリーズ25周年を迎えたという節目もあったので、初心に戻ろうという気持ちもありました。

──『雷電V』でも色々な新システムや要素を詰め込んではいますが基本はシンプルですよね。

駒澤:『雷電』は無骨でシンプルっていう定番のスタンダードなシューティングって見られがちなんです。でも、1作目をリリースした当時は敢えてコアゲーマーではない一般の方にも響くシンプルな作りにしたことが、逆に新しい試みだったんです。そういったスタート地点があって、今25年が経って初心に戻ろうということなんです。今ある技術やハード、そして遊び方を通じてゼロからスタートして組み立てていこう、というのが『雷電V』の特徴になっていると思います。

─新しいシステムへの挑戦について、現場側としてはどうでしたか。

星野:一番はコンシューマ側から考えたというのが大きいです。『雷電』は今までのシリーズ全てアーケード向けに作っていて、その後でコンシューマに移植していった流れがあります。画面比率も4:3のブラウン管モニタを縦にして使うというアーケードの縦スクロールシューティングの基本的な仕様で作ってきたんですね。でもそれを移植するとどうしても左右にスペースができちゃうんですよ。今までは元がアーケードなのでそこは変えずに仕様を守って移植してきたんですが、今回は最初からコンシューマで始まっているので、ブラウン管の仕様を意識しなくても良かったことが大きいです。実は画面比率も4:3の縦画面よりもちょっと横幅が広くなっているんですよ。



──そこは気付きませんでした。コンシューマのみで作ることを考えられた利点ですね。

星野:他にも自機の大きさの比率やカメラを引いた時も画面を大きく使う点だったり、画面の左右のスペースも「CHEER」やプレイ状況の情報を載せて、メインの画面だけでなく、外側も利用してプレイの充実感を出しています。シューティングって良くも悪くも様式美的に確立してしまったジャンルなので、それをどう残しつつ、また一から考え始めればいいのかっていう新鮮な気持ちになれたのは良かったですね。

駒澤:普通に考えるとXbox Oneに限らず、最新のハードで遊んでいる方たちにとってはTPSやFPSっていうジャンルは当たり前に遊んでると思うんです。そうなると画面内を最大限に有効に使うというのはエンターテインメントとしては当たり前のことだと思うんですよね。例えば映画館に映画を観にいって全画面じゃない画面で上映が始まったら納得いかないと思うんですよ。



そこはやっぱり施設だったりハードウェアを生かして価格に相当するものを提示したいって思いますよね。そんな感じで縦スクロールシューティングの左右のスペースを最大限に生かせる方法があるのなら、コンシューマでシューティングを作ってもいいんじゃないかっていうことですよね。結果的に画面全体を使って、画面の至るところに目が行くだけの価値がある情報の入ったシューティングが完成したかな、と思っています。

──最初は全ての情報は追えないけど、慣れてくると様々な情報を入れながらプレイしていくのが楽しくなってきますね。それと新しい部分ということで聞いていきたいのですが、キャラクターを導入したのも『雷電』としては新しいですよね。

駒澤:そうですね。FPSの情報量に負けないくらい遊び倒せるシューティングということで、物語のなかに入り込める没入感を増やすために情報をもっと入れたいって思ったときに出たアイデアが、実はキャラクターではなくストーリーだったんです。で、そのストーリーだけをゲーム内で展開していればいいのかと言うとそれもおかしいよね、っていうことでそれをうまくゲームの中で生かすためにキャラクターを作ったという感じですね。

──言われてみれば確かに大々的にキャラをアピールしているわけではないですもんね。パッケージに登場しているわけでもないですし。

駒澤:そうなんです。あと『雷電』シリーズで重要なキーとなるのが全世界対応のタイトルということなんです。シリーズ通して欧米やアジアでも非常に人気がありますから。前作の『雷電IV』も海外でかなりのDL数がありましたし、そういったことを踏まえてキャラクターを作るということになると、シリアスなことも演じられるキャラクターが必要になってきます。それでことぶきつかささんにそういった方向でのキャラクターデザインをお願いしました。



──海外の話が出ましたが『雷電V』は海外版のリリースの予定もあるということでしょうか。

駒澤:そうですね。近日に北米と欧州向けにリリースする予定になっています。海外のシューティングファンの方は熱狂的な方が多いんです。メールやSNSでメッセージを頂くのは海外ユーザーの方が圧倒的に多く、「海外版はいつ出るんだ?」とか「どうしてハードはXbox Oneなんだ?!」みたいに、凄くテンションの高いメッセージを頂きますね。

──海外では2Dシューティングの人気が常に高いですからね。また、システム面では残機制からライフ制になったことも大きな変更点です。

駒澤:これは今、最新のコンシューマハードを持っている方たちに遊んでほしい、というのが大きいです。『雷電』シリーズってストイックなところがあって、ミスすると場所もパワーアップも戻されて再開するんですが、今考えるとどんだけドSなんだよ、って感じなんですよね(笑)。

──確かに(笑)

駒澤:でもそういう自分との戦いみたいなものを楽しめる雰囲気が、当時はあったと思うんです。そこに対してそういうタイプのゲームを提供できたことで人気を得られたってのもありますし。でも今の一般的なゲームの遊び方からするとそれは厳しすぎるんですよ。そういうこともあって『雷電V』では今ゲームを楽しんでいる方たちに合わせた仕様変更をした結果、残機制をライフ制に変えたということになります。

そもそも残機制の素晴らしいところは1回100円で遊ぶことへの価値観だと思うんです。本来は100円で1機しか遊べないところに3機も遊べるっていうお徳感ですよね。そういった意味で考えるとコンシューマ向けにした場合、残機制にする必要がないんですよね。ゲームを買えば何回でも遊べるので。

星野:アーケードの文化としては残機制が当然で、だからこそワクワクしたし1コインでいかにクリアするかっていう目標へのモチベーションにもなっていたと思うんです。ゲームオーバーになったらコンティニューしてもいいんだけど、なんとなくコンティニューしたら負けだ、みたいなものもあったと思うんですよね。

でもコンシューマでは無限にコンティニューができるし、残機がなくなってのコンティニューってほとんど惰性でしかないんです。そこでプレイに緊張感を持たせるには徐々にライフが削られていきつつ、途中で回復もするっていうほうが向いているなって思ったんです。特に『雷電』シリーズは歴史が長いので、ライフ制に変えることでファンからも「どうして残機制じゃないんだ」って声もあると思うんですが、そこにこだわり続けるよりは新しいことに挑戦しようという一環で今回はライフ制になりました。

──シリーズ初のコンシューマで新作、というのがやはり大きいですよね。そこを出発点にしたからこそ出てきたアイデアや仕様変更が目立ちますし。



駒澤:繰り返し遊んでもらう、っていう部分に対する可能性を一通り入れ込みたいね、っていうのがありましたので。それがストーリーとしての分岐だったり、これも初の試みであるプレイヤー機の選択だったりっていう部分ですね。

星野:遊び方に色々な幅を持たせたいっていうアイデアが出てきたんですよね。複数用意した機体に関しても国の名前を出したりしているので、世界観でも楽しんでもらえるようにって感じで。でも、最初にその仕様を出す時はドキドキしたんですよ。なんせファンの方が「『雷電』と言えば機体は1機のみでしょ」って思っている方がすごく多いので(笑)。でも出してみたら意外にも好評だったのでやってみて良かったなと思っています。

次ページ:シューティング初心者への配慮もした上で、上級者がスコア争いで熱くなれる

《風のイオナ(シティコネクション)》
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