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【そそれぽ】第132回:サンドボックスの概念を越えた!超自由・超多目的ゲーム『ドラゴンクエストビルダーズ』をプレイしたよ!

インサイドをご覧の皆さま、こんにちは。そそそ こと 津久井箇人です。皆さんのゲームライフを充実させるゲームプレイレポート、第132回を迎えました【そそれぽ】のお時間です。

ソニー PS4
『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』タイトル画面
  • 『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』タイトル画面
  • 主人公の性別・設定はいつでも変更可能
  • わかりやすい導入部
  • あの「メルキド」から物語は始まる
  • 屋根がなくても部屋が成立!『ドラクエ』ならでは
  • さまざまな素材でアイテムを作り出せ!
  • 町以外に部屋を作って活動拠点にするのもアリ
  • 大きな城の跡地らしき場所
インサイドをご覧の皆さま、こんにちは。そそそこと津久井箇人です。皆さんのゲームライフを充実させるゲームプレイレポート、第132回を迎えました【そそれぽ】のお時間です。

昨年2015年は、日本のゲーム業界にとって『マインクラフト』や『テラリア』をはじめとする「サンドボックス」と呼ばれるジャンルが飛躍した年となりました。また『スーパーマリオメーカー』のようなゲームもヒットし“プレイヤーがゲーム内でモノづくりを楽しみ、ほかの誰かと共有する”といった遊びが加速し、定着したように感じます。その歴史を辿れば『ロードランナー』のステージエディットだったり、『RPGツクール』だったり、いろいろあると思うのですが、“作ったモノを共有する”ような遊びは、まだまだ広がっていきそうですね。



というわけで、今回プレイするのはスクウェア・エニックスのPS4/PS3/PS Vitaソフト『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』です。


本作が発表された際の第一印象は『ドラゴンクエスト』を「サンドボックス化」したゲームだったのですが、「東京ゲームショウ」をはじめ、さまざまなイベントでそのゲーム内容が公開されていくと、どうやらそんな簡単な一言で片付けられるゲームじゃないぞ、と。そもそも本作にも携わったゲームデザイナーの堀井雄二氏は、日本人に馴染みにくいゲームジャンルを、日本人が一番面白いツボを刺激するよう最適に調整するのが得意なお方。ただ「サンドボックス化」した『ドラクエ』にとどまるワケがありません。一体どんなゲームなのかを確かめるために、早速プレイしていきましょう。尚、発売直後なので、ネタバレ一切なしの方向でレポートしていきます!


◆『ドラゴンクエストビルダーズ』ってどんなゲーム?



■超多ジャンルを『ドラクエ』の世界にキレイに収める
ジャンルは「ブロックメイクRPG」とされていますが、モノづくりを自由に楽しむ「サンドボックス」ゲームの要素は、本作のほんの一部でしかないと感じました。もちろんそれは主軸としても大事な要素ですが、それと並行して、ドキドキハラハラする「アクションゲーム」を感じたり、“どう削る?どう置く?”を考える「パズルゲーム」を感じたり、敵との戦闘で「アクションRPG」を感じたり、町の発展に「都市開発シミュレーション」を感じたり、町で暮らす人々をながめる「シムズ系シミュレーション」を感じたり…。さまざまなゲームジャンルの一番面白いところをひとまとめにして、キレイにまとめあげた印象です。

■とにかくわかりやすい
『ドラクエ』ならではと言って良いかもしれませんが、最低限のチュートリアル的な要素やゲームの進行で、ゲームプレイの基本が身体に染み込み、気付けば当たり前のようにプレイできてしまいます。「何をすれば何が起きるか」がわかりやすく、「前回はこうなりました。今回はどうしましょう?」といったゲーム展開がストーリーに上手く組み込まれ、ゲームを進めれば自然に「少しずつ高度なこと」ができるようになっていきます。「サンドボックス」は「自由すぎて小難しい」という印象も強いですが、本作は(電子)説明書も要らないぐらいです。

■自由すぎず、束縛しすぎず
最終的に「りゅうおう」を倒すという大目標があり、それに向かって各地方の拠点(村・町)ごとに中規模のストーリーが展開します。ひとつひとつにかなりしっかりとしたストーリーがあるため、オープンワールド的な「完全な自由」が与えられるわけではなく、むしろ順序を追っていく必要があります。“ハーフオープンワールド”とでも言いましょうか。そういった限られた範囲でも、存分に自由が楽しめる感覚があるので、自由を奪われているとは全く感じさせません。

ストーリーを進める中で、自分の好きなことはし放題です。素材集め、必要なモノ作り、拠点に建物を建てる、などなど。ただし、ストーリーを進めるほど「できること」は増えていきます。ストーリーを進めたくなくなるほど「自由な部分」が楽しいのですが、自由な部分を放っておきたくなるほど「ストーリーの先」が気になるという、贅沢な悩みが生まれるゲームです(笑)。

■ハード選びはプレイ環境にあわせて
本作はPS4、PS3、PS Vita(TV非対応)の3種類が発売されていて「どれを買うのがベストなの?」という人も少なくないと思います、筆者もそのクチです(笑)。しかし、グラフィック表現や描画能力に多少の差はあれど、それがゲームの面白さの本質を損なうものでは全くないので、自分のプレイスタイルに最も適しているハードでプレイして大丈夫です。画質重視なのか、稼働率重視なのか、携帯性重視なのか…購入を検討している人は、自分に最も合っていると思うハードでプレイしましょう。


◆独特の要素と面白みが際立つ



■良い意味でブロック感がない
「ブロックメイクRPG」と銘打たれているので、世界の“すべて”がブロックでできている印象を受けますが、実際にやってみると世界のすべては「ブロック単位」で成り立っているという感じで、それほど“ブロックブロック”した印象を受けませんでした。実際に見た目で「ブロック」だと感じさせるのは、壁や床になるアイテムぐらいです。

例えば、木はちゃんと木の形をしていますし、丸いテーブルはちゃんと“丸い”です。しかし、それを置く際、足元に1ブロック単位のスペースが必要だったり、2×2の正方形のブロック単位のスペースが必要だったり、あるいは2×2×2の立方体でスペースが必要だったりする場合もあります。この「“ブロック感”のなさ」のおかげで、世界観に浸りやすいかもしれません。

■部屋が機能や意味を持つ面白さ
ブロック2段分の高さとドアで囲まれ、そこに何かしら“灯り”があれば「部屋」として認識されます。その部屋の中に何を置くかによって…例えば、ベッドを2つ置けば「寝室」といった具合に、部屋は機能や意味を持ちます。それにより「拠点」の経験値がアップするので、より高機能な部屋を作ったり、殺風景な部屋に飾り付けをしたり、さまざまなアプローチで部屋をカスタマイズしていきます。

誰かがヒントをくれることもありますが、たまたま意外な意味を持つ「部屋」ができることもあるので、手に入れたアイテムを部屋に使って、ついいろいろ試したくなります。これがまた、ストーリーとも、サンドボックス要素とも違うベクトルで面白く、新アイテムを探したり、作ったりするモチベーションにもつながります。

■『ドラクエI』を知っていれば面白さ倍増
『ドラクエI』の「IFの世界」が舞台なので、地名や設定、出てくる話などなどは『ドラクエI』に則っています。そのため、『ドラクエI』が好きなほど、楽しめる要素が倍増すること間違いなし。ただし「おおきづち」をはじめ『ドラクエI』にはいなかったモンスターが出てきたり、あるいは『ドラクエI』では流れていない他のシリーズの音楽が流れたりと“『ドラクエI』しばり”ということではないようです。そのため、『ドラクエ』シリーズのファンの人はもちろん、ゲーム好きであれば誰でも楽しめるしっかりとした作りになっているのでご安心あれ。


◆気になったところ



■アイテム一覧のソート機能が不十分
持ち運べるアイテムには限りがあり、もちものが増えてくると大量のアイテムを収納しておける倉庫を利用することになります。ただし、倉庫に「ある」ことがわかっていても、それがなかなか見つけられないこともしばしば。アイコンで一覧表示されるアイテムたちは、自動で「せいとん」してくれる機能もありますが、例えば五十音順など、ピンポイントに見つけやすいよう、ソートの種類を選ばせてくれるような要素が欲しかったです。

■アイテムを一気に作る方法が極端
たとえば「きずぐすり」をつくるとき、1コずつ作るか、ある限りの素材を全部「きずぐすり」にしてしまうかの二択で「3コ作る」「10コ作る」といったことができないのが不便です。特に大量に必要になる「木材」などの中間素材系のアイテムは、いろいろなモノで使うので、一気に使い切りたくないことが多いけれど、そこそこ大量に使いたいという場面が多く、こういった際に1コずつ作るしか対処方法がなく、特に不便さを感じました。

■狭めの室内や通路での視点切り替え
狭い屋根付きの室内やトンネル的な通路だと、視点が変になりがちです。思った通りに室内を映し出す視点になってくれなかったり、壁を見るような変な視点になったりと、ややストレス。手動で微調整しなければならないので、このあたりがよりスムーズだともっと快適なのではないかと思いました。


◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

◆総評


ずっと町をイジっていたい!ストーリーも進めたい!
贅沢な悩みを大量に抱えさせられる超良作!!



最初に書いた通り、基本は「サンドボックス」的な遊びが主軸になっているとは思います。しかし、高いところから落ちたら死んでしまうような「アクションゲーム感」、敵との間合いや攻撃のタイミングが重視される戦闘を楽しむ「アクションRPG感」、高い山を登る際などにブロックを置いたり削ったりで最適な足場を作っていく「パズルゲーム感」、町の施設を充実させていく「都市開発シミュレーションゲーム感」、町の人々の行動を観察したくなる「シムズ系シミュレーションゲーム感」などなど…本作ひとつに、いろいろなゲームの面白い部分がギュウギュウに、そしてキレイに敷き詰められています。

はじめはチュートリアル的な要素も兼ねている「メルキド編」しか選べません。しかし、それだけでも十分に楽しめる「メルキド編」が、『ドラゴンクエストビルダーズ』全体のほんの一部に過ぎないことを知り、どれだけ底が深いゲームなんだと、絶望するとともに喜びを覚えています(笑)。「無料体験版」でも、制限の中でかなりいろいろ遊べたのに、それは「メルキド編」のほんの一部で、その「メルキド編」自体も『ドラゴンクエストビルダーズ』全体のほんの一部という衝撃。無限に遊べそうです。

しかし、「無限に遊べそうなゲーム」ほど「終わりがない」印象を受けがちですが、本作にはしっかりとしたストーリーがあり、これもまた続きが気になるものとなっています。ストーリーを進めたい!でも、町の改造もずっと続けていたい!そんな贅沢を抱えさせられる、近年稀に見る良作だと思います。どうやら「やり込み要素」まで用意されているようなので、ライトゲーマーからヘビーゲーマーまで間口が広く、底知れぬ面白さを秘めたゲームと言えそうです。

【こんな人にオススメ】
・「サンドボックス」が好きな人
・『ドラクエ』シリーズが好きな人(ただし未経験者も全然楽しめるハズ)
・都市開発シミュレーションが好きな人
・自由度が高いゲームが好きな人
・PS4/PS3/PS Vitaのどれかを持っている人
・ハードを持っていないけど、購入を迷っている人


発表当初こそ有名「サンドボックス」ゲームの類似性を指摘されていましたが、いざプレイしてみたら、全くの別物。『スーパーマリオ』と『高橋名人の冒険島』が「横スクロールアクション」というだけで似ていると言っていたようなものでした(笑)。『ドラクエI』の世界観を活かし、堀井雄二氏ならではの「遊び」をふんだんに盛り込んだ超良作。興味がある方はまずは体験版からプレイしてみてください!


【そそれぽ】第132回、いかがでしたでしょうか?2016年の1月からここまでの良作、しかも派生作品とは言え新規タイトルが登場するとは…今年のゲーム業界、すごく楽しみですね。次回もどうぞお楽しみに!


『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』は、好評発売中。価格は、PS4版が7,800円(税抜)、PS3版が6,800円(税抜)、PS Vita版が5,980円(税抜)です。

(C)2016 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.


■筆者プロフィール
津久井箇人 (つくいかずひと) a.k.a. そそそ

作・編曲家・ライター。物心がつく頃にはMSXで『グラディウス』をプレイしていた無類のゲーム好き。ゲームを紹介するブログ記事が評価され、2011年からINSIDEでニュース原稿執筆・ライター活動を開始。レトロゲームから最新ゲーム、戦略シミュレーションゲームから格闘ゲームまで、幅広いジャンルのゲームをプレイ。

Twitter:@sososo291
ブログ:sososo activity

トップページ/アイコンイラスト:ウミネコ
《津久井箇人 a.k.a. そそそ》
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