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【hideのゲーム音楽伝道記】第22回:『チョコボレーシング』― 疾走感にあふれるイトケン流『FF』アレンジ!

インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第22回目となる今回は、『チョコボレーシング ~幻界へのロード~』をご紹介します。

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【hideのゲーム音楽伝道記】第22回:『チョコボレーシング』― 疾走感にあふれるイトケン流『FF』アレンジ!
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インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第22回目となる今回は、『チョコボレーシング ~幻界へのロード~』をご紹介します。



『チョコボレーシング ~幻界へのロード~』は、1999年3月18日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)からプレイステーションで発売された作品です。『ファイナルファンタジー』(以下『FF』)シリーズでおなじみのマスコットキャラクター、チョコボを主人公としたレースゲームとなっています。

◆伊藤賢治氏が『FF』の名曲群をアレンジ!


本作の音楽を担当したのは、『サガ』シリーズ、『聖剣伝説』シリーズなど多数の作品の音楽を手掛けたことで著名な作曲家の伊藤賢治氏です。“イトケン”の愛称でゲームファンに親しまれる彼が、植松伸夫氏が手掛けた歴代の『FF』シリーズの音楽をアレンジしています。本作はレースゲームということで、疾走感のあるアップテンポなアレンジになっているのが特徴です。ノリノリにレースを盛り上げてくれる良曲ばかりですよ!

それでは、本作でおすすめの楽曲をピックアップしてご紹介していきたいと思います。

●「ダッシュ DE チョコボ」
オープニングムービーで流れる、「チョコボのテーマ」を疾走感たっぷりにアレンジした楽曲です。メインに奏でられるサックスの音色が凄まじく格好いいですよ! ムービー中にでぶチョコボが登場するところでは、音楽もスローでのんびりした雰囲気になったりと、シーンにあった音の演出がなされています。

●「白魔道士のテーマ」
ストーリーモード中、白魔道士が登場するイベントシーンで流れる、『FFI』の「街」のアレンジ曲です。やさしいオルゴールの音色がとても癒されます! 後半にはギターと口笛も加わって、とても暖かみにあふれた素敵なアレンジになっていますよ。

●「ミシディア空中庭園」
『FFV』のスタッフロールで流れる「エンドタイトル」をアレンジした楽曲です。「ミシディア空中庭園」コースで聴くことができます。原曲も非常に爽やかな楽曲でしたが、さらにアップテンポになっており、爽快感のあふれるアレンジになっていますよ。イントロからグァァァァッと駆けあがっていくような疾走感が特に素晴らしくて、ワクワク感をかきたててくれます。この楽曲を聴きながら、雲の上に広がる空中庭園コースを駆け抜けるのはまさに爽快そのものです! 個人的にこの楽曲は、コースで流れる音楽の中では本作で一番と言っていいくらい大好きですね。『FFV』好きの方には特におすすめです。

●「グルグ火山」
「グルグ火山」コースで流れる、『FFII』「戦闘シーン2」のアレンジ曲です。このコースは火山ということで、ひとたびコースアウトしてしまうと溶岩にまっさかさまになってしまったり、後半には岩石が落ちてきたりする難しめのコースなのですが、その緊張感にあふれたレース展開を、アップテンポのリズムで存分に盛り上げてくれます。非常にノリノリな楽曲で、プレイヤーの「よっしゃー!行っちゃるぞーッ!」というレースに臨む気持ちをステキに鼓舞してくれますよ!

●「幻界」
最終ステージの「幻界」コースで流れる、『FFIII』のラストバトル曲「最後の死闘」のアレンジ楽曲です。このコースにはほとんど壁が存在せず、落ちたら即ミスという難関。そんな最終ステージにふさわしい緊張感にあふれる雰囲気を、アップテンポで響き渡る熱い旋律で盛り上げてくれます。このコースをプレイしていると、音楽にノッてしまってついついスピードを上げてしまいがちなのですが、そのぶん奈落の底に落ちてしまう可能性も高くなるというワナ!(笑) スピードを出さないとライバルに勝てない、でもあんまりスピードを出しすぎると落ちてしまう……そんなヒリヒリするようなギリギリの緊張感を、存分に演出してくれる名曲です。

◆胸に沁みわたる名曲「心のたからばこ」


そして、僕が『チョコボレーシング』で一番おすすめしたいイチオシ楽曲は、本作のエンディングテーマ「心のたからばこ」ですね。ストーリーモードをクリアした後のスタッフロールで流れる、本作唯一のオリジナル楽曲なのですが、これが素晴らしい出来栄えなんです!

歌い手は「木綿のハンカチーフ」で有名な歌手の太田裕美氏で、その透明感のあるやさしい歌声は、心が洗われるほど美しいですよ。また、編曲は『FF』シリーズのオーケストレーションや、多数のアニメの劇中音楽などを手掛けている作・編曲家の浜口史郎氏が手掛けています。そして、作詞は『チョコボレーシング』ディレクターの時田貴司氏が手がけているのですが、この歌詞がまた素敵なんです。幼いころに友達と遊んでいた時の郷愁を思い出させてくれて、胸がキュッとなってしまう温かさがありますね。かつ、これからも前を向いて一歩ずつ人生を歩んでいくことを鼓舞してくれるような、元気をもらえる歌詞になっています。

もしも今、人生にちょっとお疲れ気味の方がいらっしゃったら、ぜひ一度「心のたからばこ」を聴いてみてください。伊藤氏の胸に沁みわたるような美しいメロディと、それを美しく仕上げている浜口氏の編曲、太田氏のやさしい歌声、時田氏の郷愁をいざなう歌詞、さらに、ラストに入るすずかけ児童合唱団のコーラス――。すべてが聴き手をやさしく包み込んでくれると思います。

「心のたからばこ」は個人的に、伊藤氏がこれまでに手掛けてきた多数の楽曲の中でも、5本指に入るほど大好きで、本当に素晴らしい名曲だと思っています。ぜひ多くの方に聴いてみていただきたいです。

◆植松氏の言葉に、伊藤氏が涙




『チョコボレーシング』は、サウンドトラックも発売されています。最初、PS版のゲームと同時期に発売されたサントラ(デジキューブ版)は廃盤となり、一時期はややプレミアがついて価格が高騰していたこともあったのですが、2008年にはめでたくスクウェア・エニックスから再販されたので、現在は適正な価格で入手できると思います。

僕が『チョコボレーシング』の音楽の良さを知った時は、すでにサントラが高騰してしまっており、なかなか手を出せなかったクチなんです(苦笑)。その後ずっと再販してほしいと願いつつ、スクエニさん宛に要望を書いたりしていたので、再販のニュースを聞いた時は本当に嬉しかったことを覚えています。サントラを入手できた後は、しばらくず~っとコレばかり聴いていましたね(笑)。もちろん今も愛聴していますよ。

本作のサントラは伊藤氏入魂の『FF』のアレンジ曲が盛りだくさんなので、『FF』の豪華なアレンジアルバムとしても楽しめると思います。『FF』音楽ファンの方や、伊藤氏のファンの方にもおすすめです。

なお、サントラのライナーノーツによると、伊藤氏は『チョコボレーシング』の楽曲を聴いた植松氏からお褒めと感謝の言葉をかけてもらったそうで、その言葉に伊藤氏は嬉しくて感極まり、思わず涙してしまったそうです。植松氏からは普段ほとんど褒められることが無かったそうなので、嬉しさもひとしおだったとのこと。植松氏も太鼓判を押す伊藤氏の『FF』アレンジ、素晴らしい出来栄えなので、まだ聴いたことのない方はぜひ聴いてみてくださいね!

なお、『チョコボレーシング』はゲームアーカイブスにて現在配信が行われており、PS3やPS Vita、PSPでプレイすることができます。617円(税込)と価格もお手ごろなので、ご興味をお持ちの方はプレイしてみてください。

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬


ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、主にゲーム音楽関係の記事を執筆しています。なんだかんだで『FFVII』のリメイクが楽しみです。まずはPS4を買わないと!(笑)

[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

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《hide/永芳英敬》
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