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【hideのゲーム音楽伝道記】第59回:『ときめきメモリアル』 ― 恋愛も部活もあなた次第! 自由な高校生活を彩る、バラエティ豊かな音楽

インサイドをご覧の皆さま、ごきげんいかがでしょうか。ゲームとゲーム音楽をこよなく愛するライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」、第59回目のお時間がやってまいりました。

その他 音楽
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すっかり暖かくなってきましたね! もう春まっさかり。春は恋の季節……ということで、今回は『ときめきメモリアル』をご紹介いたします!


『ときめきメモリアル』(以下『ときメモ』)は、1994年5月27日にKONAMIからPCエンジンSUPER CD-ROM2で発売された恋愛シミュレーションゲームです。発売以来口コミでじわじわと評判が広まり、プレイステーション版の『ときめきメモリアル ~forever with you~』をはじめ、スーパーファミコン、セガサターン、ゲームボーイ、プレイステーション・ポータブルなど多数のハードに移植版が発売。また、続編や多数の派生作品、女性プレイヤー向けの『ときめきメモリアル Girl's Side』シリーズなども発売されるなど、大いに人気を博した作品です。


本作では、プレイヤーは私立きらめき高校に入学した男子生徒となって、卒業までの3年間、高校生活を送っていきます。ゲームの目的は、主人公がほのかな恋心を抱いている幼なじみの「藤崎詩織」ちゃんから愛の告白をされること。そのためには、勉強や運動などの行動を行って自分自身のパラメータをアップさせ、魅力的な男性を目指す必要があります。また、もし詩織ちゃん以外に気になる女の子ができたら、その子にアプローチをしてもOK。文化祭、体育祭などのさまざまなイベントをこなしていき、高校生活3年間をどのように過ごしたかでエンディングがさまざまな形に変化します。


緻密な作り込みによって大きな評価を受けた本作は、恋愛シミュレーションゲームとして金字塔を打ち立て、詩織ちゃんをはじめとしたキャラクターたちが非常に高い人気を誇りました。ゲームの性質上、女の子が大きく取り上げられがちなのですが、じつはこの作品、音楽面も非常によくできているのです。コナミのサウンドチーム(当時)「コナミ矩形波倶楽部」の皆さんによって作られた高校生活のイベントを彩る楽曲の総数は、100曲を超える大ボリュームを誇ります。「たかがギャルゲーの音楽でしょ?」などと高をくくっているとびっくりするほど、じつにバラエティ豊かで魅力的な音楽がそろっていますよ。それでは、本作の音楽についてご紹介していきましょう。

◆『ときメモ』の世界を彩る音楽たち


まず本作の世界を彩るために欠かせないのが、藤崎詩織役の金月真美氏が歌うオープニングテーマ「ときめき」です。「好きとか、嫌いとか」という歌い出しが印象的なこの楽曲は、とても元気かつ爽やかさあふれるサウンドで、高校生活の幕開けを飾るにふさわしいものになっています。

さて、始業式を終えると3年間の高校生活が始まるわけなのですが、本作の音楽を大きく分類すると、「キャラクターのテーマ曲」、「季節を彩る楽曲」、「デート中のロケーションを彩る楽曲」、そして「イベント楽曲」の4つに分けられます。順を追ってご紹介していきましょう。


まずは、キャラクターのテーマ曲です。本作ではキャラクターが登場すると、その人のテーマ曲が流れるようになっているのですが、音楽は各キャラクターの雰囲気に沿って作られています。たとえば、詩織ちゃんのテーマ曲「思い出の数だけ…」はやさしい笛の音が印象的で、可憐な印象の詩織ちゃんにぴったりのイメージです。おっとりした雰囲気を持つ古式ゆかりさんは、静かな和風の音楽「かごの中の小鳥」。野球部もしくはサッカー部のマネージャーを務める虹野沙希さんは、元気で活発な雰囲気の音楽「Teenage」。とある野望を秘めた天才科学者・紐緒結奈さんのテーマ「世界中の誰よりも」は、怪しい雰囲気を帯びたヘビメタのロック調サウンド。セクシーでお姉さん的な魅力を持つ鏡魅羅さんは、ピアノやサックス風の音色が艶かしい「瞳の誘惑」……といった具合で、各キャラクターごとに楽曲がそれぞれの女の子の個性にばっちりマッチしていて、音楽面からもキャラクターを演出しています。

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次に、季節を彩る楽曲です。このゲームでは高校の3年間を体験していくわけなのですが、季節ごとに音楽が変わり、季節の移ろいを感じさせてくれます。

春に流れる楽曲「芽生え」は、さわやかな風のような笛の音色。春休みはまったりとした曲調の「つかの間の休日」。夏は、アップテンポでドラムの入った元気なサウンドの「半袖の君」。夏休みは、にぎやかな「Fun!Fun!Summer Vacation」。秋になるとちょっとさびしげな雰囲気の「枯れ葉の足音」。冬は、鈴も入ってしっとりした音色になる「白い息」。冬休みは、ゆっくりと時間が流れてゆくような曲調の「こたつでみかん」。……といった感じで、季節によって音楽が変わっていきます。ゲームなのでもちろん実際の1年よりも時間経過はだいぶ早いのですが、高校生活の中で「月日が流れている」ことを、聴覚でも感じることができると思いますよ。

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続いては、デート中のロケーションを彩る楽曲です。本作では女の子といろんな場所でデートを繰り返してだんだん仲良くなっていくのですが、各デートスポットで流れる音楽はそれぞれの場所ですべて固有の楽曲が用意されています。

たとえば、近所の公園だと穏やかでほのぼのとした曲調。ショッピング街のファンシーショップでは、お洒落できらびやかな音色。図書館だとゆったり静かな旋律、遊園地だとにぎやかで楽しげな音色、プロレス会場では軽快なロックサウンド、プールでは開放的な音楽……といった感じでロケーションごとに違った楽曲が用意されており、デートのたびにいろんな音楽を楽しむことができますよ。ぜひデートの際には、女の子との会話とともに、音楽も堪能してみてください。なお、個人的におすすめなのは、プラネタリウムの施設で流れる音楽ですね。星々の輝きを思わせる、幻想的なサウンドが素敵ですよ。

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最後に、イベント楽曲です。本作では、文化祭や運動会といった学校行事の際や、各女の子と仲が深まった際などにさまざまな固有イベントが用意されていて、その際には専用の楽曲が流れます。


たとえば、きらめき高校の理事長の息子・伊集院レイの邸宅で毎年クリスマスにパーティが開かれるのですが、その時に流れる「クリスマスパーティーへようこそ!」は、優雅かつ楽しげな雰囲気がよく表現されていて素敵な楽曲ですね。……ただし、ある条件を満たしていないと、外井(そとい)さんという伊集院邸の門番に容赦なく門前払いされ、パーティ会場に入れてもらえなかったりするのですが(笑)。

また、2年生の秋には修学旅行イベントがあり、沖縄、北海道、奈良・京都の中から好きな場所を選んで旅行に行けるのですが、その際の音楽にも素敵なものがそろっているのです。たとえば、沖縄に行った時に流れる「南国島唄」は三味線風のサウンドで南国気分たっぷりです。また、京都に行った時に流れる「古都」という楽曲も、しっとりとした雅な旋律で、じつに旅情豊かないい雰囲気を味わわせてくれますよ。


また、修学旅行中には敵キャラに遭遇して、某有名RPG風のサイドビュー(横から見たタイプの画面)になってバトルになるというハプニングも発生します。ここで流れる「あれは何だ!?」(敵と遭遇した時のジングル)、「痛い目見るゼ」(バトル曲)、「勝利」(バトルに勝った時のファンファーレ)は、まさにRPGのバトル曲のような音色になっていて、「おい!ゲームジャンル変わってるじゃん!!」とツッコミたくなるような(笑)、そんな面白さがありますね。

他にも、誕生日にプレゼントを贈るイベントや、お正月の初詣、バレンタインデーやホワイトデーのイベント、部活の夏合宿でのちょっとエッチなイベント、部活での甲子園やインターハイの出場イベント、文化祭での各出し物、運動会の各競技……といった多数のイベントに対して、すべてそれぞれ固有の楽曲が用意されています。また、女の子と仲が深まると専用イベントが発生して、ロマンチックな音楽が雰囲気を盛り上げたりもします。じつにバラエティ豊かなイベントと音楽が、楽しい高校生活を彩ってくれますよ。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

……さて、そんな色々な出来事を経て、迎える卒業式の日。意中の女の子との想いが成就すると、プレイヤーと女の子は、きらめき高校の校庭に古くからある大木「伝説の樹」の下でふたりきりになって、想いを伝えあうことになります――。この告白シーンで流れる楽曲「告白」は、綺麗かつ優しい旋律で、勇気をふりしぼって真剣に言葉で想いを伝える、という告白シーンを美しく演出しており、かなりグッとくるものがありますよ。シチュエーションも相まって、大いにシーンを盛り上げてくれる名曲だと思いますね。

そしてスタッフロールで流れる、金月真美氏が歌うエンディングテーマ「二人の時」も、恋が成就した二人の幸せな気分を盛り上げてくれて、非常に心地よくゲームを締めくくってくれますよ。

……なお、残念ながら誰からも告白されることなく卒業を迎えてしまった場合はバッドエンドになってしまうのですが、その際にもエンディングテーマが流れます。それが、「女々しい野郎どもの詩」。これがなかなか印象的です。物悲しく切ない旋律に乗せての、早乙女好雄役の上田祐司(現・うえだゆうじ)氏による熱唱が、強烈なインパクトを残してくれますよ。ぜひ一度はご覧になってみていただきたいです。

◆「あるかもしれなかった」高校生活を何度でも。



本作は“恋愛シミュレーションゲーム”として大いに名を馳せた作品です。もちろん、恋愛要素は本作にとって欠かせないものではありますが、それと同じくらい重要なのは、本作は“高校生活シミュレーションゲーム”でもあるということです。

自分自身の学生だった頃を思い返してみると、「もっと遊んでおきたかった」、「あの部活に入ってみたかった」、「もっと異性と仲良くしたかった」……など、皆さんそれぞれでいろんな思いがあるのではないでしょうか。

学生の頃に時間を巻き戻すことはできません。しかし、学生の頃の生活を疑似的に体験することはできます。『ときメモ』では、「もしかしたら、あるかもしれなかった」高校生活を好きなだけ何度も追体験することが可能です。どんな人と交流を深めるか、どんな部活に入るのか、どんな高校生活を送るか――。すべてはあなた次第です。つい最近まで高校生だった方も、学生時代はだいぶ昔のことになったという方も、ご興味をお持ちでしたら、かつてのあの頃を思い起こしながら本作をプレイしてみてはいかがでしょうか。もしかしたらありえるかもしれなかった、まったく違った高校生活。そんな「if」の学生体験を存分に味わえる、懐の深い世界がここにあります。


『ときメモ』は魅力的な女の子が多い作品ですが、音楽もそれと同じくらい魅力的な作品です。ゲームを彩る楽曲群にはじつにバリエーション豊かなものがそろっていて、楽しい高校生活を彩ってくれますよ。楽曲の尺としては短めなものが多いですが、耳に残るメロディが多いです。プレイされる際には、ぜひ音楽にも耳を傾けてみてください。

ちなみに……『ときメモ』は二十数年前の作品なので、作中の世界にはスマートフォンはおろか携帯電話もありません。なので、女の子に連絡をとる時は自宅の電話からしか手段がないといった、現代との大きなギャップがあります。また、意中の人以外の女の子をずっとないがしろにしていると、プレイヤーに対する不満を抱いた女の子に爆弾が発生する、という独特なシステムが本作にはあり、そこはやや人を選ぶ部分があるかもしれません。しかしそういった点を許容できる方は、今でもじゅうぶん楽しめる作品だと思います。

現在はPlayStation Storeのゲームアーカイブスでの配信も行われていますので、そちらを利用するのが一番プレイしやすいかなと思います(PS3/PS Vita/PS Vita TV/PSPでプレイ可能です)。ご興味をお持ちの方は、ぜひプレイしてみてくださいね。


なお本作のサウンドトラックは、プレイステーション版の楽曲を収録した『ときめきメモリアル ~forever with you~ オリジナル・ゲーム・サントラ』および、セガサターン版の楽曲を収録した『ときめきメモリアル ~forever with you~ オリジナル・ゲーム・サントラ2』が存在します。現在は絶版になっているため入手方法は限られてしまいますが、ご興味をお持ちでしたら聴いてみてください!

また、本作のアレンジバージョンの楽曲が収録されたアルバムとしては、『ときめきメモリアル SOUNDコレクション』というシリーズが4枚発売されています。また、ピアノアレンジアルバムとして、岩代太郎氏がアレンジ・演奏を担当した『ときめきメモリアル ピアノコレクション』と、佐倉一樹氏がアレンジ・演奏を担当した『ときめきメモリアル ピアノコレクション2』も発売されています。こちらも、もしご興味をお持ちでしたら聴いてみてくださいね。

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬

ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、ゲーム音楽関係の記事を主に執筆。『ときメモ』の女の子では虹野さんが特に好きでした。やっぱり手作りのお弁当は最強です(笑)。
[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

(C)1995 Konami Digital Entertainment
※記事中の画面写真は、プレイステーション版のものです。
《hide/永芳英敬》

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