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【hideのゲーム音楽伝道記】第16回: 物語音楽の求道者が生んだ珠玉の楽曲群。『ブレイブリーデフォルト』の音楽

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【hideのゲーム音楽伝道記】第16回: 物語音楽の求道者が生んだ珠玉の楽曲群。『ブレイブリーデフォルト』の音楽
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インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽の連載記事「hideのゲーム音楽伝道記」第16回目となる今回は、『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』についてご紹介します。



『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』は、2012年10月11日にスクウェア・エニックスからニンテンドー3DSで発売されたロールプレイングゲームです。2013年12月5日には、新要素が追加された完全版『ブレイブリーデフォルト フォーザ・シークウェル』が発売されました。

本作の舞台は、ルクセンダルクと呼ばれる世界。カルディスラ大陸に突如として空いた大穴が、近くの集落・ノルエンデ村をまるごと飲み込んでしまいます。さらに大穴からあふれ出した闇は、人々に輝きをもたらしてきた存在「クリスタル」をも飲み込み、世界はゆっくり闇に包まれようとしていました。




ノルエンデ村を襲った災厄で、故郷と弟を失ってしまった主人公・ティズは、風のクリスタルの巫女・アニエスに出会います。2人は、クリスタルの精霊・エアリーの導きにより、闇に飲まれてしまったクリスタルを解放し、大穴を塞ぐために旅立つことに。エタルニア公国元帥の1人娘・イデアと、記憶を失った男・リングアベルが仲間に加わり、4人の若者たちは冒険を繰り広げていきます。

本作では、『ファイナルファンタジー』シリーズでおなじみのジョブチェンジシステムと、コマンド式のバトルシステムが搭載されており、昔懐かしい王道のRPGを楽しむことができます。しかし、ただ昔ながらのシステムをなぞっただけの作品ではなく、“ブレイブ&デフォルト”と呼ばれるターンを操るシステムがあったり、3DSのフレンドをバトルに召喚して助けてもらったり、すれちがい通信を利用してノルエンデ村を復興したり……といった新しい要素も満載のRPGになっています。

◆Revo氏が音楽を担当


そして、『ブレイブリーデフォルト』の大きな魅力が音楽です。本作の音楽を担当したのは幻想楽団「Sound Horizon」を主宰するサウンドクリエイター・Revo氏。組曲形式で物語を紡ぐ「物語音楽」というスタイルを確立し、多くのファンの支持を集めるRevo氏が、他作品とのコラボレーションのためのプロジェクト「Linked Horizon」を発足させて手掛けた第一弾作品が本作になります。

何を隠そう、Revo氏は昔からゲームが大好きで、スクウェア・エニックスのRPG作品もたくさんプレイしてきたとのことで、この作品にかける想いは半端ではなかった様子。氏の豊かな音楽性をもとに、作品への情熱、そしてあふれんばかりのゲームを愛する魂が注ぎ込まれて作られたハイクオリティな楽曲群で、大いにゲームを盛り上げてくれます。

本作の音楽を制作するうえで、Revo氏が念頭に置いたのは“王道RPGの音楽”とのことです。いずれの楽曲も、昔ながらのRPGの懐かしさを感じさせるテイストがありながらも、現代的な要素もあり、かつRevo氏の個性もふんだんに入ったものになっています。では、本作の音楽で印象的なものをピックアップして紹介していきたいと思います。

◆音と風景のシンクロが気持ちいい、フィールドマップの楽曲




僕が本作の音楽で一番好きなのは、フィールドマップの楽曲「光と影の地平」ですね。ティンホイッスルの爽やかな高音がとても心地よくて、プレイ中に手を止めて聴き入ったこともしばしばでした。この楽曲は何回聴いても、いつ聴いても、聴くたびにワクワクして、高揚感がありますね! 個人的にRPGのフィールドマップ楽曲の中では、今までにプレイした全作品でベスト3に入るほど大好きです。

また、本作のフィールドマップは昼→夕方→夜と、時間の経過にあわせて風景が変わっていくのですが、昼夜の移り変わりと音楽が完全にシンクロしているのが気持ちいいです。昼は音楽が爽やかに盛り上がり、夕方から夜にかけては落ちついた曲調に変化。そしてまた朝を迎えると、出だしの部分にきれいにループします。これがとっても心地よく、ずっと聴いていたくて延々とフィールドマップを歩いていました(笑)。

冒険の途中に訪れる各街の楽曲も、美しくて印象的なものばかりです。ゲーム序盤の拠点となる国・カルディスラで流れる穏やかな「はじまりの国」、エタルニアで流れる美しくも切ない楽曲「不死の国」など、どの楽曲もそれぞれのロケーションにぴったり合ったものになっていて、旅情感を盛り上げてくれます。個人的に街の楽曲で好きなのは、フロウエルで流れる楽曲「艶花の国」ですね。艶やかかつ妖しげな旋律が耳にこびりついて離れません。あと、街の楽曲ではありませんが、ユルヤナの森で流れる「木漏れ日」もおすすめの楽曲です。ゆったり美しいメロディがとても癒されますよ。

◆バトル曲がどれも熱い! 勝利した時の曲が心地いい!




本作はバトル曲も熱いです。通常バトル曲の「戦いの鐘」をはじめ、ボスバトル時に流れる「戦いの果てに」など、どれもロックサウンドで熱いものになっていて、バトルを盛り上げてくれます。その中でも特に熱いのが、アスタリスク(ジョブの力を司るアイテム)所持者戦で流れる「彼の者の名は」ですね。『ロマンシング サ・ガ』のバトル曲を思わせるような(実際にRevo氏はそれを意識して作られたそうです)、熱い疾走感あふれる旋律が、バトルに挑む気持ちをテンションMAXにしてくれます!

あと、本作のバトル曲で印象深いのはやはりラスボス戦で流れる「地平を喰らう蛇」でしょうか。バトルの後半、とある演出に合わせて畳みかけるように展開していくメドレーは特に熱くて、最後の決戦を大いに盛り上げてくれます。

もうひとつ印象深いのは、『フォーザ・シークウェル』で追加された魔王戦の楽曲「歪なる思念 其の名は魔王」ですね。この楽曲を初めて聴いた時は、あまりの格好良さに衝撃を受けて、震えました。エレキギターがギュンギュンかき鳴らされるイントロからの子どもたちによる合唱、続いて女性コーラス、さらに不協和音的なピアノが入ったかと思えば、疾走感ある熱いメロディが展開していきます。不気味ながらも不思議なハイテンションさがあり、魔王の底知れぬ恐ろしさと狂気を鮮烈に表現している楽曲です。僕はこの楽曲に完全に魅了されてしまって、バトルのコマンド入力をせずにしばらく聴き入っちゃってました(笑)。皆さんもぜひ聴いてみていただきたいです。

また、個人的にバトル関係の楽曲で好きなのが、バトルに勝利した時に流れる「勝利の歓び」です。高揚感あふれる篠笛のサウンドが、まさに「歓び」という感情を最大限に表現していて素晴らしいですね。本作を初めてプレイした当時、「勝利の歓び」がとても心地よくて、バトルに勝ってこの楽曲が流れるたびに、リズムに合わせて勝手に身体が動いていました(笑)。勝利時の楽曲で言えば、今までにプレイした全てのRPGの中でダントツ一番で好きです!

◆ボーカルアレンジ楽曲も作られています




『ブレイブリーデフォルト』の音楽にはもうひとつの顔があります。それは、Revo氏の手によって制作されたシングルCD「ルクセンダルク小紀行」と、オリジナルアルバム「ルクセンダルク大紀行」です。これらのアルバムでは、各街の楽曲や、各キャラクターが必殺技を使用する際の楽曲などのゲーム中の音楽を「歌曲」にアレンジした、ボーカライズ・バージョンが作られていて、こちらも高いクオリティを誇っています。

このボーカルアレンジの歌詞は『ブレイブリーデフォルト』の物語とリンクしたものになっていて、かつキャラクターの心情も表現されたものになっており、また違う角度から『ブレイブリーデフォルト』の世界を楽しむことができますよ。単なるアレンジアルバムではない、「音楽で表現されたもうひとつの『ブレイブリーデフォルト』」と言っても差し支えないと思います。

このアルバムを聴いていると、Revo氏は『ブレイブリーデフォルト』という作品に、とても強いこだわりと愛情を持って音楽を作られたのだな……というのがひしひしと伝わってきます。ひとつのゲームの世界やキャラクターに対して、ここまで強いこだわりを持って作られた楽曲群はなかなか無いのではないでしょうか。ゲーム音楽という枠を超えた物語アルバムになっていますので、機会があれば、ぜひ聴いてみていただきたいです。

◆理想的なゲーム音楽


僕は『ブレイブリーデフォルト』を発売直後にクリアして、すでに3年ほどの時間が経つのですが、本作の音楽は今でも大好きで、普段からサントラをよく聴いています。というか、仕事中などのふとした時、無意識のうちに本作の楽曲が頭の中に流れてきたり、口ずさんだりすることがあります。

このような現象が起きるのは、やはり音楽がゲームの物語や世界観とぴったりマッチしているということに加えて、どの楽曲もメロディがしっかり立っていて「歌える」からなのでしょうね。個人的な感想ですが、Revo氏の音楽は、人間の心の機微が非常にうまく表現されていると感じます。本作には「虚ろな月の下で」、「花が散る世界」、「風が吹いた日」など、メロディアスで美しい、心に沁み渡るような楽曲が多いです。そういった楽曲は特に印象深く残っていて、ゲームクリア後にもふとした時に思い出して、音楽とともにゲームの思い出がよみがえってくることがあるのです。

Revo氏が手掛けた『ブレイブリーデフォルト』の音楽は、単なるBGMではなく、しっかり物語を演出しており、かつ音楽単体としても素晴らしいという、ゲーム音楽として理想的なものになっています。Revo氏が生みだした楽曲群は、『ブレイブリーデフォルト』の世界に絶対に欠かすことのできない存在だと思いますね。

ちなみに本作の音楽には、メロディや使用楽器にも色々と仕掛けを入れてあるそうです。あえて詳しくは語りませんが、たとえば「虚ろな月の下で」を、楽器の関連性について理解してから改めて聴き返すと、なるほどと思うと同時に、ニヤリとしちゃいます。こういう小粋な仕掛けを入れてくるのはさすがRevo氏、ニクいですね。

◆ぜひゲームとあわせてお楽しみください!


Revo氏はLinked Horizonとして『ブレイブリーデフォルト』の音楽を担当する旨を発表した際の記者会見で、「本作の楽曲は、本当にいいものが生まれたので、ぜひ聴いてみてほしいです」という言葉に続けて、「サントラもぜひ購入していただきたいですけど、サントラだけ聴くのは “邪道だ” と、僕のゲームを愛する心が言っています。ぜひゲームも遊んでみてください!」と熱弁されていたのが非常に印象的でした。

僕はRevo氏の言葉に心の底から同意したと同時に、本当にゲームを愛されている方なんだなと、嬉しくなったことを強く覚えています。『ブレイブリーデフォルト』は、音楽単体のクオリティも高いですが、やはりゲームで聴いてこそ、いろんな思い出とともに濃い体験ができると思いますので、ぜひゲームをプレイしながら音楽を堪能してみてください。


『ブレイブリーデフォルト』は、ゲームの前半から中盤にかけては王道的な展開なのですが、後半では意外な展開を見せます。後半部分のゲーム展開は賛否両論があるかと思いますが、僕個人は、とても楽しむことができました。詳細は伏せますが、とあるシーンにおいての「自分で考えて行動する」部分は特に印象深いですね。あのシーンは、「えっ、これ、ここからどうなっていくんだろう……!」と、かなりドキドキしましたから。

この作品には昔懐かしいRPGの雰囲気があるので、ファミコン~スーパーファミコン時代のRPGが好きだった方ならきっと楽しめるんじゃないかなと思います。実際、僕はかなりどっぷりハマりました。もちろん今の時代に合わせたチューニングがされているので、昔のRPGを知らない若い方でも存分に楽しめると思います。現在、無料で4章クリアまでをプレイできる「たっぷり無料で遊べる版」がニンテンドーeショップで配信されていますので、ご興味をお持ちの方はプレイしてみてくださいね。

◆またRevo氏にゲーム音楽作品を手掛けてもらいたいです


Revo氏はかつて『ファイナルファンタジー』の植松伸夫氏や『サガ』シリーズの伊藤賢治氏、『マリオ』や『ゼルダ』シリーズの近藤浩治氏らが紡ぐゲーム音楽が好きで、それらを聴いて育ったそうです。そのRevo氏が時を経て、今度はゲーム音楽の作り手として『ブレイブリーデフォルト』の楽曲を担当したという事実には、胸が熱くなるものがあります。

Revo氏は現在Sound Horizonにおいて物語音楽の作り手として活動されていますが、Revo氏が織りなすファンタジックでメロディアスな音楽は、ゲーム音楽との親和性が非常に高いと思いますね。Revo氏はゲーム音楽の分野においても、新たな地平を切り開くことができる人物だと僕は確信しています。僕個人の想いとしては、今後また機会があれば、Revo氏にぜひゲーム作品の音楽を手掛けてもらえたら嬉しいです。

もちろんSound Horizonとしての音楽活動がありますから、頻繁にゲーム音楽の仕事をするのは難しいかもしれませんが、彼がもし今後またゲーム音楽を手掛けることがあれば、きっとまた素晴らしい楽曲群を生みだしてくれるのではないでしょうか。

いちゲーム好きとして、またRevo氏が音楽を担当したゲームをプレイしてみたいです! またいつの日か、Revo氏がゲーム音楽作品を手掛ける機会がやってくることを願っています。

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬


ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、主にゲーム音楽関係の記事を執筆しています。陰ながらバニオンくんを応援してますオン!

[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

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《hide/永芳英敬》

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