KONGZHONGはスマートフォン、PC向けにゲーム開発と販売を行っている中国の大手企業(NASDAQ上場)。2014年に日本法人を設立し、現在は主に日本企業と提携して、中国市場でゲームを提供するライセンス事業を展開。サイバーエージェントの『ウチの姫さまがいちばんカワイイ』(ウチ姫)では徹底的なカルチャライズを行い、約1ヶ月で180万ダウンロードを突破し、現在でも上位にあるなど成功を収めています。
『ウチ姫』では、中国でも日本的な絵柄や声優を好むファンは多いことから、そうした部分は残しつつ、中国でのマネタイズに必須の「VIPシステム」を導入したそうです。中国で大半のゲームに実装されている「VIPシステム」とは、課金の累積額によって「ゲーム内での特権」(見た目、ボーナス、体力上限、パラメータ強化など)が得られ、段階ごとにランク分けされるというシステム。これがガチャの代わりの大きな収益源になっているケースが多いそうです。
そのほか、中国での展開にあたってはネイティブスタッフでのローカライズ、通信環境への最適化(総じて通信環境は日本より悪い)などが求められるということで、『ウチ姫』では20名規模の制作体制で約4ヶ月の開発期間で行ったそうです(プレスリリース)。
同社は自社で1000名規模の開発者を抱えるパブリッシャー兼デベロッパーで、自社マーケットを持つプラットフォーマーではありません。この点について執行役員の木村優氏は、「プラットフォーマーはタイトルのラインナップを揃える事を重要視しがちですが、我々はゲームメーカーですので、ライセンスタイトルであっても一本一本のゲームがきちんと現地で受け入れられる事に注力しています」と違いを強調しました。
きちんと日本法人があり、日本語で協業が進められるというのもゲームメーカーにとっては安心できる材料でしょう。『ウチの姫さまがいちばんカワイイ』に続くタイトルも進行中で、中には、日本IPのライセンスを受け、全くの新作として開発中の作品もあるそうです。
さらにKONGZHONG JPでは中国で人気を集めている三国志タイトルを2016年に日本でも展開するべく準備を進めているとのこと。中国からスタートし、台湾や韓国でも人気を集めている作品で、可愛らしいキャラクターが活躍する、『クラッシュ・オブ・クラン』タイプのゲームです。それに伴い日本でのスタッフも増員していくとのこと。
ライセンスとパブリッシングで日中の架け橋を目指そうというKONGZHONG JP。中国展開を考える日本企業にとって良いパートナーとなるかもしれません。
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