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【hideのゲーム音楽伝道記】第4回:各コースの楽曲は、すべて共通のメロディ。『スーパーマリオワールド』

インサイドをご覧の皆さま、こんにちは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽の連載記事「hideのゲーム音楽伝道記」第4回目となる今回は、『スーパーマリオワールド』の音楽について書いてみようと思います。

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インサイドをご覧の皆さま、こんにちは。ゲーム音楽好きライターのhideです。ゲーム音楽の連載記事「hideのゲーム音楽伝道記」第4回目となる今回は、1990年に任天堂からスーパーファミコンで発売されたアクションゲーム『スーパーマリオワールド』の音楽について書いてみようと思います。


『スーパーマリオワールド』は、1990年11月21日、スーパーファミコン本体の発売と同時にリリースされた作品です。ファミコンのころから『マリオ』シリーズが好きでよくプレイしていた僕は、もちろん『スーパーマリオワールド』にも、発売当時大いにハマりました。ファミコンから大幅にパワーアップしたポップなグラフィックをはじめ、マントを使ったアクションや、自由にコースが選べたり、ヨッシーが初登場したりと、楽しさにあふれた作品でしたね。

さて、そんな『スーパーマリオワールド』ですが、この作品には音楽面で大きな仕掛けが施されています。それは、“各コースに使用されている楽曲が、すべて共通のメロディ”だということです。

本作では、地上ステージ、地下ステージ、水中ステージ、アスレチックステージ、お化け屋敷、お城など、さまざまなコースを冒険します。これらのコースで流れる楽曲は、一聴するとそれぞれ違うものに聴こえますが、実はすべて共通のメロディが使用されているのです。

・軽快な地上ステージの楽曲。
・ゆっくりスローテンポで、穏やかなパーカッションの入った地下ステージの楽曲。
・ワルツのようにゆったりとした、優雅な水中ステージの楽曲。
・飛び跳ねるようにテンポアップした、アスレチックステージの楽曲。
・恐怖感のある、お化け屋敷の楽曲。
・重くどっしりとした、重厚感のあるお城の楽曲。

これらの楽曲はすべて、ひとつの共通のメロディを、さまざまな形にアレンジしたものになっています。

なぜこのような形になっているのか? それはちゃんとした理由があります。『スーパーマリオ』シリーズの作曲者である近藤浩治氏によると、前作の『スーパーマリオブラザーズ3』ではバラエティに富んだ多くの楽曲を作ったものの、「印象に残る曲が少ない」と言われてしまったのだそうです。それを残念に思った近藤氏は、「ひとつのメロディを、コースごとに色々な形にアレンジしてゲーム全体に使えば、耳にしっかり残って覚えてもらえるのではないか?」と考え、『スーパーマリオワールド』ではこのような手法を採用したのだそうです。

実際に僕は、発売から25年が経つ今でも『スーパーマリオワールド』の音楽をよく覚えていますし、口ずさむことができます。近藤氏の試みは、少なくとも僕に対しては上手くいったことになりますね。

僕が初めてこのゲームをプレイした当時は、このような仕掛けがあるとはまったく気づかずに音楽を聴いていたのですが、知らず知らずのうちに刷り込まれていたんですね。まあ、何度も何度も繰り返しゲームをプレイしたから、というのが一番大きいんでしょうけど(笑)。

◆◆◆◆◆◆◆◆

このように、ひとつの作品の中で、ひとつのメロディをさまざまな形にアレンジして使用するという手法は非常におもしろいですね。それぞれをまったく違う楽曲にするよりも、作品世界に統一感が生まれますし、耳にも馴染みやすくなるでしょうし。このような手法のゲームは、当時としては珍しいものだったのではないかと思います。というか、今でも意外とあんまり無いかもしれませんね。(パッと思いつくところでは、浜渦正志氏が作曲した『サガフロンティア2』が有名でしょうか。ゲーム中の全ての楽曲を、数パターンのメロディのみを使用して作曲されています。)

こうした手法は音楽的にも高い技量を必要とすると思うので、なかなか出来る芸当ではないとは思いますが、もっとこういう作品が出てきたら、ゲーム音楽シーンはよりおもしろくなりそうな気がしますね。

他に『スーパーマリオワールド』の音楽的な仕掛けとしては、ヨッシーに乗ると、楽曲にパーカッション(太鼓)のパートが増えるというものがあるのですが、これも粋で楽しい演出だなと思います。「プレイヤーの行動によってリアルタイムに音楽が変化する」のは、まさにゲーム音楽でしかできない、インタラクティブな手法ですね。こういった仕掛けは、一見地味かもしれませんが、音楽の面からゲームを盛り上げ、プレイヤーにゲームをより楽しんでもらうために大切な要素なんだろうなと思います。

『スーパーマリオワールド』は、今プレイしても、昔と変わらず楽しめる作品です。僕はつい先日、友人の家で久しぶりに遊んだのですが、まったく色あせることのない面白さで、本当に素晴らしい作品だなと改めて実感しました。WiiやWiiUのバーチャルコンソールでも遊べますので、スーパーファミコンの発売当時に生まれていなかった若い世代の方も、機会があればプレイしてみてくださいね。

◆◆◆◆◆◆◆◆

せっかくの機会なので、『スーパーマリオワールド』の音楽に関するトリビアをひとつご紹介します。

『スーパーマリオワールド』のスペシャルゾーンのマップ上で2分間ほど待っていると、初代『スーパーマリオブラザーズ』の地上BGMのアレンジ曲が流れる。

ご存知でしたか? 僕は発売後20年ほど経ってから(2010年ごろ)知ったのですが、「まさかこんな隠し要素が仕込まれていたとは……!」と、本当にびっくりしました。ご存知なかった方は、ぜひ実際にゲームをやって確かめてみてくださいね。任天堂さんのこういう遊び心、素晴らしいです。




ちなみに今年9月には、マリオのコースを自由に作ることができるというWii Uソフト『マリオメーカー(仮称)』が発売予定だそうで、楽しみです。個人的には、作ったコースに歴代の『マリオ』作品の楽曲を自由に当てられるのかどうかが気になっています。やっぱりゲーム音楽好きとしては(笑)。

あと、画面のスキンは初代『スーパーマリオブラザーズ』、『スーパーマリオブラザーズ3』、『スーパーマリオワールド』、『NewスーパーマリオブラザーズU』の4タイプから選べるそうなのですが、スキンを変えたら、流れる楽曲もそれぞれのゲーム機の音源になるんでしょうかね?(初代『マリオ』のスキンにしたら、音楽もピコピコしたものになるとか。) いずれにしても、マリオ好きにはたまらないソフトですね! 続報に期待しています。


【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬

ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会レポート記事など、主にゲーム音楽関係の記事を執筆しています。小学生のころからずっとマリオ好き!

[Twitter] @hide_gm
[ブログ] Gamemusic Garden
《hide/永芳英敬》

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