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【CEDEC 2014】飛び出す絵本のアドベンチャーゲーム『Tengami』の制作プロセス

今年2月に発売された飛び出す絵本のような美しいゲーム『Tengami』の制作プロセスに関する講演が行われました。講演者は本作を開発したNyamyamのリードアーティストの東江亮氏。

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CEDECの2日目、今年2月に発売された飛び出す絵本のような美しいゲーム『Tengami』の制作プロセスに関する講演が行われました。講演者は本作を開発したNyamyamのリードアーティストの東江亮氏。講演ではビデオゲーム上で飛び出す絵本を再現するための独自のツールPaperKitや欧米人が考える日本の美しさについて説明されました。

Nyamyamの東江亮氏


講演は東江氏の自己紹介から始まりました。東江氏はイギリスのレア社出身です。2011年にレア社を退職、それを期にイギリスのインディーデベロッパーNyamyamに参加しました。Nyamyamはレア社の同僚と共に設立した小さなデベロッパーであり、プログラマのPhil Tossell氏、デザイナーのJennifer Schneidereit氏、そして東江氏の3人がメンバーです。また東江氏は沖縄在住ですが、他の二人はイギリスとドイツ在住。データはGitやDropboxで受け渡し、Skypeでコミュニケーションをとりながら『Tengami』を開発しました。

『Tengami』の開発のために、まず取り組んだのは、飛び出す絵本を実装するためのツールづくりです。PakerKitと呼ばれるこのツールは、3DCG作成ソフトmodoのプラグインとしてプログラマのPhil Tossell氏が1年かけて開発しました。最初に行ったことは、イギリスの飛び出す絵本作家ダンカン・バーミンガム氏の自宅に押しかけること。作家から直接飛び出す絵本の作り方を学び、それをそのまま3DCG上で再現したそうです。

PaperKit


飛び出す絵本には「パラレルフォールド」、「Vフォールド」といった基本的な構造が存在します。それらの構造をmodo上で再現するため、Tossell氏がスクリプトを作成しました。結果として1枚のカード上のオブジェクトの上に、これらの基本的な構造を設置するだけで飛び出す絵本の3DCGを作成することが可能です。

その段階でプロトタイプを作りました。当初はジャンプなどの要素があり、アクション性が高いゲームだったそうです。また折りたたみ部分を生かして、高いところにジャンプするといったギミックも考案されていました。しかしながら、アクション付きのアドベンチャーを開発するのは大変なため、パズルや謎解きなどにフォーカスを当てた現在の『Tengami』の形に収まりました。

次にビジュアルデザインについて解説されました。海外の二人からは和の世界を作ってほしいという要望が強かったそうです。そこで東江氏は日本らしいコンセプトをいろいろと提示しますが、なかなか海外の二人を納得させることができなかったそうです。そこで考え方を変え、外国人が持つ日本に対する憧れをビジュアルに反映させませた。具体的に五重塔や紅葉といったモチーフ、千代紙などのテクスチャを利用して初期のコンセプトアートを作りました。



しかしながら、和風の中でもかなりカラフルなビジュアルになったため、テクスチャを千代紙から和紙に変更しました。山や木のテクスチャも和紙で表現することで満足のいくコンセプトアートが仕上がったそうです。これらのビジュアルに関しては、東江氏は海外の憧れをそのまま狙ったものであったと振り返っています。

ビジュアルスタイルが決まると、Jennifer Schneidereit氏が手がけるレベルデザインに対して東江氏が仕上げていきます。PaperKitで作られたモデルに対して、メッシュをカットしてテクスチャをひたすら当てていく作業になります。実際のゲームでは、130の飛び出すカードが作成されました。Tossell氏のこだわりからすべてのシーンで折りたたみが可能になっています。



最終的に今年の2月にリリースされ、多くのアワードで評価されたこともあり、商業的にも成功したのではないかと東江氏は振り返っています。
《今井晋》

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