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【OGC2014】『FIFA』を作った日本人が語る、EA流の世界市場に向けたゲームの開発術

ゲームビジネス 開発

【OGC2014】『FIFA』を作った日本人が語る、EA流の世界市場に向けたゲームの開発術
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ゲームとネットワークのカンファレンス、OGCで4月23日、「グローバルライブサービス時代へ」と題して、エレクトロニックアーツ株式会社バイスプレジデント・ジェネラルマネージャの牧田和也氏が講演を行いました。牧田氏は自身のゲーム開発経験をもとに、EA流の全世界展開を見据えたゲーム開発思想について説明しました。

牧田氏は1999年にエレクトロニック・アーツカナダに入社後、看板サッカーゲーム『FIFA』シリーズで20タイトル以上の製作に携わってきた人物です。2006年からはPS3世代向けにサッカーゲームのエンジン開発を統括。2013年末からEA Japanスタジオのバイスプレジデントゼネラルマネージャーとなり、日本での開発やビジネスを統括しています。

1982年に前身となる「Amazin' Software」を設立後、一貫してEAはパッケージゲーム開発・販売に取り組んできました。しかし、今ではスマホアプリをはじめとしたモバイル&デジタル流通にも力を入れており、いまや全売上の1/3がデジタル流通によるものです(2013年度)。スマホアプリの『プランツVSゾンビ2』から、コンソールの『ガーデン・ウォーフェア』が誕生したように、モバイルからコンソールへのIP展開も見られるようになってきました。

その結果、ユーザー数はさらに拡大しており、いまやEAゲームの登録ユーザー数は全世界で3.3億人、一ヶ月のゲームセッション数は2.5億回、1デバイスあたりで販売・インストールされているEAゲーム数は5本にまで成長しています。

こうした状況を踏まえつつ、牧田氏はEAの掲げる長期的ビジョンとして、「グローバル」「複数年(開発)」「ファン・イノベーション」という3点を示しました。また、そのための方法論として「プロセス×ピープル=プロダクト」という方程式を紹介しました。

『FIFA』シリーズを例にあげれば、世界のサッカーファン人口は36億人にも上ります。しかし、各々の地域で主流的なプラットフォームや、可処分所得、主要言語、ゲームの遊ばれ方などは異なります。そのため、どの市場で、どのデバイス向けに、どのようなコンテンツを展開するのかは極めて重要です。そのためには、はじめに市場分析を行って、しっかりとしたビジネス戦略を構築することが肝心です。

また大作ゲームでは複数年での開発が一般的です。そのためには、しっかりとしたスタジオ経営が欠かせません。牧田氏はPS3世代でのサッカーゲームエンジンの開発経験から多くを学んだとコメント。PS2までは一作ごとに土台から作り直していたため、PS3世代に向けて共通したゲームエンジンが必要になると分析し、10年先を見据えて開発に取り組んだと言います。その上で必要な要素を「現状把握」「数年後のゴール」「明確な中期ターゲット」「ぶれない1つのビジョン」というキーワードで整理しました。

一方でゲームはおもしろくなければ意味がありません。牧田氏は生活のあらゆるシーンでゲームを楽しんでもらえるような包括的なサービス開発をめざしていると語りました。朝起きるとスマホでオンライン上のランキングをチェックし、朝食時には選手データのオークションを実施。通勤時間ではブラウザ上でゲームを遊び、昼休みにはオークション結果をPCでチェック。帰宅後にはコンソールでがっつりゲームをプレイする・・・といった具合です。

そのためには、すべてのデバイスのセーブデータが共有され、互いに活用できる必要があります。そのためには『FIFA』プラットフォーム全体での計画だったゲーム開発が必要です。そのためには・・・というわけです。このように、あらゆる要素が互いに関係し合いながら、EAという大企業のビジネス戦略へとつながっていきます。

他におもしろさを追求するには、現地のユーザーニーズを取り入れて開発に活かせる柔軟性や、瞬時に決断できる判断力も欠かせません。牧田氏は『プラントVSゾンビ』の中国版を開発する際に、現地スタッフがユーザーと話をしながら、万里の長城など現地で受ける要素を取り入れていったエピソードも披露しました。

続いてトピックは「プロセス×ピープル=プロダクト」の解説に移りました。読んで字のごとく、良質な製品は正しいプロセスと優れたスタッフの組み合わせで誕生するという意味です。

プロセスでは早い段階から、予算やスケジュール、開発工程などを共有していく重要性について語りました。ゲーム開発では作り込みにこだわるディレクターと、コスト重視のプロデューサーとで意見が対立しがちです。この決定をくだすのが経営層です。重要なのはリスク管理を適切に行うことですが、そのための材料が不明なままでは誤った決定をくだす恐れが高まります。そのためプロセスを公開し、共有して、改善させていくことが、クオリティアップに繋がるというわけです。

ピープルではユベントス時代のティエリ・アンリ選手がアーセナルに移籍後に大ブレイクした例を紹介し、適材適所の重要性を語りました。アンリ選手は右利きでしたが、ユベントス時代は左ウイングだったため低迷。アーセナル移籍後にセンターフォワードにコンバートされると、2年連続で得点王に輝いたのです。このコンバートを指示したのが当時のベンゲル監督で、「このことを知って大ファンになった」といいます。

このほかEAではワーク・ライフ・バランスが尊重されているといい、そのためにシステム化の推進や、会議の時間短縮などが推進されていると説明しました。そして長くカナダで仕事をしていた立ち場から、「日本人はがんばるのが好きだが、がんばらなくても良いゲームが作れるようにすることが大事」だと指摘しました。またオフィス環境なども重要だと説明。社内に自動販売機やカフェテリアを整備。冷蔵庫にはビールが冷やしてあり、金曜の夜は社員で飲みながら交流をする習慣があるといいます。

現在EA Japanスタジオでは、5月中旬リリース予定のiOS/Android向けサッカーゲーム「2014 FIFA WORLD CUP BRAZIL」の開発が進行中です。自動で開くタクシーのドアや、ちょうど良い泡の量に調整される自動ビールサーバー、多機能トイレなど、日本人の創造性は世界でもトップレベルにあると賞賛する牧田氏。日本から世界に向けて、優れたモバイルアプリを提供していきたいと抱負を語りました。
《小野憲史》

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