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【PS4発売特集】目の時代、手の時代を経て脳の時代へ PlayStation 4 ゲームアナリスト・平林久和

ソニー PS4

平林久和氏
  • 平林久和氏
PlayStation4が発売される。どうしても欲しいと、熱い思いを持ってる人がいる。新型ゲーム機には興味がないと、冷淡な人がいるかもしれない。発売日の前後には、マスコミでもインターネットでも、いろいろと騒がれるだろうが暖かく見守りたい。PlayStation 3がそうであったように、4も寿命が長い製品になる。これから成長の旅が始まる。

ところで、PlayStation 4に期待するのは実存だ。ただ、コンピューターグラフィックスがきれい見えるだけではなくて。見える、を越えてカラダに伝わる生々しいもの。「ある」を感じさせてくれるマシンになってほしい。

古代ギリシャ人たちはテーブルをはさんで議論をしたそうだ。

 「この器は見えるからあるのだろうか、それともあるから見えるのだろうか」と。

見ること。あること。お互いの関係性を論じたのだ。そんな議論の果てに哲学者・プラトンは言った。

 「ここにある寝椅子は、横から見たり、前から見たり、あるいは他の方向から見ることによって、それ自体と異なるものに見えるということがあるのだろうか? この寝椅子は見る角度によって形が違うけれども実体は同じひとつの寝椅子ではないだろうか」と。

ものはまずどこかに存在する。人はそのあるものを見て、実存を感じとる。見るのは目、だが目はレンズであり、光を通す道具でしかない。実体があると判断するのは脳である。人間は「脳でものを見る」とも言う。

大きくくくってしまえば、今まで「次世代機」と呼ばれたマシンたちは、人間の目を楽しませてきた。新型ゲーム機はいつもCGをきれいにすることを目標にしてきた。2000年以降になると、その目標と合わせて、目ではない別のものを楽しませようとした。次の目標になったのは手だ。手で触る、手ぶり身ぶりで操作をする。2000年以降の次世代機たちはインターフェースを改革する道を歩いてきた。

PlayStation 4は思い切った決断をした。ここ数年来の次世代機開発の流れを拒み、コンピュータとしての演算処理能力に的を絞って、その性能を前世代機から劇的に進化させた。インターフェースが変わるとゲームが変わる時代が確かにあった。だが、時代は一巡して、新しいインターフェースはかえってユーザーに不便な印象を与える。この時代の変化を敏感にかぎ取ったのだ。

現在、PlayStation 4はPlayStation 3よりも「きれいになった」と言われているが、これはまったく核心からはずれた説明である。プレイステーション4は写す物体のみならず、高い演算能力によってその物体の周りの空気や光、場合によっては湿気なども描写できるマシンだ。今まで演算できなかった物体とカメラの間にあるもの、その中間を描いて、本当にリアルな空間を私たちの目の前に再現してくれる。ゲーム専用機が3D CGを取り入れてから、かれこれ20年が過ぎたが、今までユーザーが見てきたものは計算を省略した立体空間だった。PlayStation 4は、計算を省略しないでより本物に近い立体空間を映し出す。

このような特徴を持つPlayStation 4は4Kテレビ、あるいはヘッドマウントディスプレイと結びつくとさらにその特徴は際立つ。かつて、流行語のようにして使われていた仮想現実が、PlayStation 4によって家庭で楽しめるようになるかもしれない。

きれいに見えるゲームから1歩進んで、「ある」を感じるゲームへ。
PlayStation 4は、この点についてゲームの歴史に名前を刻んでほしい。

■著者紹介

平林 久和
株式会社インターラクト代表取締役/ゲームアナリスト
1962年神奈川県出身。青山学院大学卒。ゲーム産業の黎明期に専門誌の創刊編集者として出版社勤務。1991年に起業。現在に至る。著書、『ゲームの大學(共著)』『ゲームの時事問題』など。デジタルコンテンツ白書編集委員。2012年にゲーム的発想(Gamification)を企業に提供する合同会社ヘルプボタンを小霜和也、戸練直木両名と設立、同社代表を兼任。俯瞰的であること、本質を探ることをポリシーとする。
《平林久和》

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