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初代からあったコンセプトを元に…カプコンとSpark Unlimitedが贈る『ロスト プラネット 3』の日本らしさをプロデューサーに訊いた

ソニー PS3

アンドリュー・サマンスキー氏
  • アンドリュー・サマンスキー氏
  • 「カテゴリーG」のエイクリッド「ハイビーン」
  • ユーティリティ・リグ
  • リグの中
  • セパイア
  • 武器
  • スフィア
  • シナリオバトル
カプコンが8月29日に発売したシネマティックシューティング『ロスト プラネット 3』のプロデューサーであるアンドリュー・サマンスキー氏にインタビューを実施しました。

このインタビューでは、『ロスト プラネット 3』 だからこそ実現することが出来たコンセプトや、本作で初めて明かされるストーリーの謎、そして従来のシリーズから何がどのように変化したのか。その辺りの話を聞いてきましたのでご覧ください。

■全てはコンセプトの元に
――本作はナンバリング3作品目ですが、過去作と比べてかなり印象が変わりましたよね。

アンドリュー:いくつか描きたい物がありまして、1つ目はこの極寒の惑星「EDN-3rd」のシリーズの中でも最も過酷な環境。2つ目は、「雪賊」や「NEVEC」などの成り立ち。そして最後に、人類が始めて「EDN-3rd 」にやってきて、コロニーを作っていく……いわゆる「先人たちの苦労」です。これらは『ロスト プラネット エクストリーム コンディション』(以下、『1』)の頃からコンセプトとしてあったんですが、技術的にようやく表現できるようになりました。

――なるほど、本来あったコンセプトの再現だと。

アンドリュー:そうですね、もちろん新しいアイデアや、『1』ができる前にあったアイデア、ディレクターの大黒健二のアイデアも入れています。

――前作のキャンペーンモードは、複数人の協力プレイ可能でしたが、本作では一人専用ですよね。

アンドリュー:今回はあえて一人専用にしています。これには意図があって、今回は主人公、ジムの物語にしようと。実は、『2』を遊んだユーザーからのフィードバックとして「ゲームは面白いが、自分が誰で何をやっているかが分からない。」というのがあったんです。なので、今回はより『1』に近い存在として主人公を立たせた作りになっています。そして孤独感を出すためには、ジムが一人である必要がありました、もしそこにジムのコピーがいたら、触ったら楽しいかもしれませんが、コンセプトがぶれてしまうので。

――プレイヤーとしては一人ですが、ジムには相棒のリグが居ますよね。

アンドリュー:『ロスト プラネット』シリーズといえばメカ。これは外せないと思いつつも、変化は必要だろうと。そこで『1』『2』のスタッフの話を聞いてみると、メカ部分は非常に悩んだと。要は、乗っているときでも、降りているときでも、結局は「撃つ」でやっていることは同じなんですよね。そこで、「VS(バイタルスーツ)」の前身にあたる工業用のロボにすることになりました。これにより逆の発想ができて、生身では銃撃戦、しかしリグに乗ると肉弾戦になると。これは面白いと思いましたね。ですが、リグはシリーズのメカの中でも最大クラスなため、問題となったのがスケール感の出し方です。そこで一人称視点を採用しました。初めはうまくいくか心配でしたが、スケール感がでるだけではなく、リグに乗った時の安心感も演出できましたね。

――ではロケーションのバリエーションはいかがでしょうか。

アンドリュー:初めは雪原ですが、雪賊のキャンプや溶岩地帯がありますね。まさに本作のテーマが“開拓”なので、ゲームを進めていくと行ける場所も増えます。それに合わせて見映えも変わるし、やることも変わるし、出てくるエイクリッドも変わります。

――となると、相当ボリュームがありそうですね。

アンドリュー:メインミッションのほかにも、サブミッションやコレクション要素がありますが、メインミッションだけでも12時間程度、サブミッション含めると20時間前後ですね。ただし、これはキャンペーンモードだけの話です。

――そういえば、コレクション要素でいう「収集」も本作の新要素ですよね。

アンドリュー:『2』にも「ハテナボックス」的な要素はありましたが、今回は惑星が未開拓なので、探索要素をふんだんに入れました。「あそこに何があるんだろう?」という興味を持ってもらえる作りにしています。

――シリーズお馴染みのシステムとして、「アンカー」がありますが、自由に使えない仕様に変更されていますよね。武器もちょっと渋めというか。

アンドリュー:武器に関しては、きちんとしたコンセプトがあって、過去の話なので、いわゆる実弾系の武器が中心です。ジムが軍人ではないから最新鋭の武器ではないんですね。猟銃なんかは、ジムの家に代々伝わるものだったりします。他にも、ゲームを進めて雪賊に出会うと、雪賊が作ったエイクリッドの一部を利用した武器なんかが出てきます。もちろん「NEVEC」の武器もあり、そうなると従来の『ロスト プラネット』らしいSFチックな武器も出てきますよ。なので、武器の種類から「進行しているな、強くなっているな」とプレイヤーが感じられるようにしています。アンカーは、『1』『2』と比べると使う回数は減るかもしれません。キャンペーンでジムは初めからアンカーを持っているわけではなく、ストーリーを進めていくと試作品が出てきたりするので、あまり便利すぎるのはコンセプトに反するのです。マルチプレイモードではアンカーを撃てるところはたくさんあるので、“立体的な戦闘”を充分楽しんで貰えます。


――シリーズ作と異なり、対人戦があまり出てこないようですが?

アンドリュー:そこが本作の面白いところで、今まではNEVECが悪。そして雪賊は悪ではないという状況下でエイクリッドが乱入する構図でしたが、本作ではそう言った対立に至る経緯が描かれています。ジムもNEVECに属していますが、悪かといえばそうではない。なので、どのようにNEVECが悪になったのか、そして雪賊との対立の理由が明らかになります。そんな中、ジムはNEVECと雪賊に挟まれた関係になります。ジムにとってNEVECの拠点=コロニスは第二の家族のような存在であり、かたや雪賊もほっておけないと。そういうジムの中での心の葛藤が魅力ですね。

■カプコンが贈る日本らしいTPS
――『ロスト プラネット』のシリーズとして、海外のシューターによくある「硬いだけで中身は雑魚と変わらないボス」ではなく、しっかりと遊び要素のあるボスが登場しますよね。本作ではいかがでしょうか。

アンドリュー:『3』ではさらに進化していますよ。今回シューターという意味では、過去作品のアクションとシューターの両立から、もう少しシューター寄りの作りにしています。ようは「狙って撃つ」気持ちよさを強くしているんです。その上で、いわゆる海外系のシューターとの違いは敵との攻防ですね。弱い雑魚は撃つだけですが、ボスや中型だと……なんというかターン性のようなものがあるんですよね。

――ゲームシステムのターンではなく、概念という意味ですね。

アンドリュー:そうです。敵の攻撃を避けるターンと、そのチャンスを狙うターンという感じですね。これをうまく利用する感じは日本のゲームに近くて、撃つまでの過程は海外のゲームにはないものがあります。

――それは楽しみですね。

アンドリュー:さらに、カテゴリーGや大型AKに関しては全て新しいエイクリッドです。やっぱり大きいモンスターって新しいのを作りたくなるじゃないですか(笑)。バランスとしては、雑魚はシリーズお馴染みのエイクリッド、大型以上は全部新しいエイクリッドです。

■ただ実装するだけだと面白くない、『ロスト プラネット 3』のマルチプレイモード
――まずはマルチプレイモードを開発するに当たり、苦労した点はどこでしょうか。

アンドリュー:『1』や『2』とまったく同じものを作っても意味がないので、『3』 ならではのマルチを追求しました。まずは、よりシューターに重点を置き、競技性の強いプレイヤースキルの問われる調整にしています。そしてカスタマイズ。これは外見だけではなく武器やアイテム、アビリティー含めてです。武器の増え方も『2』はランダムでしたが、今回はクレジットを消費してアンロックしていく形式にしました。また今回の新しい要素として設置アイテムや装備アビリティーがあります。それらを開放して、自分好みのキャラクターを作ることが出来るのです。そこで問題になってくるのが「入れたは良いが、強すぎたり使えなかったり」という現象で、その辺の調整には苦労しました。なので、自分の持っているアビリティーとチームワークが大切な内容に仕上がっています。その結果、『ロスト プラネット』でありながら新鮮さもあるとおもいます。

――マルチプレイモードではVSが登場しますが、時系列はキャンペーンと同列でしょうか。

アンドリュー:明白に有るわけではありませんが、キャンペーンの数年後です。

――だからVSが出てくるんですね。

アンドリュー:そうです。しかも、本作では搭乗すると一人称視点になっていて、もちろんチェーンガンやミサイルも装備しています。

――マルチプレイモードのルールも本作では豊富ですよね。エイクリッドサバイバルとか。

アンドリュー:キャンペーンモードが1人専用なので、協力プレイ出来るモードの必要性は感じていました。そこでいわゆるホードモードをやりましょうと。ただそのまま入れても面白くないので、最後は対人戦を入れました。そもそもホードモードって即席で集まって終わりじゃないですか。ただこれに対人戦を取り入れることにより、よりチームワークが必要になってきます。最終的には相手チームとスコアを競うことになるのですが、敵を早く倒せば倒すほど高いポイントがもらえます。それが第一波、第二波と進んで、最後は対人戦になります。そこで相手のプレイヤーを倒すと、ポイントが入る仕組みで、エイクリッドを早く倒して、相手よりも高得点だったとしても、対人戦で逆転される可能性が出てくるのです。これにより、ホードモードの問題点である「途中で結果が分かる」と、「終わりがない」を解消しました。

――ではシナリオバトルもお願いします。

アンドリュー:マルチプレイモードの目玉です。よくフラッグ戦ってありますよね。でも「なんでフラッグ取ってくるの?」となりませんか。

――なります、なります。

アンドリュー:そこの理由付けまでしているのがシナリオバトルです。6マップ全てのマップに対して、それぞれシナリオがあります。「××を守れ!」や「××のサンプルを確保しろ!」などのミッションが発令されるので、フラッグを取るのではなく、シナリオに応じたミッションの達成が目的になるのです。

■開発元Spark Unlimitedがもたらす化学反応
――Spark Unlimitedさんがどのような会社か教えて下さい。

アンドリュー:面白いアイデアを持った会社ですね。特に今回は、ストーリー性を重視しようということで、ムービーなどの演技、演出を強化したかったんですよ。そこで映画出身者が多いSpark Unlimitedだと相性がいいかなと思いました。そして、これにカプコンの開発メンバーが加われば、いい化学反応が起こるんじゃないかと。

――ゲームエンジンも変わりましたよね。

アンドリュー:これはSpark Unlimitedが手慣れているからです。道具に慣れているのが職人にとって大切なことなので。


――Spark Unlimitedとのやり取りで何かエピソードはありますか。

アンドリュー:昔からゲームは喧嘩して作る物だといいますが、やはり衝突はありましたね。例えば、一人称視点を実装する時に、カプコンのチームは『1』『2』でいろいろと試して、何がうまく言って何がうまくいかないかっていうノウハウがあるのですが、Spark Unlimitedはロボ物を作ったことがないので「あれもやりたいこれもやりたい」となりました。その中の1つに巨大ロボがありました。「本作は過去の話なのででかくしよう!10メートルくらい!!」という案が出ました。ただカプコンのチームからすれば、大きい分、カメラが引いてしまい、スケール感に欠ける事例を『1』『2』で確認しているので「ちょっと待って!でかくすればいいってもんじゃない」と。するとSpark Unlimitedは、「じゃ一人称視点にしよう」と言ってきたのです。そして、「じゃできるものならやってみろ」と。するといい物ができたんですよ!これが。

――たしかに化学反応が起きてそうです。

アンドリュー:そうなんです。本作では単に丸投げではなく、カプコンのディレクターやレベルデザイナーが参加して、最初の1年のコンセプトを固める段階でかなり海外に飛んでいましたから(笑)。なので、丸投げでもないし、仕様書はカプコンが書くから全部その通りにやれというわけでもないです。

――では最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

アンドリュー:今回の『ロスト プラネット 3』はキャラクター重視かつ、ストーリー性の高い非常にシネマティックな作品になっています。SF好きな人なら、色々なSF映画へのオマージュも楽しめます。初めてシリーズに触れる人にも判り易い物語に仕上がっているので、未経験の人もぜひ遊んでみてください。

――ありがとうございました。


なお本文では触れていませんが、本作には「言わないと誰も気がつかない裏設定」が多くゲーム内に潜んでいるようです。機会がありましたら、“ネタばれ”ならぬ“ネタ解き”をお届けできればと思います。

『ロスト プラネット3』は、PS3版とXbox 360版が6,990円(税込)で8月29日発売予定。PC版は9月26日にディスク版が5,990円(税込)、ダウンロード版が59.99USドルで発売予定です。(PC版のプレイにはネットワーク接続環境が必須です。また本作のネットワークサービスは、Valve社のSTEAMを使用しております。
※シングルプレイ、ネットワークプレイに関わらず本作のプレイにはSTEAMのアカウントが必要となります)

(C)CAPCOM CO., LTD. 2013 ALL RIGHTS RESERVED.
《栗本 浩大》

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