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【GDC 2013】『シムシティ』のエンジニアが語る「サンドボックスゲーム」の作り方

10年ぶりの新作として登場した『シムシティ』についてGDC 2013では計3本のセッションが予定されています。水曜日の17:00からはマクシスのエンジニアからサンドボックスタイプのシミュレーションゲームの制作手法について語られました。

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10年ぶりの新作として登場した『シムシティ』についてGDC 2013では計3本のセッションが予定されています。水曜日の17:00から最初に「Exploring SimCity: A Conscious Process of Discovery」と題してサンドボックスタイプのシミュレーションゲームの制作手法について、EA/マクシスのゲームプレイエンジニアDan Moskowitz氏が語りました。同氏は以前には『Spore』の開発にも携わり、2005年のGDCでも講演した経験があるそうです。

講演の冒頭、いきなりパワーポイントがフリーズしたかと思うと、「Unable to connect to the SimCity servers. Please try again.」というどこかで見覚えのあるエラーメッセージが出て会場からは笑いが。実はこれ、『シムシティ』のリリース直後のアクセス集中の時期、多くのプレイヤーを悩ませたエラーメッセージ。Dan氏はまず『シムシティ』を襲った様々なトラブルや問題点について謝罪。チームは今も全ての時間を投じて解決に向けた努力を続けていると述べました。

講演では本作のようなサンドボックスタイプのゲームをどう制作するかについて語られました。"サンドボックス"とは"砂場"という意味で、砂場のような空間でプレイヤーが創造性を発揮しながら様々なパーツを組み立て、それに対するインタラクションを楽しむものです。パーツには生命が備わっていて、組み合わせによって時には思いもよらない発見や感動があります。これがサンドボックスゲームの楽しさであり醍醐味です。Dan氏は『シムシティ』の他にも『Minecraft』『Bad Piggies』『World of Goo』といったゲームがあると紹介しました。

昨年のGDCで発表された「Glassbox」エンジンは、サンドボックスの環境をシミュレーションするためのエンジンであり、この世界で動く主体となる「エージェント」、エージェントが運ぶ様々な値である「リソース」とその数量、リソースとエージェントが与えられることで稼働する「ユニット」、そして世界そのものである「マップ」を舞台に、それぞれの行動原理である「ルール」を基にシミュレーションを行うエンジンです。「Glassbox」の目指すものは世界の全て、1人1人のシムまで計算で動かすことです。無論、これは理想であり、現実的な問題―例えばユーザーのPC性能や開発期間など、によって制約されています。ネットワークに統合されたことで、将来的なアップデートの余地を残しているものの、ひとまずリリースを迎えるためには幾つかの妥協が避けられません。

サンドボックスゲームを開発するに当たっては、どこまで世界を細かくするかを決定する必要があります。細かくシミュレーションを行えば行うほど、計算量は膨大になります。シムにどこまでの情報を持たせるか、建物にどこまでの情報を持たせるか、といったことが計算量を左右します。また、単純に世界の広さは決定的に影響を与えます。つまり、2km×2kmというシリーズ作品の中でも比較的狭いマップとなった理由はここにあります。また、これはユーザーが持っているハード性能を勘案しながら決定する性質のものです。

現在のハード性能で、どのくらいまでの事が実現できるかを知っておくのは重要です。当時としては超ハイスペックのモデルでなければマトモには動かないと言われた『シムシティ4』と比較すると『シムシティ』は比較的、普及帯のモデルに配慮がされ、オプション次第ではスペックに劣るマシンでも快適に遊べるようになっています。それでも、初心者の市長が物凄い渋滞を起こしたりして詰まってしまうものではありますが。ともかく、開発チームではかなりのパフォーマンステストを行なって、どの程度までのシミュレーションとアニメーションが可能か探ったようです。

シミュレーションにおいては同じパターンが使えないか検討することも重要です。例えば『シムシティ』の中では、エージェントが道路を伝わって供給される電力や上下水道は同じパターンです。放射能汚染が広がっていくロジックは、人々の間に幸福度が広がっていくロジックと同様です。

あるいは、「コード(ロジック)とデータのバランス」も大事だとDan氏は話していました。コードはプログラマーが、データはアートやスクリプターの役割です。規模が大きくなりがちなシミュレーションゲームの開発においては、両者の業務量をバランスさせなければ、どちらかが足を引っ張り開発が終わらないなんて事も起こり得ます。「シンプルなままで」というのも業務量のコントロールでは重要です。複雑さを増すような提案は厳しく判別する必要があると言います。例えば最終版ではカットされていますが、開発途中の火事シーンでは、消防隊員が燃えている建物に突入するような表現まで描かれていたそうです。しかし、そこまで詳細は果たして必要でしょうか。別の講演では「シムシティのアニメーション=街の状態を絵で表現するもの」と述べられていましたが、その定義で言えば蛇足な表現と言えそうです。「常にチームの最大の目標を意識しておく必要がある」とDan氏は話していました。

今もアップデートやバグフィックスに全力を注いでいるという『シムシティ』。徐々に安定性を取り戻しつつあるようです。Dan氏は「サンドボックスゲームを作っていると劇的にゲームが変わる"マジック・モーメント"(魔法を使ったような瞬間)を迎えることがある」と魅力を語っていました。ゲーム自体の出来は納得のものですので、それを気兼ねなくプレイできる形が一日でも早く整う事を期待したいと思います。
《土本学》

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