人生にゲームをプラスするメディア

『風ノ旅ビト』ローカライズプロデューサー岩瀬氏にインタビュー

ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(以下、SCE)より本日配信となったPS3オンライン配信専用タイトル『風ノ旅ビト』、ローカライズを担当した岩瀬尚子氏に本作の見所について伺いました。

ソニー PS3
ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(以下、SCE)より本日配信となったPS3オンライン配信専用タイトル『風ノ旅ビト』、ローカライズを担当した岩瀬尚子氏に本作の見所について伺いました。

―――『風ノ旅ビト』というタイトルに込められた意図とは
岩瀬:アメリカの原題は『JOURNEY』という名前で、日本版へローカライズする際に“JOURNEY+何か”という方向で進めていましたが上手くはまらなかったので日本語にすることにしました。最終的に『風ノ旅ビト』になったわけですが、その経緯としては“旅”というのは絶対残しておきたい。そしてゲームを通して“風”が占める割合が大きいことを感じたからです。フィールドでながれる風の音はゲームの序盤ではふわっと包み込んでくれる優しいもので、後半になっていくにつれてその風が過酷であったり辛いものだったりすることがあります。その風の変化はこの作品を象徴していると思い、“風”という単語を入れて『風ノ旅ビト』というタイトルになりました。

―――こういったローカライズ作品はどのようにして日本に渡ってくるのでしょうか
岩瀬:アメリカに開発元のthatgamecompanyという会社があって、『JOURNEY』はSCEアメリカによって発売されています。そうして「こういうゲームがあるのだけど」とSCEアメリカに提示される形で、SCEジャパンやヨーロッパへと話が広がっていって各国で発売をするかを決めていきます。

―――岩瀬さんが見た『風ノ旅ビト』の第一印象というのは
岩瀬:やっぱり砂の表現でしょうか。あのグラフィックには驚きました。あと、曲と世界観の統一がとても良くできていて絶対日本で発売したいと思いました。初期の段階から作曲者と開発者が緻密にやり取りをしていて、先に制作した楽曲を聴いてインスピレーションを受けたステージもあったりするんですよ。

―――オンラインでの協力プレイはどのような仕様になっているのでしょうか
岩瀬:オンラインにPS3を接続した状態でプレイをしていると、ふと気づくと隣に自分と同じ姿をした赤い人物が出てくることがあります。通常のオンラインゲームのようにキャラクターの上に名前などは表示されませんが、世界のどこかで同じ時間にそのステージでプレイしているキャラクターです。ゲームをクリアすると、「あの時のあの人は、こういう人だったんだ」とわかるような仕掛けになっています。オンラインの仕様を知らない人はもしかしたらAIかと思うかもしれませんね(笑)

―――ボイスチャットなどはありませんが、干渉し合うようなことはできるんですか?
岩瀬:お互いに「ホワン」という音が出せるので、そうするとお札の役割だった光のチャージがプレイヤー同士でできるようになります。シンプルな行動で意思を通じ合わせて同じ感情を共有するというのが開発者の狙いです。

―――あの世界観であればついて来る行動も、別々での行動も容認できるからいいですね
岩瀬:そうですね。自分も出会ったユーザーについて行っても、ついて行かなくてもいいですから。開発者がグローバルということを強く意識した結果、言葉がなくてもできるコミュニケーションに行きついた作品となったんだと思います。

―――これまで岩瀬さん自身も旅をされてきたと思うんですけど、その中で印象深いエピソードがあったら教えてください
岩瀬:一昨年にいったモンゴルでしょうか。白い馬とか、まっさらな草原があってそこに文明が発達したというのが面白いなと思って行きました。そうしたら本当にイメージ通りで、車を走らせると草原には放牧されている羊がいました。ゲルというテントに泊まって、東京はずいぶんと都会ですけど今でもこういう自給自足の生活をしている人たちがいるのがすごいなと思いました。自然が豊かと言うよりはただただ広い景色はとても綺麗で、空も真っ青だったのを覚えています。雨が振ると虹の端から端が見えて、しかも二重に虹がかかっているんです。そういう美しさに触れられたのはいい経験になりました。

―――これもまさに、行かないと経験できないことですからね
岩瀬:そうですね。あの家畜臭いニオイとか、草原のニオイとかがすべて混ざり合ってモンゴルだなと思いました。

―――最後にユーザーへメッセージをお願いします
岩瀬:いままでの『flOw』『Flowery』と続いてきてthatgamecompanyのファンも多いと思うんですけど、そうではないファンにも是非プレイしていただきたいと思っています。ゲームを親しんだことがない人でも簡単にできるようになっていますので。あとはオンラインゲームをバリバリやるようなコアゲーマーな人には、こういうオンラインゲームのありかたもあるんだと触れて感じてみてほしいですね。

―――ありがとうございました

『風ノ旅ビト』を実際に遊んでみたプレイレポートはコチラに掲載中です。ぜひご覧ください。
http://www.inside-games.jp/article/2012/03/15/55218.html



『風ノ旅ビト』は、好評配信中で価格は1,200円(税込)です。

(C)Sony Computer Entertainment America LLC. Developed by thatgamecompany.
《きゃんこ》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

ソニー アクセスランキング

  1. 『モンハンワールド:アイスボーン』ミラボレアスを倒すために考えた7つのこと

    『モンハンワールド:アイスボーン』ミラボレアスを倒すために考えた7つのこと

  2. 『モンハンワールド:アイスボーン』下手くそでも「ソロ用ムフェト・ジーヴァ」に勝てるのか? 新規救済に見えた“(ある意味)辛い狩猟”をレポート

    『モンハンワールド:アイスボーン』下手くそでも「ソロ用ムフェト・ジーヴァ」に勝てるのか? 新規救済に見えた“(ある意味)辛い狩猟”をレポート

  3. 『原神』稲妻には“自力で”行けるのか?ガイアやボートを駆使し、大海原を進んでみた

    『原神』稲妻には“自力で”行けるのか?ガイアやボートを駆使し、大海原を進んでみた

  4. 『かまいたちの夜』の舞台となったペンションに宿泊…!あの名シーンを妻と再現してきた【ネタバレ注意】

  5. テトリスがちょっぴり苦手な『ぷよテト2』プレイヤー向け、テトリス基礎知識!覚えるだけで序盤の動きがグッとレベルアップするぞ

  6. PS5までの歴代PlayStation据え置きハードを振り返る!これまでの進歩とこれからの進歩を見比べよう

  7. 「『モンハンワールド:アイスボーン』で1番好きになった武器種はどれ?」結果発表―ハンターたちが命を預けた“相棒”はこいつだ!【アンケート】

  8. 『原神』稲妻の各探索ギミックを解説!雷の種から結界まで、新天地の冒険を“13項目”でサポート

  9. 『モンハン:ワールド』俺たちの相棒「受付嬢」のかわいい姿を見よう! “全DLC衣装”でじっくり楽しむ受付嬢フォトコレクション【ワールド編】

  10. 『Bloodborne』神秘と狂気の古都・ヤーナムでも旅行は楽しめるのか?ガスコイン神父までをポジティブな旅レポ風に紹介

アクセスランキングをもっと見る