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【GDC2011】ビジネスに重要なのは愛だろ、愛!BioWareにおけるローカライズプロセスについて

ゲームビジネス 開発

【GDC2011】ビジネスに重要なのは愛だろ、愛!BioWareにおけるローカライズプロセスについて
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2月28日に行われた「Localization Summit」の6セッションのうち、キーノートとなったのが15時から行われたBioWareのスタッフによる「Localization and development: A love story... that leads to great business! (ローカライズと開発:ラブストーリーが素晴らしいビジネスをもたらす!)」と題されたセッションでした。

ご存知の方も多いと思いますが、BioWareは『Dragon Age』シリーズや『Mass Effect』シリーズなど、主にPCで数多くのRPGをリリースしてきており、これまで15年以上にわたり20以上のタイトル、8言語以上、90以上のバリエーションに対応してきた、まさにローカライズの知識の宝庫とも言える会社です。

左から、Gordon Walton、Ian Mitchell


業界のベテラン Gordon Walton氏と、まだ若いIan Mitchell氏がそれぞれの立場から経験と提案を熱く語りました。

まずはWalton氏、今の時代ローカライズはもはや必須と言える作業であるものの、開発コストも上がり、世界市場での競争も激化、その上コア向けゲームの売り上げは減少傾向にある一方、投資に対するリターンを最大にするにはより多くのマーケットにリーチし、さらに同時リリースで販売機会損失を最小限に抑える必要がある、多くのメーカーは可能な限り多くのユーザーに商品を届けたいと思っており、それを実現できるのが正しいローカライズだ、と指摘します。

ローカライズ担当者はエヴァンジェリストとして、開発チームに対し情熱を持ちつつも理路整然とその重要性を説明してほしい、より多くの市場にリーチ出来るその素晴らしさを伝えてほしい、そのためには社交性も重要なファクターだ、と付け加えました。

大変な作業であるのは明らかなので反対されることも多いだろうが、それでも諦めずに、個人的に捉えずに、ポジティブに、それまでの成功例を元に情熱的に説得を続けましょう、特に最近のゲームはサイズも大きいため、成功のためにはチームとの密接な関係が重要です、との事。


ここでMitchell氏にバトンタッチ、実際に『Dragon Age』であった事例を説明します。

『Dragon Age』は
・100万ワードのテキスト
・56000ファイル
・1000のシネマティック(ムービー)
・1000のキャラクター
・60時間のゲームプレイ時間
…という巨大なボリュームがありましたが、それでも「Simship:多言語同時リリース」を実現できたそうです。そしてその成功の秘訣が「熱心なローカライズチーム」「熱心な開発チーム」「確立されたローカライズプロセスと支援ツール」の三位一体によって生み出される「高いモチベーションの維持」だそうです。

中でも、ローカライズチームは以下の4つに分類されます:

・PM: Project Management プロジェクト管理
ゲームの仕様、作業内容を決定、開発チームを編成、予算やスケジュール、マイルストーンの管理

・AM: Asset Management アセット(素材)管理
ローカライズされるべきアセットの管理、作業の進捗管理、チームとの素材のやり取り

・QA: Quality Assurance 品質管理
アセットの内容確認、テストチームの管理、テスト作業の改善

・Marketing & Media マーケティング、メディア対応
コンテンツの全体的な統一感の管理、ユーザー、ネットなどからの情報をチームにフィードバック、
マーケティング素材のローカライズの管理

各チームが編成された後、作業を効率化するために早いタイミングでそれぞれのフェーズでの作業内容を決め、それぞれに必要なツール、技術の検証、素材の確保などに着手します。これらの一連のプロセスをBioWareでは規格化されたフレームワークとして持っており、それによりノウハウの再利用、効率化による時間短縮でクオリティアップのための時間が取れる事、複数のプロジェクトでノウハウがシェアできることなどをメリットとして挙げています。

また、内製のローカリゼーションツールセットも存在し、オンライン上のデータベースによる翻訳者の作業効率アップ、テキストアップデート時の統合ミスを防いでいるそうです。これにより作業全体の効率化のみならず、例えばテキストの字幕対応だけにするのか、ボイスオーバーまでサポートするのか、といった意思決定が早いタイミングで行えるとの事。

Mitchell氏はこの「作業フローの規格化」を皆さんの会社でもぜひやるべきだ、特にノウハウやリソースの再利用(エラー時のフローやエラーメッセージなど)による作業時間の短縮、それによって生まれる改良のための余裕といったメリットが大きい、と強く薦めていました。


この後再びWalton氏も登壇、掛け合いのような形でセッションが続きます。

「開発チームにローカライズへの理解、認識を高めてもらう」事の大切さが再度語られました。ローカライズチームと開発チームとの交流を深め、ノウハウの共有、要望をフィードバックすることでより使いやすいツールを作ってもらったり、より効率の良いプロセスの確立につながります。



ローカライズチームの持っている情報、ノウハウの大切さを開発チームに伝えましょう、と説明する際に使われたスライド。「ALL YOUR DATA ARE BELONG TO US!」 ローカライズサミットだけあって、このセリフの元ネタを知らない人は皆無でしょう。会場が大きな笑いに包まれました。

コミュニケーションの重要性については、例えば開発チームの人間がそれぞれの言語のローカライズチームを訪ねるために出張したとしても、お互いの顔を知っているだけで作業の効率がアップすることを考えれば決して高い金額ではない、と主張します。

セッションの最後は、
・開発チーム内にローカライズに対応してもらうカルチャーを作る
・ローカライズプロセスの確立で時間を短縮する
・問題は常に起こるものであるが、常にポジティブに、
 辛抱強くコミュニケーションを取ろう
…とまとめました。

余談ではありますが、セッションを通じて「ローカライズ作業の重要性を開発チームに理解してもらう」「コミュニケーションを密に取る」「作業の効率化を図る」「腐るな、常にポジティブであれ」というワードが何度も繰り返されましたが、特にWalton氏はこれまで相当な数の修羅場をくぐってきたのではないか、と個人的に想像して調べてみたところ、ゲーム業界で働き始めたのは1977年、これまでにMaxisやEA、Sony Onlineなどを渡り歩いてきた、まさに歴戦の勇士、とでもいう キャリアの持ち主でした。
《今鳩越前》

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