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『剣と魔法と学園モノ。』誕生秘話から最新作へ込めた想いまで~原神プロデューサーインタビュー

10月7日に発売される『剣と魔法と学園モノ。3』は、タイトルがあらわすように「剣と魔法と学園モノ」のダンジョンRPGです。

ソニー PSP
『剣と魔法と学園モノ。3』プレイ映像や特典情報などが満載のプロモーションムービーが登場
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  • 『剣と魔法と学園モノ。3』自分だけのパーティを妄想できる「相性シミュレータ」を公開
  • 剣と魔法と学園モノ。3
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10月7日に発売される『剣と魔法と学園モノ。3』は、タイトルがあらわすように「剣と魔法と学園モノ」のダンジョンRPGで、今回はシリーズ初のPS3版・PSP版同時発売です。本作のプロデューサーで開発元ゼロディブの代表取締役でもある原神敬幸氏に、シリーズ誕生秘話から現在の心境や『剣と魔法と学園モノ。3』の魅力についてうかがいました。

原神敬幸プロデューサー


―――まず最初に『ととモノ。』シリーズ誕生の経緯を聞かせていただけますか?

私自身も『ウィザードリィ』や『ローグ』といったゲームで育った世代です。でも、今の時代に一般のユーザーに問うにはハードルの高いゲームではないかと思っております。ゼロディブとして、『ウィザードリィ』ベースのゲームを作ろうと進みだしたときに、スタッフとも話をしていて、ゲームシステムは素晴らしいこの手のゲームがどうして遊びにくいのか?という話になったんです。で、いろいろと話が上がったのですが結局、結論はでませんでした。「やったら面白いのだろうけどやらない・・・」、正直、非常に悩みました。悩んでくなかで考えついたのが、『ウィザードリィ』のシステムを活かしながらも、キャラクターの魅力を前面に出して、ダンジョンRPGの入門的な作品を作るのはどうだろうかということでした。そうして出来上がってきたのが、『剣と魔法と学園モノ。』という方向性が出来上がってきたんです。

―――確かに『ととモノ。』は、これまでのダンジョンRPGとは大きく異なりますね

ダンジョンRPGはダンジョンを探索するという性質上、どうしても暗くなりがちです。
日本では『ドラゴンクエスト』など往年のRPG『ウルティマ』の影響を受けたものは数多く発売されていますが、『ウィザードリィ』から派生したものが少ないのも、そうした背景があると考えています。

ですからゲーム全体を明るいものにしたくて、3Dのダンジョンに2Dのかわいいキャラクターを採用し、ギャップを楽しんでもらえるようにしました。もちろん3Dダンジョンを2D部分に合わせてアニメ調で表現することも検討したのですが、その方向性は取っていません。2Dの絵を際立たせたいという想いがありますから。

2Dと3Dを組み合わせたダンジョン


―――なるほど

それから、本作のテーマとしてあるのは、プレイヤーの想像力を刺激するということです。

『ウィザードリィ』や『ローグ』は元々グラフィカルなゲームではないかと思います。。
初期の『ウィザードリィ』はプレイヤーがどういった容姿をしているのか分かりませんし、『ローグ』にいたっては、プレイヤーも敵もアイテムさえも記号で記されているゲームでした。でもプレイヤーはそこに勇猛な戦士や手強い敵、有り難いアイテムを思い浮かべていたはずです。ある意味、想像力を刺激する、プレイヤーが色々と妄想できるようなゲームシステムというのは引き継いでいければいいなと常々、思っております。

そこで『3』では「相性システム」や「感情アイコン」というシステムが追加されています。「相性システム」は、キャラクター同士の良い感情、悪い感情を設定できるというものです。プレイヤーさんによってはこのキャラとこのキャラが仲良さそう、とか、仲悪そう、と想像を楽しむ方もいらっしゃると思います。それをゲームシステムに取り入れ、この相性によって戦闘中に連携技が出たり、セリフも相性で変化したりというようなことを取り入れてみました。

「感情アイコン」は、戦闘中のキャラクターの感情変化をわかりやすくしたものです。アイコンで賑やかにキャラクターの感情をわかりやすく表現しています。これで、皆さんの妄想をさらに刺激するものになってくれればありがたいです。

相性システム


―――キーワードは「妄想を刺激する」ですね(笑)

そうですね。「ととモノ。」シリーズの世界観に関しても同様で、細かくつめ、ガッチリ固まったものにしてはいません。。キャラクターデザインをお願いする際も、「フェルパーはネコ耳でかわいらしく」というくらいでお願いをしております。あとはユーザーの皆さんにあれこれと妄想してもらいたいと思っております。

いただいたいろんな感想の中で、異性ばかりのパーティを作って、「ハーレムだ!」と楽しんでくれている方もいましたが、そうしたユーザーの妄想パーティを作って冒険にでる、というような遊び方をしていただければと(笑)。

また、『3』では3つの学園それぞれのストーリーがあります。ひとつひとつは前作より短いものの、3つ合わせると前作に匹敵するボリュームがありますから、いろんなプレイのやり方があると思います。

―――キャラクターのかわいさもシリーズ人気の秘訣ですよね

ゼロディブは今までもいろいろなイラストレーターのお力をお借りして、コンテンツの作成をしてきました。そのなかでイラストレーターさんとやりとりすることの魅力を知りました。このシリーズでもその時の経験が活かしていければというのが最初にありました。

キャラクターデザインのうしさんと病さんはご兄弟で、『剣と魔法と学園モノ。』1作目では弟さんに、2作目ではお兄さんがメインで担当していただきました。じゃ、3作目では…ということで、『3』ではお二方に描いていただきました。プレイヤーキャラだけでなく、NPCも含めてすべて手分けしてもらっています。お互いに刺激し合い、切磋琢磨して作業を進めていただいたのではないかと思います。

また、今回はキャラクターのカスタマイズ要素があって、髪型や髪の色など細かな部分を変更できるのですが、これはお二人からの提案がもとになって組み込まれました。それだけこのシリーズを愛していただいているのですが、開発の終盤には大変苦労されていました(笑) おかげで素敵なものができたと思っております。

『3』では「ドラッケン学園」「プリシアナ学院」「タカチホ義塾」という3つの学園が登場するのですが、ちょっと変わったところでは「プリシアナ学院」のキャラクターや制服が面白いかなと思います。今では有名な某女性アイドルグループが着ていそうな服なんですが、開発のほうはかなり前から動き出していましたから、人気が出てくれてよかったなぁ、と(笑)今までの『ととモノ。』を楽しみたい方は「ドラッケン学園」がお勧めです。また、少し変わったお話、それと妖怪が好きな方は「タカチホ義塾」を楽しんでいただけるのではないかと思います。

キャラクターのカスタマイズが大充実


―――前作までは絵のかわいさに反して、ゲーム性ではシビアな面がありました。『3』ではどうなっているのでしょうか。

前作のユーザーの中には小学生からのものもありました。その年代の人も遊んでくれているわけですから、バランス調整に関して意識してはいます。ただ、単純に難易度を下げると、これまでのファンが離れてしまいますので、まさに「間口を広げる」ことを考えつつ調整しております。これまでのファンの方には、とっつきにくい部分もあるかもしれませんが、ぜひとも変化を続けている『ととモノ。』をご理解いただき楽しんでいただければと思っております。

―――今さらですが、どうして『剣と魔法と学園モノ。』というタイトルになったんですか?

開発がある程度進んだ段階で、営業広報担当者に「このゲームを一言で説明すると?」と聞かれたとき、「剣と魔法と学園モノです」って答えたんです。よくよく考えるとゲーム内容を端的に表す言葉ですから、そのまま正式タイトルにさせていただきました。

『ととモノ。』という略称を使い始めたのは営業広報担当者です。当初は違和感がありましたが、今ではすっかり慣れて、開発チーム内でも『ととモノ。』と呼んでいます。

―――今回はPSP版とPS3版との同時発売ですが、開発は順調でしたか?

かなり厳しいスケジュールでしたから、開発チーム内は「ムチャを言うなよ…」という空気でした(笑)ただ、2つを並行して作ることで、PS3版の内容をなんとかPSP版に持ってこようと努力しますから、結果的にはクオリティがあがりました。

PS3版ではやはり大きな画面で見る3Dダンジョンの迫力があって、その上の2Dグラフィックがより美しいのですが、両者に内容的な違いはありません。好みで選んでください。

私自身、最初は「やっぱりPSPだよな」と思っていましたが、PS3版を遊んでいるうちに「これはこれでいいじゃないか!」と感じていて、どちらか一方をオススメすることができないですね。

―――そうはいっても容量の違いがありますから、音声の数が多くなった今作では、PSP版の開発は難しかったのでは……。

開発のほうには苦労していただきました。戦闘のたびに待たされるRPGにはしたくありませんでしたから。途中で興ざめすることなく探索を楽しんでもらいたいので、ダンジョンに入る前に読み込みをして、あとは極力ローディングをしないようなシステム構築を頑張ってもらいました。

『3』からPS3版ではハードディスクに、PSP版ではメモリースティックへのデータインストールに対応しましたので、さらに快適に遊んでいただけると思います。

―――発売日が急きょ変更になって、驚いたファンは多いと思います。どのような背景があったのですか?

いろんな事情がありますが、ひとことで言ってしまえば、より楽しんでいただけるよう調整をさせていただきました。某DSタイトルもクリアされたころだと思いますので、続けて『ととモノ。』を楽しんでいただければと思います(笑)。

―――発売は目前に迫りましたね。

今作では『1』、『2』からキャラクター、ストーリーを一新していますから、「このシリーズをプレイしたことがない」という方も楽しんでもらえると思います。これまで『ととモノ。』シリーズで遊んだことのない方には、むしろ『3』から始めてもらいたいくらいです。

―――では、シリーズのファンと購入を迷っている方に一言お願いします。

今作では、『ととモノ。』をどう進化させるか悩みました。『1』から『2』になったときには「屋外のダンジョンがある」というのが大きな進化のひとつでしたが、『3』を作るにあたり、それに匹敵するものがなかなか見つからなかったのです。そのなかで生まれたのが「相性システム」です。このシステムで、より『ととモノ。』を楽しんでもらえるようになったと思います。またその他にも、ガイドを充実させたり、ユーザーインターフェースに変更を加えたりして新しい挑戦をしておりますので、これまでダンジョンに泣かされた人も、怖がらずに歩いてください。きっと楽しんでいただけかとおもいますので!

ありがとうございました
《D》
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