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【GDC2010】ゲーム開発者が選ぶ「Game Developer's Choice Awards」授賞式が開催~日本勢は2年連続で受賞ナシ

GDC3日目の夜、好例の「Game Developer's Choice Awards」(Choice Awards)が開催され、『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』がゲームオブザイヤーをはじめとした5冠に輝きました。一方で「国産」ゲームは2年連続で受賞作がゼロという、寂しい結果に終わりました。

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GDC3日目の夜、好例の「Game Developer's Choice Awards」(Choice Awards)が開催され、『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』がゲームオブザイヤーをはじめとした5冠に輝きました。一方で「国産」ゲームは2年連続で受賞作がゼロという、寂しい結果に終わりました。

ショーアップされた会場は、さすがエンタテインメントの本場の国だ受賞を喜ぶノーティドッグ社Co-PresidentのEvan Wells(左)とChristophe Balestro(右)氏。


Choice Awardsは国際ゲーム開発者協会(IGDA)の会員による投票を下に贈られる賞です。日本からも投票は可能ですが、北米の会員が約半数を占めるなど、実質的に欧米のゲーム開発者のリスペクトを集めた賞という位置づけになっています。そのため売上げではなく作品性、それも開発者の「こいつはすげえや!」という驚きや、憧れが色濃く反映される賞だと言えるでしょう。

そのため受賞作には、その時々の欧米のゲーム事情が垣間見えます。4年前、会場を席巻したのは『ワンダと巨像』で、ゲームオブザイヤーを含む5冠に輝きました。しかし昨年、本年と日本のゲーム開発スタジオによるタイトルの受賞作はなく、欧米の開発シーンからの「日本離れ」が感じられます。

本年度もゲームオブザイヤー部門ではフロムソフトウェア開発の『デモンズソウル』、ハンドヘルド部門では『ゼルダの伝説 大地の汽笛』、ダウンロードゲーム部門ではキュー・ゲームスの『ピクセルジャンクシューター』がノミネートされましたが、残念ながら受賞には至りませんでした。

■受賞作一覧
*タイトル名は日本未発売のものは英語で表記。また開発スタジオ名のみ記した。

デビュー部門:TORCHLIGHT(RUNIC GAMES)
オーディオ部門:アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団(ノーティドッグ)
ゲームデザイン部門:アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団(ノーティドッグ)
シナリオ部門:アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団(ノーティドッグ)
ソーシャル・オンラインゲーム部門=FARMVILLE(ZYNGA)
携帯ゲーム部門:SCRIBBLENAUTS(5TH CELL)
テクノロジー部門:アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団(ノーティドッグ)
ダウンロードゲーム部門:FLOWER(THATGAMECOMPANY)
ビジュアルアーツ部門:アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団(ノーティドッグ)
イノベーションアワード部門:SCRIBBLENAUTS(5TH CELL)
ゲームオブザイヤー部門:アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団(ノーティドッグ)

5冠を達成した『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』


このほかゲームコミュニティの拡大に貢献した業界人に贈られるアンバサダー賞には、ウェブコミックサイト「PENNY ARCADE」を運営するジェリー・ホルキンス、マイク・ラーリック、ロバート・クー氏の3名。新しい分野を開拓した人物に贈られるパイオニア賞には、人気FPS『ハーフライフ』シリーズを開発し、PC向けゲーム配信ポータル「STEAM」を運営するバルブソフトウェアの共同設立者であるゲイブ・ニール氏が受賞しました。

そして生涯功労賞には、『DOOM』『QUAKE』などを手がけ、FPSというジャンルを作り出した天才プログラマーとして名高い、イドソフトウェアのジョン・カーマック氏が受賞しました。同賞のプレゼンターを務めたのは『シムシティ』『スポア」のゲームデザイナーとして著名なウィル・ライト氏で、カーマック氏の名前が読み上げられると、会場はスタンディングオベーションと拍手がわき起こり、受賞をたたえました。

生涯功労賞を受賞したジョン・カーマック氏プレゼンテイターはウィル・ライト氏が務めた会場はスタンディングオベーションで祝福した


毎年細かい部門賞の修正が行われてきたChoice Awardsですが、今年のポイントはソーシャル・オンラインゲーム部門が創設されたことでしょう。第1回目の受賞作は、Facebookアプリとして提供され、「村ゲー」というジャンルを作り上げたZYNGA社の『FIRM VILLE』が受賞しました。実際、今年のGDCではソーシャルゲームの一大旋風が巻き起こり、その勢いはChoice Awardsに新しい部門賞まで創出するほどでした。

部門賞のノミネートで、パッケージゲームに混じって、iPhoneアプリやカジュアルゲームが選出されていた点も特徴でした。中でもゾンビの進行を植物を植えて撃退するタワーディフェンスで、カジュアルゲーム大手のPOP CAPによる『PLANTS VS. ZOMBIES』は、ゲームデザイン部門・ダウンロードゲーム部門、イノベーションアワード部門の3部門でノミネートされたほどです。こうした選出が行われる点に、欧米開発シーンでの関心度の高さが伺えます。

このほかDS向けのパズルゲームで、5TH CELL社の『SCRIBBLENAUTS』が携帯ゲーム機部門とイノベーションアワード部門の2冠に輝いたのも驚かされました。本作はタッチペンで英単語を書くと、そのアイテムがゲーム世界に登場して先に進めるという斬新な内容で、携帯ゲーム機部門では『ゼルダの伝説 大地の汽笛』、イノベーションアワード部門では『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』を押さえての受賞となります。日本版が未発売なのが残念ですが、こうした先進的なタイトルが無名の開発スタジオから登場してくるところに、懐の深さが感じられます。

元祖「村ゲー」の『FIRM VILLE』カジュアルタワーディフェンス『PLANTS VS. ZOMBIES』先進的なパズルゲーム『SCRIBBLENAUTS』


なお、会場にはSCEワールドワイドスタジオ・プレジデントの吉田修平氏の姿も見られ、『アンチャーテッド』受賞チームを祝福していました。

同シリーズをはじめ、SCEの海外タイトルは日本語ローカライズも含めて、おしなべて質が高く、国産タイトルと変わらない感覚で遊べます。その原点となったのがPS1の『クラッシュ・バンディクー』で、開発スタジオのノーティドッグを日本側で支えたのも吉田氏でした。同社は以後もSCEのセカンドパーティとして、高い技術力に裏付けされた、ヒットタイトルを量産していきます。いわば吉田氏は今回の受賞の、影の立役者だったと言えるでしょう。

もちろん日本のゲーム開発シーンでも、マリオやポケモン、そしてワールドワイドで500万枚を出荷した『ファイナルファンタジーXIII』をはじめ、いまだ高い競争力を秘めていることに、かわりはありません。しかし欧米の同業者からリスペクトを受けるタイトルが、ここ2年出ていないというのも寂しい話。ゲームのようなポップカルチャーは売上げでだけでなく、受け手の魂をゆさぶり、「日本ブランド」の向上につながるという、金銭に換えられない力も併せ持つのですから。来年のChoice Awardsでの奮起を期待したいところです。
《小野憲史》
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