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明日のゲーム業界のために~『ゲームのお仕事』業界研究フェアを開催する意図とは? キーマン2人に聞く

今年のCEDECでは新しく、学生にゲーム業界の仕事を紹介する「『ゲームのお仕事』業界研究フェア」が同時開催されます。

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『ゲームのお仕事』業界研究フェアを開催する意図とは? キーマン2人に聞く
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―――他にもミドルウェアだったり、セキュリティだったり、さまざまなセッションがありますね。ゲームビジネスも大きく変わってきました。

遠藤:ゲームユーザーって年代別に好きなプラットフォームが違うんだよね。これはゲーム開発者の側もそう。たとえば今のアラフォー(40代前後)って、アーケードゲームと据え置き機が「神」で、携帯電話アプリやFlashゲームは「クソ」ってイメージでしょう? でも今の学生だと、何の違和感もなかったりする。この両者って、もはやまったく別の人種ですよ。ゲーム産業ができて約30年が経過して、ゲームもユーザーも分散してきていて、一口にくくるのが、すごく難しくなってきてる。だから今回はないんだけど、本当はウェブゲームや、シリアスゲームなどのセッションもあるといいんだよね。

―――そういえば、ゲームメディアのセッションもありませんね。

遠藤:そう、ゲームメディアについては、ちゃんと基調講演で触れないといけないね。

板垣:あと、今回は実現できませんでしたが、家電量販店やゲームショップのバイヤーの方々に、「ゲームの販売の仕事」について話してもらう、というアイディアもありました。これはぜひ、来年度に実現させたいですね。今年はXbox360やPSP goで、ダウンロード配信の幕が本格的に上がりました。来年の今頃は、その影響についても、ある程度総括できるでしょう。

―――それは楽しみですね。でもそのためには、まず今年を絶対に成功させないと。

板垣:ですね。

遠藤:さっきの話の続きで言うと、作ってる側も違ってきてるよね。昔はパソコンを買ったらBASICでゲームを作るのが当たり前で、『マイコンBASICマガジン』みたいな雑誌を買って、みんな打ち込んでいた。でも今はウェブやFlashで、プログラムが組めなくても、比較的簡単にゲームが作れる環境がある。それが顕著なのがサウンドの分野で、特にDTMが普及してから、実際に楽器が弾けないけど、打ち込みですごい曲を作る人がたくさん出てきた。

―――ええ。

遠藤:そんな風に変わってきたんだけど、学生には、もっと歴史に学んで、昔のゲームの面白さを知って欲しいという思いがある。学生の中にはファミコン時代の、ものすごく難易度の高いゲームをクリアして、その面白さを分析するような連中も出てきてるんだよ。それって開発者とのバーチャルなコミュニケーションでもある。一方でベテランのゲームクリエイターには、もっと新しいモノをどん欲に勉強して欲しいな。

―――僕もだんだん、新しいモノを吸収するのが、辛くなってきました。

遠藤:それだと絶対に、ご飯が食べられなくなるんだよ。感性が古くなって、時代に取り残されていくわけだから。だから常に勉強が必要というのは、学生もプロも同じことなんだよね。

―――学生の立場からすれば、「ゲーム業界はこの先、安泰なんだろうか?」「就職しても、すぐにリストラされないだろうか」「仕事がきつそうだけど、ちゃんと家に帰れるんだろうか」といったベタな疑問もあるとお思います。

遠藤:うーん、そういった話はどこで聞けるんだろう? ハッキリ言うと「ゲーム業界に未来はない!」だね。そうではなくて、「自分で未来を切り開ける人材が求められている」ということかな。それから、ゲームを作り始めると「家に帰れません」。でも一方で、ちゃんとみんな「遊んでるし、眠っています」。こうしたことはちゃんと、基調講演で話さないといけないかもしれないね。

―――それはみんな興味があると思います。

遠藤:結局は「就職か、就社か」という話で、多くの学生はゲーム業界に入りたいというと、たいてい「就社」をめざしちゃう。でも、ここで考えて欲しいのは、ゲーム業界に入るのに、本当に企業に入社することが必要なのかということ。そのレベルから立ち止まって考えて欲しい。まあ、最近は同人でお金が稼げちゃうから、よくないんだけど。

板垣:「アドベンチャーゲーム(ADV)のお仕事」と「インディーズゲームの潮流」というセッションもあります。ここでは、「就社の前に就職する(プログラマーやグラフィッカーなどになる)」という話も出てくるのではないでしょうか。どのような結論が導かれるか、私もわかりませんが、「ゲームのお仕事フェア」の中で「同人ゲーム」が議論されていることも、注目して欲しいですね。

―――遠藤さんはDiGRA JAPANでも精力的に活躍されていて、学生と日常的に接せられています。今の学生を見ていて感じることは?

遠藤:コンテンツを並列で捉えているところがある。アニメとゲームって、インタラクティブに操作できるか否かくらいで、彼らの中では、ほとんど区別がないんですよ。むしろアニメ・ゲームと比べると、映画の方が「別物」という捉え方。だから学生と雑談していると、アニメ業界は大変そうだけど、ラノベの編集者だったらいいか、なんて醒めた声も出てくる。それは「あこがれ」じゃなく、「職業」として捉えてるからですよね。一方で本当に優秀な奴は、ハードウェアを作っている企業に入って、ゲーム機から作りたいとか。または早く偉くなって、ゲームの開発支援や、制作ではなく製作側に回りたい、なんてのもいる。

―――常に学生と接している遠藤さんならではの、興味深いお話が聞けそうですね。では、最後にお二人からメッセージをお願いします。

板垣:ゲーム業界のさまざまな仕事について、これだけまとまった話が聞ける機会は、初めてだと思います。私も遠藤さん他の方々と同じく、自分を育ててくれたゲーム業界に対して、何からの恩返しをしたい、という気持ちがあり今回がんばっています。横浜ということで、地方の方は難しいかもしれませんが、入場無料なので、ぜひ皆さんいらしてください。

遠藤:ホントに、業界についてまとまって話が聞ける機会は、今までなかったと思う。僕もまだ何を話すか全然決めてませんが、だんだん「がんばって話さなきゃ!」と意識が高まってきました。ぜひ参加してください。

ありがとうございました!


本イベントは文中にもある通り入場無料で、当日受付も行われます。しかし受付での混乱をふせぐため、公式サイトから事前の参加登録が奨励されています。8月31日まで参加登録は可能ですので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。

*「ジョブカフェ」は当日会場にて時間帯の予約ができますので、当日は「ジョブカフェ」受付にてご予約下さい。
《小野憲史》
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