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先月お引っ越ししたイメージエポックへ会社訪問に行ってきました。

ゲームビジネス その他



イメージエポックという会社をご存じでしょうか?今年の始めにオリジナルのRPG『ルミナスアーク』をリリースした新進気鋭のゲーム会社なのですが、今年の11月頭に会社を今までの池袋から海の見える港区に社屋を引っ越したのですね。そんなピカピカの社屋を、御影社長自らご案内してくれるとのことで、iNSIDE編集部一同でイメージエポック新社屋にお邪魔してきました。

御影良衛
東京工芸大学卒業。ナムコテイルズスタジオに入社し、テイルズシリーズに係わる。退社後にイメージエポックを企業し、現在代表取締役。開発業務やプロデュースも担当する。
新納一哉
『世界樹の迷宮』『超執刀カドゥケウス』(株式会社アトラス発売)のディレクションを担当し、07年にアトラスを退社。現在、イメージエポックデジタルコンテンツ部部長兼シニアプロデューサー。






――初めまして、iNSIDEのMr.Cubeです。今日はイメージエポックという会社についてお話しいただけると言うことで、よろしくお願いします。

御影よろしくお願いします。

――では早速、御影さんとイメージエポックのことから伺いたいのですが。

御影自分は、実は学生時代はゲームをまるでやらないお受験組で、中学以降は殆どスポーツ三昧の人間だったんですよ。ところが、ある日父がSONYさんからプレイステーションを頂きまして、その流れで偶然買った『ファイナルファンタジー7』に感動したのが業界入りのきっかけです。自分もこういうのを作ってみたい、と思いました。それで大学に通いながら、某大手さんの企画にもぐりこんだり、その後もムービーやデザインアルバイトで6〜7社経験しましたね。学生時代にかなりの業務をこなしてたと思います。

――その時に起業されようと考えたのですか?

御影色々経験も豊富になってきたので、25歳までにはしようと思ってました。ただ、23歳に思い切ってやってしまったのは想定外でした。まだ自分も本当に未熟でしたし、大変でしたよ。今でも、よく生き残れてるなと思う時があります。イメージエポックは今年で4年目になるんですけど、初年度は2人、次に15人、次に60人…、と社員が増えていきまして。とにかく出た利益を会社の拡大にひたすらつぎ込んで、短期間でそこそこの規模の会社になることができました。結局自分の給料を貰いだしたのは2年目からでしたね(笑)。

――2年で一気に大きくなりましたね。

御影最初はゲーム系のデザイン会社だったのですが、やっぱり自分たちのゲームが作りたかったので、出来るだけ短期間でオリジナルゲームをやる規模と体力を作りました。そこで自分が企画したのが『ルミナスアーク』です。学生時代もアルバイトでプログラム以外のことは全て関わっていたので、満を持してのチャレンジですね。

――学生時代からずっとゲーム業界に身を置かれてというのはなかなか凄い経歴ではありますね。それでマーベラスさんと一緒に『ルミナスアーク』を作っていくことになると。

御影マーベラスの水谷さんとお会いする機会があったので、是非いっしょうにやりましょうという事になりました。『ルミナスアーク』は本当に沢山の宿題と感動をもらいました。反省点も多い作品ですが、イメージエポックという会社のもう一つのスタート地点であり、現在の礎になってるかなと思ってますね。ゲームを作って世に出すということが、良いも悪いも含めどれほどの人に反応してもらえるのか、影響があるのかということを実感出来ました。ユーザーの方にも褒めて頂いたり、逆にお叱りを受けたりしましたし、仕事の面では、他の会社さんからも沢山オファーを頂けるようになって、御影良衛という人間をたくさんの人に知ってもらえたと思います。新納との出会いもその中の大事な1つですね。



――ちなみに新納さんとはどのような経緯でお会いすることになったんですか?

御影『ルミナスアーク』とちょうど同時期で話題作だったのが『世界樹の迷宮』だったんですよ。実際それを触ってみて「これは凄くうまくやってるな!開発者として素晴らしい才能だな」と感動したんです。そのとき彼が求職中だったのを知って、一度ぜひ会いたいと申し出まして。インタビューを見てゲーム愛の人なんだろな思っていたのですが、実際会ったら「ゲーム開発という仕事」に熱く突っ込んだ人だったので、刺激的でした(笑)。

新納あの時のトークは熱かった(笑)。

御影その後新納が来てくれて、またそこで色々な変化があったんです。「新納が行くんだったら面白い会社なのかな」と、頼りになるベテランの方がまた色々来てくれる事にもなりましたし。自分はまだ若輩者ですから、会社が成功とリンクするビジネスをやっていくのに、先輩達の支えがとても大切なんですよ。新納も含め、そういった先輩方が充実してきたことが会社の1つ転換期になったかもしれない。

――では新納さんはなぜイメージエポックに入ろうと思ったんですか?

新納そうですね…、ゲーム開発者って欲しい物が2つあると思うんですよ。お金と、プライドの2つです。どちらか1つでも貰えるなら、そのために命を削るのは構わない、と思います。ただ、今の業界はどちらも貰えない流れで、どうしたらいいのかなあと。正直、昔そうしたみたいにまた業種を変えようかとも考えてました。そんな時、御影は「どっちもあげる」って言ってくれたので、じゃあ話半分でいいから、のってみようかなと(笑)。

一同(笑)

――そんなに簡単でいいんでしょうか(笑)。

新納簡単なようでいてそうでもないんですよ。冗談でもそれを言ってくれる人が今本当にいないんです。「ゲームが売れて実績をあげたから、どちらかを下さい」という話ですら「NO」という返事だったりするのが現実です。自分は御影もはじめは信用してませんでした…、って言っていいのかな(笑)。けど、少なくとも夢は見せてくれると思ってましたし、実は、そのうちの1つはもう貰ったんですよ。

――というと?

新納このオフィスです。ゲームの開発者が、汚い雑居ビルで床に寝てゲーム作るんじゃなくて、ちゃんと仕事としてプライドが持てる環境を一緒に考えて欲しかった。それを、自分が入って半年を待たずに最短で実現してくれたので、よし、じゃあこの会社のために頑張るか、と腹をくくりました。業界に入った頃は、大手に入ることばかり考えていたのですが、新しい会社で自分の理想とするゲーム開発現場や人材を作るのもいいなと思うようになりましたね。

――大手だとやはり身動きが取りにくい事もあるでしょうしね。

新納大手は次元の違う理想と運営がありますから、どっちが良い悪いではないですけどね。ただ、みんな同じ方向を向くと選択肢が狭まってしまうので、身軽で新しい会社ならではの選択肢を提案して、業界の刺激になればいいなあと思ってます。うまくいくかはまだわからないですが、その実例の1つとしてイメージエポックがある、となったら嬉しいですね。最近、専門学校さんによく行くのですが、自分が業界入りした頃に比べて求人票…、つまり選択肢が減ってて寂しく思いました。これから業界入りする人のためにも「A社もB社もC社もいい会社だと思うけど、さてどこが自分にとって一番幸せなんだろう?」ってポジティブに悩めるようにしてあげたいです。遠回りになるんですけど、ゲーム市場と業界を盛り上げるのは、作り手の人生を考えてあげる事だと思うんですよね。そのきっかけになりたい。

御影僕は新納のこの言葉を見て、彼に会いたいと思ったんですけど、

世界樹の迷宮も「きっかけ」を狙ってつくりました。
それは到底、終着点ではありません。
ユーザーの皆様と市場が1から育てていくものでしょう。

そのきっかけから育っていくゲームが、
自分のゲームである必要はないですし、
世界樹の迷宮である必要もないですし、
アトラスのゲームである必要もないと思います。

どこかのメーカーの、優秀な誰かが、
多くの人に愛される3DダンジョンRPGを産み出す
ための1石になれば嬉しいなと思って作りました。

(※アトラス公式サイト 世界樹の迷宮ブログより引用)

って彼が書いてて、それってビジネスにも精通するんですよ。僕ら自身が成功しなきゃいけないかっていうとそうではなくて、業界全体が良くなるように考えながら新しいチャレンジをすることで業界に利益が生まれて、結果として僕らも利益を得るという構造です。今ってどう潰れないようにするかっていう短期的な視点が多くてとても残念です。もちろん経営者にとって明日のお金が大事なのは仕方ないんですけど、先を見て夢を見なきゃ、結局ずるずると負けてしまうんですよ。20代で夢を追えないと、30代で頑張れないし、カッコイイ40代になれないと思うんです。坂口博信さんだって『ファイナルファンタジー』を作ったのは大学生の時じゃないですか。今の礎を作ってる人ってみんな20代の時から夢を追い求めてたから、今カッコイイ40代50代になってるんですよね。僕もそうなりたいですし、スタッフ達にも20代で自分の作品に出会って貰いたいんですよ。僕は大手にいたとき、泣きそうになりながら「なんでこんな事しかできないんだろう」ってずっと思ってて、もっと大きいことをやりたかったし、もっとたくさんの人に出会いたかったので、それを声に出して叫べるような大きな箱が欲しかったんです。

――その、イメージエポックの夢とはどんなものですか?

御影自分の夢は単純です。プロフェッショナルが、自分がもてる力を使って最も良い商品を作り、その対価として作り手が幸せになる場所をつくることです。その循環ができれば、自分のその次の夢も…、いまはまだ言えないのですが、その次の次の夢にも手が届くので。

新納自分はそこまで大きくではないですが、なんとかゲーム業界に活力を与える流れを作りたいです。最近のキーワードは「作ってよかった」「売ってよかった」「買ってよかった」の3つで、開発者も販売店もお客さんも、みんなが良かったと言える商品を当たり前に考えるようにしていきたい。ゲームは楽しいものなので、その中で誰かが泣き顔になるのは、やっぱり違うと思います。この3つを守るのは業界人ほど夢物語だと思うかもしれませんが、今、一歩でもそれに近づかなければと思います。

御影道は違いますが、2人ともゴールは一緒だと思ってます。その提案のために自分はイメージエポックを作ったのだと思いますよ。

――よりたくさんの人に自分の声を、イメージエポックという箱を通じて発信したかったと。

御影そうです、成功を確約するなんて事はできないけれど、自分のメッセージを投げて波紋を起こすことは出来ると思ってます。波紋は小さくても、大きく薄くなって業界の隅々に届きますから。現に、この話をわかってくれる人は社内社外問わず沢山いて、一緒になにかしようって言ってもらえてます。それは本当に嬉しいことです。

――素晴らしいですね。やっぱり賛同者は若い人ですか?

新納ところが、そうでもないんですよね。最近御影と色々な人と話をしにいくのですが、大手の重役のような方でも、ちゃんと話を聞いてくださって「いいよ、お金は出してあげるから、やってごらん」って。あと、何故か御影は年長者に好かれるんですよね…。

御影年齢は関係なくて、どれだけ若い頃に夢を追ったかじゃないかな、と思います。今の自分たちが出来なかった事を、偉くなった自分たちがサポートして、次の世代にやっていいよって譲ってくれてるのだと思ってますね。そういう人はとても尊敬しますし、たくさんの夢を提案して恩返ししたいです。

新納まあでも、そんな中で、御影が見るにあまるぐらいの大風呂敷を広げようとしたら、現場でつっこみをいれて畳ませたりするのも自分の大事な仕事ではありますよ(笑)。それがどれくらい大変なのか、ていう計算するのは自分のほうが得意なので。ああ、この場に自分がいて良かった!って思う時はあります(笑)。御影は本当にアクセル踏みっぱなしだから。

一同(笑)

――どこかで誰かがバランス取らないと危なっかしいんですね。

御影そうなんですよ。だから僕一人だときっとダメ経営者になると思います(笑)。やっぱり経営って一人じゃどうにも出来なくて、たくさんの才能とコラボレーションして物を作っていくべきなんです。このオフィスにしても、新しい会社のパンフレットや名刺にしても、それぞれのプロフェッショナルに頼みました、やっぱりそれがいい仕事なんです。だから、この会社も何十人もの開発者がいて、その人達、一人一人が個々のプロフェッショナルを発揮してみんなで会社を盛り上げていけるような、そういう新しい形のディベロッパーにしていきたいと思っています。あと、一番大事なのはスタッフへの愛ですよ。突然で胡散臭いですけど(笑)。

新納いや、愛は大事ですよ。スタッフを愛せないとゲームは作れないです。これは本当に。

――びっくりしました、愛ですか。

御影まぁスタッフを信用するって事ですね。心の底から人を信用するのって凄く難しいんですよ。「彼にこのプロジェクトを任せる」ってなった時、そのプロジェクトがダメになるかもしれない、となると、その時に借金を背負うのは自分じゃないですか。そうやって背負うかもしれない借金と自分の人生やスタッフの人生を天秤にかけながら、それでもスタッフを信用していくのが僕の仕事なんです。経営者に鬱が多いのも納得できますよ(笑)。でもそこを笑い飛ばせないと社長ってやっていけないし、地面見てもなんにも落ちてないので、前を向いて、スタッフを愛して、良いゲームを作っていきたいですね。そんな感じでとりあえず35歳ぐらいまでは目の前のチャンスをどんどん掴んでいこうと思っています。

――では最後に今後のラインナップのお話を聞かせていただいてもよろしいですか?

御影今現在社内では4タイトル動かしてまして、その中で一番小さい物がすでに発表されている『ルミナスアーク2』です。こちらは今年の年末から来年頭に開発終了を目標に現在走らせていて、来年の上半期にはユーザーの皆様にお届けできるんじゃないかなと思ってます。今回の『ルミ2』では、前回の反省点であるレスポンスとインターフェイスをスタッフが特に取り組んで強化しています。丁寧に作りこむ事が『ルミ2』の最大の目標ですね。 で、それ以降は夏あたりから大きめのタイトルを3ヶ月間隔くらいで発売していきたいと思っています。こんなのやってたんだ!と驚いてもらえたら嬉しいですね。

新納基本的にはしばらくは国内向けのRPGを主軸で展開していくと思います。海外向けでアクションを…、という流れも業界的に多くなってきましたが、それこそカプコンさんのような一流のアクションゲームを作れるようになるまではそこに手は出さないつもりです。まずは国内向けにRPGという土俵で地盤を作って行ければなと。ユーザーさんも、開発者も、やっぱりRPG好きという人が多いので(笑)。王道なものから変化球まで幅広く、コンスタントに出していきますので、長い目でみてやってください。自分のゲームは…、来年の遅くならない内には発表するかと思います、そちらもどうぞよろしくお願いします。

――今日はお忙しい中ありがとうございました。夢の溢れるお話が聞けて楽しかったです。

いかがでしたでしょうか。お二人以外にもたくさんの社員さんとお話ししてきましたが、皆さん生き生きと楽しそうに仕事をされていました。ゲーム業界のイメージを払拭しようという心構えからデザインされた新社屋は、良い環境で良い物を作って、楽しく日々を過ごそうという気概が実によく現れた素敵なオフィスだったように思います。今後もイメージエポックの活躍を期待せずにはいられません。また、引っ越し後第一弾のタイトルとなる『ルミナスアーク2 ウィル』は今冬発売予定です。
《ヤマタケ》

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