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【E3 2008】マイクロソフトがメディアブリーフィングで見せた充実―キーワードは「つながり」と「没入感」

これまで、チャイニーズシアター、サンタモニカハイスクールなどさまざまな会場で開催されたMicrosoft Media Briefing(以下、Media Briefing)。ロサンゼルス ・コンベンションセンターへと戻ってきた今回は、これまでのE3における会場の中心とも言えるWest Hallにて開催されました。 West Hallといえば、South Hallとともに、各企業が巨大なブースをかまえ、ゲーム産業関係者が右に左にと闊歩していた場所でもあります。

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これまで、チャイニーズシアター、サンタモニカハイスクールなどさまざまな会場で開催されたMicrosoft Media Briefing(以下、Media Briefing)。ロサンゼルス ・コンベンションセンターへと戻ってきた今回は、これまでのE3における会場の中心とも言えるWest Hallにて開催されました。 West Hallといえば、South Hallとともに、各企業が巨大なブースをかまえ、ゲーム産業関係者が右に左にと闊歩していた場所でもあります。

縮小という流れを受けた今回のE3では、West Hallの一角をXbox360の基調カラーとも言える、イエローグリーン一色に染めながら、メディア向けカンファレンスが開催されることになりました。この事実は、E3縮小の現実をあからさまに示していると言っていいでしょう。

もっとも、E3が直面している厳しいな現実とは裏腹に、Media Briefingにおけるファンの興奮と熱狂に包まれた様は、07年にひき続き、Xbox360 の海外での強さを改めて実感させられました。ここでは、その中でも筆者が気になったポイントをさっくりとリポートします。



『ファイナルファンタジーXIII』もXbox360に

今回のMedia Briefingで最も驚かされたニュースは、なんといっても『ファイナルファンタジーXIII』(以下、『FF XIII』)が欧米ではXbox360でもリリースされることが決定したこと。スクウェアエニックスの代表取締役社長である和田洋一氏は、これまでも何度かMicrosoftが開催するMedia Briefingに登壇してきましたが、ここまで強いリアクションを観客から得ることができたのはこれが初めてだったかもしれません。これに加え、すでにリリースが決定している『インフィニティッド・アンディスカバリー』、『スターオーシャン4 The Last Hope』、そして『ラストレムナント』と、スクウェアエニックスがXbox360用として準備している作品はどれも大作ばかり。このような現状は欧米における現在のゲームシーンを明確に反映しているとも言えますね。

Microsoftが自信をもって紹介する08年度リリース予定の4大タイトル

『FF XIII』は完全なサプライズでしたが、その他にもXbo360で発売を控えるタイトルは数多くあります。そんな中でも最も注目されている4作品〜『Fall Out3』『バイオハザード5』『Fable 2』、そして『Gears of War2』〜については、これらのタイトル開発に携わっているゲームデザイナーやプロデューサーがそれぞれの視点からゲームについて紹介していきました。
 
『Fall Out 3』は『The Elder Scrolls IV:Oblivion』(以下、『Oblivion』)を開発したBethesda Softwareによる未来のワシントンDC(AD2277年)を舞台としたRPG。同作品は、90年代後半に開発され一部で熱狂的に支持された俯瞰型RPGの続編でもあります。ゲームエンジンは『Oblivion』に大幅な改善が施されたものだけに、大画面に映し出された近未来の様子は圧倒的でした。

一見、『Gears of War』のようなFPSにも見えますが、一旦、同作品のデザイナー、トッド・ハワード氏がデモプレイをはじめたとたん、RPGだということがわかりました。アクションゲームよろしく、ガシガシと敵を攻撃することも出来れば、ポーズをして、特別なデバイスで標的の弱点を確認、ボタンで弾発射し、命中と段階的な攻撃をするとも出来るのです。ゲーム世界での自由度は相変わらずで、前作『Oblivion』を確実に超える壮大なモノになる感がひしひしと伝わってきました。

次に登場したのが、カプコン、『バイオハザード5』(以下、『5』)のプロデューサー、竹内潤氏。今回は、二人のデザイナーのデモプレイによるCO-OPの様子を見ることができました。それぞれが力を合わせながら敵を倒し、ときには一方が他方のジャンプの手助けをするといった行動も。最後は、前作登場したチェインソーマンが『5』でも現れる可能性を示唆してデモが終了しました。序々に『5』の全貌が明らかになりつつあります。

一方、イギリスで最も著名なゲームデザイナーとして知られるピーター・モリニューが『Fable2』を実際のデモに基づきながら説明。

作品の大きな特徴として、プレイヤーは子供時代からプレイをはじめ、成人し、家族を養うなどの一生を体験するという大河的なものであるのに加え、プレイヤーのアクションがプレイヤーキャラクターの外観のみならず、世界全体にも影響を与えること、パープルオーブが存在するところであれば、いつでもどこでも他のプレイヤーを呼び出す事が出来るということをあげ、多様な世界をプレイヤーひとりひとりが「創造」し、その「創造」した世界に自らの友達を招き入れる事が出来る楽しみを強調していました。

最後に登場したのが『Gears of War』シリーズのチーフデザイナー、クリフ・ブリジンスキー氏です。紹介したゲームはもちろん『Gears of War2』。ここでもCO-OPプレイのデモンストレーションがおこなわれました。舞台は溶岩の中に沈みゆく街です。前作と同様にローコストとの熾烈な
戦いが繰り広げられていましたが、今回は前回にもまして厳しい戦いを強いられているようです。本作で最も注目したのは、前作ではカットインシーンで時々現れ、プレイヤーを震撼させたBurmakです。どうやら本作では実際にBurmakに乗る事ができるとのこと。具体的にどう操るかまでは言及されていませんでしたが、これはもう発売日を待つしかありません。

気になる発売日ですが、『Fall Out 3』は10月(日本での発売日は年内)、『バイオハザード5』は、09年3月12日(木)(欧米は翌日金曜日の3月13日)、『Fable 2』は今年の10月(日本での発売日は年内)、そして『Gears of War 2』のリリースは11月7日(日本での発売日は未定)です。

これら前半で紹介された4作品はどれもがメガヒットをねらえるハイクオリティな作品ばかり。ですが、デモプレイで最も強調されていたのは友達同士の「つながり」です。新世代機のパワーを如何なく発揮できるソフトに、オンラインならではの「つながり」を付加することで単にプレイヤーがゲーム世界に没入出来るだけでなくその没入感のあるインタラクティブなストーリー世界を友達とリアルタイムで共有、体験できるという言うわけです。
 
Xbox360はどのライバルよりもサードパーティに利益還元している

実はこの「つながり」というのが今回のMedia Briefingの大きなテーマでした。

全世界のゲーム産業規模が08年度は480億ドル(5.04兆円@1ドル、105円、)となることが予想され、ゲーム産業がエンターテインメント産業のリーダーとなる日が来る現実を見据えながら、Xbox360の市場シェア拡大を進め、今世代機におけるXbox360のリーディングポジションを維持するには・・・1.最良且つ幅広いエンターテインメントの提供、2.誰もが商品を手にできる価格、3.最高のオンライン体験を提供することが必須であり、これらを実現するうえで重要になってくるのが、ユーザー間の「つながり」ということなのです。

最良且つ幅広いエンターテインメントを提供するために

Xbox Liveのメンバーシップは日々増加しており07年のE3時、600万人だったメンバーは、1200万人まで増加しました。金額としては、2005年11月以来、現在までの間に5億ものコンテンツがダウンロードされ、10億ドル(1050憶円)の売り上げを達成したとのことです。この数値から読み取れるのは、ユーザーはもはやゲームだけでなくXbox Liveで提供されている1万もの映画やテレビ番組、オンデマンド音楽などの中から自分たちの気の赴くままにあらゆるコンテンツをダウンロードして楽しんでいるとういことです。

Media Briefingでは今後、米国ではNBC(テレビ局としてはUSA並びにSciFiチャンネルもこれに加わる)とユニバーサルスタジオが、欧州ではMGAスタジオ及びConstantin Filmがオンデマンドコンテンツのパートナーとして加わった事を発表。オンデマンドサービスでもセットトップ型ではトップを走り続ける意気込みをあらためてしめしました。このような中で、今後重要となるのがNetFlixとの連携です。米国最大のインターネットコンテンツレンタルショップである同社との連携でXbox Liveで提供できるオンデマンドコンテンツが飛躍的に拡大するのです。更にこれらのコンテンツをXbox Live上の友人と共有することも出来るのです。

ユーザー層の拡大のために刷新されるXbox Liveインターフェイス
 
Xbox Liveのユーザー層をさらに拡大し、誰もが手軽に活用することを目的として今秋、新たに導入されるのがXbox Live新インターフェイスです。従来のサービスをより楽しく、且つオンライン上の友達やコミュニティとの関係をより豊かにするべく考案されたのがAvatarを中心に据えたXbox Liveの様々な新サービス及びインターフェイス。新インターフェイスは、Xbox360内に存在するゲーム、映画、音楽といった様々なコンテンツに素早くアクセスできるようデザインされています。ただ、それと同様、またはそれ以上に重要なのが、アバターの導入です。



これにより、他のユーザーとのコミュニケーションをより手軽に実現できるようになりました。アバターは自らのアイデンティティを代替し、且つ個性を引き立てるためのカスタマイズを実現しています。またアバターを活用したサービスも数多く準備されています。具体的には、オンライン上の友達と手軽にコミュニケーションが楽しめる新コミュニティチャンネル、オンライン上の友達8人と仮想空間の中でゲーム、映画、写真、チャットいった様々なコンテンツを共有し楽しめるLiveパーティです。またアバターが導入された事で、テレビのクイズやバラエティ番組のようなユーザー参加型コンテンツも単にテキストベースで参加するのではなく仮想空間上で疑似参加を体験できるようになっています。プライムタイムといわれるこのフィーチャーは北米についてはすでにいくつかの著名なクイズ番組をベースとしたコンテンツの提供が決定しています。マイクロソフトとしてはこれら一連のサービスをソーシャルエンターテインメントと定義づけ、様々な企業と連携をはたしながら、サービスの拡充をはかっていくようです。

ゲームのプラットホームからソーシャルエンターテインメントのプラットホームへ

一方、Xbox Liveサービスを牽引してきたXbox Live アーケードも『Geometry Wars 2』や『Galaga Legion』そして『Portal Still Alive』といった、これまでの話題となってきた作品の続編のリリースが決定しました。また、Xbox Live コミュニティゲームズと名づけられたゲームタイトルはXNAによりデザインされたコンテンツの本格的なサービスインが進んでいることを示しています。

これら魅力的な作品が多数紹介されたにも関わらず、今回のMedia Briefingで強調されたのは、やはりオンラインコミュニティで楽しめるソーシャルゲームです。サードパーティによりリースが予定されている数々のゲームが画面上で紹介されたものの、実際に会場でデモンストレーションされたタイトルは、『Guitar Hero World Tour』、『Rock Band2』、そしてカラオケ型ゲーム『Lips』等、いずれも仲間と一緒にワイワイと楽しむタイプのゲームでした。ここがまさにマイクロソフトの戦略を示しているのです。すなわちコアゲーマーの囲い込みからカジュアルゲーマーの取り込みへ、ゲームファンへのサポートから、ライトユーザーの巻き込みへ。今回のMedia Briefingで紹介された一連の流れは、マイクロソフトがゲーム最優先だったXbox360事業のプラットホームとしての位置づけを、これまでの枠組みからオンラインエンターテインメント、特にソーシャルエンターテインメントプラットフォームへとドメインの拡大を推進していくことを意味しています。ただし、コアなゲームファンをしっかりと味方につけてからの事業戦略の転換は地に足がついた大変説得力のあるものであることも事実です。この方向性が明確になってもそれに対して意を唱える既存のファンがほとんどいないことからもそれが明らかです。

『Lips』


残念なのは、ここまで発展が進むXbox Liveサービスを日本のユーザーは映像面において享受出来ていないということです。おそらく権利問題がクリアしにくい、そもそもXbox360でオンデマンド映像配信のようなサービスを展開することにメリットを感じるほど普及台数が進んでいないということもありますが、他国がこの「つながり」を前提としたソーシャルエンターテインメントという一大ムーブメントの先進国となってしまう前に、日本でもこの流れを定着させることの重要性というのを理解する必要があると思います(PS3では実現できるのでしょうか..)。.おそらくこの大きな流れはニコニコ動画や、mixi、Wiiのオンラインサービスといった日本ですでに定着が進んでいるオンラインライフスタイルとはまた違ったライフスタイルを提供するはずです。これが日本でも早く実感する時代が来るといいですね。
《中村彰憲》
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