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【OGC2008】評価するユーザーがコンテンツをおもしろくする「ストーリーツリーの試み」

携帯電話の広告が盛んです。テレビCMだけではなく、ドラマの主人公たちに持たせてさりげなく機能をアピールするタイアップなども行われていますね。昨年11月から12月にかけて、NECと日本テレビがちょっと変わったタイアップを実施しました。プログ連動型ドラマ『オキナワ 男 逃げた』です。登場人物はNECの携帯電話「N905i」を使っており、動画機能をアピールする企画でした。携帯電話で撮影された動画がメールで主人公に届き、ブログに掲載されました。

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携帯電話の広告が盛んです。テレビCMだけではなく、ドラマの主人公たちに持たせてさりげなく機能をアピールするタイアップなども行われていますね。昨年11月から12月にかけて、NECと日本テレビがちょっと変わったタイアップを実施しました。プログ連動型ドラマ『オキナワ 男 逃げた』です。登場人物はNECの携帯電話「N905i」を使っており、動画機能をアピールする企画でした。携帯電話で撮影された動画がメールで主人公に届き、ブログに掲載されました。



物語の主人公、美羽は33歳のOL。彼女は、恋人が突然沖縄に移住してしまったため遠距離恋愛に悩み、11月2日にブログを開設します。恋愛の悩みを打ち明け、それに答えるコメントを元に物語が組み立てられました。ドラマは前編と後編に別れ、前編は12月5日に放送されました。ブログは継続し、さらに視聴者からのコメントは続きます。クリスマスの夜、美羽は沖縄に行くのか、それとも彼と別れ、好意を寄せてくれている会社の同期の男性と恋を始めるのか。物語はコメントを反映して、つまり視聴者の意見によって選択された結末として、12月19日に放送されました。

しかし、物語はこれで終わりませんでした。ブログ×ドラマで結末を迎えたドラマは、さらに続編が視聴者参加型小説として続きました。ドラマで美羽に訪れたふたつの選択肢が用意され、その続きを読者が綴っていきます。この新しい試みに使われたシステムがシグナルトークの「ストーリーツリー」でした。

シグナルトーク 代表取締役CEO 栢孝文氏


シグナルトーク代表取締役CEOの栢孝文氏によると「ストーリーツリー」はWeb3.0に基づいたエンターテイメントコンテンツだそうです。Web3.0についてはいまだに決定的な定義が成されていません。栢のいうWeb3.0は何か。それは「Web1.0はコンテンツ制作者が作り、ユーザーは閲覧するだけ。Web2.0はユーザーがコンテンツ制作に関わり新たな価値を生み出すもの。そしてWeb3.0はWeb2.0に加えて、ユーザーが作ったコンテンツを評価するユーザーが存在し、洗練されていく過程がシステム化されたもの」です。Web2.0はCGM(Consumer Generated Media)と呼ばれています。誰もがコンテンツ作りに参加し、新しい価値が生まれる世界です。

Web3.0のカギは「評価」


ところがWeb2.0でコンテンツが量産されていくと、かえって「おもしろいもの」「やくにたつもの」「ただしいもの」が見つけにくくなってしまいました。そこで栢氏は「ユーザーがコンテンツを評価し、価値の順位をつけよう、というコンセプトがWeb3.0だ」といいます。CGM(Consumer Generated Media)からCGRM(Consumer Generated and Refined Media)になるというわけです。

「ストーリーツリー」は、ストーリーマスターが第1話と、その最初の選択肢となるふたつの第2話を書きます。その続きは読者が書いていきます。ひとつの話に対して5つまで書けます。つまりストーリーが5つに分岐されます。分岐された物語にもさらに5つの分岐が作れます。最終話は第20話ですが、それまでにすべての分岐が書かれたとすると、最大で5の19乗、2億4414万0625個の物語が作られます。もちろん読者はすべての物語を追えるはずもありません。この中からもっともおもしろそうな話を選択して読みたいわけです。そこで次のプロセスとして「評価」が行われます。読者は1話を読むごとに「面白い」「ふつう」「削除」のなかからひとつのボタンを押せます。そして「面白い」と評価された話に評価ポイントが与えられます。評価ポイントの高い話は、その手前の話から分岐する続編リストの上位に表示されます。こうして、評価の高い選択肢を選ぶことで、満足度の高い物語を楽しめるというしくみです。

ストーリーツリーの画面


誰でも続きを書ける


「ストーリーツリー」は木をイメージしたインターフェースを採用しており、第1話は根っこです。第2話から枝が分岐し、物語は葉のアイコンになります。葉の続きは最大5本の枝が伸び、物語が書かれると葉が付きます。こうして第20話まで達すると物語は完結し、花が咲きます。つまり、頑張ればひとりで20話まで書き続け、ストーリーを自分のモノにできます。ただし、ストーリーツリーの評価システムは厳しく、20票以上の評価が得られるまではその物語の続きを書けません。つまり、作成されたばかりの物語は続きを書けず、評価によっては削除されてしまいます。

この評価のプロセスがWeb3.0です。ただ単純に話を分岐させただけでは誰でも書けますし、つまらない話ばかりになるかもしれません。しかし評価システムによって、低俗な展開は葬られ、つまらない作品は目立たず、面白い作品だけが残ります。性的表現、暴力的表現が書かれる場合も想定されますが、明らかに不快と判断された話は「削除」と判定できます。

投稿が多いほど木は大きく枝分かれしていく


ストーリーツリーは「100万人で書く1つの物語」というキャッチフレーズが与えられました。その特長は4つ。複数の結末が用意された物語を読む楽しさ、自分が作家となって小説を書く楽しさ、作品を評価する楽しさ、そして、評価ランキングで上位になる喜びです。栢氏は「根になる物語がしっかりしているほど盛り上がる。ドラマや映画、ゲームなどのコンテンツの話題性を継続させるために有効だ」と語りました。「オキナワ 男 逃げた」はドラマ自体は短い作品でしたが、ストーリーツリーで話題を継続させることで「ドラマ本編をもう一度みたい」という人を惹き付けました。そして合わせてブログを見ることで、結果的にN905iの動画機能を持続的にアピールできたというわけです。

携帯電話のタイアップドラマで使われた


栢氏はNECの例を挙げ、商品プロモーションのアイテムとして「ストーリーツリー」をアピールしました。また、次のプロジェクトとして、シグナルトーク社が運営しているオンライン麻雀ゲーム「Maru-Jan」を使った麻雀小説を企画しています。かの名作「麻雀放浪記」を超える作品が登場するかもしれません。
《杉山淳一》

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