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日本デジタルゲーム学会、第8回月例研究会を開催〜テーマは「ゲームニクス理論」〜

日本デジタルゲーム学会の第8回月例研究会が29日に開催されました。今回は、ビーマットジャパン取締役CTO兼立命館大学映像学部教授のサイトウ・アキヒロ氏を講師として招聘。ゲームライターの小野憲史氏をモデレータ(司会進行役)として、「ゲームニクス理論の概要と実践」と題した講演が行われました。

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日本デジタルゲーム学会の第8回月例研究会が29日に開催されました。今回は、ビーマットジャパン取締役CTO兼立命館大学映像学部教授のサイトウ・アキヒロ氏を講師として招聘。ゲームライターの小野憲史氏をモデレータ(司会進行役)として、「ゲームニクス理論の概要と実践」と題した講演が行われました。

今回の講師、サイトウ・アキヒロ氏モデレータの小野憲史氏


講師のサイトウ氏のプロフィールは、多摩美術大学在学中から、CMディレクターとして多数の作品を手がけ、また20年以上にわたり任天堂など多くのゲームディレクションに携わるというもの。また作り手としての活動だけでなく、雑誌「ファミコン通信」の立ち上げ・編集も行うなど、マスコミにまで及ぶ非常に多岐に渡った方です。近年は、今回の講演の題材である、ゲーム制作の基本概念となる「ゲームニクス理論」を提唱中。同時に、ネットワーク時代における“感性推論型人工知能”の開発も推進中です。

この「ゲームニクス理論」とは何かというと、日本のゲームが世界産業に発展したノウハウを理論体系化したもののことで、ゲーム+エレクトロニクスの造語です。

現在の成功している状況から、ファミコンを市場に出してそれが日本で売れたあと世界で売れて、今の任天堂があるというイメージを抱いている人もいるかと思いますが、実際には違うわけです。ゲーム産業はアメリカで創造され、ゲーム市場もアメリカで確立されたもので、日本はその模倣によってスタートし、中でも任天堂は後発でした。



ゲームの産業も市場も文化もアメリカで生まれたとして、その歴史のおさらいも国内の家庭用ゲーム機の歴史の一部。ファミコンはこのあと、'83年に登場します


が、「誰でも、取扱説明書を読むことなく、ゲームが始められる」ということと、「誰でも、遊んでいるうちにゲームにハマってしまい、ゲームが上手くなっていく」というふたつの不文律を長い時間かけて試行錯誤して構築し、それをニンテンドーDSやWiiなどのハードや、各種ソフトに活かしてきたことで、任天堂はゲーム業界の世界的なトップとなったのです。つまり「わかりやすく」て、「やりこみたく」なるという不文律こそゲームニクス理論の2大要素だと、サイトウ氏は語ります。

その2大要素をなすものとして、「直感的なインターフェース」、「マニュアル不要の操作理解」、「はまる演出と段階的な学習効果」、「ゲームの外部化」という4原則があるといいます。こうしたゲームニクス理論は、ほかの分野にも応用が利くとして、サイトウ氏は家電メーカーや教育関係者などにも提唱し、実際にさまざまなプロジェクトに携わっているそうです。

ゲームニクス理論の2大要素についてゲームニクス理論の4原則について


ゲームニクス理論の多方面への応用ですが、今回例として用いるべき素材として取り上げられたのが、近年、どの家庭でも煩わしく感じられている「リモコン」です。操作の難解さと、メーカーの違いによる操作方法の差異は、誰もが不便に感じているところでしょう。でも、ゲームニクス理論を応用すれば、「気がつけばさまざまな機能を習得している」状態になれるのです。

それは、よくできたゲームを想像すれば簡単です。基本操作から始まって、徐々に高度なテクニックや隠された知識などを覚えていき、個人差はあるものの、誰でもそのゲームのさまざまな技術や知識を身につけているはずです。優秀なゲームであればあるほど、「いつの間にか覚えた」という状態で、さまざまな技を駆使できるようになっているでしょう。このように、ゲームニクス理論を応用した形でリモコン(インターフェース)を作れば、もっと多彩な機能を簡単に使いこなせるようになるだろう、または、何十個もあるようなリモコンを作らずに済むのではないか、ということです。

そのほか教育に関しても、「子供はなぜあんなにゲームに熱中できるのでしょう?」という質問をよく受けるそうですが、それも同じとサイトウ氏はいいます。そこにやはり作り方として「次へ、もっと」と遊びたくなるような計算がされているからで、勉強にもそうした方法論を応用できれば、もっと子供たちが楽しく勉強できるだろうとしています。

最後にサイトウ氏は、「ゲームニクスとは?」ということで、「もてなしの文化」であるとしました。ゲームの途中で道具の使用方法がわからなくなりそうであれば、さりげなくヘルプが出るようにしたり、目標を見失いそうならそっと次の目標を提示したりするといった、茶の湯に代表される、気遣いや気配りなどの日本の「もてなしの文化の結晶」であるというわけです。確かに、任天堂のゲームのインターフェースの優秀さは以前からいわれており、それを追いかけていけば、もっと世の中の様々なものが使いやすくなるのではないかと大いに感じさせてもらった講演でした。


ゲームニクス理論によって生活をさまざまな面から快適にできますゲームニクス理論はもてなしの文化
《デイビー日高》
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