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【CEDEC 2013】アメリカでゲームを売るには子どもの頃からの「刷り込み」が効果的!? 2K Gamesの小島氏が語る「アメリカのゲームスタジオで働いて学んだこと」

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【CEDEC 2013】アメリカでゲームを売るには子どもの頃からの「刷り込み」が効果的!? 2K Gamesの小島氏が語る「アメリカのゲームスタジオで働いて学んだこと」
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CEDEC3日目の8月23日、2K Gamesでリードアニメーターをつとめる小島研人氏は「アメリカのゲームスタジオで働いてわかったこと」と題して講演しました。小島氏は就業形態や求められるアニメーションの違いなどについて触れつつ、同僚100人に聞いたという「日本製のゲームがアメリカで売れない理由」について紹介。アメリカ市場で受け入れられるためのキーワードとして「リレイタブル」(relatable、信頼できる・信憑性がある・確実性が高いなど)を強調しました。

家庭の事情で13歳からアメリカですごした、いわゆる帰国子女の小島氏。1998年にSCEの子会社にキャラクターアーティストとして入社し、2000年にナムコに転職してモーションチームの一員として活躍。『鉄拳』シリーズなどの格闘ゲーム制作に携わったのち、実力を買われて2006年にルーカスアーツに移籍します。ルーカスアーツがスタジオを閉鎖したため、今年から2K gamesに移籍。気がつけばアメリカでのゲーム開発も7年目に突入することになりました。

そんな小島氏の講演は大きく「アメリカの就業形態の良い面・悪い面」「ゲームのモーションにおける考え方の違い」「同僚100人に聞いた国産ゲームがアメリカで売れない理由」の三部構成で展開されました。内容は多岐にわたるものでしたが、スライドが非常にわかりやすく作られていたので、ここではポイントのみ整理してみましょう。

■ アメリカの就業形態の良い面・悪い面
【長所】アメリカでは残業過多を理由に会社が従業員から訴訟を受けるリスクもあって、最近では定時で働くのが当たり前。大前提として日本人は会社のため、アメリカ人は自分のために働くという意識の違いがあり、家族とすごす時間が非常に大切にされている。人事部が身近な存在で、ワークライフバランスやストレスフリーへの意識が高く、社会が生活のバランスを取ってくれていると感じる。成果主義が徹底しており、レイオフもあるが、自分に適さない職場で働き続けることを強いられるより健全ではないか。多民族国家であり、さまざまな価値観をもったクリエイターが議論することで、ゲームがさらにおもしろくなる。自国市場が世界で最大級なので、企画を通すのも比較低容易。

【短所】人の出入りが激しすぎてチームが安定しない。定時で帰ってしまうので、個人の成果物を上げるスピードも日本より遅い。リーマンショック以降、不況の影響が色濃く出ており、カリフォルニア州の財政難もあって生活費が高い(特に教育や医療)。そのため収入が高くても経済的な幸福感は低いと感じる。アセットのアウトソーシングが進んでおり、職にあぶれるアーティストも多い。自分のような外国人にとってはビザの問題も深刻で、ビザの種類によってはレイオフされて10日以内に次の職を見つけるか、出国しないと不法滞在扱いになってしまうこともある。

このように、総じて個人主義でストレスのたまりやすい社会だからこそ、会社が積極的にストレスフリーな環境を整えようとしている、と言えるでしょう。また肩書きや職種間のヒエラルキーが日本と比べてフラットで、自由闊達に意見が出し合える雰囲気作りが重視されているとのこと。自己主張の国だけに上司や同僚も聞き上手が多く、勤務時間内に1対1のミーティングが設定されていたり、コーヒーブレイクやランチミーティングの時間などもしっかり取られているそうです。総じて「8時間きっちり働いて帰宅する」ためのシステム作りが進んでいるのことでした。

■ゲームのモーションにおける考え方の違い
日本人は遊びを重視し、アメリカ人は体験を重視する。リアリティ(現実感)やビリーバビリティ(もっともらしさ)に加えて、リレイタブルであること(信頼感が高い、信憑性が高いなど)が強く求められると感じる。たとえばゲームに求められるファンタジーも変化しており、理想的なキャラクター(マッチョな海兵隊員など)から、感情移入できるリレイタブルなキャラクター(本当に身近にいそうな雰囲気のキャラクター、『トゥームレイダー』のララ・クロフトや『BEYOND:Two Souls』のジョディなど)が求められてきている。

ゲームのモーションもウェイト(重み)とサトリティ(微妙な動き)が重視されており、これがないと「Twitchy」(パキパキした動き)や「Gamy」(ゲームっぽい動き)と評価されてしまい、最悪の場合「Disconnect」(冷めてしまう)と言われて、NGとなってしまう。ゲームシステムにおいても『バットマン』『アサシンクリード』のように、先行入力でアクションを繋げていくようなスタイルが増えてきている。日本で格闘ゲームを作っていた頃はレスポンスが命だと思っていたが、こちらに来てずいぶん考え方が変わってきた。最近ではモーションごとに1から10のレスポンス表を作って、ゲームデザイナーと議論しながらモーションの長さを管理している。

このほか小島氏は日米のゲームキャラクターにおける演技の違いとして、日本は舞台的演劇(大げさなふるまい)で、アメリカは映画的演劇(自然なふるまい)という違いを指摘しました。そのためアメリカ市場向けのゲームを作る時に、日本人の俳優を使ってモーションキャプチャーをすると、動きでユーザーが冷めてしまうので、アメリカ人の役者を使うべきだと指摘しました。また一口に役者といってもピンキリなので、できればハリウッドのお膝元で層が厚いロサンゼルスの役者を使うべきだといいます。なお筆者補足ですが、日本のキャラクターの芝居が演劇風なのは、リミテッドアニメーションの動きに子どもの頃から親しんでいる点があるかもしれません。

■同僚100人に聞いた日本製のゲームがアメリカで売れない理由

回答は多岐にわたりましたが、ここでは主要な「マーケットシフト」「文化的なギャップ」「ストーリーテリングの違い」について紹介しましょう。一方で「任天堂は別」という意見や、「遊び自体はおもしろいので、プリプロダクションは日本で行い、プロダクションは欧米で行えば良い」という声も見られました。また「日本のゲームは今でもおもしろい」「アメリカでもコンソールゲーム市場は最盛期から20%近く減少している」といった擁護派もあったとのことです。

【マーケットシフト】80年代から90年代にかけては日本製のゲームしかなかったが、2000年代から欧米市場が欧米市場が拡大するにつれて欧米人主導のマーケットとなった。特にXboxが登場してからアメリカ人が好むゲームが増えてきている。逆に最近では日本のゲームで欧米に媚びているように感じるタイトルが増えてきた。その結果、日本ゲームのアイデンティティが喪失しているように感じる。

【文化的なギャップ】いわゆるアニメ的なファンタジーと、ゴシックファンタジーに代表される「ファンタジー」の捉え方の違い。「(大きくて青い)目が駄目」。キャラクターデザインが欧米人が好むローマンプロポーションとかけはなれている。演技がオーバーアクションで引いてしまうなど。また「そもそも文化が違うので、日本のゲームは欧米ゲーム以上にフォーカステストに予算を投じるべきだ」という声も見られた。

【ストーリーテリングの違い】ストーリーがランダムすぎる・ストーリーを軽視している・深みがない・話が長くてすぐに遊べないなど。「一般的なアメリカ人は12分で食事を済ませると言われるほどせっかちで、すぐに要点を知りたがる」といった声もあった。また「アメリカ人はデモに弱いので、結果的にストーリー重視のゲームが売れる(だからストーリー面に、より気を配るべき」といった声も見られた。

こうした意見を総括する形で、改めて強調されたのが前述の「リレイタブル」です。小高氏は「SF映画で多くの宇宙人が人間のようなプロポーションをしているのは、パッと見て観客に宇宙人だと理解してもらうため。もし人間的なプロポーションでなければ、意味が分からなくて観客が混乱してしまう」という声も紹介し、アメリカ人が日常生活で見慣れている表現や記号、すなわちコンテキストに即したゲーム作りを行うことが、アメリカ市場で受け入れられるポイントだと分析しました。また写実的表現と対極の位置にある任天堂のゲームが広く受け入れられているのも、子どもの頃から慣れ親しんでいるため、違和感がないためと解説しました。

最後に小高氏はアメリカ市場でヒットするゲームを作るために「欧米のスタジオで作る」「(任天堂ゲームのように)普遍的な魅力を持つゲームを作る」「日本人の感性で作った商品を欧米で出し続ける(子ども向けのゲーム作りに力を入れ、10年以上の期間をかけて、ユーザーを戦略的に『洗脳』する)」という3つの方法論を示しました。余談ながら筆者は3点目について、日本マクドナルドの創業者・藤田田氏が「人間は12歳までに食べてきたものを一生食べ続ける」と語ったエピソードを思い出しました(同社は今日に至るまで一貫して子ども向けマーケティングを重視しています)。海外市場でのシェア回復に王道はなく、どれだけ日本企業が戦略的に、腰を据えた展開ができるかが鍵を握るといえそうです。
《小野憲史》

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