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【ゲームニュース一週間】ゲームを評価することの難しさ

首都圏が突然の雪に襲われた2月最終週は、ゲームを評価することに関する興味深いニュースがありました。

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首都圏が突然の雪に襲われた2月最終週は、ゲームを評価することに関する興味深いニュースがありました。

GametrailersはWii用ゲーム『Deadly Creatures』のレビュー動画を公開、以下のようにゲームを採点しました。

STORY:8.0
DESIGN:7.1
GAMEPLAY:6.8
PRESENTATION:8.5
OVERALL:7.3

総合7.3点という評価が低いとするコメントがいくつか投稿されて物議を醸しました。


N+ではDOTED氏による「ニンテンドーDSブラウザー」「ニンテンドーDSiブラウザー」の比較動画が公開されました。両者同時にNew York Timesのページを読み込ませることで速度を比較するというもので、「ニンテンドーDSiブラウザー」の圧勝となりました。

ゲームを評価するということは極めて難しいことです。

ゲームは人によって感じ方が違いますし、感性を計る物差しもありません。「ニンテンドーDSブラウザー」「ニンテンドーDSiブラウザー」の比較動画は時間という絶対の物差しが基準になっており、異論を挟む余地は全くありません。読み込み速度は一目瞭然です。

しかしながらゲームはそうはいきません。

この問題に一つの回答を出したのがMetacriticです。Metacriticは複数サイトのレビューを点数に換算。その平均を「メタスコア」として公表していると同時に、ユーザーの付けた点数の平均も公開しています。

『Deadly Creatures』は28のレビューを平均してメタスコアが74(100点満点)。読者評価は12の投票を平均して9.4点(10点満点)。見事に差が出ていることになります。

メタスコアの内訳を見てみましょう。

28サイト中、75点以上となっているのが16サイト。74〜50点が11サイト。最高は93、最低が43となっています。同じものを見て片や43点、片や93点ですから、ゲームの評価というものがいかに感性に左右されるかが分かります。

『Deadly Creatures』はクモやサソリがトカゲやカマキリと戦うアクションゲームですが、昆虫やは虫類が苦手な人が見た場合、評価に全く影響しないことはないでしょう。逆もまた然りです。

突き詰めていけば行くほど、「真に客観的にゲームを評価することは不可能である」という結論になるのですが、最も評価が難しいゲームとは何でしょうか?

それは開発段階のゲームや企画段階のゲームアイデアです。製品という形になっていないのですから当たり前ですが、これを適切に評価することを求められる人々が居ます。

いわゆるパブリッシャーや、ゲームの開発にGOサインを出す立場の人々です。
現在のゲーム界は非常にデリケートな状態にあります。

世界的な不況に加え、海外では人員と資金を投入してヒットを狙う「ハリウッドスタイル」が破綻。新たな希望としてWiiやニンテンドーDS市場がクローズアップされるも、ハードコア層とライト層が二極分化した状態で「Wiiユーザー」「ニンテンドーDSユーザー」として一括りにすることが難しくなっています。
果たしてユーザーが望むタイトルに適切に資金が分配されるのか。

実はここ数年の問題というのは開発手法と同時に「複数あるアイデアのうちどれを開発するか」という選球眼の問題でもあり、こればかりは数値化もマニュアル化も不可能な領域。逆にプレイヤーとしては、きちんと心のこもったゲームを見分けなければならない訳で、この両輪が同じペースで回れるかが2009年の鍵の一つといえるでしょう。
《水口真》
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