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【今どきゲーム事情】中村彰憲:来場者1万人!太秦戦国祭り、ゲーム関係イベントを徹底リポート〜

京都・東映太秦映画村では10月18日〜19日に、ゲーム、アニメ、時代劇などが一同に集まった歴史創作をテーマとしたイベント「太秦戦国祭りドラマティック・ドリームディメンション」(太秦戦国祭り3D)が開催されました。株式会社タブリエ・コミュニケーション企画・運営によるCospatio in太秦戦国祭りや、甲冑武者寸劇などが行われたこともあり、和装・戦国モノのゲームコスプレイヤーと、本格的な甲冑武者が同じ場所を跋扈するという普段あまり見かけない光景が広がります。来場者は2日間で1万人を数え、会場は常時、大盛況でした。

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京都・東映太秦映画村では10月18日〜19日に、ゲーム、アニメ、時代劇などが一同に集まった歴史創作をテーマとしたイベント「太秦戦国祭りドラマティック・ドリームディメンション」(太秦戦国祭り3D)が開催されました。株式会社タブリエ・コミュニケーション企画・運営によるCospatio in太秦戦国祭りや、甲冑武者寸劇などが行われたこともあり、和装・戦国モノのゲームコスプレイヤーと、本格的な甲冑武者が同じ場所を跋扈するという普段あまり見かけない光景が広がります。来場者は2日間で1万人を数え、会場は常時、大盛況でした。

「太秦戦国祭りドラマティック・ドリームディメンション」開催

会場の模様


ゲームブースも大変な盛り上がりで、映画村セットをそのまま活用したカプコンのブースでは、『戦国BASARA バトルヒーローズ』の体験台が、一時期には80分待ちになるほどの盛況ぶりでした。「ゲームのコアユーザーだけではなく、家族の方々が子供さんといっしょに来ていたり、年配の方々にも興味を持っていただけることが魅力」とは、同ブースの担当者。一方、アクワイアブースは最新作の『天誅4』および『侍道3』の試遊台に加え、コンセプトアートや貴重な原画が展示されていました。これらは太秦戦国祭りのみに出展されたということです。同ブースでは、年配の方、海外の方、ゲーム会社が出展していることに知らずに入村した人たちが、試遊台を見つけ嬉々としてプレイする様子が見受けられたとのことでした。

これまであまりゲームに触れる事がなかった人たちもこんな機会を通じてゲームの魅力を理解してくれるといいですね。

こちらは『天誅4』『BASARA』も人気でした


■太秦上洛ラウンドテーブルでは小林裕幸氏/堀江信彦氏が夢の競演!

一方、19日に行われた太秦上洛ラウンドテーブルでは、あの『花の慶次―雲のかなたに』の編集担当者として同作品を総合プロデュースした堀江信彦氏、『戦国BASARA』シリーズプロデューサーの小林裕幸氏、そして、『戦国BASARA』シリーズで前田慶次役を演じる森田成一氏が一同に会して、前田慶次について語り尽くしました。なお、ラウンドテーブルには、戦国グッズ専門店「戦国魂」のメンバーであるMasa氏、真壁太陽氏、鈴木智博氏も参加しました。

左より堀江信彦氏、小林裕幸氏、森田成一氏


堀江氏は、『花の慶次』の制作秘話を披露。その中で、原作者で作家の隆慶一郎氏(故人)との関係について触れました。堀江氏については、ポスト『北斗の拳』を目指し、あらたな作品のネタを探している際、書店で偶然手にした『吉原御免状』に感激を受け、隆氏にコンタクトしたとのことです。ですが、当時、同氏はすでに高齢であったうえに病床に伏していたことが発覚。そこで、あらたに原作を書き起こすのではなく、既存の作品を原作として脚本を執筆してもらうよう、説得を進めていきました。どの作品を漫画化するべきかと尋ねたところ、隆氏は傾奇者でありながら命がけで戦に挑む姿勢が魅力的であるということで、前田慶次郎を描いた『一夢庵風流記』を自ら薦めてきました。そこで、同作を原作として読み切り作品として漫画化することに決定したとのことです。

隆氏は冒頭4枚ぐらいまで執筆されていたが、その後は体調が悪化したため、結末は原哲夫氏と堀江氏で作ったとのことです。結局、隆氏は完成した作品をその目にすることはなかったのですが、隆氏は『一夢庵風流記』漫画化を原氏と堀江氏に委ねる旨を遺言で残していた事から連載版の『花の慶次―夢のかなたに―』が誕生したとのことです。このようなことから、堀江氏は、原哲夫氏とともに隆慶一郎氏の最後の弟子だったとその関係を明かしました。

当時の編集担当者として、堀江氏は安土桃山時代の絢爛さを、全品新品であるが如くに執筆するよう伝えた旨を例に持ち出し、当日参加した多くのコスプレイヤーの姿も当時の華やかな様子に意外に近いのではと分析しました。

また、堀江氏は、原哲夫氏と堀江氏の共同原作により、直江兼続を主人公とした、『義風堂々 直江兼続 −前田慶次 月語り』が新連載されることにも触れました。事実上『花の慶次』の続編とも言える同作の発表に会場も大いに盛り上がりました。

この発表に対し、『戦国BASARA』で前田慶次役の森田成一氏が“世紀末やSFモノがほとんどだったときに『花の慶次』のような時代劇モノが生まれたことに衝撃を受けた”という当時の自身の気持を明かしました。また、歴史と自分たちの距離感を一気に狭めたと同時に、同作品が新しい手法で時代劇を表現する転換期になったとその重要性を高く評価しました。

■小林プロデューサーが語る前田慶次誕生秘話

一方、『戦国BASARA』シリーズプロデューサー、小林裕幸氏は、同シリーズにおいていかに前田慶次をフィーチャーしたかについて説明しました。当初は、前田慶次を出すとどうしても『花の慶次』を想起してしまうということを危惧した小林プロデューサーは、同キャラクターを主人公級に据える事を避けていたとのこと。ですが、どうしても花がないという指摘を開発チームの中から受け、『花の慶次』とは別路線で前田慶次を登場させることにしました。そこで考えたキーワードが「恋」だったのです。ここに「恋をする男、前田慶次」が誕生し、酒を飲むシーンや、子猿夢吉の登場、そしてさまざまな名ゼリフなどにつながっていったとのこと。

森田氏も小林プロデューサーと同様に前田慶次役と聞いてまず『花の慶次』を想起したという心情を告白しました。戦国武将はドラマや映画でさまざまな役者が演じられていた中、慶次に関しては、原哲夫氏が描いた、あの絵とあの振る舞いしか誰も思い浮かべることができず、そこから皆が想像するであろう「声」自体もライバルとしたうえで、自らがすでにアウェイであったと分析。この思いと、すでに人気のある『戦国BASARA』との狭間で悩まされた部分もあったといいます。ですが、恋、子猿、桜の中での舞というものを大切にしつつ、前田慶次の根底には友情があると分析。女性的感性も踏まえた人物として演じたとの心境を改めて述べました。

『戦国BASARA』ブースの様子


小林プロデューサーも、『戦国BASARA』シリーズのイメージそのままだと、森田氏の声に太鼓判。開発チームのメンバーもこの声があったことで、『BASARA』シリーズの前田慶次を確立できたとのことでした。

ここで、太秦戦国祭りのプロデュースで中心的な役割を果たしている戦国魂メンバーで漫画家の真壁太陽氏が乱入。森田氏に慶次を演じる際どのような意識をもって演じられるか質問しました。これに対し森田氏は、“役者は虚構というルールの中でしか生きられない”といった自身の役者哲学を披露したうえで、前田慶次を演じる際も台本の中で感じたものをストレートに表現したと答えました。また、戦国魂代表の鈴木智博氏からは、小林プロデューサーに対し、前田慶次の基調カラーが黄色であることに関して質問が。小林プロデューサーは、これは、伊達の青、真田の赤と来て、次のメインキャラクターと考えたところで黄色を多めにというオーダーを出した結果、結果的に黄色が非常に多くなっていたという意外(?)なエピソードを披露しました。この他に、前田慶次と豊臣秀吉との関係についても言及。『戦国BASARA』シリーズファンにとっては、トリビア情報満載のトークになりました。

■前田慶次の魅力とは

後半のディスカッションでは、前田慶次をテーマに各登壇者が自由に意見を交わしていました。小林プロデューサーは、“慶次は芯がしっかりしており、自分たちが何をやりたいかをしっかり主張できるところが魅力”と語りました。一方、“人間臭さがその魅力”としたのが森田氏。“この世の表面的な決まり事ではなく、善悪の判断も自分の中にあるといった、不文律の決まりを信じていることが心に響くのだ”としました。一方、堀江氏は、前田慶次の引き際の良さをたたえながら、現在の日本の状況を痛烈に風刺しました。

また、真壁太陽氏が前田慶次を音楽バンドに、堀江氏が筋骨隆々の利休にたとえると会場は大いに盛り上がりました。最後にMasa氏が慶次の生き様を一言で「Going My Way」と表していましたがこれには多くの人が共感を覚えたようです。

このようにさまざまな視点から前田慶次が語られたのですが、ゲームプロデューサーも、漫画家も、声優も、漫画プロデューサー、戦国ポータル主宰も、立場は違えど前田慶次という人物に対する思いは強く感じることができました。ゲームにしても漫画にしても武将画にしてもこうした思いが良い作品につながっていくということを改めて実感した瞬間でした。このような意識の共有に基づきながら、1人の武将をさまざまなメディアで描かれる様子は、まさにこれからのコンテンツ産業を示唆しているような印象を受けました。そのような意味からも、これからの太秦戦国祭りの展開に期待です。

会場の様子マスコットキャラクター「うじゅ」
《中村彰憲》
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