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日本のゲームを後世に残すため「哲学」と「取りまとめ」がキーに―フォーラム「日本のゲームアーカイブの現在と未来を考える」【レポート】

ゲームのアーカイブ保存について産官学それぞれの立場からキーパーソンとなる有識者を交え、ゲーム保存の現状と課題についてさまざまな角度から展望を見据えての議論が行われました。

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日本のゲームを後世に残すため「哲学」と「取りまとめ」がキーに―フォーラム「日本のゲームアーカイブの現在と未来を考える」【レポート】
  • 日本のゲームを後世に残すため「哲学」と「取りまとめ」がキーに―フォーラム「日本のゲームアーカイブの現在と未来を考える」【レポート】

2024年1月28日、立命館大学ゲーム研究センター主催のオンラインフォーラム「日本のゲームアーカイブの現在と未来を考える」が開催されました。

年々盛り上がりを見せるゲーム業界ですが、アニメや漫画といったカルチャーと比較するとまだまだ歴史が浅いこともあり、過去の作品や資料などのアーカイブを保存していくための基盤はできあがっていません。

そんなゲームのアーカイブ保存について産官学それぞれの立場からキーパーソンとなる有識者を交え、ゲーム保存の現状と課題についてさまざまな角度から展望を見据えての議論が行われた本フォーラムの模様を、本稿では基調講演を中心にレポートします。

「なぜ保存するのか」を示す哲学が求められる

最初にモデレーターを務める細井浩一氏(立命館大学、ZEN大学(仮称・設置認可申請中)歴史アーカイブ研究センター所長)より本フォーラムの趣旨説明が行われ、ゲームは漫画やアニメと並ぶメディア芸術であり、メディアミックスなどのコンバージェンス(循環と収束)によって一体化しつつあるにも関わらず、アーカイブ保存状況には大きな開きがある現状が確認されました。

世界全体にまたがる巨大な産業となっているゲームは技術的に複雑な特性を持ち、アニメや漫画とは事情が異なります。産業振興はもちろん、その保存の問題も表裏一体として捉え、産官学が一体となって基盤を支えるための施策を議論していきます。

続いて、漫画家であり現職の参議院議員である赤松健氏による基調講演「日本のゲームアーカイブ、その現状と展望」へ。

漫画家として生原稿の保存や絶版漫画の電子化を進めてきた赤松氏は、ゲームが漫画に比べてアーカイブ保存が遅れている事実に触れながら、正しくアーカイブを後世に残すことは拡大再生産や技術の伝承に繋がるため必要なことであり、それができないと類似のコンテンツについて他国から起源を主張されてしまうリスクなども指摘。そしてアーカイブ保存には産官学の連携が不可欠であることから、参議院議員である赤松氏が取り組んでいる活動や視点が紹介されました。

時代と共に失われてしまう過去のゲーム機やゲームソフトをデジタル化して国立国会図書館へ資料として保存する案はあるものの、一部のゲーム会社では「体験を提供している」として、単にデータのみをプレイアブルアーカイブ化することを歓迎していない例があると紹介。これは実際に紙をめくって読む体験を重視する絵本のデジタル化に際しても直面した問題であり、そうした場合に「なぜ後世に残すのか」を説明できる必要があると述べました。

赤松氏はこれを「アーカイブ哲学」と表現し、どんな意義を最優先にしてアーカイブ保存を進めているかを国民やメーカー、クリエイターに説明して戸惑いや拒絶反応を収める重要性を強調。海賊版サイトがアーカイブを担ってしまっている現状については、内容の正しさもチェックできず、権利が残っていても適切なマネタイズにも繋げられない問題があると述べ、「我々がアーカイブしているという誇りと広告料を延々と渡してしまっている」と、適切な保存の必要性を説きました。

実現可能性が高いアーカイブ先の候補としては国立国会図書館が挙げられ、2000年以降はゲームも納本制度の対象となっているため、多くのゲームが集まっていることを紹介しました。国立国会図書館は一般人でもゲームの寄付が可能であり、一定の要件下では権利者の許諾がなくとも複製も認められているものの、コピープロテクトの解除などの運用について理解を得るため、赤松氏は一年半の議員活動でゲーム保存に関わる団体や人物、企業に説明をして回っているとのことでした。

赤松氏は「フロッピーディスクなどの媒体を新しいものへマイグレーションしていく作業も必要」と紹介

また、赤松氏は海外視察にも注力しています。納本されたゲームは調査研究のためなら常にアクセスできる状態になっているフランス国立図書館の例などを紹介し、この「フランス国民が誰でもアクセスできるべき」という考えが著作権保護よりも高いレベルにあると断言して制度を運用している姿勢こそがアーカイブ哲学であると語りました。


《ハル飯田》
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