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ひまわりが新たな一歩を踏み出すまで―Vシンガー・かしこまり3周年ライブ「Kashiko Mari 3rd Anniversary Acoustic Living Live」に至る軌跡とこれから

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ひまわりが新たな一歩を踏み出すまで―Vシンガー・かしこまり3周年ライブ「Kashiko Mari 3rd Anniversary Acoustic Living Live」に至る軌跡とこれから
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「しんどいことや悲しいことがあっても、それは“起承転結”の“転”なだけだから」

ショートカットに緑の瞳、泣きぼくろ。そのルックスの通り、天真爛漫を絵にかいたようなキャラクター。そしてトレードマークの黄色のスカーフ・スカートから“ひまわり”と形容されるバーチャルシンガー「かしこまり」。彼女のデビュー3周年を記念して「Kashiko Mari 3rd Anniversary Acoustic Living Live」が2月12日にYouTube(Mari Channel)にて開催されました。

アコースティックピアノの旋律と共に、はらり淑やかにヨルシカ『春泥棒』のカバーからライブが幕開けると、約2500人の視聴者が彼女の歌声に酔いしれました。本ライブのコンセプトは“かしこまりの自宅のリビングに遊びにきた”というもの。少し照れ臭そうに「ちゃんまりのリビングに1000人(以上)もいると思うとめちゃくちゃ面白いね」と笑います。

――2018年2月のデビュー当時、彼女のような高品質なアレンジを加えての楽曲カバー、MV制作を行うVTuberはほとんどおらず、何より持ち前の力強いメゾソプラノボイスから、かしこまりは瞬く間にシーンの中心へと躍り出ます。同時期に活動をスタートした人気VTuberユニット・おめがシスターズとのワルキューレ『いけないボーダーライン』カバー動画は約半年で再生回数ミリオンを達成。キズナアイとともにバーチャルYouTuberという概念を世に放ったActiv8が運営するバーチャル支援プロジェクト「upd8(2020年12月31日に解散)」に参加すると、2018年9月には自身2度目となるソロイベント「MARism Vol.2」で渋谷WOMBをひまわり色に染め上げました。


そして彼女を語るうえで、忘れてはいけないのがマネージャーのパンディです。彼はデビュー動画から側にいる“しゃべるタンバリン”で、マイペースかつ突拍子のないかしこまりのボケに対して器用にツッコミ役をこなし、二人の掛け合いの気持ちよさは、ゲストとお酒を酌み交わしながら雑談生配信を繰り広げる「ヨルタマリ」という人気企画を生み出しました。

2019年2月の一周年のタイミングには彼女が作詞・作曲を務めたデビューシングル『ルーティン』が公開。続け様に1stミニアルバム『from M』を発売し、3度目のソロイベントも成功させるなど、同年はシンガーソングライターとして活躍の場を広めていったかしこまり。しかしそんな彼女の歩みに対して、すっかり逆風へと変容してしまったものがありました。それはVTuber市場の主潮です。

2019年後期にもなるとユーザーの高い支持を集める存在は、人件費がかからない、本人主体の生配信を中心に活動する“ライバー”へ。ひいてはそのようなライバー複数人からなる“箱”へと取って代わられていました。昨今まで高い人気を誇るホロライブやにじさんじが最たる例と言えるでしょう。“よりハイコンテクストであること”が人気を集めるカギとなり、多くの手をかけて作り込まれた個よりも、個と個が引き起こす化学反応こそがより再生されるコンテンツとなっていきました。VTuberカルチャーの筆頭とも言えるキズナアイですらも、その煽りを受けるなか、かしこまりにとって多くの試練が2020年に訪れます。


1月に2ndミニアルバム『BiiRTHDAY』のリリース、2周年の節目には自身初のVRライブを主催するなど2020年もトピックスが無かったわけではないですが、活動の軸となる動画の再生数、生配信の視聴数は苦戦を強いられるようになっていました。彼女の運営体制についてはあまり公にされていませんが、かつてのようなコンテンツ提供ができなくなっていることは誰の目にも明らかでした。そして10月には前述のパンディをはじめ、デビュー時から運営サポートをしていたメンバーの離脱が発表。さらにはupd8が解散し、2021年から「個人勢として活動を続けるか」「辞めるか」の決断が迫られることになります。

そしてかしこまりが選択したのは、“ゆっくりでも歩き続ける、歌い続けること”でした。

「ちゃんまりはちゃんまりとしてずっと生きていたい!」という“明日のライブとこれからの活動に込めた想い”がツイートされると、減少の一途を辿っていた彼女のYouTubeチャンネル登録者数は1年ぶりとなる12万人に再到達します。

2500人以上が見届けた「私からの決意表明」



そうして迎えたのが「Kashiko Mari 3rd Anniversary Acoustic Living Live」でした。そこには2年前のようなリアルライブ会場も。1年前のようなVRライブ会場も。姿を高精度に捉える光学式カメラも。動的なカメラワークも。華やかな衣装チェンジも存在しません。

それでもチャット欄は一面のひまわりで埋め尽くされ続けていました。ずっと。

照れ臭そうなオープニングトーク後、「ヨルタマリ」おなじみの乾杯を行ってから、約1時間に渡って繰り広げられたライブの様子は、是非ともアーカイブをご覧ください。一般的なライブレポートであれば、移り変わるステージの写真とともに曲を紹介していくのでしょうが……。決してスクショの羅列では伝わらない、確かな“決意”が乗った歌声には息を呑むことでしょう。

疾走感のあるバンドサウンド。新曲『Virtual Cinema』の2月19日リリースが発表された

ライブ中盤には「バーチャルな存在だけども、一つの人生=物語として、生きてきた証が映画のように“面白かったな”と思ってもらえるように生きたい」「しんどいことや悲しいことがあっても、それは“起承転結”の“転”なだけだから、これから先の展開を私も楽しみにしていきたいと思います」と、本ライブのテーマである決意表明を込めた新曲『Virtual Cinema』もお披露目されました。

堪えられない涙の夜も すべては超大作のプロローグ

シンガーソングライターとして、作詞も作曲も手掛けるかしこまり。本楽曲にはそんな彼女の“イマ”の想いがギッシリと詰め込まれていました。そして同じく彼女が生きてきた証である『ちいさくてもひまわり』『ルーティン』、アンコールの『8センチ』へと繋がっていきます。

「Kashiko Mari 3rd Anniversary Acoustic Living Live」セットリスト

01:春泥棒(カバー)
02:ナイトストーリー
03:cake
04:いのちの名前(カバー)
05:夜に駆ける(カバー)
06:Stand By You(カバー)
07:My Dearest(カバー)
08:Virtual Cinema(新曲)
09.:ちいさくてもひまわり
10:ルーティン
Encore:8センチ

最後に筆者の感想を述べると、VTuberの音楽ライブで目頭が熱くなったのは2019年10月のときのそら1stワンマン『Dream!』以来でした。決意/覚悟というテーマに弱いのかもしれません。とはいえ、そういうエモーショナルな部分だけが本ライブの魅力ではなく、例えばトークパートでは、(水分補給でむせるなど)いつものちゃんまりの姿に笑みがこぼれる一幕も。


個人勢として歩き続けること、歌い続けることを選択した彼女。ライブの最後には「一人(個人勢)といっても、全然一人じゃない」と多くの縁から自身が成り立っていることを説明しつつ、「まだわからないけど、もしかしたらまた、みんなにお報せできることがあるかも!期待していてください!」とコメントしました。ちいさくてもひまわりのように、これからも誰かを元気づけ続ける。そんな映画はここからスタートします。
《矢尾 新之介》
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