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「ひなビタ♪」ライブで輝く彼女たちを支えたLive2Dはいかにして作られたか―alive2018セッションレポート

株式会社Live2Dが主催する「alive2018」イベントレポートをお届けします。本稿ではセッション「ひなビタ♪ライブ2018のLive2D制作について」として、ARライブ映像の制作手法について報告致します。

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イラストとアニメーションは同じようでいて異なるものでした。緻密に描かれた一枚のイラストが、そのままのタッチで動くのならば──夢物語のように思われたことが、様々な技術によって叶えられることとなりました。今や「それら」は動くどころか、歌い、踊り、意思を持つかのように躍動するまでになったのです。

2018年12月3日──ベルサール秋葉原にて、Live2D社による「alive2018」が開催されました。Live2D社の技術を活用したコンテンツが一気に広がった2018年、同日に行われたセッション群も、その「夢」の表現として堂々と並んでいます。

イベントレポートとして本稿では、セッション「ひなビタ♪ライブ2018のLive2D制作について」の内容をお届けします。イラストとして描かれているキャラクターであるはずの「ひなビタ♪」メンバー達が、2018年3月にTOKYO DOME CITY HALLにてライブを開催。メンバーの個性が細かく表現されたその演奏の姿は、Live2Dの技術に支えられたものだったのです。

キャラクターバンドコンテンツ「ひなビタ♪」


左:川上さん 右:中山さん

まず登壇したのはLive2D Creative Studioサブリーダーの中山さん。「ひなビタ♪」の紹介をして頂きました。


「ひなビタ♪」とは、コナミデジタルエンタテインメントがプロデュースするプロジェクトのひとつです。架空の市にある「日向美(ひなたび)商店街」を盛り上げようと、五人の少女たちが奮闘するというバックストーリー。「日向美ビタースイーツ♪」というバンド名から「ひなビタ♪」となります。


2012年より活動が開始され、キャラクター達の日々の模様がブログに投稿されたり、これに連動して作曲風景が公開されるなど、ライブ感のあるコンテンツを演出。そして、作成された曲が実際にラジオやリズムゲームで登場するなど、総合的な体感型のキャラクター達として人気となりました。

企画・原案・監修はTOMOSUKE氏。筆者はリズムゲームにおいて『beatmania IIDX』に熱中したことがあるのですが、特に第12作目『beatmania IIDX 12 HAPPYSKY』ではTOMOSUKE氏による「Tizona d'El Cid」というラテン調の曲をひたすらやっていた記憶があります。筆者は当時、JAZZバンドをひっそりやっていた学生だったので、数少ないこうした曲調は印象に残るものでした。

卒業ライブはLive2DによるARライブ!



2018年の3月には「ひなビタ♪」のメンバー達が高校を卒業することになります。ここで、キャラクター達が卒業ライブとして「ひなビタ♪ライブ2018 SWEET SMILE PARADE~待っててね、東京さんっ!」を開催。TOKYO DOME CITY HALLにて、Live2Dによるアニメーションに連動した演奏と歌声が流れるARライブとなったのです。


講演ではライブの模様の一端として「凛として咲く花の如く」の演奏を視聴させて頂きました。「IIDX」プレイヤーであれば馴染みのある楽曲です(別のリズムゲームにも展開しています)。画像のキャラクター「霜月凛(しもつきりん)」は物静かなキャラとして動きが少なめではあるものの、それでもライブ映像の上では細かな動作が曲に応じて散りばめられていることがハッキリと伝わってきました。

特にドラムを担当している「芽兎(めう)めう」は動きも大きくなるパート。学生の頃にJAZZドラムをやっていた筆者は特に注目していたのですが、演奏として違和感なく表現されていながら、詰め込みすぎない形で上手に整えられていると感じました。

動きは「個性」で表現!!こだわりのモデル制作



続いて登壇したのはLive2D Creative Studio デザイナーの川上さん。先行して制作されたというベース担当の「和泉一舞(いずみいぶき)」を軸に、Live2Dによるモデル制作の指針を紹介して頂きました。

イラストレーターであるCUTEG(カム)氏の作風をそのままに、社内で衣装デザイン・原画から制作を開始。コンセプトとして「キャラクターの個性」を活かしつつ、東京へ進出するという意義を込めた服装を用意。Live2Dでの見栄えも意識したデザインとなっているとのことです。


ベースという楽器の動きとして、身体を回転させる形で振る動作を表現。その際にベースそのものを立体的に見せるための工夫として「楽器の側面にあたるパーツ」を、ベース前面に隠れる形で配置するという手法を紹介。動きにあわせて側面パーツを変形することで奥行きを表現しているのです。動作している映像を見ると、確かにベースが3Dポリゴンのような立体感を帯びていました。

Live2Dの連動機能により、身体を動かしても楽器に置かれる腕の位置が不自然にずれてしまわないようにパラメータ調整されているとのこと。また、ベースのネックをなぞる動きに「セクシーさ」を出すために、手首の回転に関する調整にこだわったそうです。

更に右手の動きとして「ピック」での演奏と「指」での演奏と、それぞれのモデルを用意し、曲によって正しい演奏法となるよう設計されていました。


モデル全体の動作として、力強く音楽へ「ノる」為の設計を導入。音楽に合わせて深く身体を沈み込ませるような方向へ調整されています。楽器の回転、脚の動作などを組み合わせて「よく動く」キャラクターを作り上げたそうです。

Live2Dは完全な3D表現には向かない為、そもそもソフトウェアの推奨する「表現可能な角度」といったものがアナウンスされています。Live2Dの製品ページを参照すると、2D表現のソフトウェアである「Cubism」は、最適な表現範囲を左右40度としているようです。

必然的に、よく動くキャラクターは設計においてこの範囲の制限と格闘することになり、様々な工夫が問われるということでしょう。しかしながら、筆者がライブ映像を視聴した限りでは横方向への歪みといった違和感を覚えることはありませんでした。

更に、歌詞に合わせてリップシンク調整を行うことで「歌っている感」を向上。3Dゲームでは一般的となってきましたが、歌唱という点でより大きめの表現としたそうです。「イ」の音ではしっかり歯が見えるといった調整がされていました。


続けてギター担当の「霜月凛」モデルの紹介へ。こちらは一転してクールな個性から大きな動きは少なめとなっています。右手で単音の演奏をする際に、手首のパラメータと連動させることで、わずかながら腕全体も一緒に動くといった調整がされているとのことでした。筆者はギター未経験ですので、ハッキリとは分からなかったのですが、よく見ていなければ気付けないほどの細かい動作です。


三人目は、同じくギター担当の「春日咲子(かすがさきこ)」モデルです。特にソロ曲では座った状態で弾き語りをする場面があり、専用のモデルが用意されていました。更に、弾き方の個性として右手を捻るようなピッキングの表現とされています。


ひなビタ♪リーダーであるキーボード担当の「山形まり花(やまがたまりか)」モデルは、楽器が固定となる為に身体全体の動きは控えめであるものの、その分は腕や指先の表現に集中されています。腕の上下左右移動、手首の回転は当然のことながら、全ての指一本一本に対して縦と横のパラメータが設定可能となっているので、曲の演奏に忠実な表現が可能となっているわけです。


ラストはドラム担当の「芽兎(めう)めう」です。めうめう……という名前だけは聞いたことがあるのではないでしょうか。彼女は突飛なキャラクターである印象を持つ方も多いと思いますが、仲間想いで学業は優秀であり、リズムゲームも全国レベルの圧倒的な腕前を持つなど、なかなか強力なものを持っています。

元気なキャラクター、かつ「楽器との整合性」を他のパートに比べてそれほど求められないということから、モデル自身の動きを大きく取る設計としているとのこと。


筆者が唸ったのは「オバケ表現」でした。ライブ映像を視聴している時、妙にリアルだと感じたのはこの表現によるものだったのです。3Dゲームのグラフィック設定では今やおなじみとなった「モーションブラー」にあたる効果を、直接用意したことになります。ドラムスティックは腕をムチのように動かして振るので、先端はかなりの速度となります。これにより、腕力の少ない奏者でもパワーのある演奏ができる訳です。


驚きの表現は更に続きます。シンバルの立体表現として、表面と裏面の部品をそれぞれ用意し、シンバルの揺れに応じてどちらかを変形しつつ表示/非表示を切り替えています。画像左はシンバルの裏面が見えていますが、右側では裏面が消えているという訳です。説明としては単純ですが、ライブ映像では正直「ここは3Dポリゴンモデルを置いたのだろう」と普通に感じてしまうほどの滑らかな表現でした。実際にライブを見に行かれた方は、これがLive2Dによる2D表現だったと気付けたのでしょうか。

どうやらデザイナーの川上さんも、ドラムの経験があるとのこと。こうした徹底的なこだわりの点にも納得です。

「関係性」で表現を加速!デュエット曲のこだわり





バンド全員での曲やソロ曲の他に、デュエット曲も用意されていたひなビタ♪ライブですが、それぞれ専用の服装を用意するなど、非常に豪華な演出となっています。


キャラクターの個性に応じて表情や動きを付けていくことは前述の通りですが、ソロ曲ではより強調して表現。曲や歌詞、時にはセリフに合わせて顔を赤らめるなど、より生き生きとした感情を表しています。



更にデュエット曲ではキャラクター同士の関係性を表現するべく、曲に合わせて複数のモデルを同時に調整。目線を合わせたり、あたかも会話をしているかのような表情の変化を取り入れています。

制作のための効率化手法



上質な作品を制作する上での指標として「神は細部に宿る」などと言うことがありますが、これまで紹介されたように緻密なこだわりに裏打ちされた作品は、きっとライブ参加者に大きな満足感を与えたことでしょう。

しかしながら、制作のコストは無尽蔵ではありません。そこには効率化とのせめぎあいがあるはずです。Live2D Creative Studioではどのような効率化手法を取られたのでしょうか。

ひとつは「テンプレート機能」によるもの。楽器ごとによく使う動きをテンプレート化して管理することで効率化を促します。これは、作業者による設定のばらつきを抑える効果もあり、結果として統一感のある品質を維持できることにもつながります。


ふたつめは「キーフレームのコピー&ペースト」です。繰り返しになる部分などのフレーズをコピー&ペーストで下地として、後から少しずつ調整をかけるという手順となっています。特に、デュエット曲においては一人の動きを定めてしまえば、別のモデルへ「動きのコピー&ペースト」が行えるので有効な効率化となったそうです。

新たな展開──『バンめし♪』の紹介



「ひなビタ♪」に続く新たなキャラクターバンドコンテンツである「バンめし♪」にも言及。既に何らかの制作が始まっているということで、一部の映像を視聴することができました。

部室の端っこといった感じの場所で、メトロノームに合わせて弾き語り練習をするこの少女は「バンめし♪」主人公のひとり「栗花落夜風(つゆりよかぜ)」でしょうか。

ライブの場面でもないので極めて微小な動きの映像なのですが、リズムに乗る肩の動き、歌いだしの前に起こる瞬間的な呼吸、楽器を扱う手の細やかさ……映像をお届けできず歯がゆい部分ではありますが、筆者は一目で「ひとつ上のレベル」で表現されていると直観しました。

単純な正面からの描画ではないという点もあるかとは思いますが、本イベントの基調講演でも示された通り、Live2D Cubismの進化によって開発された様々な新機能が直接的に表現のレベルを押し上げているものと考えられます。

いかがでしたでしょうか。セッション「ひなビタ♪ライブ2018のLive2D制作について」のイベントレポートでした。まだまだ始まったばかりの「バンめし♪」も、今からグッと期待させて頂ける映像でした。来年からの進化も、本当に楽しみです。
《Trasque》

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