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『シェンムー I&II』“伝説”を愛し続けてくれるファンに感謝を… ローカライズディレクター野口氏インタビュー【TGS2018】

『シェンムー I&II』について、ローカライズディレクターを務める野口博司氏にインタビューを実施しました。

ソニー PS4
『シェンムー I&II』“伝説”を愛し続けてくれるファンに感謝を… ローカライズディレクター野口氏インタビュー【TGS2018】
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ドリームキャスト用タイトル『シェンムー 一章 横須賀』と『シェンムーII』は、それぞれ1999年と2001年に発売されたタイトルでありながら、3Dで描かれた街並みの探索を可能としたり、現実世界のように時間や天候が変化したりと、当時としては最先端の表現を数多く実現したことで知られています。

そんな同作がPS4『シェンムー I&II』として復活すると報じられたのが、2018年4月のこと。2018年11月22日の発売日も近づいており、ファンの期待も日増しに高まっているのではないでしょうか。

そこで今回は「東京ゲームショウ 2018」にて、本作のローカライズディレクターを務める野口博司氏を直撃。プロジェクトが始動した経緯や当時の思い出などを伺ってきました。


─『シェンムー I&II』のプロジェクトは、いつ頃動き出したのでしょうか。

野口氏:
本作はセガ オブ ヨーロッパが主導してまして、彼らは2015年10月頃からドリームキャスト版のソースコードを解析し始めたそうです。その翌年の5月にこちらへ問い合わせがあり、その頃から私がローカライズディレクターとして動き出しました。

─『シェンムー』シリーズは『II』が発売された2001年から『III』発表の2015年まで、長い沈黙を保ってきました。そんな中、プロジェクトが始動した時の心境はいかがでしたか。

野口氏:
やっぱり最初は、「えっ、シェンムーやるんすかっ!?」と驚きました(笑)。ただ私にとって『シェンムー』は、ゲーム業界で初めてのお仕事だったんです。18年越しにまたこの作品に携われるというのは、驚きと同時に興奮もしましたね。

─『シェンムー』シリーズは御社にとっても、“伝説”と呼ぶに相応しいタイトルかと思います。今回、『 I&II』』の製作を進める上で、改めて凄いなと感じた点を教えてください。

野口氏:
やはり『シェンムー』は当時、時代の先を行っていたと思います。3D空間を自由に歩けますし、NPCは全員フルボイスかつそれぞれのスケジュールに合わせて行動します。今では当たり前ですが、リアルタイムで時間や天候も変わりました。さらにゲームの中のゲームセンターで遊ぶこともできます。そういう体験が詰まっているのは、改めて凄いなと感じます。チャレンジ精神とパッションにあふれていますよね。

─ゲーム全体が物凄く自由ですよね。ストーリー自体はハードなんですが、お手伝いの稲さんから貰ったお小遣いをガチャガチャに突っ込んで、無駄に1日を終えるみたいなプレイも可能ですし……(笑)。

野口氏:
そうそう。さらに夜遅くに帰宅すると稲さんから、「涼さん、もう少し早めに帰って頂けると…」って小言も言われる(笑)。裏では色々とハイテクな技術を使っているんですが、そういう素朴な体験を構築したっていうのも、『シェンムー』の凄さと面白さであると思います。

『バーチャーファイター』を継承したバトルシステムも特徴的ですよね。技を修行で覚えたり、取捨選択したりして、自分なりにファイティングスタイルをカスタマイズできました。

─技のモーションも力が入ってて、格好良かったですね。

野口氏:
あと、「各キャラクターの顔が違う」というのも当時は画期的でした。それと『II』は、入れるお店の数も非常に多かったです。ゲーム本編の内容とは離れますが、実際に香港を旅しているような感覚がありました。

─『III』の前に『I&II』を遊ぼうと思っている方も多いと思います。ストーリーだけ追うのであれば、どれくらいのボリュームになるのでしょうか。

野口氏:
詰まったりしなければ、『I&II』通して20時間くらいだと思います。ただ、道中にあるゲーセンやコンビニに寄ったり、ストリートファイトに混ざったりしていくとプレイ時間は長くなりますね。というか、そういった部分をじっくり楽しんで貰えると嬉しいです。


─そこが1番思い出深い作品ですものね。『I&II』は約20年前のゲームがベースとなりますが、何か追加要素はありますか?

野口氏:
当時のデザインや雰囲気を残しつつ、UIを調整しました。あと操作性も改良し、コントローラーのスティックでも、移動ができるようにしています。

─私も試遊でUIを拝見したんですが、所々にドリームキャスト版へのリスペクトが込められていますよね。セーブデータのアイコンにビジュアルメモリが使われていたりとか。

野口氏:
おお、気づいて頂けましたか(笑)。そういった部分は移植の際、できることを盛り込みました。あとはグラフィックや画面比率、音量設定なども調整できます。設定次第ではドリームキャスト版に近い環境で遊べますよ。

それと、これは追加要素ではありませんが、『I&II』は、1枚のディスクに入っているのが大きいですよね。『I』は3枚組、『II』は4枚組だったので…。

─合計7枚が1枚に!詰まってますね!

野口氏:
詰まってます!

─最後となりますが、『I&II』を待っている方、初めて『シェンムー』を遊ぶ方それぞれにメッセージをお願いします。

野口氏:
『シェンムー』を長く応援して、愛してくれる方々が本当にたくさんいらっしゃって。2016年の「セガフェス」で実施したアンケートでも復活を望む作品の上位に入っていましたし、感謝しております。国内の皆様にはお待たせしておりますが、サウンドトラックが付いた限定版もご用意したので、当時の感動や思い出を再体験してもらえればと思っています。

20年前のタイトルとなりますので、新しくプレイされる方々にとっても、最新ゲームとは異なる手応えがあるかと思います。1980年代の横須賀と香港を細かく再現しているので、そこを歩くだけでも色々な発見があるかと。電話だってスマホじゃなく、ダイヤル式の時代です。紐を引っ張って電気を付けたり、今ではすっかり見なくなったデザインの看板を眺めたりと、素朴な体験もできると思います。

あっ、それと『I』の舞台であるドブ板には、SEGAのネオンサインも掲げてあるので、ぜひ見つけて欲しいですね。

─ありがとうございました!


《ねんね太郎》

また、お会いしましたね ねんね太郎

ゲームセンターとテレホーダイが生み出す濁流に、満面の笑みで身投げした雑食系ゲーマー。油断すると余裕で半日は寝てしまうため、スヌーズ機能が欠かせない。ゲーム以外の趣味は、モノを捨てること。

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