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『ゲーム19XX~20XX』 第1回:GB旋風が吹き荒れた「1989年(平成元年)」を平成の終わりに振り返る

『ゲーム19XX~20XX』は、ある年の1年をテーマに、その年に話題となったゲームを振り返ろうというものです。

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『ゲーム19XX~20XX』 第1回:GB旋風が吹き荒れた「1989年(平成元年)」を平成の終わりに振り返る
  • 『ゲーム19XX~20XX』 第1回:GB旋風が吹き荒れた「1989年(平成元年)」を平成の終わりに振り返る
  • 画像はWii Uバーチャルコンソール版より
  • 画像はカプコン公式サイトより※スーパーファミコン版です
  • 画像はNew ニンテンドー3DSバーチャルコンソール版より
  • 画像はWii Uバーチャルコンソール版より
  • 画像はカプコン公式サイトより※スーパーファミコン版です
  • 画像はWii Uバーチャルコンソール版より
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『ゲーム19XX~20XX』は、ある年の1年をテーマに、その年に話題となったゲームを振り返ろうというものです。

大ヒットを記録した名作、のちのゲームに多大な影響を与えたエポックメイキングな作品、ちょっとユニークなカルト作品などをピックアップし、当時の世相やゲーム業界の出来事とあわせて紹介していきます。

記念すべき第1回目は、平成が始まった「1989年」を取り上げます。30年にわたって続いてきた平成という時代はまもなく終わろうとしていますが、この年号が幕を開けた1989年はどのような年だったのでしょうか。まずは、主な出来事を簡単に見ておきましょう。

昭和天皇が崩御し、年号が平成と改められた1989年は、6月に中国で天安門事件が起こり、11月にドイツでベルリンの壁が崩壊。12月に米ソが冷戦の終結を宣言するなど、世界的大事件が立て続けに起きた激動の1年でした。一方、日本はバブルの真っただ中で日本経済は絶頂期にありました。

エンターテインメントの分野に目を向けると、マンガの神様・手塚治虫と歌謡界の女王・美空ひばりが相次いで死去。昭和天皇に続く、この2人の巨人の死は昭和の終わりを象徴するものとなりました。映画のヒット作は『魔女の宅急便』、『ダイ・ハード』、『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』など。マンガでは週刊少年ジャンプで『ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダース』の連載が始まっています。

1989年がどんな年だったか、お分かりいただけたでしょうか。では、この年を代表するゲームの数々を振り返っていきましょう。

『テトリス』


発売日:1989年6月4日
機種:ゲームボーイ
発売元:任天堂


1989年のゲーム業界における最大の出来事といえば『ゲームボーイ』の発売でしょう。このマシンの登場により携帯ゲーム機市場という新たなマーケットが形成され、ゲームの枠が大きく広がったことは御存知のとおりです。そして、このゲームボーイ人気の火付け役となったのが、同年に発売された『テトリス』でした。

『テトリス』は落ちものパズルゲームの元祖として、すでにアーケード版やファミリーコンピュータ版が人気を博していましたが、このゲームボーイ版では新たに通信ケーブルを使った2人対戦モードが登場。自分が消したブロックの分だけ相手側のブロックがせりあがっていくというモードは特に人気を博しました。少しずつ消していくか、連続でまとめて消して一気の決着を狙うか。お互いの状況を読み合いながらの熱い駆け引きは、それまでのゲームにはないものでした。

この対戦システムが受けに受け、本作は子供はもちろん学生や社会人の間でも話題となり、国内累計出荷台数約424万本、世界全体でも3,000万本以上を出荷するなど爆発的ヒットを記録しました。そして、こうした対戦要素は『ぷよぷよ』をはじめとする、さまざまな作品に取り入れられ、以降の落ちものパズルゲームにおけるスタンダードになりました。

ちなみに、『テトリス』はメガドライブ版も、この年に発売予定となっていました。しかし、セガがライセンスを受けた「テンゲン」はパソコン用の販売権しか所持しておらず、家庭用ゲーム機向けのライセンスは任天堂が取得したため直前で発売中止となりました。もし、メガドラで『テトリス』が発売されていたら……ゲームの歴史における、大きなifのひとつと言えるかもしれません。

ゲームボーイは1989年4月21日発売、価格は12,800円でした

『MOTHER』


発売日:1989年7月27日
機種:ファミリーコンピュータ
発売元:任天堂


舞台は1988年のアメリカの田舎町、主人公は一見どこにでもいるような少年、武器はバットやエアガンなどで、モンスターは殺すのではなく「我に返らせる」ことで退治していくなどなど。これら独特な要素の数々に、「RPGといえば剣と魔法のファンタジー世界」という世界観になじんでいた当時のプレイヤーたちは大いに面食らいました。ゲームデザインを手がけるのが、超売れっ子コピーライターの糸井重里氏ということもあって、ゲーム雑誌などで情報を見た時点では、どこか警戒感を抱いていたものです。有名人の名前を使っただけの「とんだ一杯食わせもの」ではないかと。しかし、そうした思い込みは完全な間違いでした。

ユニークかつ印象深いキャラクターたち。含蓄に富み、それでいて子供にも理解できる名セリフの数々。そして、最後の戦いで明らかになる意外な事実。「エンディングまで、泣くんじゃない」というキャッチコピーに偽りはなく、多くのプレイヤーが驚きと感動に震えたものです。その斬新さとオリジナリティは、発売から30年を経た現在においても、まったく色あせていません。


画像はWii Uバーチャルコンソール版より

『ファイナルファイト』


稼働開始:1989年12月
機種:アーケード
発売元:カプコン


犯罪都市メトロシティの市長マイク・ハガーが暴力集団「マッドギア」に戦いを挑むアクションゲームです。次々に現れる敵を倒しながら進んでいく横スクロール型のゲームで、いわゆる「ベルトスクロールアクション」の代表作とされています。

パワフルなパンチやキック、豪快な投げなどを駆使して敵を吹き飛ばしていくのは気分爽快。とはいえ、難易度は非常に高く、敵に囲まれないよう、うまく一方向にまとめる必要があるなど、かなりの慣れが必要なこともあって、当時ゲームセンターではコインを積み上げてプレイしている人をよく見かけたものです。このように骨のある内容であったことが当時のゲーマーたちを狂喜させたと言えるでしょう。

また、世紀末テイストのマッチョなキャラクターたちも魅力たっぷりで、プレイヤーキャラであるコーディーとガイは、のちに『ストリートファイター』シリーズへの登場をはたしています。当時のキャラクターデザインはかなり武骨で、今風にリファインされた現在のデザインと見比べてみるのも面白いでしょう。


画像はカプコン公式サイトより※どちらもスーパーファミコン版です

『クインティ』


発売日:1989年6月27日
機種:ファミリーコンピュータ
発売元:ナムコ(現バンダイナムコ)


のちに『ポケットモンスター』という国民的人気作を生み出すことになる、田尻智氏率いるゲームフリークの処女作として知られるアクションパズルゲームです。各ステージは7×5枚のパネルで構成されていて、これらのパネルをめくって敵をはね飛ばし、壁にぶつけたりすることで倒していきます。パネルには主人公の移動速度を速くしたり、周囲のパネルもまとめてめくったりするなどの特殊効果を持つものがあり、これらを活用すれば、より効率的にステージをクリアすることができます。

このように、本作はシステム、操作のどちらも非常にシンプルです。すでに『スーパーマリオブラザーズ』や『ドラゴンクエスト』が人気を呼び、ファミコンでも派手な画像や演出が一般的になりつつあった時代にあって、本作の1面固定型の画面は当時でもやや古臭く感じたものでした。

しかしながら、やり込むほどに面白さが増していく中毒性は格別で、細部まで計算されたデザインや絶妙な難易度設定は現在でも目を見張るものがあります。巨匠・田尻智氏とゲームフリークの原点を知ることができる1本です。


画像はWii Uバーチャルコンソール版より

この年に発売された、その他のタイトルも簡単に触れておきます。やはり注目すべきはゲームボーイで、おなじみのマリオが活躍する『スーパーマリオランド』(任天堂)が『テトリス』に次いで400万本超えを記録したほか、携帯機初のRPG『魔界塔士SaGa』(スクウェア)、麻雀ゲームの『役満』(任天堂)がミリオンとなっています。いかにゲームボーイ人気がすさまじかったかが分かるでしょう。

ファミコンでは週刊少年ジャンプの歴代人気キャラが総登場する『ファミコンジャンプ英雄列伝』(バンダイ)がミリオンを達成。『ファミコン探偵倶楽部PARTII うしろに立つ少女』(任天堂)、三国志を題材とした同名マンガをゲーム化した『天地を喰らう』(カプコン)なども人気を博しました。

メガドライブ向けの作品では『魔界村』シリーズの第2弾である『大魔界村』(カプコン)、『ファイナルファイト』と並ぶベルトアクションゲームの人気作『ゴールデンアックス』(セガ)などがヒット。アーケードではF1を題材にした『スーパーモナコGP』(セガ)、横長の大画面がド迫力なシューティング『ダライアスII』(タイトー)などが話題となりました。

画像はNew ニンテンドー3DSバーチャルコンソール版より

画像はWiiバーチャルコンソール メガドライブ公式サイトより

面白いところでは、任天堂がファミコンを利用したホームバンキングのサービスを開始しています。これは電話回線を介して銀行取引ができるというもので、将来的にはホームショッピングやネットワークゲームでの利用も視野に入れていたようです。残念ながら定着はしませんでしたが、任天堂は前年にもファミコンでの株取引サービスをスタートしており、大いに時代を先取りしていたと言えるでしょう。

■その他のゲーム業界の主な出来事
11月20日 アタリ携帯用マシン『リンクス』発売
11月22日 NECホームエレクトロニクスが『PCエンジンシャトル』発売
12月8日  NECホームエレクトロニクスが『PCエンジンコアグラフィックス』、
『PCエンジンスーパーグラフィックス』発売

いかがだったでしょう。アラフォー以上の方には、非常に懐かしかったのではないでしょうか。「また遊んでみたくなった」「当時は買えなかったけど、ちょっとやってみようか」と思うものもあったのではないですか?

まだ生まれていなかった、もしくは物心がつく前だったという方も、この機会にぜひプレイしてみることをおすすめします。もしかしたら、今のゲームよりハマってしまうかもしれませんよ。
《仁志睦》
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