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「いま仙台が面白い!」地場企業のキーマン5人が語らう“地方にゲーム業界が芽吹く瞬間”

大都市圏と地方との間にあらゆる“格差”が存在するゲーム業界。そんななかで“地方で働く意義”とは何なのでしょうか。仙台のゲーム会社から5人の代表者をお呼びし、仙台ゲーム業界の変化を語ってもらいました。

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◆仙台で働く理由は“こっちでやりたいから”。ただそれだけ



――まずは「仙台ゲームコート」を中心に“仙台でゲーム会社が活躍できる基盤づくり”をしていくことが大事なんですね。ではテーマを少し変えさせていただきます。いまだゲーム業界は東京や大阪など、大都市一極集中な側面が根強くありますが、仙台を拠点に活動する方々から見て、その現状をどう捉えていますか?

小山:うーん……、それは人によって立場が違うからはっきりと良し悪しを決められませんね。ただ、常に意味を持って行動している人間ならば、仕事をするうえで場所は問題にはならないと思います。僕は東京での生活を経験しているし、そこで独り立ちもできたから仙台の良さだけ見えてハッピーに仕事できるけど、東京を知らない人からしてみたら違うイメージがあるかもしれない。結局は人それぞれ、会社それぞれなのかなと思います。

澤田:仙台だから、札幌だからっていう理由で仕事取れないなんてことは無いと思うんですけどね。むしろ僕は東京に出ることがリスキーだと感じていたくらいで。無駄なリスクだなぁと。

小山:でもぶっちゃけ東京の方が楽ですよ(笑)。少なくとも仙台よりはイージーモードだと個人的には思います。あっちの方がチャンスが多いっていうのは事実ですからね。売れるチャンス、色々な人と出会えるチャンス、何しろ会社の数が違う。それでも僕がこっちで働く理由は“仙台でやりたいから”ってだけ。そこに何かメリットを見出すのであれば、ただ単に自己満足というか、自分がここで生活したいからしか無いので、本当に人それぞれかなぁと。

土井:弊社では、スタッフが「どうしても仙台でゲームを作りたい」と話していますね。私は4年ぐらい半分東京、半分仙台の生活を送っているのですが、やっぱりスタッフは不安だと思うんですよ。どのタイミングで仕事ができなくなるかって。しばらく自分が東京に出て案件は取って来るというのは止められそうにないですね。


金子:ウチもスタッフが東京に出られないというのはありますね。結婚して子どもがいて家も買って……と。辞めたら違う職種に就くしかないみたいな。実力があるのにそれはもったいないなぁと思います。

柴田:変なんですよね。私は仙台から1度も出たことがないんですけど。例えばゲームをプレイするのに場所って関係ないじゃないですか。どこかに旅するならば場所は紐づくんですけど、ゲームは場所によってクオリティが変わるわけではない。昔であれば、情報伝達手段が限られていたなどの理由で大都市に集中せざるを得なかったとは思うんですけど、現代でその場所に行かないと仕事ができないケースはほとんど無くなりましたよね。なので場所によってできるできないが変わってしまうっていうのはすごく歪だと思うんですよ。私はどっちかというとポリシーを持って出ないっていう人間なんですけど。

小山:そういえば柴田さんが東京に来てくれないから、仙台に事務所作るって会社がなったんでしょ?

柴田:会社自体が場所にこだわっている様子ではなかったですし、「こっちで仕事をしていいんだったら契約します」って形でやらせてもらっています。私に限らず、他人には無いスキルを持っているという自信さえあれば誰もが交渉できると思うんですよ。


――そこまで自信を持っている人は非常にレアだとは思いますけども(笑)。では、そのもっと手前に戻って「地元で働きたい!」と心に思っていても実行できないと言いますか……。そもそもとして、なかなか行動に移せない学生へのアドバイスなどはありますか?

澤田:学生のうちは負けがない勝負ができるので、色々挑戦した方がいいと思います。挑戦しないのが一番のリスクだと早く気付いてほしいですね。学生のうちに色々やってみて失敗し、結果普通に就職活動をすることになっても、それ自体が就活に使えるこの上ないエピソードになるので、そういう意味で学生のトライは成功しかありません。なので、それをやらない理由は無い。

金子:そこに気づけずに、失敗は失敗だと思っていますよね。経験を得られることの大きさを、是非わかってほしいですけどね。

土井:あとは仙台と東京って新幹線でたった1時間半の距離なんですが、その“たった”という感覚を学生さんが持つのってすごく難しいと思うんですよね。東京に出る=出たらそれっきりっていう感覚は間違っていると知ってもらいたいかな。


小山:時間をこれだけ自由に使えるっていうのは学生のうちですからね。一日お金の心配もしなくていいし。それがいかに贅沢だったか誰かに教えてほしかったなぁ。

澤田:っていうのも社会に出て何かをやらないとわからないんですけどね。おっさんの説教みたいになるからやめましょうか(笑)。

金子:やるやらないで言えば、VRのセミナーでOculusを使って3Dの絵を描くツール「Mediumn」にハマった学生がいて、セミナーが終わった後も弊社に来てはずっとやっているんですよ。チャットで「何時に空いてますか?」と聞かれて「空いてるよー!」と答えると会議室に来て……。現在はSketchfabというWebサイトに掲載することをゴールにしています。学生がやる気さえ見せてくれれば、大人はどんどん協力しちゃうんですよね。そうすると、それはもう就活するうえで大きなアドバンテージになります。

澤田:逆に言うと企業側ができるのは、何かきっかけをもとに手助けするだけですよね。なので、その機会さえあれば積極的にサポートしたいなと思っています。仙台で世話になったと感じてくれれば、その後東京に出たとしても、仙台で何かしたいと会社を作ってくれる人が出てくるんですよ。小山さんみたいに。

小山:僕はこっちでいい思いした記憶が無いんだけどなぁ(笑)。

――それは素晴らしい循環ですね(笑)。そもそも仙台の人材事情はいかがでしょうか?

澤田:新卒を育てるつもりだったら全く問題ないです。ただし、中途を採用するのは簡単ではないです。

金子:やっぱり会社が少ないですからね。ただ宮城県はゲームの専門学校が4~5校ありますし、学都と呼ばれているほど大学の数も多いです。人材に関しては色々聞かれますが、不安はないと思っています。

小山:そうですね、若い人材に関しての不安はありません。それと先ほど土井さんが言っていましたが、東京と仙台はいつでも気軽に帰ってこられる距離ですし、人材流出が起きているという感覚も無いですね。出ていく人はそもそも出ていきますから。僕自身も昔出ていった人間なんですけど(笑)。


柴田:流出とは言いますが、みんな自信が無いだけだと思うんですよ。東京に行ってみないと自分の実力が見極められない。その都市がその産業に強いって言い切れるのならば話が変わってくるので、仙台もゲーム産業に自信が持てたら、おそらく出ていく人は少なくなっていくのかなと。

金子:いずれにしろ若者が入りたいと思える会社が仙台に出てこないと、我々の誰かがそういう会社にならないといけませんよね。

小山:仙台に限らず、地元でやっていける自信が無いから東京に出て行っちゃっているけど、心の底では地元に帰って働きたいと考えている人は多いはずなんですよ。だから、そういう人が帰ってこられる体制をこちら側がどれだけ用意できるかですよね。

◆「地方創生」は“目的”ではなく“結果”。まずは自分たちの魅力を上げる


――「仙台ゲームコート」はそんな“帰ってこられる体制”の一つになり得るのでしょうか?

澤田:基本的には自分たちの為の取り組みとはいえ、ビジネスの上でそういう側面は外せません。

小山:なんだかんだ言ってきましたが、一度東京の生活に染まってしまうと帰ってくるのって結構しんどいんですよ。東京と同じような質の仕事、生活が続けられるはずがないですしね。ただ、多少なりともこういう面白いものを用意していれば、帰る理由の1つになりえると思うんです。

澤田:その分、僕らが楽しそうにしなきゃダメですけど。「あのおっさんたち面白そうなことやっているし、戻ってみようかな」とは思ってもらいたいですね。でもさっきから戻る戻ると、そういう話ばかりしていますけど、地元で生まれてそのまま地元で就職するというパターンも、もちろん大歓迎です。とにかくまず大事なのは、僕らが魅力的な会社にならないといけない。そのために雇用や社会貢献は外せないと思うので、必然的にその体制と繋がっていきます。


――そして、「地方創生」を目指していくんですね?

小山:うーん、地方創生と言葉にしてしまうのは好きじゃないですね。変に型ができちゃうので。例えば震災時もそうだったんですが、半ば観光目的でやってきた人、一生懸命に復興を手伝っている人、あちらとこちらでは全然違うことをしているのに同じボランティアってひとまとめにされて……っていうのを見てきたので、言葉で括ってしまうのは良くないなと。カチっとハマるのが必ずしも自分が生まれた場所では無いだろうし。我々は強制したいんじゃなくて、それぞれがいいなって思ったところで働いてほしいんです。

澤田:自分達が特殊なことをやっているっていう感覚は全くありません。本気で活動している人がその地域に2~3人いれば必然的にこういう動きをせざるを得なくなる。絶対にこうなります。そもそも我々の力で地方創生しようなんておこがましいです。1000人の開発者を目指したいよねというスケールの話で、街一つ支えるような力は無いですよ。

柴田:さっき話した歪な現状を何とかしたいだけですよね、それを解消したい人が集まれば、自ずとこういう動きは出てくるのかなと。歪さの度合いや風土によって、地域ごとに多少の差はあるとは思うんですけど。

金子:自分達で変えていかないと変わらないですからね。

小山:“仙台をゲームの街として盛り上げていきたい”というのはあくまで結果論。「自分たちの会社にとってのメリットって何?」ってところがまず大事で、それを打ち立てることでみんなが目を向けてくれるからやるんです。


澤田:インフィニットループは“エンジニアが地方で幸せに暮らす”というのをポリシーにしているので、仙台で働きたい人が座れる椅子を増やさなければならない。そして、弊社はサーバサイドの実装を得意としているので、絵を描いたりできる人と組める座組はありがたい。そうしているうちに仙台に100人が集まったら、最終的に仙台のゲーム業界が盛り上がっていると言えますよね。

金子:お互いに持っているものを寄せ集めないと、競合他社と勝負できないという実情があるので、まずはそこからやっていく。ただそこで、お互いが「他をどうやって使ってやろうかな?」と考えてしまうと絶対に上手くいかないので、1つの目的を決めてみんなの持っている力を出し合いましょうと。地方創生がスタートではありません。自分達が良いものを作れる環境を作るのをスタートにしているんです。

澤田:東京の会社がどこかに発注を出そうとする時、普通に考えたら近くの会社にお願いしたいはずなんですよ。そのなかであえて我々を選んでもらう為には、ちゃんと良いものを作れるっていうのをPRしなきゃいけないわけで。単独勝負は辛いよねっていうのが一番の根本ですよね。

小山:その動きの中に、GLSや昔からの金子さんのラインがあって、それがガチャっとくっついたんです。何かお題目が先にあったわけじゃないのに、自然発生的に色んなものが動いていたのが、同じ目的を持って動きはじめて、1つの形が出来上がりましたよっていうのが今の状態で、すごく定義しにくい。だからいずれは仲が悪くなるかもしれないし(笑)。でもそうなったらなったで、仲悪くなってもそれぞれ自立できるくらいになっているわけだからいいんじゃないって。今そうなったら誰もが生き残れないので。


――芽吹いたばかりの、まずはちゃんと葉を広げていかなければならないステージにいるので、ずっと先の結果を考える必要はないということですね。

小山:まだ形すらできていないなか、「我々はこうです!」って主張しても「ん?」ってなりますしね。地方創生を目標にするのはすごく楽ですけど。「でも本当はお前らそんな余裕なんて無いじゃん」って絶対に見透かされる。ウチなんかは“2ヶ月後3ヶ月後の従業員のために何をしなきゃいけないか”という状態ですから。

柴田:子どもを躾けるとき、「他人の注意をする前にまず自分がしっかりしなさい!」って言いますよね。それと同じで私達はまだ自分がしっかりする段階を抜け出せてない。そこがクリアできれば他に目が行くし、注意もできるし、正しい方向に導くことができるのかなと。そうなってやっと、地方創生に繋がっていくのではないでしょうか。

金子:将来各社が大きくなって余裕が生まれれば、学生を色々なところで支援して入社してもらって――っていうのを回るようにはしたいですね。私はここ仙台からヒット作を発信したいと思っていますので、協力してくれる強力な人材はいつでもウェルカムです。UターンIターンを考えている人をぜひ受け入れていきたい。


澤田:私がいつも言う話なんですけど、種子島に行ったらコンビニや居酒屋、あらゆる場所に過去のHII-Aロケットの打ち上げ写真が貼ってありまして。地域住民のみんながロケット開発を誇り思っているんですよ。夜中の2時にあれだけうるさいのを打ち上げても、基本的には誰も文句を言わない。そんなフラッグシップというか心の支えになりうるゲーム会社、福岡ならレベルファイブさん、札幌ならハドソンさんなどですけど。そういった存在に5社のうち1つがなれればいいかなっていうのはあります(笑)。

小山:僕は東京にいた頃、大手の仕事を受けていて、どういう風にゲーム業界が動いているのかも内側で見られていた立場だったんですけど、それって会社の看板があってできていただけなんですよ。それが無くなって1人になった時って本当にしんどい。GLSにケンカ売ったのも手助けしてくれる人を探していたからなんです。今後僕みたいなIターンUターン者が出てきたとして、戻ってきて最初に入った会社が合わなかったら、また東京に逆戻りしてしまうかもしれない。でも、5個の窓口があったら仙台で引き留められるじゃないですか。

金子:そうなったらすごくちゃんとしていますよね。あっちやこっちの会社に移ればいいだけで。

小山:例えばウチに就職希望者が来たけど、「この人は金子さんの会社の方が合うんじゃない?」となった時にスッと紹介できるといいと思うんですよ。引き抜いた引き抜かれたじゃなくて、仙台のゲーム会社が一体となって何かやろうよって雰囲気を作っていきたいですよね。

金子:仙台市内で流動性が出て初めて、「仙台ゲームコート」を作って良かったと。成功だったと言えるのではないでしょうか。




ポテンシャルはありつつも、お世辞にもこれまでゲーム業界との関係が深いとは言えなかった仙台市。散らばっていた糸がようやく一つにまとまり、新しいスタートを切ろうと芽吹いた「仙台ゲームコート(SGC)」が、これからどんな存在感を示していくのでしょうか。

数十年後に、この団体から仙台ひいては東北、日本をリードする企業が生まれることを、かつて“ゲーム業界で働きたい”と地方から上京することを選んだ筆者も願うばかりです。

※「仙台ゲームコート(SGC)」公式サイトはコチラ
《矢尾 新之介》

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