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【特集】『セブンス・リバース』に新ジョブ“竜騎士”が登場―『FF11』コラボの裏側を田中P&廣瀬Dに直撃

田中氏が参加しているからこそ実現する『セブンス・リバース』×『FF11』のコラボ経緯を核に、改めて本作とは一体どんなゲームかを探っていくインタビューをお届けします。

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今年の11月で1周年を迎える、スマートフォン向けRPG『セブンス・リバース』。

「RPGとジャンルがついた本作に、MMOでありながら、MMOの問題点を解消したようなゲームだと思います。」と語ったのは、『FINAL FANTASY XI(以下、FF11)』で先代プロデューサーとして携わった田中弘道氏(以下、田中氏)。そして、「本作は強い人とパーティを組んでも誰にも迷惑をかけていないんです」と続けたのは、『ラグナロクオンライン(以下、RO)』で運営ディレクターを担当していた廣瀬髙志氏(以下、廣瀬氏)。

自分の分身ともいえる冒険者がゲームの世界に降り立ち、同時接続ならではのパーティプレイや憧れのプレイヤーと一緒にかけがえのない冒険をするMMORPGというゲームジャンル、さらに『FF11』と『RO』に深く携わった2人がガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下、ガンホー)でスマートフォン向けに新しい作品を世に贈り出しています。

田中氏が参加しているからこそ実現する『セブンス・リバース』×『FF11』のコラボ経緯を核に、改めて本作とは一体どんなゲームかを探っていくインタビューをお届けします。

『セブンス・リバース』プロデューサー
田中弘道氏

『セブンス・リバース』ディレクター
廣瀬髙志氏

■田中氏「もう、完全に元気です」


――まず、本作の内容に迫る前に田中さんがガンホーに入社された経緯というのを改めて伺えればと思います

田中氏:入社はちょうど5年前、2012年の8月です。僕は旧スクウェアの創業メンバーの1人なんですけども、30年近く所属するなかでスクウェア・エニックスの合併も経験してきました。2011年の東日本大震災の頃、僕は先天性の腎臓病で入院していて、「『FF11』みたいな大規模なオンラインのゲームのプロデューサーは続けられないかも」ということで初めてスクウェア・エニックスを離れるキッカケが生まれました。

――ガンホーの森下社長とは、どのタイミングで出会ったんでしょうか

田中氏:スクウェア・エニックスを退職することが決定してから移籍するまでは1年ぐらいありまして、その間に『FF11』や『FF14』の引継ぎをしていたんです。その1年の間に、現在はガンホーに在籍する旧スクウェア時代の人間とたまたま再会をして、そこで森下も含めて食事会を。当時、僕はもう1回目の時点で「ガンホーにお世話になるかも」って言っていたんですけど、なかなか引き継ぎが終わらなくて移籍が遅れていて、森下は、2回、3回と食事会を設定してくれて不安そうでしたので、もうちょっとだけ待ってくれとお願いしてました。

廣瀬氏:田中がガンホーに入社した瞬間っていうのは、やっぱりいまでも覚えていいます。確か朝礼かなにかで社員が集っているところに、森下が田中を従えて入ってきたんですよね。業界で田中はレジェンドだと思いますし、自分が子供の頃には特に『FF』や『聖剣伝説』シリーズが好きでしたから、それを手掛けていたクリエイターが歩いているのを見て「あれ?すごく知ってる人がいるけど本物かな?」と実感がなかったんですよ。

田中氏:たぶん顧問として入社したのはその前の月の朝礼の翌日だったので、実際には2か月目の朝礼ですかね。やっぱり、ざわついてた?

廣瀬氏:ざわついてました。

――廣瀬さんとはまだすれ違った、という感じだったんですね

廣瀬氏:そのあとですかね、森下の社長室に呼ばれまして「いま田中たちと考えている企画があるんだけど」と持ち掛けられるタイミングが僕にあったんです。「丁稚奉公でも、手伝う気はあるか?」と言われて、是非やらせてくださいと言いました。

――丁稚奉公!すごい言葉が出ましたね

田中氏:はっはっは。廣瀬はガンホーのなかでも一番の古株といえる存在ですよね。

廣瀬氏:そうですね。ガンホーには『RO』のβテスト時代に入社したので、もう15年ぐらいになります。それから約10年間程『RO』の運営ディレクターをやって、元が運営畑でしたのでオリジナルで1本作りたいという思いがありました。

田中氏:こういった経緯があって、2012年に入社して企画を廣瀬と練り始めるわけですけども、半年かからず僕は再入院して。そのころは、『聖剣伝説2』を作っていたメンバーが、ブラウニーブラウンからブラウニーズに会社の名前を変えるということで挨拶に来てたので、開発会社として一緒にやるかって決まったようなタイミングですね。

それから何度か入退院をしながら戻ったり離れたりが続きました。最終的には2015年に腎臓移植をすることになりまして、現在は完全に復活している状態です。

■出発点は、MMOの問題点を解消できるゲーム


――本作の立ち上げ当初、田中さんと廣瀬さんが約半年で話した内容というのは、どのようなものだったのでしょうか

田中氏:廣瀬とはオンラインゲームを10年ぐらいやってきた中で、いまのMMOの問題点というものをお互いに認識していたところがあったので、そこを解消できるようなゲームを作りたいよねと話し合った記憶があります。

廣瀬氏:田中がやっていた『FF11』に対してはライバルという感覚ではなかったんです。世に出ているオンラインゲーム同士として、例えば『FF11』の運営で何かが起きたときには、我々にも同じことが起こりうるだろうなとか、自社だったらどう解決するかなど刺激をもらっていました。『FF11』側で告知がでると社内でも話題になりましたね。

田中氏:戦友みたいな感じだよね。

――MMOの問題点として1番に気にされたのは

田中氏:やっぱり、拘束時間ですよね。『FF11』で言えば、パーティを組むのに何時間かかかり、移動にもまた時間がかかる。そこに、リアルの生活や寝る時間というのもユーザーにはあるわけです。同時接続型じゃないんだけども、自分の好きな時間にその世界を楽しめて、なおかつプレイはいつもの仲間というようなゲームを作りたいね、という話を5年ぐらい前にしていました。実は、MMORPGならではのチャットの部分もプレイ時間が長くなる要因のひとつだと思うので、それは掲示板として。現在でいうタイムラインタイプにしていく必要はある、とも話していたんですよ。

廣瀬氏:MMOのよさなんですけども、憧れのプレイヤーと一緒に冒険ができるというのは非常に貴重な体験ですよね。こんな強い人とご一緒させてもらって嬉しいっていうときめきを感じてもらえると同時に、自分は強くないから相手をしてもらって申し訳ないなって気持ちが湧くことも。あと、わずらわせたり、失敗しちゃいけないなって思ってしまう場面も。本作で目指したのは、そういう遠慮などなく強い人とパーティを組んでも誰にも迷惑をかけていないという部分なんです。


田中氏:ユーザー間の距離感が押し付けがましくならないように、というのは本作で目指した部分ですね。もう、「むしろ使い捨ててやるぜ」ぐらいの気持ちでパーティを組んでもらってもいいんです。最先端の人たちとは装備として格差が見えてはくるんですけど、レベルキャップがかかります。本作でのパーティプレイは非同期ですから、1対多というパーティ編成の構図を取りながら、自分が強くなれば相応のメンバーと遊べると思います。相手が相手をしてくれないと、自分もその人と繋がれない状態というのは避けたかったんですよね。

――バトルもそうですが、本作は村があることで村人(※フレンドやギルドメンバー)が顔なじみになっていって、“みんながいる世界にログインしている”気分になれますよね

田中氏:『FF11』開発を始めた2000年というのはインターネットが従量制でした。今後インターネットが常時接続になっていくことが予想される中で、ギルドでユーザーを囲ってしまう部分も、プレイスタイルによって取り残され感や焦りなど、格差となってゲームをやめるキッカケになってしまうだろうなと想定していました。

“ギルドをかけもちできたなら”という発想から実は『FF11』のリンクシェルは生まれています。リンクシェルはギルドをルーズにしたもので、着替えをするように切り替えができました。外すこともできますし、自分の居心地のいい場所で、自分なりのプレイをしてもおうと思って実装したんですが、あちらは会話がチャットベースで関係性も深いじゃないですか。リンクシェルの仲間たちがそのまま本作のギルドに集うなんてこともユーザーはしてくれているようです。

■無個性のアバターに装備を着せ替えて自分が存在していく


――『セブンス・リバース』と『FF11』のコラボはどういった経緯とタイミングで始まったのでしょうか

田中氏:僕はいまでも月に1回病院に行って薬をもらわないといけないんですけど、その病院というのがたまたまスクウェア・エニックスの近くだったんです。通院するたびに昼ごはんを社内で食べるなど、コミュニケーションをする機会が毎月あったんですね。

そこで、『FF11』が2017年で15周年という話が出て、『セブンス・リバース』も2017年11月に1周年ですから一緒に何かできないかという話が具体的にでました。実際はもっと、2年前ぐらいから『FF11』というわけでなくて、スクウェア・エニックスとは一緒に何かできるといいねという話はありましたけども、紆余曲折あって『FF11』とのコラボを実現することができました。

廣瀬氏:『セブンス・リバース』はユニットを揃えて遊ぶというゲームではなくて、これは昔ながらというか硬派とも言えるかもしれないですが、自分の分身としてその世界に入っていって、“着せ替え”を楽しむアバターゲームであると言えます。装備種別が細かく分かれていて制約も多いのですが、『FF11』の装備は親和性が高いですよね。実は本作内でどのタイトルとコラボしてほしいかアンケートを取ったときにはRPG部門では『FF11』を望む声が多かったです。


田中氏:『FF11』のスタッフもけっこう『セブンス・リバース』をやりこんでくれているのでコラボに関する話は早くて。ゴブリンやマンドラゴラをはじめとするモンスターですとか、ボスである「闇の王」についてもすぐ決まりました。



廣瀬氏:アサルトバトルはレイド級のイベントですから、「闇の王」はすごくイメージに合っていますよね。今回の『FF11』とのコラボイベントは、武器や装備の見た目だけだったら、イベントダンジョンを遊んでいただくだけで揃えることができます。

田中氏:すでに本作をプレイしているかたにはおなじみだと思いますが、その性能を上げていくうえで、ガチャを回したり、ダンジョン攻略を頑張ってもらったりする、という遊び方ですね。『FF11』でもイベントはもっとやりたかったんですけど、当時はあの作り方だと3ヵ月に1回ぐらいがやっとで。いま『セブンス・リバース』で1か月に1回アップデートができるのは、本当にすばらしいなと思います。

廣瀬氏:イベントではいろんな衣装を手に入れて、おしゃれも楽しんでほしいですよね。プレイヤーのみなさんから「見た目だけの装備ができるようになりたい」とご意見をいただいて現在“おしゃれ装備”と“実際の装備”を切り替えることができる仕様になっています。キャンペーンを通じてTwitterでおしゃれ自慢コンテストみたいな催しも回数を重ねるごとに参加数が増えて、楽しんでいただけてよかったなあと感じているところです。

――装備といえば、『FF11』コラボの情報を初めて拝見したときに、私は『FF11』ユーザーだったんですけども装備としてピックアップされた3ジョブがすこし意外に感じました




廣瀬氏:スタッフにも『FF11』ユーザーはいますから、もちろんいろんな声が出ました。コラボに合わせてと言っても過言じゃないんですけど、『セブンス・リバース』にも新ジョブを同じタイミングで実装することになりまして。それが、「竜騎士」だったんです。

田中氏:『セブンス・リバース』では次は別のジョブを追加する予定だったんですけど、それは『FF11』にはなかったので(笑)。「竜騎士」のジョブを出すというのは、『セブンス・リバース』の構想を始めた5年前からあったものです。

廣瀬氏:追加の時期は決まっていなかったのですが、『FF11』コラボをやるならこのタイミングで間に合わせたいとうことで、ジョブとしての「竜騎士」を追加することになりました。コラボ装備でも戦士枠に「竜騎士」の装備が加わります。また、遊撃士枠には『セブンス・リバース』でも『FF11』でも使っているユーザーの多かった「忍者」装備が登場します。

田中氏:術士枠は「白魔道士」装備です。僕は、『FF11』時代は主に白魔道士を使っていたので思い入れがあるジョブになります。『セブンス・リバース』でも僕はプリーストやウィザードなどの法衣職系をメインにやっているんですけど、やっぱり後方でみんなを支援しながら全滅を見届けたいという願望があって。

廣瀬氏:全滅しないようにする仕事じゃなかったでしたっけ(笑)。

――お二人とも想いが強かった「竜騎士」実装ですが、コラボイベント装備やジョブでは“コールワイバーン”というか、ワイバーンが出ているグラフィックはあるんですか

田中氏:できないですね、はっはっは。“ジャンプ”は入るみたいですけどね。

廣瀬氏:ジャンプはなんとか入れたくてですね。スタッフが非常にこだわっているんですけど、田中に話をしたらあんまり乗り気じゃないみたいなんですよね。

田中氏:こんなことを言ったらダメなのかもしれないんですけど、『FF』シリーズで最初にジャンプを出した時って、おかしなテンションだったんですよ。


――開発が忙しすぎて、ですか?

田中氏:「竜騎士といえばジャンプでしょ」。と、当時は言い張ってたんですけど、そのあと、「よく考えたらなんで竜騎士自身がジャンプしなきゃいけないんだろう」ってすごく冷静になったときがあって。

実装当時は、頭のなかには完全にワイバーンに乗って空を飛んで上からジャンプアタックをするイメージがあったんですけど。当時はファミコンじゃないですか。あのグラフィックや容量のところにワイバーンなんかは飛んでこられないという理由もあるんですけど、ユーザーからすると竜騎士自身がジャンプしていって頭に「?」マークを浮かべる結果になったと思うんですよ。

廣瀬氏:最近その話をされたので大ショックで。


廣瀬氏:“竜騎士といえばジャンプ”で育ってきたんです、世代的に。どうしてくれるんだこの何十年間って思いました。

田中氏:その背景があって、『FF11』ではやっと“コールワイバーン”で竜がでてくるようになったんですよ。それまで実際には竜出てこないですからね。30年も前の話ですから、なんで竜騎士をジャンプさせようと思ったのかは、もう思い出せないですね。


■11月は「お祭り」として1か月まるまる遊んでほしい


――コラボイベントで手に入る装備に付いているスキルやアビリティは、『FF11』固有のものを期待してもいいのでしょうか

廣瀬氏:できる限りイメージは揃えたいとは思うんですが、やはり違うゲームなので基本は『セブンス・リバース』固有のものになっています。でも、プランニングをしているスタッフが『FF11』をかなりプレイしているので、世界観の踏襲については出来る限り叶えようと頑張ってくれていました。

田中氏:本作はスマートフォン向けタイトルらしからぬ非常に硬派なオンラインRPGなので、装備やアビリティで個性を作っていく部分は『FF11』のゲーム性と近いところがあると言えます。MMOの問題点を解消することを意識して作られたゲームなので、このコラボを機会に今も『FF11』を遊んでいる人にはもちろん、かつてヴァナ・ディールの冒険者だった人たちにも気軽にまたそういった世界を楽しんでほしい。『FF11』側ではウェルカムバックキャンペーンをやるので、久々に自身のキャラクターに出会ってみてほしい気持ちもあります。あちらも、ずいぶんと遊びやすくなっていますからね。

廣瀬氏:『セブンス・リバース』は10月11日にアップデートを行いました。チュートリアル全面がリファインしているので非常に遊びやすくなっていて、強い装備も最初から手に入りやすくなっています。1年を通してアップデートを重ねて改良し続けているタイトルですし、リリース当初で離れてしまったかたにも、『FF11』コラボと『セブンス・リバース』1周年といういい時期にまた触っていただきたいです。

――2017年の11月は、この1年にとって最も大きな位置づけと言えますね

廣瀬氏:はい。あれもこれもあると、ユーザーのみなさんも全部は遊びきれないかなとは思います。ですが、お祭りとして我々も感謝の気持ちを伝えたいです。

作っているスタッフはRPGもそうですしゲームが好きなメンバーばかりなんです。ユーザーのみなさんに挑戦じゃないですけど、難易度が高めのものも用意してどれだけ攻略してくださるかな、という部分を楽しんで開発している部分もあって。歯ごたえのあるRPGを遊んでみたいというかたには、噛み応えのあるタイトルになっているので、この機会にぜひ遊んでほしいですね。


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《きゃんこ》
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