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日本の希望だ。ドラクエ、メルカリ【オールゲームニッポン】

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日本の希望だ。ドラクエ、メルカリ【オールゲームニッポン】
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テレビゲームの世界は、新しいデバイスや技術の普及によって、その形は大きく進化している一方、楽しさを追い求める姿は変わりません。変わるものと、変わらないもの。過去と未来。そして我々が宿命的に背負う日本という存在。なかなか考える余裕のない現代ですが、少しだけ立ち止まって一緒に見つめてみませんか? 毎月1回、「安田善巳と平林久和のオールゲームニッポン」ゆるーくお届けします。

山崎浩司(以下 山崎):雨が降る日が多かった8月です。今月もよろしくお願いします。インサイドのスタッフの間では、やはり『ドラゴンクエストXI』の話題が盛り上がっています。街を歩いていてフツーの方々の会話からでも「ドラクエ」と聞くことがあります。

安田善巳(以下 安田):『ドラゴンクエストXI』は2日間で200万本売れ、その後にあっさりと300万本を越えたそうですね。これからももっと売上本数が伸びそうです。それだけ多くのゲームユーザーがいることが証明され素直にうれしいです。


平林久和(以下 平林):私の周りでは『スプラトゥーン2』と『ドラゴンクエストXI』を並行して遊んでいる人が多いです。というわけで、今年のゲームはジャパナイズの夏、なんてことを語っていました。

山崎:ジャパナイズって日本化、日本風にしたという意味ですか?

平林:はい。世界ではTPS(サードパーソンシューター)がメジャーなゲームジャンルとして遊ばれていますが、日本ではパッとしません。それを、インクを撃つナワバリバトルにして一気にブレイクさせたのが『スプラトゥーン』です。『スプラトゥーン』は日本風のTPSを確立しました。で、西洋生まれのRPGを見事に日本化させたのがドラクエです。


山崎:そうなんですよね。今でこそRPGは日本でよく売れるゲームジャンルのイメージが定着していますが、もともとはまったく馴染みがなかったんですよね。

平林:そうです。ドワーフやホビットといったRPGの原型が生まれたのは中世……ではなくて20世紀初頭のイギリスです。のちに『指輪物語(The Lord of the Rings)』(※1)で有名になるファンタジー小説をトルーキン氏が書きました。初版は1500部しか発行されませんでしたが、それがアメリカに渡ると大ベストセラーになりました。この『指輪物語』を起点にして70年代にテーブルトークRPGが生まれ、コンピュータRPGへと発展しました。というわけで、コテコテの西洋文化から生まれたのがRPGです。

山崎:アメリカ生まれの初期のRPGといえば『ウルティマ』(※2)や『ウィザードリィ』(※3)が代表作ですね。

編集部注釈
※1『指輪物語(The Lord of the Rings)』 映画化され日本でも話題に。RPGの世界観に大きな影響を与えた。
※2『ウルティマ』 オリジン社が発売したリアルタイムコンピュータRPGシリーズ。RPGの草分け的存在。
※3『ウィザードリィ』 Sir-Tech社が発売。日本を代表するRPGである「ドラゴンクエストシリーズ」「ファイナルファンタジーシリーズ」に影響を与えた。

平林:はい。どちらもPCゲームで操作方法もゲームシステムも複雑でした。物語はキリスト教の影響が強かったように思います。それを日本の少年少女向けにつくりかえたのが『ドラゴンクエスト』でした。

山崎:初期の『ドラゴンクエスト』のどんなところに日本化の工夫を感じますか?

平林:いろんな要素がありますが、私が惚れ惚れするのは日本語の使い方ですね。英語を翻訳しただけではない。『ドラゴンクエスト』は、一語一語が日本人になじむ言葉に置き換えられていると思います。擬音語や擬態語を多用し、ちょっと難しい言葉でも、あえて古語を使っているのも『ドラゴンクエスト』の特徴です。

たとえば、祠(ほこら)とか帷子(かたびら)とか雷(いかずち)とかですね。魔法名にも工夫が施されていて、「ホイミ」というと発音が柔らかくて、いかにも治癒してくれそうな感じがしません?

山崎:確かに。「ヒャド」はいかにも冷たそうな感じします(笑)。

平林:極めつけはふっかつのじゅもんです。初代『ドラゴンクエスト』では五七五で区切られているのですが、これ、堀井雄二さんは俳句を意識なさったそうです。だらだらと文字が並ぶより、5文字、7文字単位だと覚えやすくて書き間違いが少ない。ちなみに最後に3文字がついてくるのですが、それは詠み人の名前のように受け取ってもらいたい、と堀井さんのエッセイで読んだことがあります。

山崎:へぇー。そうなんですか!

平林:というわけでファミコン時代のドラクエは金字塔を打ち立てたわけですが、その伝統を継ぐ『ドラゴンクエストXI』は、いっぽうで世界的に見ると、かなり変わったゲームだと思うんです。声優さんのボイスが一切なくて、メッセージはすべて文字表示ですからね。

安田:『ドラゴンクエストXI』は、徹底してドラクエの様式美を守っていますね。僕も日本にRPGがやってきた頃を覚えています。当時はRPGを説明する際に「役割を演じることができるゲーム」とよく直訳されました。プレイヤーが主人公になりきることができるんだ、と。『スペースインベーダー』や『ゼビウス』とはまた違ったゲームの広がりを感じて、この説明だけで胸が高鳴ったものです。

というわけで、RPGのプレイヤーは傍観者ではない。自分が主人公であることが強調されました。そんな背景があり、主人公から積極的にしゃべらないという、日本型RPGの様式が生まれたんだと思います。あれだけきれいで現代的なグラフィックスでキャラクターが動いているのに、『ドラゴンクエストXI』の物語はボイスなしの文字表示だけで進みます。諸外国のゲームユーザーから見たら違和感があるでしょう。それでも国内市場だけで300万本超の売上ですからたいしたものですね。

平林:本当にそうですね。ところで安田さんにお訊きしたいのですが、日本って内需の市場が大きい国ととらえていいんですよね。

安田:はい。

平林:私たちは子供の頃に「日本は貿易立国」と教わって、輸出がないと成り立たないような刷り込みがされていると思うんです。けれども実際は内需が大きい国といえるんじゃないでしょうか?


安田:それは一概に言えない難しい問題ですね。いくつかのことを整理してとらえる必要があるかと思います。まず、日本はエネルギーと食料という、生きていくために必要なものを輸入してなくてはいけない国ですから、貿易立国というのは正しい見方だと思います。けれども、輸出依存度。GDPに対する輸出の割合は毎年15%程度で、これは世界的に見てもかなり低いほうです。統計の取り方にもよりますが、どんなデータでも日本の輸出依存度は世界の国々の中では100位以下になります。

平林:香港、シンガポール、韓国、台湾、あとG7に入っているような先進国ではドイツの輸出依存度が高いと聞いたことがあります。

安田:そうですね。日本とアメリカは輸出依存度が低い国の代表格といえます。ですが、日本の経済規模は大きいので輸出額は大きいのです。輸出額を積み上げるとどんな統計でも日本は世界のトップ5に入ります。

平林:なるほど。輸入があるから成り立つ貿易立国。輸出依存度は低い。けれども輸出額は大きい。これらを切り分けるべきなんですね。

安田:さらに輸入や輸出といっても、グローバル分業が進んでいるので単純に計算しにくくなっています。そんなわけなので、日本は「外需の国か、内需の国か」の議論がたまに起きますが、単純に決めつけられない問題だと思います。ともあれ『ドラゴンクエストXI』は、世界で一番売れているRPG『スカイリム(エルダースクロールズシリーズ)』とはまったく別路線を歩んで、見事に成功しました。日本のゲームユーザーはやっぱりドラクエが好きなんですね。

平林:日本で売れるゲームがあるのは喜ばしいことですが、世界で売れるものももっと出てきてほしいですね。

山崎:突然話は変わりますが、安田さんと平林さんはメルカリを使ったことはありますか?

安田:使っていないです。

平林:私も使ったことないです。


山崎:私も最近になって使ってみたのですが、出品したモノがすぐに売れてすごく便利です。メルカリのアプリは日本では5000万ダウンロード、そしてアメリカでは2500万ダウンロードに達したそうです。

安田:日本でもアメリカでも、そんなにダウンロード数が多いんですか?

山崎:日本では若い世代に一気に普及しましたし、アメリカでも大ブレイクしているみたいです。

安田:日本のネットベンチャーがアメリカで成功する珍しい事例ですね。

山崎:メルカリではインターン100名を全米50州に派遣するなど、世界進出に意欲的です。今年からイギリスでもサービスを開始しました。ヨーロッパ市場にも進出して、なんかすごいことになっています。日本のIT企業の新しい成功例になるかもしれませんね。強引にまとめますが、ドラクエとメルカリは日本の希望ということで、今月もありがとうございました!

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(C)2017 Nintendo
《平林久和》

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