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VRの伝道師、GOROmanこと株式会社エクシヴィ代表取締役社長 近藤義仁氏が語る、国内におけるVR向けHMDムーブメントのこれまでとこれから―中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第46回

ゲームビジネス VR

VRの伝道師、GOROmanこと株式会社エクシヴィ代表取締役社長 近藤義仁氏が語る、国内におけるVR向けHMDムーブメントのこれまでとこれから―中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第46回
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本誌の読者ならご存じのとおり、「ゲームビジネス新潮流」を冠したこの連載はほぼ1年間にわたりVR関連の企業に対しインタビューを敢行してきました。これらのインタビューで常に遭遇する名前がありました。GOROman氏(または近藤氏)です。前回のProduction I.Gでのインタビューでは、2014年のとある新年会でGOROman氏と出会い、Oculus Rift DK2を手にしたことがきっかけだと言っていましたし、新清士氏がVRに対しビジネスとしての可能性を実感したのが、GOROman氏が開発した『MikuMikuAkushu』を2014年4月7日に開催されたUnite Japan 2014の会場で体験してからというのは有名な逸話として知られています。そこで必然的に疑問として浮かび上がるのはGOROman氏、本人が実際どのようにVRにかかわるようになり、大手企業などに先駆けて日本において「VRの伝道師」になったのかという点です。そのような疑問が沸々と沸き起こる中、奇跡が起こりました。

左が近藤氏、右が藤原氏

あらゆるHMDがひしめく!

筆者が所属している立命館大学映像学部、京都クロスメディア推進戦略拠点、ITコンソーシアム京都、京都府市などで企画したVRに関するカンファレンス、KYOTO VR EXPERIENCEの際、機材関係で協力いただいたTSUKUMO(ツクモ)の駒形一憲氏の計らいで、本人にお会いする機会に恵まれたのです。そこから数日後、筆者は同氏が経営している株式会社エクシヴィのオフィスを訪問。本稿では、GOROmanこと近藤義仁氏が如何にVRやの邂逅を果たし、その本質を見極めつつやがて啓蒙者になったのか、そしてOculus Japanチームのエンジニアを経てこれからをどう見据えているかについて明らかにしていきます。また、インタビューには近藤氏がOculus Riftを啓蒙時にTwitterを通して出会った、エクシヴィのR&Dプログラマー藤原航氏も立ち会っていただきました。ですので、近藤氏を中心に据えつつ、藤原氏からも補足をしていただきながらのインタビューとなりました。

ファミコン時代から貫いたVRに対する飽くなき好奇心

――VRというものについてはいつごろから興味を持っていたのでしょうか?

株式会社エクシヴィ代表取締役社長 近藤義仁氏(以下、近藤):立体視という視点では、ファミリーコンピュータ時代に販売されたファミコン3Dシステムからでした。映像を交互に高速で切り替えて立体視するんですが、これが任天堂から発売されていたんです。ゲームとしては2~3本位しかでていなかったんですが。当時はまだ中学生でしたね。これを知り合いの家でプレイしたときに面白くて、早速ハードを改造して、SHARP X68000(以下、X68000)というパソコンにつないだんです。

――既に改造してたんですか?

近藤:シンプルなんですよ。しくみ自体は。シャッターで左と右を高速で交差させるというしくみだけだったので。初代のX68000にはなぜか立体視の端子があったので、ファミコン3Dシステムを改造してそこにつないで遊んでました。X68000は、小6のときに家にきたのですが、その後パソコン通信などで様々な情報を得たので回路図とか。中学生のときに改造しました。市販のソフトがなぜかそれに対応していたんです。『ファンタジーゾーン』とかを立体視で遊んでいましたね。

――その後も立体視に対する興味は続いたのですか?

近藤:高校時代には格闘ゲームとか、『バーチャファイター』とかにもハマっていましたね。そのときから画面の中に入りたい、もしくは、コンテンツに画面の外に出てきて欲しいという思いがあったんです。もしくは、いずれそんな時代が来るといった感覚ですね。この頃です。インターネットが出てきたのは。で、インターネットをとにかくやれるところを探しながら進学しました。ただ、インターネットをやればやるほど情報が入ってきたんです。怪しいものがいっぱい(笑)。

――笑

近藤:当時から新しいモノが好きだったので。

――インターネットから得た情報でとくに興味を引いたものは?

近藤:やはり、海外の情報ですね。僕らが持っている情報ではなかったので。例えば『Doom』とかですね。あの3D感が好きだったのでとにかくプレイしてました。あと、Blizzardのリアルタイム戦略ゲームも『WarCraft2』の時代からやってました。その後、日本でも有名になった『Diablo』、そして『StarCraft』などはとにかく大学時代にハマりました。一方でバイトしつつ、その他の時間は『Diablo』のことしか考えられないという時期もあって(笑)

――笑

近藤:ほぼ廃人状態ですね(笑)ネットを介したマルチプレイも出来たので。ただ、このままいくと本当の廃人になってしまうと思い、はやくゲームをクリアしないというマズいという思いからハッキングツールをつくりだして、レベルをマックスにした途端、ゲームが面白くなくなって飽きてしまいましたが...基本的にゲームそのものよりも解析が好きだったんですよね(笑)。シェアウェアとかも開発して200万円とかポンって手に入ったりしていましたし。

学生時代から自然に培われたベンチャースピリット

――ゲームのシェアウェアですか?

近藤:インターネットのルータ制御用ソフトです。当時、インターネットはダイアルアップ接続が主流だったんです。いまはルーターでの接続が主流ですが、当時、ルーターはまだ希少で1台、数十万という時代でした。 そんなときにNTTからMN128 SOHOというルーターが4,5万円で販売されたんです。それを使えばいっぺんに5台とかつながるので人気商品になりました。そこで、そのルーター用の制御ソフトをつくったんです。1本1000円程で販売したら、2000本程売れたんです。

――そのときの心境はいかがでしたか?

近藤:時給650円で働いているのがバカバカしく感じた位です。その後、上京してPlayStation用のゲーム開発に取り組んだんです。

――どんなプロジェクトに関わったんでしょうか?

近藤: 中小のソフトハウスで、プログラマーになりました。ツール開発からですね。OpenGLの資料などをボンっと渡されてのスタートです。とにかく「やります!」とだけ答え、プロジェクトに取り組みました。これまで主にアセンブリ言語を使ってましたし、大学時代に開発したシェアウェアもDelphiというソフトでPascal言語を使って開発していたのでOpenGLの専門というわけではなかったのですが…とにかくこのようにしてPlayStationやPlayStation2用ゲームから入って、次にXbox向けのゲームエンジンをつくりました。そのようなときから立体視が好きで、定期的に立体視用デバイスとかを買っていました。そのかたわらニコニコ技術部に出会ったんです。

――「ニコニコ動画」の?

近藤:とにかく面白いヤツがいっぱいいたので、そこから刺激を受けて個人としてプロジェクトに関わりはじめました。

――GOROmanさんの誕生ですね?

近藤:いろいろ見ながら自分でもやってみようと思いました。ニコニコ技術部にオンライン上で見ていたひとたちも、後々、本当の友達になっていきましたが。この前の京都のイベントでも、そこで出会った皆さんにお会いできました。その中に、ARやVRをやっている人たちもいたんです。そして07年12月ごろに、Johnny Chung Lee 氏がアップロードした、動画に出会ったんです。

――WiiリモコンをヘッドトラッキングにつかってPCデスクトップをVRディスプレイ化するという実験映像ですね?

近藤:あれに驚いて、僕もさっそくやってみました。

――あれと同じものをつくったんですか?

近藤:はい。Lee氏はソースコードも公開していたので。それを見ながら全く同じものをつくって、「あ、これスゲー面白れぇ」って。

――すごい、エンジニア魂!

近藤:で、早速ニコニコ動画にあげました。GOROmanでやってますね。単純に面白いなと思ってあげてたんですが、当時は全然話題になりませんでした。すごさが分からないんですよね。

とインタビューを進めていた段階で、同席していた藤原航氏がひとこと。

藤原航(株式会社エクシヴィR&Dプログラマー、以下、藤原):ここに一人いましたけどね。感動していた人が。これが、近藤社長がやっているものとは知らずに見ていて、僕も「これ、すげえ」と思って見ていたんです。

近藤:ただ、同じようにやっているひとはそんなに日本にはいませんでした。いわゆるChung Lee方式ですよね。通常Wiiでは、センサーバーをまあ、センサーとは言っても赤外線のLEDが2個、両端に設置されているだけですが...をテレビ側に装着し、それに対し、コントローラのほうが赤外線カメラになっててトラッキングするという仕組みだったんですけど、逆の発想にしたわけです。Wiiリモコンのコントローラを固定にして、センサーバーを頭につけたんです。つまり、頭のほうから赤外線LEDを2個発光している状態にしたんです。それによって、ユーザー側のポジショントラッキングを実現したんです。つまり、現在のPSVRやOculus Rift のようなHMD(※Head Mounted Displayの略、以下、HMD)のポジショントラッキングとほとんど同じ仕組みです。

――シンプルですね!

近藤:PCとWiiリモコンをブルートゥースでつなげてしまうことで、他に何も使わずにVRのような表現が出来てしまうという...簡単なのに効果は絶大だったわけです。

――当時、ご自身が関われていた業務もVR関連だったのですか?

近藤:この頃、2社目の会社を立ち上げることになりました。2010年6月18日に、今の会社、株式会社エクシヴィを立ちあげたんです。アミューズメント系の受託開発事業をおこないながら、趣味としてVRやARを続けていました。11年ごろにはソニーから発売されていたHMZ-T1をもっていたので、それを装着しながら、Johnny Chung Lee方式を応用して『Elders Scroll: Skyrim』をプレイしてました。

――当時最も話題だったオープンワールドのRPGですね!

近藤:これで大画面にしながら、ポジショントラッキングで遊ぶというのを会社の中でやってました(笑)。ただ、反応は芳しくなかったですね。「酔う酔う」って言われたりして。

――笑

近藤:そんな延長線上に、クラウドファンディング界隈でPebbleというスマートウォッチの先駆け的なデバイスが出てきました。2012年ごろですね。これが僕にとってクラウドファンディングに注目するきっかけになりました。それで、クラウドファンディングで興味深いプロジェクトなどを探していたら、2012年8月1日にOculusがRiftのDevelopment Kit 1(以下、DK1)のプロモーション映像を流しているのを発見したんです。それは、まさにJohnny Chung Lee方式のような感じでトラッキングして、しかも視野が広いデバイスを紹介だったんです。早速予約しました!そして届いたのが2013年の4月30日でした。

――そのときの印象はいかがでしたか

近藤:感動しましたね。正直、あまり期待してなかったんですよ。これまでもいろいろなヘッド・マウントディスプレイは買ってました。EPSONのMoverioとか。でも期待よりも下の出来だったんです。視野角が狭かったり、トラッキングがなかったりで。なので、DK1を入手した際も、トラッキングがガクつくだろうとか、推定数メートル先に長方形のスクリーンが見えるんじゃないのと想像してたんです。ですが、今振り返ると解像度は低かったですが、ちゃんとトラッキングもするし視野角の広かったので、「これはスゴイぞっ」と。いろんなひとにやって欲しいなと思いました。

――なるほど。

近藤:その日のうちにDK1はすごいという動画をアップしました。その後、ゴールデンウィークを返上して『Mikulus』の前身に当たるコンテンツをつくったんです。もちろん初音ミクを使って。単純にカワイイというのがありますが、ニコニコ技術部がミクを使って何かやるという伝統があったんです。ミライっぽいものはミクを使うというコンセンサスみたいなものがあって。

DK1入手直後にアップした動画。本人の興奮が伝わってくる

――反応はいかがでしたか?

近藤:それでも当初、あまり反応はなかったですね。

――(藤原氏にむかって)どうでしたか?

藤原:正直、あまりよく分からなかったですね(笑).

(次ページ)※VRを経営者たちにひたすら見せ続けるGOROman氏の意図とは?
《中村彰憲》

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