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【hideのゲーム音楽伝道記】第55回:祝発売15周年!『キングダム ハーツ』 ― “心”をテーマにした物語を彩る音楽

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【hideのゲーム音楽伝道記】第55回:祝発売15周年!『キングダム ハーツ』 ― “心”をテーマにした物語を彩る音楽
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インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽大好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第55回目の今回は、3月28日で発売から15周年を迎えた『キングダム ハーツ』をご紹介いたします!


『キングダム ハーツ』は、2002年3月28日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)からプレイステーション2で発売されたアクションRPGです。同年12月26日には北米版の同作をベースに様々な新要素が追加された『キングダム ハーツ ファイナル ミックス』が発売され、2013年3月14日には、HDリマスター版の『キングダム ハーツ HD 1.5 リミックス』が発売されました。

本作は、世界的なエンターテインメント企業であるウォルト・ディズニー・カンパニーとスクウェアによるコラボレーション作品です。主人公の少年・ソラが、ドナルドダックやグーフィーといった仲間たちと共に、さまざまなディズニー作品をモチーフにした世界で繰り広げられる冒険譚は世界中で人気を呼び、全世界でのシリーズ累計出荷本数は2000万本を超える人気シリーズとなっています。

ゲーム中に登場する世界は、『ふしぎの国のアリス』、『ターザン』、『アラジン』、『ピーター・パン』、『くまのプーさん』、『ヘラクレス』、『リトル・マーメイド』、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』といったディズニー作品がモチーフになっており、もちろん各作品のキャラクターたちも多数登場。ゲームに華を添えています。また、『ファイナルファンタジー』シリーズからも『FFVII』のクラウド、エアリス、ユフィ、シド、『FFVIII』のスコール、セルフィ、『FFX』のティーダ、ワッカといったキャラクターたちがゲスト出演。さらに『ファイナル ミックス』には、クラウドの宿命の仇敵・セフィロスも登場してクラウドと対決することになります!

さまざまなディズニー作品をモチーフにしたファンタジックな世界観、爽快感あふれるバトル、明るいと思わせておいて実は奥深く入り組んだストーリーなど『キングダム ハーツ』の魅力は数多いのですが、その中でも特に欠かせない魅力のひとつが音楽です。本作の音楽を手掛けたのは、作曲家の下村陽子氏。ファンタジックかつ奥深い本作の世界観を彩る楽曲群は非常にクオリティが高く、多くのファンに愛されています。それでは、本作の音楽をピックアップしてご紹介していきましょう。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

まずは、本作のタイトル画面で流れる楽曲「Dearly Beloved」。繊細なピアノで奏でられる、優しくもせつない印象を持つこの楽曲は、本作以降のシリーズ作品でもタイトル画面でさまざまにアレンジを変えて流れ続けている、『キングダム ハーツ』の顔とも言える存在です。シリーズ1作目である本作の「Dearly Beloved」は8小節のピアノの旋律によるシンプルな作りなのですが、それゆえに素朴な味わいがあり、ストレートに心に沁み入ってくるものがあるように感じますね。

続いては、「光 -KINGDOM Orchestra Instrumental Version-」。宇多田ヒカル氏による本作の主題歌「光」を、作編曲家の和田薫氏がオーケストラアレンジした楽曲です。タイトル画面でしばらく待っていると流れる、オープニングデモムービーで聴くことができます。オーケストラで紡がれる壮大かつ美しい旋律は情感たっぷりで、プレイヤーを『キングダム ハーツ』の世界にいざなってくれますよ! ちなみに和田氏は本作以降のシリーズ作品でも編曲に携わったり、『キングダム ハーツ』の吹奏楽やオーケストラによるコンサートで編曲や指揮を担当するなど、本シリーズに欠かせない存在になっています。


(左から)ソラ、カイリ、リク

物語が始まるのは、デスティニーアイランドという島。ここは主人公のソラと、幼なじみのカイリ、リクが遊び場にしている島なのですが、ここで流れる楽曲「Destiny Islands」は、ウクレレ風の音色による、南国風なのんびりとした旋律が魅力的ですよ。

また、デスティニーアイランドで遊べるビーチレースで流れる楽曲「Bustin' Up on the Beach」のアップテンポで駆け抜けるように展開する軽快な旋律は、ソラたちがビーチで楽しく無邪気に遊んでいる様子にぴったりマッチしていて、爽快感バツグンですね。

もうひとつデスティニーアイランドで印象深いのは、ソラとカイリが夕焼けの海を眺めながら会話するシーンで流れる楽曲「Kairi I」です。美しさと、すこし切なさを感じさせる笛とピアノの旋律が特徴的で、すーっと心に沁み入ってきますよ。なお、この楽曲は、II、IIIと、バーションが全部で3つ用意されており、物語中のカイリに関係するシーンで聴くことができます。

さて、島での平穏な時間は長くは続かず、とある出来事によってソラは見知らぬ街・トラヴァースタウンに飛ばされることになります。この街の中で流れる楽曲「Traverse Town」は、サックスをメインにゆったりと奏でられる旋律で、落ち着いた街の雰囲気がよく表現されています!

また、この街でのバトルの際に流れる楽曲「Hand in Hand」も非常に素晴らしいです。個人的には『キングダム ハーツ』の中で一番好きで、皆さんにも特におすすめしたい楽曲ですね! 元気で伸びやかで爽快感があって、“繋がる心”を力にするソラが戦う際の音楽として、ぴったりマッチしている名曲だと思います。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

やがてソラはグーフィーやドナルドダックと出会い、さまざまなディズニー作品をモチーフにした世界を冒険していくことになります。これらの世界では、各原作の楽曲をアレンジしたものも使用されており、きっと各ディズニー作品世界の雰囲気に浸れることと思います。また、バトル曲に関してはあまり殺伐とはしておらず、ファンタジックで爽快感にあふれているものが多いですね。

また『キングダム ハーツ』では本作オリジナルの世界も登場するのですが、その世界の音楽は下村氏作曲のオリジナル楽曲となっています。その中のひとつに、ラストダンジョンの「ホロウバスティオン」という場所があるのですが、ここで流れる「Hollow Bastion」という楽曲が特に素晴らしいです。鐘の音が印象的な、影を帯びたサウンドで、濃い闇の中心部にどんどん近付いてゆくような陰鬱な雰囲気がたまりません。また、ホロウバスティオンで流れるバトル曲「Scherzo di notte」も、重々しさのあるオーケストラチックな音色と少し虚ろな印象のピアノによるハーモニーで、敵との激しいバトルを彩ってくれます。

そして迎えるラスボス戦で流れる楽曲「Guardando Nel Buio」。この楽曲は、本作のPS2版が初めて公開された当時のPVで流れていた、本作の裏のテーマ曲と言えるかもしれない「Destati」のアレンジ曲になっており、重厚なコーラスの入ったまがまがしい音色が最後の戦いを大いに盛り上げてくれます。ちなみに、下村氏は「Destati」を制作していた当時、パソコンがフリーズしたり強制終了してしまったり、停電が起きたり、水道が止まったりといった怪現象に多く遭遇したそうで、「呪われた楽曲なのでは?!」と戦々恐々とされていたのだそうです。

エンディングシーンで流れるのは、宇多田ヒカル氏による本作の主題歌「光」です。本作以降のシリーズ作品でも多く使用されている、『キングダム ハーツ』シリーズを象徴する楽曲ですね。歌詞の意味が非常に深く、聴くたびに様々な思いをめぐらせられます。有名な楽曲なので「光」の歌詞をご存知の方は多いかと思いますが、本作を最後までプレイした後に改めてこの歌を聴くと、おそらくまた違った捉え方になることでしょう。

スタッフロールで流れるのは、「March Caprice for Piano and Orchestra」。こちらはオープニングデモと同じく、和田薫氏の編曲によるオーケストラ楽曲です。繊細なピアノと壮麗なオーケストラによって紡がれる美しいハーモニーは非常に絶品で、本作の物語をしっとり美しく締めくくってくれますよ。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

下村氏が紡ぐ繊細かつ優雅な楽曲群は『キングダム ハーツ』の世界観に見事にマッチしており、ファンタジックな本作の世界を鮮やかに彩っています。本作は明るい部分(光)とダークな部分(闇)を合わせ持った作風なのですが、対となるそれらの両極端な存在を、時にはカラッと明るく、時にはしっとりせつない旋律で両方を包み込んでひとつの世界として表現しきっている下村氏の手腕は、感嘆のひとことですね。時にあたたかく光り輝き、時に澱んで暗く闇に堕ちる、「心」という視えないけれど大切なもの。それを軸に、どんな物語が描かれるのか。そして本作のタイトルにもなっている“キングダムハーツ”とはいったい何なのか――。ご興味をお持ちでしたら、ぜひ、あなたの目と耳、そして心で体験してみていただければと思います。



先日3月9日には、プレイステーション4で、『キングダム ハーツ -HD 1.5+2.5 リミックス-』が発売されました。本作には『キングダム ハーツ ファイナル ミックス』、『キングダム ハーツ Re:チェイン オブ メモリーズ』、『キングダム ハーツ II ファイナルミックス』、『キングダム ハーツ バース バイ スリープ ファイナルミックス』のゲーム作品4タイトルと、映像コンテンツとなる『キングダム ハーツ 358/2 Days』、『キングダム ハーツ Re:コーデッド』の2タイトルを含めた全6タイトルが収録されており、『キングダム ハーツ』シリーズをこれから始める方にはうってつけの1本です!

『キングダム ハーツ』はアクション要素のあるRPGですが、複雑な操作はあまり無く、普段ゲームをあまりプレイされない女性やお子さん、アクションゲームが苦手な方でもプレイしやすいかと思います。誰でも爽快なバトルや奥深いストーリー、そして素敵な音楽を楽しめる作品ですので、ご興味をお持ちでしたらプレイしてみてください!


なお、本作のサントラCDとしては、PS2版発売当時にリリースされた『キングダム ハーツ オリジナル・サウンドトラック』のほか、本作および続編の『キングダム ハーツII』、『キングダム ハーツ Re:チェイン オブ メモリーズ』の楽曲が収録されたサントラBOX『KINGDOM HEARTS Original Soundtrack COMPLETE』があります。また、『キングダム ハーツ HD 1.5 リミックス』でのアレンジ音源が収録された『キングダム ハーツ -HD 1.5 リミックス- オリジナル・サウンドトラック』も発売中ですので、ご興味をお持ちでしたらチェックしてみてください。


また、本作のピアノアレンジアルバムとして、『ピアノ・コレクションズ キングダム ハーツ』と『ピアノ・コレクションズ キングダム ハーツ フィールド&バトル』の2枚が発売されています。下村陽子氏の十八番とも言える、繊細で美しいピアノの音色が存分に味わえる作品ですので、ご興味をお持ちの方はこちらもチェックしてみていただければと思います。


ちなみに、先日3月18日より劇場公開中のアニメーション映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』の音楽を下村氏が担当されているのですが、『ひるね姫』の監督である神山健治氏のTwitterによると、下村氏に音楽を依頼することに決めたきっかけは『キングダム ハーツ』のサントラだったとのことです。神山氏もおっしゃっていますが、『キングダム ハーツ』の音楽は、キラキラしたピアノの音色をはじめとした旋律が本当に美しいので、サントラからでもいいのでぜひお聴きになってみていただきたいですね。そしてご興味をお持ちになったら、ゲームもあわせてプレイしてみてもらえたらと思いますー!

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬

ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、ゲーム音楽関係の記事を執筆しています。最近友人宅で久しぶりに『ボンバーマン』の5人対戦をして、やっぱり強烈に面白いなと再認識しました。
[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

(C)Disney. Developed by SQUARE ENIX
《hide/永芳英敬》

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