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【プレイレポ】Steam版『No Man's Sky』で無限の宇宙へ…壮大な探索と一期一会の航海記

Hello Gamesから2016年8月12日に多くの期待を受け、PC向けについにリリースされた宇宙探索ゲーム『No Man's Sky』。リリースまで謎めいた部分の多かった本作について、ゲーム概要を追いながらプレイレポをお届けします。

ソニー PS4
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Hello Gamesから2016年8月12日に多くの期待を受け、PC向けについにリリースされた宇宙探索ゲーム『No Man's Sky』。自動生成で膨大な宇宙の規模を実現したということで注目こそ集めていても、リリースまで謎めいた部分の多かった本作について、ゲーム概要を追いながらプレイレポをお届けします。

■宇宙を探索し、装備を整え、目指すは銀河の中心か、はたまた気の赴くままか


本作は、装備が壊れた宇宙船と、極限環境でも一定時間継続して生存可能な最低限の宇宙服に万能ツールを持っただけのプレイヤーキャラクターが説明なく銀河の何処かの惑星上で目覚めるところからスタートします。この時点からなんらゲームに制限はありませんが、宇宙船の最低限の修復を行わないと惑星外へ出ることはおろか、大気圏内飛行すらできないため、まずは万能ツールで資源を入手し、それを用いて船を一度修復するまでがゲームの導入となる部分です。


ゲーム開始直後、ここから終わりのない旅が始まる


まずは何はなくとも宇宙船の修理だ

その後は、自分の船の真横に存在していた謎の球体の指示に従ってチュートリアル要素を含む連続クエストに挑戦するか、もしくは一切他に従うことなく自分の意志のみを持って動くか、いずれにしても一切の説明なきままゲーム世界へと放り出されることとなります。しかしながら星系間の移動には“ハイパードライブ”の入手が必要です。さらに、安全に旅を行うためにも、1つの惑星上だけでも途方もない数存在する施設などのスポットを巡り、各種装備の技術を入手し、様々な惑星上で手に入る素材を用いてそれらを作成することが当面の主な目的となります。


初期船の隣にある“アトラスインターフェース”。この指示に従っていくことで十二分にゲームを理解できるだろう


こういったデバイスにアクセスすることなどで装備品のレシピが手に入る

他星系へのワープ要素の有無を除けば“ハイパードライブ”の入手後も、その時々に要求される任意の要素を持つスポットへの移動と、そこで出会った内容の解決で構成される探索の繰り返しがこのゲームの基本構造を形作っています。ゲーム内外で提示されている「銀河の中心へ到達する」という大目的も、ワープ進行方向の指針としてが殆どなのもそれを印象づけています


“ハイパードライブ”入手後はワープで他の星系へと飛び立てる。
移動のためのエネルギー源となる“ワープセル”が要求されるので、安定した移動のためにはレシピ探索が必須だ

■探索特化のゲームデザイン、独り無限の旅路を進み続ける


探索こそが主体であるのはシステムにも強く現れており、本作ではいわゆる“マップ”について星系間のもの以外は用意されていません。特定の方法やイベントによってマーカーが出ることもありますが、これも一時的なものであり、特に惑星上のイベントスポットは、交易所とNPC以外は各々につき一度しか使えないこともあって、見つけたその時がほぼ全てです。


イベントスポットなどを通じてマーカーが出ることもあるが基本は一期一会


交易所内でのNPCとの会話。このゲームの宇宙は優しいので交流を失敗しても破滅的な結果にはならない


一度話したNPCは特定の一般的な資源少量と引き換えに言語の習熟等に力を貸してくれる。
最序盤ではお世話になるだろう


イベントスポットの中には簡単な暗号解読パズルなども

星系間マップも銀河の中心へ到達するための一方通行のルート提示や、近くの星系の閲覧や直接ワープ程度の機能しかなく、今まで自分が訪れたことのある星系を知るすべすらなく、たとえマップがあれども一度離れた星系へ再び訪れることすら困難を極めます。結果として強く一期一会を感じさせる旅となるでしょう。


この膨大な星系の中、一方通行の目的地マーカー以外は目印一つつけることはできない

似たようなゲームではよく見受けられる交易や開拓は、あくまで同じ場所へ戻れることを前提としたシステムであり、本作においてこれらはインベントリ整理や素材入手のためのフレーバー的な内容に留まっています。戦闘も決して深いシステムや大規模な要素は存在しておらず、その点については強く注意が必要です。またマルチプレイヤー要素も基本的には他の人間がつけた惑星名や生物名を目にし、かつてここを訪れたであろうプレイヤーのことを想うだけに限られています。


交易はひどく限定的なものながら、もしどうしても必要なアイテムがあれば、
各地の交易所や訪れる宇宙船パイロットもあたってみるといいだろう


発見した新種に名前をつけるのはやはりロマン
ただし簡単に膨大な数となるので名前をつけるのはお気に入りに限ったほうが良い、発見報告のみも可能だ

本作のゲームデザインは無限に近い星々を、銀河の中心へ向けて幾度もワープを繰り返しながら巡る探索行と、そのための素材や技術入手のための惑星降下、その過程で出会った自動生成によるユニークな動物や植物、そして宇宙について思いを馳せることを主軸としています。


水棲のサイじみた生き物。まだ見ぬ新種へ思いを馳せる

■探索のスケール感こそ本物ながら、ゲーム自体には非常に大きい改善の余地


本作を支える探索の膨大なスケール感は本物です。惑星ひとつを取ってみてもとても回りきれるはずもない規模と散りばめられた膨大なイベントスポット。そんな惑星が1800京個以上。理解を拒むほどのスケールを持ってしてプレイヤーを迎い入れてくれます。しかしながら、その内容は決してその膨大なスケール感通りではありません。惑星の環境はある程度の類型で構成されていますし、生物や植物も自動生成であるとはいえ、ゲームを継続していけばどうしても既視感を拭えなくなってしまうことも多いでしょう。


建物の形状などは知的生命の種類で固定となる

それより大きな問題なのはイベントスポットの内容です。これは本作の銀河に存在する3つの知的生命種族を主軸とした、過去の物語の語りであったり会話であったりする内容ですが、これはもちろん自動生成ではありません。ましてやこれらの種族の関係や宇宙そのものはサンドボックスではなく変わることはありません。プレイヤーが巻き込まれる形であるダイナミックなイベントも数少なく、結果として環境や動植物と違い、早々に飽きが生じてしまうのです。


イベント自体が決して著しく少ないわけではないが、
膨大な世界のスケールの前では見たことのあるイベントに複数回遭遇するのもそう遠くはない


ユニークなイベント。言葉もわからず選択肢を選んだらとんでもないことに……
とは言えゲーム自体には影響しないし、筆者が遭遇するのはこれでもう複数回目

探索行こそ無限と言えたとしても、それを支えるベースとなる世界構造について、一度同じ会話や内容のイベントスポットのルーチンワークと化してしまえば、まだ見ぬ惑星環境・動植物への期待で無理にでもモチベーションを維持しなければ、プレイヤーの本作への興味は加速度的に薄れてしまうことでしょう。イベントスポット等の演出がスキップ・短縮不可なのも一度ルーチンワーク化した後はテンポを著しく害するだけです。


ゲーム内の実績を達成するたびにカットインが入る、飛ばせないので注意が必要だ

本作の問題点はそれだけではありません。プレイヤーのインベントリのバランスが偏っているのです。本作ではプレイヤーは宇宙服・宇宙船・万能ツールの3つについて各々のインベントリを持ち、それぞれ強化のための装備もアイテムとしてインベントリへと配置することとなります。各々の装備を作成するための素材もインベントリに保持している必要があり、更には探索の結果入手可能な、トレードで高額で売れるドロップアイテムや装備作成のための中間アイテムに至ってはスタックすることもできません。


惑星表面に時たま落ちているポッドの中では
少々の金銭と引き換えでスーツのインベントリのアップグレードが可能だ、優先的に行いたい

インベントリの初期数は少なすぎるほどで、結果としてプレイヤーは飽きの加速を承知でインベントリ増加のための特定のイベントスポットを巡り続けるか、せっかくの探索の結果を都度廃棄しながら進むか、売却のために宇宙ステーションやまで赴くか惑星上のトレードスポットを探索する必要があります。しかし、惑星上のトレードスポットも発見が困難ならマッピングやマークすらできない不自由な仕様でストレスの軽減には少々力不足です。


最大アップグレード。
惑星のスケールが膨大なため最初の惑星から出ることすらなくここまでを行うことも可能だが……
犠牲にするものも多い


各地にある遺棄船へアクセスすることでそちらへ乗り換えることができる、
今の船よりインベントリがアップグレードされている場合がある


このターミナルへ該当アイテムを持ってアクセスすることで
周囲の任意のカテゴリのイベントスポットを探すことができる

ゲームそのものの問題点とは別に、本作の最大の不幸は、発売前にゲームの舞台である宇宙のスケールだけが取り沙汰されすぎたこと、そして探索主体のゲーム性から必要以上の内容公開が積極的に行えなかったことです。世界を探索して様々な事柄に触れることをその楽しみの主体とする本作において、事細かに事物を説明されるのは大きく楽しさをスポイルしてしまう結果に繋がったことでしょう。しかし、発売まで過大すぎる憶測や期待が入り交じったままの状態は、インディーゲームとしては高額な価格帯とあいまって、ユーザーレビューで批判を浴びるなど予期せぬ結果をもたらしてしまいました。


しかしながら開発側も、マルチプレイヤーに関する情報での曖昧な対応が顕著でしたが、システム的な仕様となる部分については明確にする所は最初から大きく明言していかないといけなかったのではないのかという思いを禁じえません。


不幸なスタートを切ってしまった本作ですが、説明の殆ど無い独特の不思議な空気と、探索に特化されたゲームスタイル、圧倒されるしかない膨大なマップボリュームの合わせ技は、宇宙交易・探索ゲームの始祖を思わせるような、非常にプリミティブな驚きの感覚と体験を現代風にグレードアップして提供することにある程度成功しています。また、本作は今後も大規模なアップグレードをパッチで提供することを予定されています。それによって本作が寄せられた多大な期待に応えることができるかは未知数ですが、より快適で楽しい宇宙探索の旅が過ごせるようになることに期待しましょう。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

『No Man's Sky』は、SteamにてPC向けに6,080円で販売中です。そしてPS4向けに8月25日に6,372円 にて発売予定です。
《Arkblade》
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