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【hideのゲーム音楽伝道記】第36回:『新ひゅ~ストン』― 井戸の中を落ちてゆく石!そのスリルとスピード感を演出する音楽

インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽大好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第36回目となる今回は、『新ひゅ~ストン』をご紹介します。

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インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽大好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第36回目となる今回は、『新ひゅ~ストン』をご紹介します。


『新ひゅ~ストン』は、2015年4月22日にポイソフトからニンテンドー3DSのダウンロードソフトとして配信された、“声でちゃう系落下アクション”ゲームです。本作は2011年に3DSで配信された『ひゅ~ストン』の続編となるタイトルで、前作と比べて落とす石の種類を2倍以上、ステージ数を4倍以上とボリュームアップさせたものになります。

『新ひゅ~ストン』とはどんなゲームか? 一言で言うと、“石になって井戸の中を落ちてゆき、底を目指す”というものです。……言葉にしてしまえばただそれだけなのですが、シンプルながらもついついハマってしまう、不思議な中毒性があるゲームですよ!


先に言っておきますが、本作に出てくる井戸は普通の井戸ではありません(笑)。井戸の種類は、砂漠の井戸、海の井戸、恐竜の井戸、ファンタジーの井戸、未来のメカ井戸(!?)など個性的なものばかり。さらに井戸の中には、木材をはじめ、マカロンなどのお菓子、ピザやバナナといった食べ物などの様々な障害物が存在しています。これらにぶつかってしまうと石のHP(耐久力)が減ってゆき、HPがゼロになると石が砕け散ってしまってゲームオーバー。障害物に当たらないようにして井戸の底を目指すというわけです。

……「なんで井戸の中にマカロンとかピザがあるんだよ!?」とツッコミを入れずにはいられない方もいらっしゃることでしょう。ええ!わかります!僕も最初はそうでしたから(笑)。本作における井戸は、井戸に物を投げ入れる人の“想像の世界”なんですね。ということで、普通の井戸ではまずありえないようなモノもバンバン出てくるというわけなのです。

なお、井戸の中には、真ん中を通ると石の速度が一時的にアップするドーナツ型の物体や、割ると石の耐久力が回復する「風船」といった役立つアイテムもありますので、これらをうまく使うことも攻略のポイントになります。


また、井戸の中に投げ入れるものは石だけではありません。鉄球、ゴムボール、パチンコ玉、木魚、ラジカセ、目ざまし時計、すき焼き、入れ歯など、実にいろんなものが投げ入れられます。もはや、なんでもアリですね(笑)。しかもそれぞれ落ちるスピードやHPが違ったり、何かに当たるとはねかえったりするなど、個性があるのもユニークです。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

さて、そんな独特な世界観を持つ『新ひゅ~ストン』の魅力のひとつが音楽です。本作の作曲を担当したのはt.Komine(Tomoshige Komine)氏。ポイソフトのすべての作品の音楽を担当しているほか、VOCALOID楽曲のプロデューサー「うたたP」としても活動されている方ですね。t.Komine氏が手掛けた本作の音楽は、テクノ調のアップテンポな楽曲が多く、石が落ちてゆくスリルやスピード感をうまく演出しており、プレイしていてとても気持ちが良いですよ。それでは、本作の楽曲をピックアップしてご紹介していきたいと思います。

まずは「ふつうの井戸」ステージで流れる楽曲。明るく軽快でありながら、どことなく哀愁を感じさせる旋律が印象深いです。ひとりっきりで、井戸の底へひたすら落ちてゆく石。その孤独感にあふれる姿と、ほのかに漂うユーモラスさが、音楽で絶妙に表現されているように感じました。


続いては「海の井戸」ステージなどで流れる音楽です。このステージは、青い海が透けて見える海底トンネルを駆け抜けていくのですが、その美しい景色にマッチした幻想的かつアップテンポな旋律で、石の落下を盛り上げてくれますよ。

お次は「未来のメカ井戸」ステージで流れる楽曲。アップテンポで紡がれるテクノチューンが、メカの雰囲気にとっても格好良くマッチしています。というか、まさか井戸の中を落ちてゆくゲームで、こんなにテクノな楽曲が流れるとは、プレイ前は想像もしていませんでした(笑)。

ちなみに、本作では特定の条件を満たすと、前作の『ひゅ~ストン』で登場した井戸をアレンジしたステージをプレイすることもできるのですが、このアレンジステージで流れる楽曲「落石注意!!」が素晴らしいです。疾走感あふれる旋律で、井戸の底へと落ちてゆくスリルとスピード感をこれでもかと演出してくれています! このスリルは、ぜひ実際にゲームをプレイして味わってみていただきたいです。

各井戸ステージ以外での印象的な音楽を挙げると、タイトル画面で流れる「ひゅ~ストン」という楽曲ですね。アコースティックギター風の爽やかな音色で奏でられる旋律が心地良くて、ゲームを始めずにしばらく手を止めて聴き入ってしまうこともしばしばでした。

また、各井戸ステージが始まる前には、選んだ石の種類によって「なぜ、その石が井戸に投げ込まれることになるのか」を描いたちょっとした寸劇が入るのですが、そこで流れる「井戸にまつわる10の話」という音楽も地味に好きですね。ツッコミどころ満載のコミカルな寸劇と共に流れるこの曲のちょっととぼけた雰囲気は、『新ひゅ~ストン』の不思議でなんでもアリな世界観の演出に大きな役割を果たしているように思います。

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本作を未プレイの方は、「井戸の中を落ちていくだけのゲーム?それって面白いのかな……?」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。無理もないです、正直言って僕もプレイする前までは「これ、面白いのかな?」とやや懐疑的でしたから(苦笑)。ところがどっこい、実際に遊んでみたらビックリするほどハマりました。障害物をかわして、ひたすら井戸の底へ落ちてゆく。本当にただそれだけのゲームなのですが、不思議な気持ちよさと面白さがあるのです。

特に、障害物をうまくかわしつつ、ドーナツ型の物体を連続でくぐって高速で落下し、最速タイムで底に到達できた時の気持ちよさは格別なものがありますよ! 感覚としてはレースゲームのタイムアタックに近いですね。タイムアタックが好きという方にはかなりおすすめなゲームです。きっとハマると思います! 僕は「このコース、もうちょっとタイム縮められそうだな」とついつい何度も挑戦して、ふと気づけばびっくりするほど時間が経っていた……ということが何度もありました。とにかくタイムアタックが熱いゲームです。本作はすれちがい通信やQRコードで、他のプレイヤーとベストタイムを交換しあうこともできるので、とことんやり込めると思いますよ。

ふとした時に、ちょっと遊びたくなる。ちょっとだけ遊ぶつもりが、ついつい最速タイムを目指して遊びこんでしまう。そんな不思議な中毒性と魅力が『新ひゅ~ストン』にはあります。3DSの立体視を存分に活かした、奥に吸い込まれていくような感覚も見事ですし、t.Komine氏が紡ぎ出す軽快で耳に心地良い音楽の数々は、プレイを大いに盛り上げてくれます。普段なかなか味わうことのできない、“井戸の底へ落ちてゆく”というスリリングかつ気持ちいい感覚を、皆さんにもぜひ体験してみてほしいです。

『新ひゅ~ストン』の井戸落下は、スライドパッドのみしか使わないという、非常に簡単かつシンプルな操作なので誰でも遊べます。お値段はワンコイン(500円)とお手頃ですし、ご興味をお持ちの方はぜひこの魅惑の落下体験を味わってみてくださいね。さあ!あなたもレッツ井戸落下!!


ちなみに『ひゅ~ストン』関連のサントラとしては、『ひゅ~ストン&タケヤリマン オリジナルサウンドトラック』が配信されています。このサントラは、前作『ひゅ~ストン』の音楽と、ポイソフトから発売された3DSダウンロードソフト『タケヤリマン』の音楽がカップリング収録されたものになります。ご興味をお持ちの方は聴いてみてくださいね。なお、『新ひゅ~ストン』から追加された新曲については現在のところ配信されていませんが、何かの機会に配信されることを願っています!


【筆者プロフィール】
hide / 永芳 英敬

ゲームとゲーム音楽を愛するライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、ゲーム音楽関係の記事を主に執筆しています。福岡県出身。ポイソフトさんの所在地が福岡県だと知って親近感がわいた!
[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden
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《hide/永芳英敬》
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