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【オトナの乙女ゲーム道】第32回:『ニル・アドミラリの天秤 帝都幻惑綺譚』をプレイ!愛と裏切りが織りなす濃厚な恋愛劇

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インサイドをご覧の皆様、こんにちは。独断と偏見で乙女ゲームについて語り尽くす「オトナの乙女ゲーム道」第32回では『ニル・アドミラリの天秤 帝都幻惑綺譚』のプレイレポートをお届けします。



◆書き手の情念が宿った本「稀モノ」を巡る物語




本作は現実とは異なり、15年で終幕しなかった大正25年が舞台。主人公は名家・久世家の長女である久世ツグミ(名前のみ変更可/デフォルトで音声呼びあり)で、傾きかけた家を救うために望まぬ結婚をするはずでした。しかし、彼女の弟・ヒタキが「稀モノ」と呼ばれる本に影響され、突然焼身自殺を図ったことで事態は一変します。


稀モノとは、書き手の強い感情が宿った手書きの和綴じ本のこと。これを読んだ人は本の内容によってさまざまな影響を受けてしまうため、政府は特殊機関「帝国図書情報資産管理局」、通称「フクロウ」を発足させて稀モノの回収・保護を進めています。主人公は弟の事件以降、稀モノに宿る「アウラ」という輝きが視えるようになり、その能力を見込まれてフクロウの一員に。稀モノの探索を行う中で、複雑な過去を秘めた6人の男性に出会っていきます。



一見、誰もが平等に自由を謳歌する華やかな時代にみえますが、身分や性別による差別は根強く残っています。そんな中、ストーリーでは人の心に宿る裏切り、強欲さ、憎悪、悲しみ、儚さ、情愛、優しさといった色々な感情がありありと描かれています。登場人物の過去や秘密が丁寧に語られていますし、「この後どうなるの?!」と続きが気になってどんどん読み進めてしまうほどでした。

大半のキャラクターはハイカラな洋装ですが和装もおり、ちょっと古めかしい言葉遣いなどはまさに大正浪漫といったところ。スチルのカラーも落ち着いた印象で、とても素敵です。そして、乙女ゲームユーザーとして気になるポイントは「CERO:D」。身も蓋もない言い方をすると、PC向けの乙女ゲームがコンシューマに移植されたような手応えを感じました。愛憎の渦巻く読み応えある展開、男女の濃厚な恋愛をじっくりと楽しみたい方には、とくにおすすめできるタイトルです。


◆「ウツロヒの天秤」ほか、システム面をチェック


本作は共通ルートを経て、各キャラクターに分岐していきます。なお、選べるキャラクターには一部制限がかかっており、最初に尾崎隼人・鷺澤累は選ぶことができません。ちょっともどかしいかもしれませんが、これには理由があるので頑張ってクリアしていきましょう。

途中にある選択肢によって「ウツロヒの天秤」が変化し、その傾きによってハッピーエンドかバッドエンドかが分かれます。いわゆるポイント的なもので上下するのではなく、バッドエンドに傾いたらそのまま戻らない点だけ注意が必要です。中には途中バッドエンド、各キャラクターの「手記」の解放条件になる選択肢もあります。一度クリアするとメニューの「行路」で好きな章から始められますし、どのフラグをチェックしたのか確認もすぐできるので、フルコンプに向けてこまめ見ておきましょう。



クリア後には「オ楽シミ」でスチルや音楽、ムービーを堪能。先ほどの手記の中身についても「短編物語」内で確認できます。本編では語られなかったサブキャラクターの心情をつづったものや、攻略キャラクターが誕生日などのプロフィールや趣味、好きな石鹸や作家について話す自己紹介も。すべてフルボイスなのも嬉しいポイントです。



◆主人公が出会い、愛を知る6人のキャラクター


それでは、各キャラクターの紹介へと移っていきましょう。主人公のツグミちゃんは華族の令嬢ゆえにやや世間慣れしていない部分もありますが、本を読むことや甘いものが好きなごく普通の女の子。料理や裁縫も得意で、彼女をお嫁さんに貰う男性は毎日美味しいお味噌汁を約束されてるようなものなので羨ましいです。すごく羨ましい!!


人の悪意にほとんど触れずに育ってきた女の子なので、時には傷つくこともありますが、それでも優しさを捨てない強さも備えています。急激に変化した周囲の環境も受け入れ、少しでも前に進もうとする主人公は格好いいですね。恋愛面も含め、思い切りが良いというか度胸があるというか、結構攻めるなとも思いました。

■鴻上滉(CV:岡本信彦)


滉はフクロウの探索部所属で、主人公の同僚にあたります。仕事は真面目に取り組みますがそれ以外の付き合いはかなり悪く、あまりにそっけない態度に主人公が「嫌われてるのでは…」と困惑する場面も。実は映画が好きで、なりゆきで一緒に観に行くことになってから、彼の不器用な優しさが少しずつ垣間見えるようになっていくのが良いですね。


しかし、心が近づいたと思ったのも束の間。彼のもつ特権階級への憎悪や、ずっと抱えてきた闇に触れてから、再び物語は大きく動きます。「囚われている者」と銘打たれた滉を信じぬき、救えるかどうか。最後まで見逃せませんよ!


■星川翡翠(CV:逢坂良太)


翡翠もフクロウの探索部に所属している同僚で、炎を操る特殊な能力の持ち主。言葉の足りない滉や口が悪く思われがちな隼人をフォローし、日々真面目に任務にあたっています。外国の血が混ざった少女のような容貌ですが、本人は外見について触れられるのを嫌い、女性や恋愛にも露骨な嫌悪を示します。こうした感情は翡翠の出生と、その後の生い立ちが深く関わっています。


とある本を巡り、少しずつ語られていく翡翠の過去。そして徐々に主人公へ惹かれつつも、なかなか上手く立ち回れない彼を「そうじゃなくて!!もっと素直に!!頑張れ!!」と応援したくなりました。可愛い外見ですけど立派に「男」なので、その辺りも注目です。


■鵜飼昌吾(CV:木村良平)


昌吾は現首相の息子であり、帝都大学法学部に通う学生。しかし、主人公の弟と同じ日に稀モノによる事件に巻き込まれたことをきっかけに、フクロウの住人が住むアパートへと引っ越してきました。共通ルートや、他の攻略キャラクターのルートで見る昌吾は、一言でいえば「お前の眼鏡を指紋でベッタベタにしてやろうか?!」です。本当に。


それが「ああ、昌吾はこんな言い方しかできないんだな」「こう言いたかっただけなんだ」と、彼の真意が分かってからはびっくりするくらい可愛らしく思えるから不思議でした。繊細で優しく、それゆえ1人で思い悩んでしまう昌吾に、主人公がどこまでも付き添ってあげてほしいと思わずにはいられませんでした。きっと彼は、将来大物になるでしょう!


■汀紫鶴(CV:鈴村健一)


紫鶴は、恋愛もので人気を集める作家。フクロウとは無関係ですが、同じアパートで暮らしています。男性に慣れていない主人公を本気ともからかいとも取れる言葉で翻弄し、掴みどころのない雰囲気の男性です。基本的に和服ですが、ちょっとだけ洋装も披露してくれるのがずるいですね。


フクロウが稀モノを探している一方で、若い女性が襲われる奇妙な事件が発生。どうしても事件が気になった主人公が犯人を捜すうち、紫鶴とその師匠にまつわる出来事も明らかになっていきます。恋愛面では、紫鶴のフェティシズムが全力で描かれていて感嘆してしまいました。彼に惹かれ始め、周囲の女性へつい嫉妬してしまう主人公も可愛いかったです。


■鷺澤累(CV:櫻井孝宏) ※上記4人をクリアで解放


累は帝都大学医学部に通う医学生で、さまざまなアルバイトを掛け持ちしながら勉学に励む苦学生といった印象です。稀モノを探す中で偶然知り合い、交流を重ねていくことになりますが、累は「真実を求める者」と銘打たれた通り、ある大きな目的のために行動しています。それが彼の悲しい過去に繋がるとも知らずに…。


一見ふわっとした優しい風貌ですが、その心の内には激しいものを秘めている累。恋愛にしても意外と計算高いというか、個人的な感覚ですが「狙った獲物は逃がさない」という感じでした。端的に言えばボイスの色気と相まって「ずるい!!」に尽きます。かなり重いものを背負っているので、主人公と分かち合いながら生きていってほしいなと思いました。


■尾崎隼人(CV:梶裕貴) ※上記5人をクリアで解放


隼人はフクロウの探索部で、真っ直ぐに皆を引っ張っていくリーダー的な存在。率直すぎる物言いは「口が悪い」と捉えられやすいですが、裏表のない性格は周囲からの信頼を集めています。主人公をフクロウへと勧誘した張本人でもあり、ヒタキの事故を引き起こした稀モノの真相へと踏み込むこととなります。


恋愛面では、まず「少女漫画か!!」と叫ばずにはいられませんでしたし、最後の最後も「少女漫画かーーー!!」と絶叫しながら倒れ込みそうになるほど。もう乙女ゲームの王道を突っ走られたような状況には「お幸せに!!」としか言えません。的確に急所を撃ち抜かれた悔しさと、清々しいほど祝福したい気持ちが同時に襲ってきました。



また、魅力的なサブキャラクターが多数登場するのも本作の見どころ。主人公の弟・ヒタキもすべてクリアしてみると乙女ゲーム的になかなかの逸材でしたし、若き警察官・燕野太郎もその実直さが微笑ましく、掴みどころがなく独特の色気をまとった貨店の店主・杙梛も、攻略キャラクターではないのが惜しいくらいです。



常にお面を被ったフクロウの研究部長・猿子基史、主人公の家にいたこともある研究部の隠由鷹、物腰の柔らかな昌吾の世話係・雉子谷新、作家でもある古書店の店主・笹乞藤一郎、隼人の先輩にあたる新聞記者・葦切拓真といった濃い面子に加え、女性陣にも男性顔負けの迫力で探索部を引っ張る上司の朱鷺宮栞、駆け出し新聞記者として頑張る幼馴染・柾小瑠璃といった、素敵なキャラクターが揃っています。これ以外にも欲望や野望、絶望を抱えた人物も現れますので、じっくりと物語を楽しんでください!


《近藤智子》

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