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【hideのゲーム音楽伝道記】第30回:『ゼルダの伝説 夢をみる島』 ― 不思議な島でのリンクの冒険を彩る音楽

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【hideのゲーム音楽伝道記】第30回:『ゼルダの伝説 夢をみる島』 ― 不思議な島でのリンクの冒険を彩る音楽
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インサイドをご覧の皆さま、こんばんは。ゲーム音楽大好きライターのhideです。ゲーム音楽連載「hideのゲーム音楽伝道記」第30回目を迎えました。

30といえば……今年は『ゼルダの伝説』生誕30周年!! ということで、今回は僕が『ゼルダ』シリーズの中でもっとも大好きな作品、『ゼルダの伝説 夢をみる島』をご紹介します。



『ゼルダの伝説 夢をみる島』は、1993年6月6日に任天堂からゲームボーイで発売されたアクションアドベンチャーゲームです。1998年には、ゲームボーイカラーに対応した『ゼルダの伝説 夢をみる島DX』が発売されました。また、2011年からは『DX』版がニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで配信されています。

異国での剣の修行を終えて、ハイラルへ帰るため航海に出た主人公・リンク。その航海の途中、船は大きな嵐に遭ってしまいます。さらに、船は雷に打たれてまっぷたつに。リンクは海に転落し、漂流してしまうのです。

リンクが目を覚ましたのは、見知らぬ家のベッドの上。そこで出会ったのはマリンという少女。彼女は、リンクが浜辺に流れついていたのを発見し、介抱していてくれたのです。どうやらリンクが流れついたのは「コホリント島」という、山の上に大きなたまごがある不思議な島のようです。そのたまごの中には、『かぜのさかな』という神が眠っているといいます。

リンクは無くした剣を探しに、自分が流れついた浜辺へと向かいました。すると不思議なフクロウが現れ、謎めいた言葉を残していったのです。「『かぜのさかな』の目覚めを告げる使者が現れたか」。「『かぜのさかな』を起こさねば、その使者は島から出られぬ」――。『かぜのさかな』とは一体何なのか? そしてその目覚めにはどのような意味があるのか……。不思議な南国の島・コホリントを舞台に、『かぜのさかな』をめぐる冒険が始まります。

本作は『ゼルダ』シリーズの第4作目にあたり、初めて携帯ゲーム機向けにリリースされた『ゼルダ』でもあります。携帯ゲーム機のソフトながら、据え置き機にも負けず劣らずの充実のゲーム内容で、楽しさにあふれた作品です。

そして、本作の魅力的な要素となるのが音楽です。本作の音楽は、任天堂の濱野美奈子氏(代表作:『スーパーメトロイド』などの『メトロイド』シリーズ)と、石川こずえ氏(代表作:『ワリオランド』シリーズ)の二人が担当しました。本作はゲームボーイということで限られた和音の音源になるのですが、それを感じさせないほど情感豊かで、魅力的な音楽が堪能できますよ。

それでは、ゲーム中の印象的なシーンとともに、本作の音楽をご紹介していきたいと思います。

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ゲーム冒頭、目覚めたリンクはまず剣を回収しに浜辺へ向かうことになるのですが、目覚めのシーンから剣を取るまでに流れる音楽が、夢から目覚めた直後の“ほわほわした雰囲気”がよく出ていて素晴らしいですね。そして浜辺の剣のもとにたどり着き、いざ剣を入手した時の勇壮なジングル、そして間を空けずに「ゼルダの伝説 メインテーマ」に続く……という流れが最高にかっこいいです!

続いて、剣を回収した後にマリンたちが住む「メーベの村」で流れる音楽は、とても穏やかな旋律で癒されます。また、村の中央にある「そらとぶニワトリ」の像の横にはマリンがいるのですが、彼女に話しかけると、「かぜのさかなのうた」という歌を歌ってくれます。不思議な美しさと切なさを持つこの歌は、のちのち重要な意味を持つことになるのです。

本作では、島に点在する各ダンジョンをめぐって、「セイレーンの楽器」という8つの楽器を集めてゆくことになります。各ダンジョンのボスを倒すと楽器を入手できるのですが、それぞれの楽器は「まんげつのバイオリン」「うみゆりのベル」「しおさいのハープ」……といった神秘的な名前で、かつ音色も美しいものばかりですよ。ちなみに、ゲームが進むにしたがって、ボスたちは島の秘密に関する意味深なセリフを言うようになります。僕は先の展開が気になって、ゲームにどんどんハマっていきました。

また、ゲーム中盤には、リンクがマリンを連れて島を歩くことができ、デートのような展開になるシーンがあります。その直前に、リンクとマリンが一緒に海を眺めるというイベントがあるのですが、これがじつにロマンチックな雰囲気なんです。音楽も、「かぜのさかなのうた」をゆったりとスローテンポにアレンジした楽曲が流れて、2人きりの時間を盛り上げてくれるんです。個人的には、マリンの「わたしがカモメだったら……ずっと とおくへ とんでいくのに」というセリフが印象深いですね。デート関係のイベントでは、マリンの意外な一面を色々見ることができるので、先を急がず、ぜひじっくりマリンとのデートを楽しんでみてほしいです。

ゲームの後半には、リンクがとある神殿に隠された壁画を見て、島の真実を知るシーンがあります。ここでは「かぜのさかなのうた」が重苦しくアレンジされた楽曲が流れるのですが、じつに神秘的かつ、不安な気持ちをあおるような旋律で、鳥肌が立つほどゾクッとしたのを覚えています。

そして、僕が本作の中でもっとも印象的な楽曲が、「タルタル山脈」で流れる音楽ですね。島の北部に位置する山脈で流れるアップテンポな楽曲なのですが、勇壮ながらも切なさを帯びている旋律が素晴らしいです! 後半の盛り上がりは特に胸に沁みますね。島の真実を知りながら、それでも先へ進むリンクの決意が音楽に現れている気がします。数あるゲームボーイ作品の音楽の中でも、トップクラスの名曲だと思いますね。

リンクが全ての楽器を集めた後、とある場所を訪れると、それらの楽器全てを使って「かぜのさかなのうた」の合奏が行われるのです。続いて最後のボスを倒した後、コホリント島の全てを司る、『かぜのさかな』に対面します。ネタバレを避けるため詳細は伏せますが、『かぜのさかな』が語る言葉と、エンディングの展開に、僕は大きな衝撃を受け、心を揺さぶられました。もう、この『かぜのさかな』のセリフが本当にロマンチックで…! そしてたどりついたエンディングで流れる「かぜのさかなのうた」。海景色をバックに響きわたる、切なさに満ちた、かつ不思議なあたたかさとやさしさを伴った旋律は、じんわりと胸に響いてきました。ゲームボーイのあの小さな画面で、あの限られた和音の音楽で、あんなに感情を揺さぶられるなんて思いませんでしたね……。

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『夢をみる島』は、全体的には明るいノリでお話が進むのですが、先に進むにつれて意外な真実が明らかになっていく物語が魅力です。最後までプレイすると、きっと心に何かが残ると思いますよ。

発売から23年ほどが経った今、僕は再度『夢をみる島』をプレイしてみましたが、本当によく出来た、完成度の高い作品だと改めて実感しました。ゲームボーイ作品である『夢をみる島』は、現代のゲームに比べると、グラフィックや音源の面で見劣りするんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。ところがどっこい、『夢をみる島』は、限られたスペックの中で、生き生きとしたひとつの“世界”がしっかりと表現されています。味わい深い2Dのドット絵をはじめ、限られた和音をフルに使って奏でられる情感豊かな音楽、軽快な操作性、幻想的かつ切なさを帯びたシナリオなどで、プレイヤーをぐいぐいと引きこんでくれる、本当に素敵な作品です。

みなさんは、深く思い出に残っているほど大好きな作品はあるでしょうか? 僕は『夢をみる島』がそのひとつです。クリア後、どんなに時間が経っても、ふとした時に思い返して、またコホリント島に行きたくなるんですよね。少し大げさかもしれませんが、僕にとっては一生の宝物のような作品です。

僕は『ゼルダ』シリーズは本編作品をすべてクリアしているほど好きなのですが、その中でも『夢をみる島』は別格に好きですね。好きを通り越して、「コホリント島に住みたい」とさえ思わせてくれる愛しさがあります(笑)。『夢をみる島』の、切なくて幻想的で、そしてロマンチックな世界観が、僕は好きで好きでたまらないのです。幸いなことに、『夢をみる島』をプレイすれば、いつでも何度でもコホリント島に戻ることができます。今後もふと思い出したら、ふらりとコホリント島に遊びに行くんだろうなと思いますね。

『夢をみる島』は、『ゼルダ』シリーズの中でも異色の作品ではありますが、面白くて切なくてホロリとする、夢と幻想の素敵な冒険譚です。ご興味をお持ちの方は、ぜひコホリント島での冒険を体験してみてくださいね。



今から本作を体験するには、3DSのバーチャルコンソールにて配信されている、カラー対応版の『夢をみる島DX』が一番手軽にプレイできると思います。価格も617円 (税込)とリーズナブルですので是非どうぞ!

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なお、『夢をみる島』は、残念ながらサウンドトラックが発売されていません。また、過去に『ゼルダ』シリーズ作品の音楽を多数収録した『ゼルダ ザ ミュージック』というCDが発売されたのですが、悲しいことにそのCDにも『夢をみる島』の音楽は1曲も収録されていないのです…。今後、何かの機会にサントラがリリースされると嬉しいのですが(苦笑)。

サントラ情報の代わりと言ってはなんですが、『夢をみる島』に関するちょっとした裏ワザをご紹介します。ゲーム起動直後、ファイルセレクト画面の新しくゲームを始める際の名前入力で「ぜるだ」と入力すると、「ゼルダの伝説 メインテーマ」の隠しアレンジ曲を聴くことができます! また、「とたけけ」と入力すると、「けけソング」(※)を聴けます。ご興味をお持ちの方は、試してみてくださいね。

※「けけソング」とは…… 『どうぶつの森』シリーズの「とたけけ」のモデルになった人物である、作曲家の戸高一生氏がサウンド制作に関わった作品に入っている隠しBGMです。戸高氏は、『夢をみる島』ではサウンドプログラムと効果音を担当されました。

もうひとつ、『夢をみる島』で特筆しておきたい点としては、多数の任天堂キャラクターがゲストキャラとして登場するということですね! 具体例を挙げると、『スーパーマリオ』シリーズのクリボーやパックンフラワーなどが敵として登場したり、クレーンゲームの賞品にヨッシーのぬいぐるみが登場します。また、発売当時はまだ世の中に出たばかりの『星のカービィ』の主人公・カービィが敵役として登場するシーンもあります(カービィはリンクを吸いこんで攻撃してきますよ(笑))。 さらに、『シムシティ』のDr.ライトや、『カエルの為に鐘は鳴る』のリチャード、『スーパーマリオUSA』のマムーなど、たくさんの任天堂キャラクターが登場します。元作品が好きなファンの方はニヤリとできると思いますよ。ちなみに、リチャードがいる別荘の中では『カエルの為に鐘は鳴る』の超名曲、「王子の冒険」のアレンジ曲が流れますので、『カエル』ファンの方は必聴ですよ!

最後に……現在発売中の、3DS版『ゼルダ無双 ハイラルオールスターズ』の追加コンテンツとして、『夢をみる島』をテーマにしたパックが2016年7月末日までに配信される予定だそうです。『夢をみる島』大好きっ子の僕としては、めちゃめちゃ気になっております!(笑) 続報に期待ですね。

【筆者プロフィール】
 hide / 永芳 英敬


ゲーム音楽ライター&ブロガー。ゲーム音楽作曲家さんへのインタビュー記事、ゲーム音楽演奏会のレポート記事など、主にゲーム音楽関係の記事を執筆しています。Wii Uで発売予定の『ゼルダ』最新作が楽しみです!『ゼルダ』30周年の今年中にちゃんと発売されるといいのですが(苦笑)。

[Twitter] @hide_gm [ブログ] Gamemusic Garden

(C)1993-2011 Nintendo
《hide/永芳英敬》

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