注目の複合現実(mixed reality:MR)ゴーグルが実現する最先端のアプリケーションを披露し、VR(バーチャルリアリティ)市場に本格的に参入した。
「HoloLens」は、本体に透過型ディスプレイ、センサー、小型カメラなどを内蔵したヘッドマウントディスプレイ。現実世界に仮想空間を重ね合わせ、指や手のジェスチャーでインタラクティブに操作できるMR体験は、SF映画のホログラフィ操作の体験そのもの。昨年の「Build 2015」でコンセプトや機能が発表されて以来、実用化が待たれていた。
昨年から今年にかけて実用化が加速するVR市場では、拡張現実ヘッドセットの「Oculus Rift」の一般向け販売が米国で始まったばかり。「Oculus Rift」が599ドルに対し、「HoloLens」の開発者版は3000ドルだが、VRの競合製品とは異なり、周囲の環境を検出するセンサーを内蔵しホログラムを重ね合わせ、スマートフォンやパソコンに依存することなく作動するデバイスだ。
Kinectを手がけ、さらに「HoloLens」のプロジェクトを推進する同社の技術フェローAlex Kipman氏は「Build 2016」の壇上で、「最初の、唯一の、命綱をつけていないホログラフィック・コンピューター」と、「HoloLens」の位置づけを明確に定義する。
またKipman氏は、まさに「ハイエンド」の技術と言うべきクオリティが光る「HoloLens」のアプリケーションの事例をステージ上で紹介した。まず、「HoloLens」の基本的なジェスチャーで操作できる惑星や銀河のホログラムのデモアプリ「Galaxy Explorer」。開発者版発売に合わせ、アプリとソースコードがGitHubで開発者のために公開されている。
さらに、ケースウェスタン・リザーブ大学医学部のPamela Davis教授が、「HoloLens」用に構築した解剖学プログラムを披露。内部の臓器がはっきりと見える等身大の人体や、巨大な脳の3Dホログラフィックモデルの周りを歩きながら、医学生が構造を学んだり意見を交換することができる。同大学では、すでに「HoloLens」がカリキュラムで利用され、医学生の学習速度がアップする成果が出ている。
最後に、米航空宇宙局(NASA)が「HoloLens」用に開発した、NASAの科学者と同じ視点から火星の風景を探ることができるアプリケーション、「Destination Mars」を紹介。「まさにキュリオシティが動いている光景を歩きながら、まったく新しい方法で火星を探索できる体験です」と、NASAのジェット推進研究所プロデューサーDoug Ellison氏は語る。会場で「Destination Mars」を体験できる、との知らせに、参加者から拍手も起きていた。
「よりパーソナルな方法でコンピューターをインタラクティブ操作する大きな一歩」(Kipman氏)と強調する同社のイノベーションは、開発者を大いにインスパイアすることだろう。
MicrosoftのAR「HoloLens」が本格化! NASAが火星探索を体験できる専用アプリを開発
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