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【特集】今も余波続く「ゲーマーゲート騒動」、発端から現在までを見つめ直す

2年近くが経過した今でも余波が続き、さらに複雑化の模様を見せているGamerGateを、あらためて発端から振り返り、単に白黒つけて語ることのできないその深い問題に迫ります。

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◆ゲーマーの男女比率とフェミニズムに対する価値観

ゲーマーゲートコミュニティは英語圏のユーザーが中心ですが、なぜここまで「ゲームにおける女性」への議論が加熱しているのでしょうか。

アメリカのゲーマーの男女比率は男性56%に対し女性44%(2015年調べ)、カナダは男性52%に対し女性48%(2015年調べ)、イギリスは男性48%に比べ女性は52%(2014年調べ)となっており、ゲームユーザーの男女比率はほぼ半々であるとわかります。日本のコンピュータエンターテイメント協会が2014年に行った調査によると、国内のゲーマーの男女比率は男性57%に対し女性42.7%と、実はアメリカとさほど変わりません。世界的に見てもゲーマーの男女比にあまり差がないことがわかります。

他の調査データでは、北米や英国では他国と比べ社会的にも男女格差が少ないとされ、昔はほとんどが男性であったゲーム開発の現場や管理職にも女性が進出し、CEOを務める女性もでてきています。

ゲーマーの男女比に差がなくなったことに伴い、最近まで男らしい主人公にセクシーなヒロインといった、男性が軸となる表現が基本だった大作タイトルに対する女性ユーザーの不満の声も大きくなっていきました。欧米向けの大作コンシューマータイトルは明確に男女のどちらかに向けて製作されているものがほとんどなく、女性ゲーマーは『アサシン クリード』や『Gears of War』といった大作タイトルを分け隔てなくプレイしている傾向があるためです。

それを踏まえ、リブート版『Tomb Raider』のようにセクシャルさを感じさせない女性キャラクターや、『Mass Effect』シリーズのようにプレイキャラクターに性差がない大作ゲームが多く見られるようになってきました。

ブリアンナ・ウー氏がワシントン・ポスト紙への寄稿で述べているように、かつてビデオゲーム産業は男性を中心とした文化であったため、近年の女性ユーザーや女性開発者の増加に対しネガティブな感情を持つ男性ユーザーは未だ少なくなくありません。最近のゲームが女性ユーザーの意見を多く取り入れていることへの反発も少なからずみられます。そんな中、クィン氏の疑惑やサーキージアン氏の歯に衣着せぬ啓蒙活動が引き金となって、ゲーマーゲートコミュニティでは「ゲーム産業における反フェミニズム」の感情が表面化したのだと考えられます。

余談ですが、アメリカでは市民運動が行われた1960年代以降から男女格差は縮まってきていますが、ゲーム産業に限らず米社会全体で給料格差などが残っており、2016年現在でも女性側が声を上げて改善しなければならない状況は無くなってはいないようです。

◆ゲーマーゲート騒動の余波


ゲーマーゲートコミュニティによる騒動から、欧米では「ビデオゲームにおける女性の表現」はさらにセンシティブな問題となってしまいました。ゲームにおける女性の表現に議論が生じた場合、対立する支持者へのDoxing攻撃や脅迫が常態化してしまったことによります。

2015年11月末に、国内で開発された「登場キャラクターのほとんどがセクシーな水着女性であるゲームが欧米では自粛してリリースされない」と報じられた件では、報道の発端となった開発会社のSNS担当者による「ビデオゲームに関わる女性をめぐる問題が起こっているためである」という発言だけを取るとゲーマーゲートを取り巻く状況に配慮したものと捉えることができます。(開発会社の公式声明ではこのSNS担当者の発言はあくまで個人の意見であり企業としての意見やビジネス戦略を反映しているものではないとしています)

日本では、男性をターゲットとしたゲームと女性をターゲットとしたゲームを分ける土壌がもともとあり、セクシーな水着女性しか登場しないゲームは明確に男性をターゲットとして開発されています。女性向けにはいわゆる「乙女ゲー」と呼ばれるハンサムな男性が多く登場するジャンルなどがありますが、先に述べたように欧米のコンシューマーゲームでは男女の対象をあまり区別していないため、ある程度大きな規模で開発されたゲームに水着の女性しか出てこないのは、議論の的になってしまう可能性を大いにはらんでいるのは想像に難くありません。

◆ゲーマーゲートの現在

北米を中心に社会問題となったゲーマーゲートですが、欧米のニュース番組で議題として取り上げられたほか、2015年3月にはテレビドラマ『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』の1エピソードで題材になりました。クィン氏によるゲーマーゲート騒動を綴った自伝本「Crash Override: How To Save The Internet From Itself」を映画化する動きもあり、元ソニーピクチャーズ副社長エミー・パスカル氏が立ち上げた新会社パスカル・ピクチャーズが映画化権を取得しています。

ゲーマーゲートコミュニティではさまざまな議論が現在も続いていますが、コミュニティ内のいざこざは絶えず、2015年5月にはワシントンDCでのオフ会会場で、8月にはマイアミで開催されたジャーナリスト向けのイベントにてコミュニティサポーターによるものとみられる爆弾テロ予告があり、警察が出動する騒ぎとなっています。そして2015年10月、「SXSW」で予定されている「ゲームにおける女性へのハラスメント」や「ネットのゲームコミュニティ」をテーマにした2つのパネルディスカッションの中止を目的とした複数の脅迫を受けたことで、ゲーマーゲートが未だに続く社会問題だと再認識させられることになります。

現状では、ゲーマーゲートコミュニティの中でも意見は大きく分かれており、多種多様な主張が激しくぶつかり合う場へと変容しています。ただ、ゲームが好きなネットユーザーが集まるコミュニティであり、争点とされてしまう女性たちも純粋にゲームが好きなゲーマーであるということだけは、今も変わりありません。

記事提供元: Game*Spark
《Game*Spark》
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